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 高齢者を狙ったオレオレ詐欺事件で、被害者に東京まで金を持ってこさせる「上京型詐欺」が1~3月、熊本県内で相次いだ。昨年の県内の特殊詐欺被害は過去最悪を記録。新たな手口の出現に県警は「九州ではこれまで聞いたことがない」と警戒を強める。

 県警生活安全企画課によると、1月24日から3月2日までに、宇土高と玉名高、水俣高の卒業生の実家に、それぞれの家の息子の名前を名乗り、「仕事が失敗した。その埋め合わせに金が必要だ」などと言って、現金を東京都内まで持ってこさせ、弁護士に手渡すよう呼びかけるなどの手口だった。

 宇城署管内で24件、玉名署管内で14件、水俣署管内で8件が確認されており、県警は卒業名簿などが流出したとみている。そのうち7人が電話を受けた一両日中に、実際に飛行機で上京し、70~80代の女性4人が計約2100万円を渡したという。

 羽田空港で迷っていた2人から話を聞いた空港職員や、突然の上京を不審に思った家族の通報により、夫妻1組を含む3人については警視庁と連携し、被害を未然に阻止。そのまま、だまされたふりをして犯人検挙につなげようとしたが、犯人側に気づかれたのか、連絡はその後、途絶えた。

 これまでのオレオレ詐欺と違い、受取人を熊本まで行かせる手間や旅費がかからず、手がかりなども残りづらい。同課の担当者は「犯人グループにとっては、リスクが低い手口。東京まで行かれてしまうと地の利は向こうにあるため、対応も難しくなる」といい、「被害者が増えれば、同じ手口は増える。未然に防がないといけない」と対応策に頭を悩ませている。(籏智広太、仲大道)