【スピーカー】
株式会社飛脚堂 代表取締役 塙佳憲 氏
【動画もぜひご覧ください!】
The power of TORIAEZU | Yoshinori Hanawa
小さい頃はめんどくさがり屋だった
塙佳憲氏(以下、塙):Hello! My name is Yoshinori Hanawa.
ホントはですね、僕英語ペラペラだからちゃんと話したいと思ったんですけど、(聴衆の皆さんは)わからないですからね、日本語で話します。
こんにちは! (会場に向かって)こんにちは!
会場:こんにちは!
塙:僕は小さい頃、(今は)こんなへんてこりんな格好をしていますが、案外内向きだったんですね。ここ(画像の左下)にいるのが僕です。みんなの輪の中に入らなかったりすることも多かったり、一人で考え事をしたりしてました。
内向きだったんですね。今日はそんな僕が、こんな格好になるまでに至った、1つの大切なキーワードをお話したいと思います。「とりあえず」のお話です。
もうちょっと小さい頃の話をすると、内向きのくせに面倒くさがり屋でした。そのくせに、完璧を求めていました。いいですか、厄介ですよ。
面倒くさがり屋のくせに、完璧を求めていたんです。
小学校6年間、漢字ドリル、計算ドリルあるよね? 3学期分あるので、36冊やるんです。それ僕1冊しか終わらせたことがなくて、残りは全部「がんばりましょう」って言われちゃいました。
全部やってからね、出そうと思うでしょ。そうするとね、どうしても面倒くさがり屋だからダメになっちゃうの。
さあ、僕が変わり出した2つのお話をしましょう。1つめ。
たまたま大人の人とお話する機会があって、その大人の人から「トイレ掃除をしてるんだ、僕」って言われたんです。こんな格好している僕でも、そのとき学校の生徒会長だったので……。ちょっと、「生徒会長だった」で笑わないの!
(会場笑)
いい学校です。で、トイレが汚いことが悩みの種だったので、「この方法はいい!」と男性の人と2人でやって、先生に「こういうやり方がありますよ」と言いました。でも、先生はちっとも動いてくれません。そこで僕は何とかしなきゃと思って、とりあえず1人でトイレ掃除をすることにしました。
もう結末が見えてるような感じがしますが、1人でトイレ掃除をしていると、みんなが集まってきて、トイレ掃除をすることができました。
そして最後には大人たちもトイレ掃除に加わって、全部で40人ぐらい。みんなでブラシ持って「やるぞー!」とすることができました。
人を動かす「とりあえずの力」
これが2つ目の話。
今日、茨城の勝田というところから来たんですけど、僕は街づくりに興味があって、「僕の街でも(講演会を)やりたい!」と講演家の先生に言ってみたら、「君のためならぜひ!」と。思ってもみなかった返事でした。
実際にここ(左端)にいるのが僕ですね。
この間の7月に開催できて、来月また先生をお呼びして開催することができます。
この2つのこと、トイレ掃除ができたり、街づくりの先生が呼べたりしたのは、「とりあえずの力」があったからこそだと思っています。
「とりあえずの力」って何ですか?
とりあえず言ってみたり、とりあえずやってみたり、とりあえず始めてみたり、そのほかにもたくさんの「とりあえずの力」があります。僕がやったのは、とりあえずやってみること。とりあえず言ってみること。
とりあえず一人でトイレ掃除をしたから、みんながトイレ掃除をしてくれるようになった。とりあえず講演家の人に「ぜひ来てください」と言ってみたから、実際に実現することができた。「とりあえずの力」でアドバイスや協力、紹介が生まれたりします。
では、「とりあえずの力」がなかったらどうでしょうか?
僕は一人で考え込むタイプだと前に言いましたね。考えているうちに、どんどんリスクを思いついてしまいます。リスクっていうのは、「もしこうなったらどうしよう」とか、そういう心配事、考えてしまいます。
とりあえず言ってみたり、とりあえずやってみたり、とりあえず始めてみたり。先にそういうことをしてしまうことで、考える前に一度動くことができます。
だからみんなも、とりあえず動いてみましょう! とりあえず動けば、何らかの力が手に入ります。
とりあえずで、小さなムーブメント、小さな動き、トイレ掃除ができたり、街に呼べたり。
そういう小さなムーブメントは起こせることがわかりましたか? わかった人? ホントかなぁ。でも、小さなムーブメントだけですか? いいえ、そうではないのです。
「現代の飛脚」をしている理由
やっとなぜ僕がこの格好でいるのか、ご説明するときが来ました。僕は「現代の飛脚」というサービスをしています。その前に飛脚ってなんですか?
飛脚って分かりますか? わかる人? (客席に)はい、飛脚ってなんですか?
