ヨルダン原子力委員会(JAEC)のハレド・トウカン委員長は、6月下旬、アンマン郊外の同委員会でインタビューに応じた。(石合力)
――選定はどのように進めますか。
「7種類の原子炉の提案があり、国際コンサルタント会社とも協力しながら、各提案に質問し、得られた回答に基づいて安全性、核不拡散、デザイン、経済性などの点数をつけた。その結果、得点の高い3社に絞り込んだ。(日仏合弁の)アトメアと、カナダの原子力公社(AECL)、ロシアのアトムエネルゴプロムだ。まもなく第2ラウンドで2社に絞る」
――アトメアの長所、短所は何ですか。
「極めて先進的な第3世代炉だ。高い安全性を持ち、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料も使える。スペアパーツなどの面でも将来的に信頼できる。
半面、まだどこにも建設されておらず、日仏両国の安全当局のライセンスを取得していない。我々はこの炉を最初に建設したいとは思わない。フランスやベトナムで建設されれば、(選定する上で)さらに有利になる」
――導入に向けての課題は、技術よりも融資だという指摘があります。
「その通りだ。我々が提案しているのは設計から調達、建設までを一括して委託するEPC型ではなく、官民連携型(PPP)だ。原発の供給国から、出資者や電力事業者として加わってもらう。もしアトメアを選べば、事業者はヨルダン政府、(仏電力会社の)GDFスエズ、関西電力などになるだろう。彼ら自身のカネが投入されることで、責任と利害関係が生じるだけでなく、ヨルダン側の財政負担の軽減にもなる」
――日本の原発は稼働率が低いという指摘もあります。
「国際的な基準の範囲内にある。最初のプラントでもあり、安全性は最も重要。安全面で妥協はしない」
――建設、稼働に向けた日程は。
「2011年の最初の四半期に最終決定し、12年にタービンなど部品を入札。13年までに建設を開始する。19年までには稼働したい。周辺国への売電計画もある」
――ヨルダンではウランの産出も見込まれています。
「トリウムもジルコニウムもある。国際的、地域的な核燃料バンク構想が将来固まれば、ヨルダンは地域の核燃料センターになれるだろう」
(文中敬称略)