イノベーター進化論

クラウドファンディング日本新記録で資金調達! 「森の図書室」森俊介氏【file013】 (5/7ページ目)

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本との偶然の出合いや発見を演出

――本はランダムに陳列されているのですね。

 あえてランダムに並べているのには理由があって、作家別やジャンル別だと、坐った席によって似たような本ばかりが目に入ってしまうからです。どの席に坐っても、本との偶然の出合いや発見があるようにしたい。恐らくここに集まる人たちは「こういう本が読みたい」と目的を持って来ているのではなく、偶然の出合いを期待しているんじゃないかと思います。

 そのせいか、ここでは普段接点がない本に手を伸ばす人が多いようです。例えば、絵本や児童書のほか、世界各国のかっこいい図書館ばかりを集めた写真集、ジョジョの危険な冒険の画集『JOJOVELLER』などはなかでも人気が高いです。

小説や絵本、児童書から冒険画集までがランダムに並んでいる

 蔵書の中心はとんがった本というより、多くの人が知っている本です。「本の名前は聞いたことがある」といった本のほうが取っ付きやすいと思うので、そうしたセレクトにしています。

 読書頻度のピラミッドがあるとしたら、てっぺんが読書家で、何も言われなくても本を読む人です。底辺は本を読まないし、これからも読もうと思わない人。真ん中に「本を読んでみたいけど、読んでいない。何を読んだらいいか分からない」という人がいると僕は思っていて、そういう人が本を手に取る場所にしたいんです。

 僕としては、みんなでわいわい楽しめる場になればいいなと思っています。好きなことって、ほかの人と共有できるともっと楽しいですよね。僕自身、好きな作家さんのファンが集まるオフ会によく行くのですが、すごく盛り上がる。本が好きな人には内向的なイメージがありますけど、そんなことはなくて、みんなよくしゃべります。

 ここがそういう場所として機能してくれたらいい。1人じゃなくて、みんなで話しながら読む。単に本を読むだけなら、ここでなくてもできる。でも、本好きな人と話をすることはここじゃないとなかなかできないと思うので、自然発生的にそういう会話が増えたらいいなと願っています。

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