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発明の対価600億円 一石投じたLED訴訟

 ノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんが青色発光ダイオード(LED)の特許権の確認などを求め、開発時に在籍していた日亜化学工業に起こした訴訟は「発明の対価」に対する考え方に一石を投じ、サラリーマンに甘んじてきた多くの社内研究者に光を当てた。

 中村さんは1990年に青色LEDの製造装置に関する技術を開発し、日亜が特許出願。93年に世界初の製品化に成功して日亜も業績を伸ばしたが、中村さんが手にした会社からの報奨金はわずか2万円だった。

 中村さんは退社後の2001年8月に東京地裁に提訴。04年1月の判決は、対価を約604億円と算定し、日亜に請求全額の200億円の支払いを命じて大きな話題となった。

 その後、日亜が控訴し、高裁は04年12月に和解勧告。対価は一審で認められた604億円の100分の1に当たる約6億円に大幅減額され、05年1月、日亜が遅延損害金を含めて約8億4千万円を支払うことで和解が成立した。

 中村氏は和解成立後「全く不満足。無理やり和解に追い込まれ、怒り心頭に発した。日本の司法は腐っている」と高裁の訴訟指揮を痛烈に批判したが、「日本の企業ががらりと変わった。裁判をやってよかった」とも。

 その後、研究者が企業に発明の対価を求めた訴訟では、和解や研究者側の勝訴が相次いだ。

 06年7月、東芝元社員の半導体フラッシュメモリー発明をめぐる東京地裁での裁判は、東芝が8700万円を支払うことで和解。同年10月、最高裁は光ディスク情報読みとり技術を発明した日立製作所の元主管研究員に日立が1億6千万円を支払うよう命じた二審判決を支持、元研究員の勝訴が確定した。

 発明の対価をめぐる訴訟の増加を受けて特許庁は、発明した企業の社員が報われる制度が必要だとして、特許法改正の検討を急いでいる。

[ 2014年10月7日 22:45 ]

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