【萬物相】公共機関でのエチケットと早期教育の必要性

【萬物相】公共機関でのエチケットと早期教育の必要性

 自宅から会社まで、朝はバス、夕方は地下鉄を利用し、30分ほどかけて通勤している。バスに乗ると、不便に感じる光景をたびたび目にする。後ろの座席が空いているにもかかわらず、多くの人が前方の優先席を占領しているのだ。さらには、車いすを固定する装置が付いている障害者用の座席に座っている人もいる。このような乗客の多くは携帯電話をいじるのに夢中だ。時折「優先席を空けましょう」という車内放送が流れるが、それでも人々は立ち上がろうとしない。高齢者が乗ってきても、ちらっと見るだけで、それまでしていたことを再開する。

 公共の場での礼節を意味する「エチケット」という単語は「貼る」という意味のフランス語の古語に由来する。約束や規則を紙に書いて貼り、その通りに守らなければならなかったことから転じた表現だ。優先席にはその旨の表示板が付いており、座席の色も違う。ところが、人々はそのエチケットを守らない。交流道徳よりも、席を独占することができる優先席の便利さが優先されるからだ。地下鉄ではさらにややこしい事情がある。数年前に比べて減ってきてはいるが、携帯電話での通話は相変わらずだ。誰かのイヤホンから漏れる音は、その人にとっては音楽でも、隣の乗客にとっては騒音でしかない。

 かつては足を大きく開いて座る男性客や、車内でずっと化粧をする女性客に眉をひそめたものだ。数日前の本紙に、地下鉄での新たなマナー違反に関する記事が掲載された。背中に背負っているバックパック(リュックサック)による弊害だ。持ち物を入れて背中に背負うため、両手を自由に使うことができ、学生や若いサラリーマンたちの間で人気が高まった。

 乗客たちが地下鉄の車内でバックパックを背負っていると、通路をふさぐことになり、ほかの乗客が通れなくなる。満員電車の中ではバックパックが隣の乗客の衣服を破ったり、顔に当たってけがさせるケースもある。ソウル都市鉄道公社(地下鉄5-8号線を運営)はバックパックに関するエチケットについて動画を作成した。「電車の中ではかばんを手に持つか、網棚の上に置いてください」とたびたび呼び掛けている。だが、これを守っている人はほとんどいない。

 日本の地下鉄では、新聞をはがきほどの大きさに折りたたんで読んでいる人たちが少なくない。大きく広げて読んでいると、隣の乗客に迷惑を掛けるからだ。日本の親たちは、子どもが電車やバスに傘を持ち込む際、隣の人の衣服などを濡らさないよう、必ず自分の足に挟むようしつけている。日本人はバックパックを前に抱えたり、手に持ったりして電車やバスに乗る。韓国の地下鉄やバスは、世界有数の便利さを誇っている。この便利さに快適さを加えるには、乗客たちが互いに配慮する必要がある。子どものころから家庭や保育園で、公共交通機関でのエチケットを身に付けるよう指導する必要がある。

金泰翼(キム・テイク)論説委員
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