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国連防災会議 保険なども活用し備えを3月16日 19時01分
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国連防災会議にあわせて、16日は国連の防災部門のトップや各国の気候の専門家、それに保険の担当者などが災害における保険の役割について話し合うシンポジウムが仙台市で開かれ、地球温暖化などの影響で災害のリスクが増えるなか、保険などの民間の力を活用して備えを進めることの重要性が指摘されました。
仙台市で開かれたシンポジウムは、世界の保険会社などで作る組織が企画し、国連の防災機関の代表をはじめ、各国の気候の専門家や保険の担当者などが集まりました。
このうち、東京大学大気海洋研究所の木本昌秀教授は「人為的な原因によって地球温暖化が起きて降水量が増えるなど、災害のリスクが増えている。想定外の災害も起きており、どのように備えていくかを考えないといけない」と述べました。
また、ニュージーランドの公的な地震保険の担当者は、ニュージーランドではおよそ90%の住宅が災害に関する保険に加入していて、4年前にクライストチャーチなどで大きな被害が出た地震では、被害のあった住宅に速やかに保険金が支払われ、94%を超える住宅が再建したことを説明しました。
国連の防災部門のトップ、マルガレータ・ワルストロム国連事務総長特別代表は、「保険によって災害の被害が補償されれば復興のスピードがより早くなる。災害に対してはリスクを回避するだけでなく保険などの備えに向けた第一歩が必要で、活用についてさらに考えていくことが必要だ」と述べて、保険などの民間の力を活用して備えを進めることの重要性を強調しました。
保険会社を含めた金融機関や企業などと連携して、各国が防災対策を進めることの重要性は、最終日に取りまとめられる新たな指針にも盛り込まれる見通しです。
このうち、東京大学大気海洋研究所の木本昌秀教授は「人為的な原因によって地球温暖化が起きて降水量が増えるなど、災害のリスクが増えている。想定外の災害も起きており、どのように備えていくかを考えないといけない」と述べました。
また、ニュージーランドの公的な地震保険の担当者は、ニュージーランドではおよそ90%の住宅が災害に関する保険に加入していて、4年前にクライストチャーチなどで大きな被害が出た地震では、被害のあった住宅に速やかに保険金が支払われ、94%を超える住宅が再建したことを説明しました。
国連の防災部門のトップ、マルガレータ・ワルストロム国連事務総長特別代表は、「保険によって災害の被害が補償されれば復興のスピードがより早くなる。災害に対してはリスクを回避するだけでなく保険などの備えに向けた第一歩が必要で、活用についてさらに考えていくことが必要だ」と述べて、保険などの民間の力を活用して備えを進めることの重要性を強調しました。
保険会社を含めた金融機関や企業などと連携して、各国が防災対策を進めることの重要性は、最終日に取りまとめられる新たな指針にも盛り込まれる見通しです。
東日本大震災と地震保険
国内の地震保険は、昭和39年に発生したマグニチュード7.5の新潟地震で建物の倒壊が相次いだことを受けて昭和41年に法律が制定され、制度が設けられました。
建物については柱や壁、土台などの主要な構造部が▽50%以上壊れた場合を「全損」、▽20%以上50%未満を「半損」、▽3%以上20%未満を「一部損」と区分し、このうち全壊の場合は保険料に応じて火災保険の5割を上限に保険金が支払われます。
金額は住宅が5000万円、家財が1000万円が上限で、政府と損害保険会社が共同で運営し、巨大地震が起きても支払いが滞らないようになっています。
世界銀行などによりますと東日本大震災では地震保険の保険金支払額は過去最高のおよそ1兆2000億円に上り、共済や企業向けの地震保険も含めるとおよそ2兆7000億円となります。
建物については柱や壁、土台などの主要な構造部が▽50%以上壊れた場合を「全損」、▽20%以上50%未満を「半損」、▽3%以上20%未満を「一部損」と区分し、このうち全壊の場合は保険料に応じて火災保険の5割を上限に保険金が支払われます。
