「本と酒に囲まれて暮らしたい」から始まる
――なるほど。なぜそもそもこうした場所をつくろうと思ったのですか。
子供の頃から外で遊ぶよりも家で本を読むのが好きで、中学生の頃に読んだ本に出てきた「田舎に私設図書館をつくったおじいちゃん」に憧れ、いつか自分の図書館を作ることができたらという夢を持っていたからです。
大学卒業後、リクルートで広告営業の仕事に携わっていましたが、4年で退社し、かねてから構想を温めていた自分の図書室づくりを実行に移すことにしました。小学生の頃には「作家になりたい」と思ったこともありましたが、中高生になる頃にはそうした気持ちは消えていました。今は本を読むのが純粋に好きですね。去年は年間200冊以上の本を読みました。大学4年のときから読書感想文をつけているのですが、それ以後年間100冊を切ったことはありません。特にジャンルを決めずに読んでいますが、結果として小説が多い気はします。
だから誰かのために、こういう場所があったら便利だからつくってあげたいと思ったというより、純粋に本が好きだから始めた。あとお酒も好きなので、単純に本と酒に囲まれて暮らせたらいいなと。
――「図書館」ではなく、「図書室」としたのには意図があるのですか。
こぢんまり感を出したかったので、図書室というネーミングにしました。裏コンセプトは「ぼくんち」。友達の部屋に行ったときのように、気軽にくつろげる空間をつくりたい。図書室だからといって本を読むことを強制したくありません。友達んちの本棚でたまたま面白そうな本を見つけて、「これ貸して」っていう感覚で本を手に取ってもらえたらいいと思っています。