気鋭のベンチャー社長が「自動運転」に描く夢
自動車メーカーと対等な関係を築けるか
創業わずか14年のベンチャー企業に熱い視線が注がれている。自動運転技術を手掛けるZMP。従業員約50人規模の会社にもかかわらず、顧客リストには完成車メーカーや部品メーカーが名を連ねる。2014年にはインテルが出資し、今年に入ってからもコマツやソニーなどが相次いで出資や共同開発を発表している。
2001年創業のZMPは、もともと二足歩行ロボットを開発していたが、2000年代後半に自動運転技術にシフト。「SLAM」という技術に基づいた自動運転技術を開発し、現在は自動車メーカーなどに運転支援システムの開発ツールとして卸している。
米国では、グーグルが自動運転車による無人走行実験を行っているほか、アップルも開発に着手。日本政府も2020年に自動運転車の実用化を目指すなど、開発競争が始まっている。大企業がしのぎを削る中、ZMPはどう存在感を示していくのか。創業者の谷口恒社長に聞いた。
「音楽ロボット」が転機になった
――二足歩行ロボット開発企業として起業しながら、自動運転技術の開発に転換した経緯は?
2000年ごろ、文部科学省傘下の科学技術振興機構(JST)が二足歩行ロボットを研究しており、そこから技術移転を受けて2001年1月に会社を作った。一人で始めたのだが、当時は二足歩行のロボットが家庭に広まっていくという期待もあった。
2004年には「nuvo」というロボットを58万8000円で発売して、ネットでずいぶん売れた。外出先から携帯電話でアクセスすると家の中が見えるという機能も付けて、「留守番ロボット」とも呼ばれていた。
ただ、ロボットというのは何を強みしたらいいのか、とずっと悩んでいた。歩くのは面白いけれど、毎日見ていたら飽きるし、一日何度も留守宅を確認することもない。値段も高かったので、安くするために二足歩行から2つのローラーで動くロボットを開発して、2007年に発売した。
家の中を自由に動き回って、リビングや寝室など利用者の好きな場所で音楽を聴かせてくれるロボットだ。これを作ったときに、ようやく自分の中でしっくりくるものがあった。移動を自動化することに、すごく可能性があるのではないか、と。
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