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<訃報>今江祥智さん83歳=児童文学作家、「ぼんぼん」

毎日新聞 3月20日(金)13時49分配信

 「ぼんぼん」「優しさごっこ」などの作品で児童文学に新境地を開いた童話作家の今江祥智(いまえ・よしとも)さんが20日、肝臓がんのため死去した。83歳だった。通夜は22日午後7時、葬儀は23日午後2時、京都市東山区五条橋東3の390の公益社中央ブライトホール。喪主は妻栄里子(えりこ)さん。

 大阪市の商家に生まれた。同志社大時代に仏の作家、ロマン・ロランに傾倒。名古屋市の中学で英語教師を務め、福音館書店や理論社での児童書の編集者を経て、創作を始めた。多感な少年の目を通して戦争を描いた「ぼんぼん」(1973年)で日本児童文学者協会賞、「兄貴」(76年)で野間児童文芸賞。自らの離婚と娘との2人暮らしを題材にした「優しさごっこ」(77年)は後にNHKでドラマ化され、離婚を描いた児童文学のはしりとされた。81年、児童文学誌「飛ぶ教室」の創刊にかかわり、後進育成にも力を入れた。88年に「ぼんぼん」「兄貴」「おれたちのおふくろ」「牧歌」の自伝的4部作で路傍の石文学賞を受賞した。

 翻訳者としても知られ、関西弁の絵本「ぼちぼちいこか」(80年)はロングセラーとなった。毎日新聞(大阪本社版)では童話「ゆきねこちゃん」(2001年)「エプロンくまさん」(07年)を連載した。

 代表作に「ぼんぼん」(日本児童文学者協会賞)、NHKでドラマ化された「優しさごっこ」、「兄貴」(野間児童文芸賞)、「でんでんだいこ いのち」(小学館児童出版文化賞)など。1988年に「ぼんぼん」「兄貴」「おれたちのおふくろ」「牧歌」の4部作で路傍の石文学賞、2008年にエクソンモービル児童文化賞を受賞した。

 ◇児童文学の枠を広げた功労者

 児童文学作家のひこ・田中さんの話 今江さんはそれまでの児童文学がなかなか取り上げなかった素材やテーマを積極的に扱った作品を評価し、また自ら生み出し、児童文学の枠を広げた功労者だ。後に続く我々に「自由に書いていいんだ」というメッセージをくれた。

最終更新:3月20日(金)19時42分

毎日新聞