金額は住宅が5000万円、家財が1000万円が上限で、政府と損害保険会社が共同で運営し、巨大地震が起きても支払いが滞らないようになっています。
世界銀行などによりますと東日本大震災では地震保険の保険金支払額は過去最高のおよそ1兆2000億円に上り、共済や企業向けの地震保険も含めるとおよそ2兆7000億円となります。
「気候保険」の動き広がる
国内の損害保険会社では、発展途上国向けに、干ばつが起きると契約した農家に保険金が支払われる保険商品を開発し、災害のリスクを減らそうという取り組みが広がり始めています。
アジアの途上国では、農業が主要産業で、農業用水などのかんがい設備が十分整備されていない地域があり気候変動による干ばつなどの影響から、人々の暮らしをどう守るかが課題となっています。
このため、国内の損害保険会社では、途上国向けに、干ばつが起きると保険金が支払われる、保険商品の開発が進められています。
このうち、東京に本社がある大手損害保険会社では、1か月間の雨量が基準を下回ると契約した農家に保険金が支払われる、「天候インデックス保険」という商品を、タイに続いて、干ばつの影響を受けやすいミャンマーの中部の地域向けに開発しました。
雨量計の数が多くないため、人工衛星を使って雨量を推定する技術を活用し、日本やアメリカなどが運用する衛星のデータを基に、およそ10キロ四方の地域の1時間の雨量を定期的に推計します。
そして、1か月の雨量の合計が干ばつが起きる目安の基準を下回ると、保険金が支払われる仕組みです。
損害保険会社によりますと、より多くの人が契約できるよう掛金は農家の収入を基準に低い額に設定する予定で、基準を下回った場合には、実際に被害が出ているかどうかにかかわらず保険金ができるだけ早く支払われるようにするということです。
農家にとっては干ばつで不作になっても生活を維持したり、新たな種を購入したりできるようになり、生活の安定につながることが期待されます。
この損害保険会社では、年内にもミャンマー国内の会社を通じて販売を始める計画で、今後、ほかのアジア諸国でも適応できる商品を開発したいとしています。
損保ジャパン日本興亜、企業商品業務部の郷原健課長代理は「気候変動の影響を受けるのは主に農家の方々なので、今後、こうした保険へのニーズは高まると考えている」と話しています。
同様の保険は、「東京海上日動」もインドで合弁会社を作り、すでに販売を行っています。
アジアの途上国では、農業が主要産業で、農業用水などのかんがい設備が十分整備されていない地域があり気候変動による干ばつなどの影響から、人々の暮らしをどう守るかが課題となっています。
このため、国内の損害保険会社では、途上国向けに、干ばつが起きると保険金が支払われる、保険商品の開発が進められています。
このうち、東京に本社がある大手損害保険会社では、1か月間の雨量が基準を下回ると契約した農家に保険金が支払われる、「天候インデックス保険」という商品を、タイに続いて、干ばつの影響を受けやすいミャンマーの中部の地域向けに開発しました。
雨量計の数が多くないため、人工衛星を使って雨量を推定する技術を活用し、日本やアメリカなどが運用する衛星のデータを基に、およそ10キロ四方の地域の1時間の雨量を定期的に推計します。
そして、1か月の雨量の合計が干ばつが起きる目安の基準を下回ると、保険金が支払われる仕組みです。
損害保険会社によりますと、より多くの人が契約できるよう掛金は農家の収入を基準に低い額に設定する予定で、基準を下回った場合には、実際に被害が出ているかどうかにかかわらず保険金ができるだけ早く支払われるようにするということです。
農家にとっては干ばつで不作になっても生活を維持したり、新たな種を購入したりできるようになり、生活の安定につながることが期待されます。
この損害保険会社では、年内にもミャンマー国内の会社を通じて販売を始める計画で、今後、ほかのアジア諸国でも適応できる商品を開発したいとしています。
損保ジャパン日本興亜、企業商品業務部の郷原健課長代理は「気候変動の影響を受けるのは主に農家の方々なので、今後、こうした保険へのニーズは高まると考えている」と話しています。
同様の保険は、「東京海上日動」もインドで合弁会社を作り、すでに販売を行っています。