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サンドブラスト(砂吹き)加工は、ジーンズに色褪せた風合いを出してファッショナブルにするのに古くから使われてきた手法だ。しかし、この作業は珪肺症という病につながるとして禁止されている国もある。
2011年、カジュアル系ファッションブランドのアメリカン・イーグル・アウトフィッター(AEO)はこの作業をボイコットする取組みに参加した。 アバクロンビー&フィッチもジーンズ工場の労働者たちの安全を守るための最善策をとっていると発表していたが、潜入捜査を行ったところ、両社ともいまだにサンドブラストが行われている中国の工場からジーンズを仕入れていることがわかった。
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"デニム・ブルース"というタイトルのこの短い映像は、3月19日にアルジャジーラで放映され、中国の新塘にある工場の劣悪な労働状況や環境被害が暴露されている。人が右往左往する工場内に化学薬品が無造作に置かれ、きちんとマスクもせずに労働者たちは過マンガン酸カリウムなどの劇薬を使っている。
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潜入捜査官が、ジーンズがサンドブラストされている工場で隠し撮りしたもの。サンドブラストを行っている中国人労働者。AEOやアバクロンビー&フィッチ、ホリスターの製品ラベルがはっきり映っている。
2011年、アメリカンイーグルアウトフィッターズ(AEO)はサンドブラストのような問題のある製造方法をボイコットする取組に参加していた。これは、リーバイやH&Mが主導している。AEOは、安全確認がとれるまで、サンドブラストで新しいスタイルを開発するつもりはないという声明を出していた。
しかし、従来どおりサンドブラストが同じように使われていることを指摘すると、会社側はサンドブラスト用の設備は撤去したと主張した。しかし、いつ撤去したかは言わなかった。AEOの代表はDongguan Tim Cheung の工場を徹底的に調査して、サンドブラスト設備を撤去したことを証明した。
アバクロンビー&フィッチは証拠をつきつけられて、確かにこの工場から製品を確保しているが、自社製品を製造のときは、サンドブラスト法を使うことは禁止していると反論した。
両社とも会社のウェブサイトで、国際的に労働者の人権を守っているし、自社製品は安全で信頼できる設備でしか作っていないことを誇りに思っているとうたい、労働者の人権や安全な職場への最善策を優先する当社と志を同じくし、地元の法律を尊重する相手とパートナー関係を結んでいるとしている。アバクロンビー&フィッチは、ビジネスはすべての人の尊厳と権利のため、誠意と尊敬をもって行われるべきだと信じているとしめくくっている。
工場内に、化学薬品の入ったバケツが無造作に置かれている
製造現場は顧客が想像している環境から遥かにかけ離れた劣悪な環境であることがわかる。
サンドブラストの過程で発生するシリカ粉塵は、吸い込むと肺の感染症や瘢痕をもたらす。継続的な曝露は、珪肺病を引き起こす可能性がある。これは曝露が終わったあとも時の経過とともに悪化する難病である。
2009年、トルコではたくさんの労働者がこの病を診断されて死者も出たことから、禁止となった。中国ではいまだに合法で、労働者たちはわずかな賃金で、工場内を行ったり来たりしてサンドブラストを行っている。
工場長は詳しく話すのは拒んだが、匿名の労働者が問題の作業が続けられていることをはっきり認めた。サンドブラストの大きな問題はダストで、適切に予防しないと珪肺症になってしまう危険性がある。肺の障害だけでなく、デニムを作るときに使われる染料や化学薬品でアレルギーが出ることもある。
●珪肺症とは?via:dailymail・原文翻訳:konohazuku
1990年代から、すりきれたようなジーンズが人気となった。新品なのに、この色褪せた感じを出すのに、砂を吹きかけるサンドブラストという方法が効果的なのだ。ホースと空気圧縮機を使って、作業員はジーンズに勢いよく砂を吹きかけて、褪せた感じを出したり、デニム生地を柔らかくする。
しかし、この過程で微粒子を吸い込むと、珪肺症という呼吸障害を起こすことがある。砂から出る細かいシリカのダストを吸い込むと、それが肺にびっしりと付着してしまうのだ。呼吸が荒く浅くなり、咳き込んだり、虚弱体質になって体重が減少したり、最悪の場合は死に至る。
この映像を見るまで、あのジーンズがどのように作られているなんかなんて考えたことなかった。何気なく履いていたウォッシュ加工やダメージ加工をしたジーンズだが、劣悪な環境の中国の工場で作られているものもあるということだ。日本のブランドがどの程度取り組んでいるのは定かでないが、やはり人件費の安い中国の工場に頼っているところもあるかもしれない。というか日本国内のジーンズ工場はどうやってあの加工を作っているのだろう?気になるところだ。
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コメント
1. 匿名処理班
まあなんつうかダメージ加工やエージング加工という
邪道を求めるとこからやめちゃどうだ
こういうのは自分で使い込んだ結果なるものだろう?
2. 匿名処理班
コピー商品がかなり出回っているけど、これは正規物の工場なのだろうか?
