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 日本銀行が18日に発表した資金循環統計によると、国内の企業部門の2014年の資金余剰額は7・1兆円と、13年の19・5兆円から3分の1近くまで減った。企業が好調な業績を背景に投資などを増やしたことで、「カネ余り」が徐々に解消されてきた。

 企業の資金余剰の水準は、リーマン・ショック前の06年(5・5兆円)以来の低さ。1990年代後半から企業はお金を投資に回さずにため込みがちだったが、その傾向が弱まっていることがうかがえる。直近の14年10~12月期をみると、この期間として5年ぶりに「カネ余り」から「カネ不足」に転じ、不足額は2・4兆円だった。

 企業と同様に長く「カネ余り」が続いてきた家計部門では、14年の余剰額は20・6兆円で、13年の23・6兆円からやや縮小した。ただ14年10~12月期でみると、消費の動きが鈍かったことから前年同期比で4割増加。家計の金融資産は株高も手伝って増え続けており、14年12月末の残高は前年末より3・0%増の1694兆円だった。

 日銀調査統計局は「企業の堅調さと、家計の支出の鈍さの対比が映し出された」と話している。(青山直篤)