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文官統制廃止 制服組の軍事的補佐「改正で追加」は誤報

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日本報道検証機構, 2015年3月21日
誤報レベル
誤報レベルとは
誤りの可能性
誤りの深刻性
日本報道検証機構 文官統制廃止 制服組の軍事的補佐「改正で追加」は誤報 2015年3月21日

重要法案に関する事実誤認

政府が3月6日、防衛省の「背広組」(内局文官)が「制服組」より優位に立つ「文官統制」の根拠とされてきた防衛省設置法改正案などを閣議決定した。この改正に関して、主要各紙は、幕僚長らいわゆる「制服組」による大臣補佐が既に自衛隊法で定められているのに、改正で「追加」されたとの誤った報道をしていた。日本報道検証機構の調べでは、現行法が幕僚長らが軍事専門的に大臣を補佐すると定めに変更がないことを正確に報じた記事は皆無だった。また、従来は防衛大臣と「制服組」が「背広組」を通さずに直接意思疎通できなかったかのような誤解を与える記事もあった(関連=【GoHooレポート】「文民統制撤廃」 朝日デジタル、見出しで誤報)。

150226_y_1_pic読売新聞2015年2月26日付朝刊1面

150227_m_2_table毎日新聞2015年2月27日付朝刊2面

150307_s_3_pic産経新聞2015年3月7日付朝刊3面 ※朝日新聞と東京新聞に掲載された新旧比較図も、これとほぼ同じ。

現行の自衛隊法9条2項には、各幕僚長は自衛隊の「隊務」に関し「最高の専門的助言者として防衛大臣を補佐する」と定められている。この規定は1954年の自衛隊法制定以来、ほぼ変わっておらず、今回も改正されない。今回の改正法案は、防衛大臣による幕僚長への指示、監督等を内局文官が補佐することを定めた防衛省設置法12条を改め、内局文官による政策的見地からの大臣補佐と、自衛隊法9条2項で定めた幕僚長による軍事専門的見地からの大臣補佐を併存させる仕組みをとっている。

しかし、閣議決定の内容を詳報した毎日新聞2月27日付朝刊は、「こう変わる防衛相と制服組・背広組の関係」と題する図で、幕僚長による軍事的補佐の規定が「改正で追加」と説明。同様の図は読売新聞2月26日付朝刊にも掲載され、「軍事面補佐(今回の改正部分)」と間違った説明をしていた。読売の記事本文には「自衛隊法には、既に統合幕僚長らによる『防衛相』の補佐が明記されている」との記載があったものの、本文と図の説明が矛盾していた。

他方、朝日、産経、東京新聞は、毎日、読売とは異なる図を掲載しており、「改正で追加」というような明確に誤った記載はなかった。だが、いずれの図にも、現行制度の欄に幕僚長らが軍事的補佐する仕組みが存在することを記さず、改正で幕僚長らの軍事的補佐が可能な仕組みに変わったかのような誤解を与える図になっていた。

150224_a_4_pic朝日新聞2015年2月24日付朝刊1面

今回改正される防衛省設置法12条には、幕僚長による大臣補佐を定めた現行の自衛法9条2項を参照する文言も盛り込まれている。この新旧条文を掲載したのは朝日新聞(2月24日付朝刊)だけだったが、この引用条文からも「自衛法9条2項」の文言が省かれていた。

当機構が主要紙を調査したところ、「文官統制」に関わる防衛省設置法改正案についての記事(社説、コラムを含む)は、合計34本(内訳:読売2、朝日6、毎日5、産経5、東京16。いずれも東京本社版)。このうち、自衛隊法で幕僚長らが軍事的に大臣を補佐する仕組みがとられていることを正確に伝えた記事は、先に引用した2月26日付読売新聞の1本だけ(ただし、図は誤り)だった。

自衛隊法

(防衛大臣の指揮監督権)
第八条  防衛大臣は、この法律の定めるところに従い、自衛隊の隊務を統括する。ただし、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の部隊及び機関(以下「部隊等」という。)に対する防衛大臣の指揮監督は、次の各号に掲げる隊務の区分に応じ、当該各号に定める者を通じて行うものとする。
 一  統合幕僚監部の所掌事務に係る陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の隊務 統合幕僚長
 二  陸上幕僚監部の所掌事務に係る陸上自衛隊の隊務 陸上幕僚長
 三  海上幕僚監部の所掌事務に係る海上自衛隊の隊務 海上幕僚長
 四  航空幕僚監部の所掌事務に係る航空自衛隊の隊務 航空幕僚長
(幕僚長の職務)
第九条 (略)
2  幕僚長は、それぞれ前条各号に掲げる隊務に関し最高の専門的助言者として防衛大臣を補佐する。

joint_staff防衛省統合幕僚監部ホームページ

防衛省設置法改正案

(官房長及び局長並びに防衛装備庁長官と幕僚長との関係)
第十二条 官房長及び局長並びに防衛装備庁長官は、統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長及び航空幕僚長(以下「幕僚長」という。)が行う自衛隊法第九条二項の規定による隊務の補佐と相まって、第三条の任務の達成のため、防衛省の所掌事務が法令に従い、かつ、適切に遂行されるよう、その所掌事務に関し防衛大臣を補佐するものとする。
防衛省ホームページ(国会提出法案)

また、「文民統制」をテーマにした朝日新聞の2月25日付社説には、今回の改正に言及し、従来の仕組みについて「防衛相が自衛隊部隊への命令を出すときや、自衛隊から防衛相に連絡をするときは背広組を通す仕組みになっていた」と指摘した部分がある。

