奥令
2015年3月22日11時12分
補導歴のある滋賀県内の少年(15)が同県警草津署の一室を「教室」にして学び、第1志望の高校に合格した。「先生」は、大津市仰木の里6丁目の大学生、里見凌佑(りょうすけ)さん(21)。「ほっとした。3年間しっかり通ってほしい」と喜んでいる。
少年は夜間出歩きなどで、繰り返し草津署員に補導されていた。「なんとかしないといけない」。本人の意思と学校の勧めで、県警から支援を受けることにした。県警が里見さんに声をかけ、昨年10月、学習支援が始まった。
里見さんは滋賀大学教育学部3年。特別支援学校の教師志望で、昨年4月、ボランティアで県警の大学少年補導員になった。「暴力をふるわれることもあるのかな」。補導歴がある少年の学習支援は初めてで、少し不安もあった。
草津署2階の取調室で毎週金曜日の夕方1時間、数学と漢字の勉強を手伝った。中学1年で習う正、負の数の計算から指導。少年の中学の先生がつくったプリント問題を解いて基礎を固めた。難しい問題があっても「わからなかったら言って」と声をかけ、焦らせないことを意識した。問題数が多いときには、解き方の手本を一度見せ、「さっきのを思い出してみよう」と背中を押した。
漢字の書き取りでは、偏やつくりの一部を書いて、ヒントを示した。少年が思い出して書くと、「ちゃんと書けるやん」と声をかけた。少年は照れくさそうに笑ってうなずいた。
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