【沿線革命030】 上野東京ラインの「座れない」「混雑」「寝過ごし」問題を、「跳ね上げ式座席+ICカード」で解決阿部等(交通コンサルタント)

2015年03月19日(木)
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座れない

「座れない」とは、東海道本線の東京始発と宇都宮・高崎・常磐線の上野始発が大幅に減り、今まではしばらく待てば座れたのが座れなくなったことである。特に東海道本線の東京始発は、早朝深夜以外はほとんどなくなり、多くの悲嘆の声が出ている。

不満が出るであろうことは【004】と【029】に書いたが、テレビやネットを見ると、その出方は想像以上だ。それだけ、長距離通勤している人にとって、座れるか座れないかは大きな問題なのだ。

「そういう人達のためにグリーン車がある」と多くの人が言うだろう。実際、上野東京ラインの開業後、東海道本線の東京のホームでグリーン券(最低770円)を購入する人の行列が長くなった。

東海道本線の東京駅で着席サービスを求めてグリーン券を購入する人の行列(2015年3月18日 18:40に撮影)

そして、夕夜間はグリーン車ですら出発時には満席で、座るには1本遅らせなければいけない。新橋より先から乗ったのでは座れない。ほぼ30分おきにあるホームライナーのライナー券(510円)は次々と売り切れていく。

「鉄道会社は、社会的使命に基づき着席できるようにすべきだ」などとは言わない。「着席サービスを実現したら儲かりますよ。それで大きな利益を得たからと責められることはなく、むしろ誉められますよ」と言いたい。

ビジネスとして未開拓の広大なるマーケットが広がっている。いつの時代も、ビジネスチャンスの基本は人々の不平・不満である。上野東京ラインの開業により、人々の「座れない」ことに対する不平・不満が分かりやすく示された。

国鉄改革の根幹の考えは「ビジネスチャンスを素早く活かす民間の活力が良質な交通サービスを実現」だった。「着席サービス」により利潤を追求することに、何も遠慮することはない。むしろ、そうしないことが不作為として責められる。

それを早く安く実現する方策は、【004】【028】【029】と繰返し提案している、跳ね上げ式座席とICカードを活用して着席と立席に値段差を付けることだ。立席は今よりも安くする。

着席割増料金を無人で確実に徴集する仕組み(阿部 等『満員電車がなくなる日』(角川SSC新書)より)
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