ここから本文です

郷田九段、逆王手!両者1分将棋 渡辺王将との大熱戦制した

スポニチアネックス 3月21日(土)7時1分配信

 ◇第64期王将戦7番勝負第6局第2日(2015年3月20日 静岡県賀茂郡河津町・今井荘)

 静岡県河津町で19日から行われていた第64期王将戦第6局は20日、挑戦者郷田真隆九段(44)が149手で渡辺明王将(30)に勝ち、通算成績を再びタイに戻した。今シリーズ4度目となる角換わり戦を先手番の利を生かしての勝利だ。終局は午後7時28分。最終第7局は26、27日に青森県弘前市「弘前市民会館」で指される。

 渡辺の封じ手64手目は△2六歩とゆっくりとしたものだった。郷田はすかさず65手目▲9五歩と端を攻める。「(封じ手は)さあ、やって来てくださいと攻めを催促するような感じ。と金を2筋に作るという意思も当然ある」と控室。68手目△2三歩に対しての69手目▲4九飛が控室をうならせた。「6二飛などの王将の反撃を封じることになるシブい一手」という。

 78手目△9五角から渡辺の攻勢が始まる。82手目△7七角成と角を切って銀と交換する。駒損だが「これから寄せ合いになる。ここで行かないと守勢一方でジリ貧なのは明らか。どれくらい(郷田の)攻めを遅らせることができるか、を考えている」と昼食休憩の折に話した。郷田は「もう終盤。こういう(攻めを誘導されるような)流れになっている。際どい勝負になる」と冷静だった。

 火の出るような攻防の中、ややリードとみられた郷田101手目▲2二飛と手を渡した時に102手目△9九角から104手目△7七角成と角を切り金と交換、この金を守りの106手目△3一金に使った。△9九角のとき▲同王とすると△7九銀で逆転勝利になったという。際どく、薄氷を踏むような緊張感が盤上を覆っていた。

 複雑難解な最終盤。114手目△9八飛の時に千日手の可能性があったが、郷田が115手目を▲7七王として打開した。入王して逃げ切りたい渡辺。懸命に追いかける郷田の息詰まる攻防は、両者共に1分将棋に突入した。秒を読まれながら、ついに渡辺王を1九に追い込み、受けがない状況をつくった郷田に凱歌が上がり、通算成績を再びタイに戻し最終局に臨む。

 ▼郷田真隆九段 封じ手あたりからは、手が広くよく分からなかった。攻めてはいたが、成算はなかった。(千日手模様は)ちょっと考えたが打開した。迷ったのですが…。(最終局は)ベストを尽くしたい。

 ▼渡辺明王将 まあ苦労の多い一局だった。(封じ手直後、郷田の)9五歩は厳しかった。考えていない一手だった。その後もいくつか悪いところがあったと思う。(千日手模様は)そうしたかったですが…。

最終更新:3月21日(土)7時1分

スポニチアネックス