しかし、法律上、防衛大臣が幕僚長らと直接、情報・意見交換することは禁じられておらず、現に石破茂元防衛相は在任中、直接、幕僚長らに話を聞いていたと証言している。2011年3月の東日本大震災の当時、防衛相だった北澤俊美氏は、自衛隊派遣規模やヘリによる福島原発への放水作戦を検討する際、統合幕僚長と直接相談した模様を証言。朝日新聞も3月7日付朝刊で、幕僚長と背広組を交えずに話し合う定期的な会合を設けていたという北澤氏の証言を載せている。だが、朝日の2月25日付社説は、防衛大臣と幕僚長ら「制服組」が直接意思疎通できないかのような誤解を与えた可能性がある。

改正法では、自衛隊の運用を担ってきた「運用企画局」が廃止され、部隊運用の業務が「統合幕僚監部」に一元化される。このため、制服組による軍事的な大臣補佐の発言力が強まるとの見方を伝える報道が多い。一方で、内局文官には、防衛省内の統一を図るための総合調整機能が新たに与えられ(改正法8条7号)、補佐範囲が拡大したとの見方を伝えた記事もあった(毎日新聞3月6日付朝刊)。

社説 自衛隊の統制 抑制が生み出す信頼

… 日本では文民統制を確保する手段のひとつとして、背広組が防衛相を補佐する体制をとってきた。戦前・戦中に軍部が暴走して無謀な戦争に突き進んだ反省から生まれた措置である。
 旧日本軍と別の組織だとはいえ、自衛隊は武力行使ができる唯一の組織であり、政治が統制しなければ民主主義の基盤を損ないかねない。背景にはそんな考え方がある。
 補佐体制があることで、防衛相が自衛隊部隊への命令を出すときや、自衛隊から防衛相に連絡をするときは背広組を通す仕組みになっていた。政治と軍事の距離を保ち、政策的な見地から一定のチェック役を果たしてきたと言える。(以下、略)
朝日新聞2015年2月25日付朝刊社説より一部抜粋

石破 法律的に言えば、統合幕僚長にしろ陸・海・空の幕僚長にしろ防衛大臣が「直接、話が聞きたい」と言えば誰も妨害できません。私が大臣の時は、とくかく直接呼んで話を聞くようにしていました。ただ、大臣によっては基礎的な知識がなくて制服組のトップから話を聞いても理解できないかもしれないし、直接話を聞けることすら知らないかもしれません。そのあたりは非常に属人的になってしまっている。…(略)…ただ、制服組には先に触れた栗栖事件のトラウマがあって、背広組を差し置いて政治家に話をするのを躊躇している面もあります。国会はもちろんですが、自民党の国防部会で話をしてくれと言っても、なかなか出てきてくれません。
森本敏・石破茂・西修「国防軍とは何か」幻冬舎、2013年、164~165頁

●自衛隊一〇万人動員を決定
 …(略)…
 さて、翌一二日、総理の打診を受けて、対策本部で派遣人数を増やせないか、再考を行った。陸海空自衛官のトップである統合幕僚長・折木良一陸将に相談してみると、各方面に確認をしてもらったところ、倍を上回る五万人まで増やせるという回答を得た。…(略)…
 総理は、被災地から戻ってすぐ、未曽有の災害なので「思い切った規模の隊員を被災地に派遣できないか」と打診してきた。…(略)…
 総理の言う「思い切った規模」とは具体的に何人を意味するのか。私は、たとえば一〇万人を派遣した場合どうだろうかと、折木幕僚長に投げかけ綿密に検討してもらった。…(略)…私は折木幕僚長にこう言った。「一〇万という人数を出した場合、通常の監視活動に齟齬が出ないかをよく検討してほしい。もしも問題が起きた場合、リアクションのような形で議論が巻き起こることもあるから、慎重に検討を加えてほしい」
 すると、折木幕僚長は、「おそらく大丈夫だと思います」と返事した。…(以下、略)

●ヘリコプターから放水
 …(略)…
 さて、福島原発へのヘリ放水作戦を担当したのは、前記した中央即応集団である。…(略)…
 私自身、言葉には出さなかったが、まさに「決死隊」だった。事故が起きないように最善を尽くすことは言うまでもないが、予測不能な爆発などによって、隊員が犠牲になることも想定しなければならなかった。
 ヘリは陸上自衛隊のものを使う。だから折木幕僚長や火箱陸幕長などと、かなりの時間を割いて話し合った。たとえば、ヘリ放水に関わる隊員の候補から、これから子どもをつくらなければならない人は外すことを、私は強く主張した。…(以下、略)
北澤俊美「日本に自衛隊が必要な理由」角川書店、2012年、27~29頁、

 …改正後も実態は大きく変わらない、という見方もある。安倍政権では国家安全保障会議(日本版NSC)の会合に統合幕僚長も同席することも多く、すでに制服組の影響力は増しているからだ。
 東日本大震災の際に防衛相を務めた民主党の北沢俊美参院議員は、緊急の時だけでなく、毎月定期的に統合幕僚長や陸海空の幕僚長と背広組を交えずに話し合っていた、と明かす。北沢氏は「何かあれば統合幕僚長から直接報告があった。軍事的な意見を聞いて、さらに何か迷うときは内局から政策的な意見を聞くのが普通だった」と話す。…(以下、略)
朝日新聞2015年3月7日付朝刊4面「運用権限、制服組に集中 『文官統制』撤廃 改正案閣議決定」より一部抜粋

  • (初稿:2015年3月21日 17:49)
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タグ: レベル5, 朝日, 東京, 毎日, 産経, 読売

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