……そう! 昔の郵便屋さん。よくわかってるね。これは実際に江戸時代の絵です。運んでいます。こういう風にするサービス「現代の飛脚」を僕は一人でやっています。
もちろん学校があるのでたまにしかできませんが。みんな東京に住んでるのかな? もしかしたら(僕のことを)どこかで見てるかもしれません。でもお母さんに「あんなもの、見ちゃダメ」と言われているかもしれません。
(会場笑)
でも、僕はやっています。
実際に物を受け取って、これ仁王立ちしてますね。
色んな人のところに届けに行くのです。
実際に走っている様子がこちらです。
(会場拍手)
ありがとうございます。
これ、何か貼ってますね。そうなんです、飛脚広告っていうのもついでに始めました。貼るとみんな見てくれるんですね、こんなへんてこりんな格好をすると。
みんなも、こうなったら見てくれるんだよ、(周りの人たちは)みんな。
飛脚を始めたきっかけは「ふんどし」との出会い
なぜ飛脚を始めたか? 僕はふんどしを締めてました。中学の時から。
たまたま新しいパンツを買おうとしたんです、僕。通販で。そしたら、「おしゃれなふんどし」こんなのを見つけてしまいました。
サイトにアクセスして、「これはいい!」と思いました。でも、高過ぎて買えませんでした。諦めきれずに、ミシンで縫って作りました。
(会場笑)
みんなにふんどしを、こういう風に安く提供することができたらいいんじゃないかな。そう思って、僕はふんどしを売るアイディアを、「こういう風に売ったらきっといいんじゃないですか?」と、とりあえず言っていました。
そういうことを話していたら、「君、飛脚をやったら面白いんだけど」と言われました。
何と答えたか。僕は「やります」と答えてしまったんですね。「とりあえず」です、これももちろん。よくよく考えましょう、よくよく考えてみてください。みんな考えて、こういう格好になるんだ。無理だろう。
(会場笑)
でも、僕はとりあえず「やります」と言って、その後に「どうしよう……」となりました。仕方ないです。
サイトを作りました。「来た! 現代の飛脚」。ね。
こういう風にステッカーも作りました。さっきの女の子にあげましょう。
そして、ツイッターで「集荷依頼待ってます」と書き込んで、こんな風にいっぱい言ったんです。あまり反応ありませんでした。
「現代」の飛脚なので、タクシーも使わざるを得ないんですね。
(会場拍手)
「現代」の波には逆らわないようお願いいたしますね。今日もITとかありますけど、僕もバリバリTwitter使いますよ。
こういう風に、「とりあえず」はみんながまだ見ていない世界の入り口になってくれます。みんなこんな(飛脚の)格好見たことあった? あったって人! 誰もいないね。
こういう風に誰も見たことのない入り口になってくれて、思わぬところから新聞に載ったりします。
小さなムーブメント、だけじゃなくて、大きなムーブメント、だって起こせる。おわかりいただけたでしょうか?
「とりあえず」は広い世界の入り口なんです。「とりあえず」は誰にだってできる。できるよね? とりあえずは誰にだってできるんだ。
「とりあえず」がなきゃこんなに高いハードルも、「とりあえずの力」でちょっとは下がります。
もしかすると壊れてしまうかもしれません。
なくなっちゃった!
とりあえずで出来るかも。小さなことをはじめるための「とりあえず」です。最初の一歩ですね。
僕は最初の一歩を踏み出して、グラフィックデザインを始めました。全然話がぶっ飛んでます(笑)。
(会場笑)
グラフィックデザインってわかる? 知らない? グラフィックデザインっていうのは、こういう文字とかをかっこよくしたり、Tシャツとか、君が持っているパンフレットもグラフィックデザイナーさんがやってくれたお蔭なんだけど。
そういうのをやってたおかげで、僕はほかの学校の先生になることまでできました。
ホントかなぁ。これ合成したんじゃないかなぁ。違うんです! ホントなんです! という風に僕は、このグラフィックデザインの力を使って、とりあえず起業しようと思います。
これも「とりあえず」です。株式会社飛脚堂です。
(会場拍手)
いつか偉い人の口から「The most important thing in life, I’ve found that “TORIAEZU”.(人生で一番大切なことは、「とりあえず」だ、ということがわかったんだ)」とか、「”TORIAEZU” to change the world.(とりあえずは世界を変える)」と語られるかもしれません。本が出ちゃうかもしれません。そういう力を、「とりあえず」は持っています。
みんな、分かったかな? 「とりあえず」は世界を変えるんだよ。分かったかな、ホントに。とりあえずはどうするの? 世界を……。
会場:変える!
塙:変えるんです! ありがとう。
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