3. 匿名処理班
普通の柔らかくて新品のジーンズがいいです。
4. 匿名処理班
ぶっちゃけダメージジーンズのよさが微塵も分からない
5.
6. 匿名処理班
自分が見たものはサンダーでがりがり加工
そのほか調べたところほかには軽石や漂白剤を使うようです
7. 匿名処理班
マスクぐれえ買ってやれよなあホント。
8.
9. 匿名処理班
アパレルの仕事してる時に突然咳が止まらなくなった
時期があったけど、今思えばデニムの倉庫管理してた時だな。
ユーズド加工ジーンズのコーナーの薬品ぽいニオイは
マジで薬品のニオイだったのか。新品のインディゴより
臭いから変だとは思ってたけど原因はコレか。
10. 匿名処理班
※1 激しく同意、高校時分から履き続けて三十路越えてやっと納得のいく物が仕上がる・・・それくらい時間かけないとって思いますね。
11. 匿名処理班
ダメージジーンズに限らず、衣服に限らず今時の大量生産品は大同小異だと思うけどね
中国で是正されたとしても、他の国で同じことが起こるだけで
我々が多くの屍の上で生活してるってのはもう否定しても仕方ないことなんじゃないかなぁと
12.
13. 匿名処理班
ヨーロッパのブランドの製造を請け負うことが多いトルコとかでも問題になってるらしいね。
14. 匿名処理班
若い頃は新品のジーンズをわざわざカッターで切ったりするのが流行ったが、戦中派の親にはもったいないことするなとよく怒られた。
かっての親と同じくらいの年齢になったらあほらしいいのでやめた。
15. 匿名処理班
ボロボロなのに様になる服ってなかなか無いからこそ新品を着潰すのが楽しいと思う。
ダメージっぷりで個性が出るしね。
16.
17.
18. 匿名処理班
30年くらい前に見た方法は小石の入った浴槽にジーンズ漬けてゴロンゴロンしてたぞ
19. 匿名処理班
日本国内の工場でもサンドブラスト加工はやってるみたいだけど、密閉された装置の中で行われているので問題はない
サンドブラスト自体はガラス加工や彫刻なんかでも一般的に用いられるもので、個人が趣味用としてそれほど大きくない密閉装置込みで購入していたりもする
つまるところ問題はサンドブラストという加工法自体ではなく、運用管理に対する工場側の意識だと思うね
20. 匿名処理班
日本は全然規制してないよ
ちゃんとした防護服を着ればサンドブラスト加工は安全だから
21.
22. 匿名処理班
他人の健康を害してまで色落ちジーンズが欲しいわけではないと
23. 匿名処理班
エドウィンはドラム式乾燥機のような機械に砂や石とGパンを一緒に入れてガラガラ回すと聞いたことがあります。
ストーンウォッシュ加工というやつです。
503はどこ産の砂で〜などと、砂の種類にもこだわっているとか。
24.
25. 匿名処理班
初期の頃はショットガンでぼろぼろにしてたな
26. 匿名処理班
中国とか人件費の安い国がなかったら物の値段ってどうなっていたんだろう?
27. 匿名処理班
何年か前のテレビで、鉄製のたわしでごしごし擦ってたな
28.
29. 匿名処理班
そもそもわざわざみすぼらしくするのを格好いいと思う美意識が理解できないのは俺だけだろうか?
30. 匿名処理班
色も褪せ、穴も空き、裾はボロボロ…
そんな20年モノのリーバイスは、今は息子が愛用中。
ダメージジーンズはこんな作業で作られるものじゃなくて、年月によって作られるべきだよね。
31. 匿名処理班
ダメージジーンズというものを買ったことがない。
いつも糊の落ちてない固いゴワゴワの501。
これが一番。
32. 匿名処理班
一昨年ぐらいにTVでEDWINだかなんだか、国内で加工してるジーンズメーカー紹介してたけど、石入れたドラム洗濯機みたいので加工したり、サンダー使ったりタワシ使ってたな。
いずれも作業中は粉塵用のマスクちゃんとしてた。
33. 匿名処理班
※29
あらら、侘び寂びの精神も近いものがあるけど?
加工して再現することの是非はあるけど、経年劣化に美を見出すというのは別に珍しくもないよ
34. 匿名処理班α
劣悪な環境でのサンドブラスト作業ともう一つ
この問題をアルジャジーラが報道していたことに少し驚き
どうしてもアルジャジーラの名前は中東に関連する事件の時に聞く名前だから
アルジャジーラ=中東の内部から外部(欧米諸国)へ向かって惨状を伝える機関みたいな思い込みがあった
海外の人権問題にも関心を向ける、ちゃんとした報道機関なんだということを改めて思い知らされた
勝手な思い込み申し訳ない
35. 匿名処理班
子供の頃に父親がもってた経年変化した革のコインケースに憧れてた。
36. 匿名処理班
なんか前にTVでウサギの毛を強引に毟り取る
かわいそうな映像を見たことがあります(;ω;)
本当にかわいそうでした。
この場合は作業してる人達がソレなのかなと
思うととても嫌です
37.
38.
39.