【ソウル=竹腰雅彦、ワシントン=安江邦彦】中国は21日、ソウルで行った韓国との外相会談で、自らの主導で設立を目指す「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への参加を要請した。

 中国は米国の最新鋭ミサイル防衛システムを韓国に配備しないよう働きかけており、経済と安全保障の両面で米国主導の秩序に挑戦する姿勢が鮮明になった。韓国を巡る中国との綱引きが激化するなか、米国は東アジアの秩序が崩れる事態を警戒している。

 「韓国はさらに検討中だ」

 中国の王毅ワンイー外相は韓国の尹炳世ユンビョンセ外相との会談後、記者団に笑顔で語り、韓国がAIIBの参加に前向きであるとの感触を示した。

 習近平シージンピン国家主席は、就任以来、6回目となった昨年11月の中韓首脳会談で、AIIBは「既存の国際金融機構と補完的な存在だ」と述べて米国に配慮する韓国の懸念払拭に努め、「加盟への期待」を直接伝えていた。習政権は対中包囲網強化につながる日米韓の協力にくさびを打つことを狙い、韓国の取り込みに力を入れてきた。自信の背景には、日韓と米韓の合計を上回る規模の中韓貿易など経済関係の緊密さがある。