どうぞ!
(拍手)岩渕⇒今月、東京大学で行われた忠犬ハチ公の銅像の除幕式です。
集まった市民が大きな拍手を送りました。
生字幕放送でお伝えしますこんにちは、岩渕梢です。
新たな銅像は、ハチ公が死んで80年の命日にあたる8日にお披露目されました。
ハチ公の銅像といえば東京・渋谷駅がおなじみですがなぜ今、東大に新たな像なのでしょうか。
ハチ公と東大の関わりについて担当は、水野倫之解説委員です。
除幕式たくさんの人が来ていましたね。
水野⇒ざっと数えて500人以上は来ていたと思います。
中にはハチ公と同じ秋田犬を連れてきている人もいました。
でもこの像、渋谷駅のとは違ってハチ公だけではないんですね。
実は、じゃれ合っているこの人こそ、ハチ公がずっと会いたがっていた飼い主の上野英三郎さんです。
当時の東京帝国大学農学部の教授で、今回の銅像には飼い主にも焦点を当てたいという東大の有志の思いが込められているんです。
そもそもハチ公はどんな経緯で忠犬として有名になったのですか。
こちらでご紹介したいと思います。
忠犬ハチ公物語の始まりです。
時は大正ロマンのころ秋田犬のハチ公は秋田から渋谷は松濤に住む大の犬好きの上野教授のもとへとやってきました。
一緒に寝るほどかわいがられ教授の送り迎えで渋谷駅にも通っていました。
ところが、幸せな日々は長く続きません。
教授は、ある日突然倒れ帰らぬ人となってしまいます。
そんなことを夢にも知らぬハチ公はその後も教授を迎えに雨の日も風の日もその後、なんと10年近く渋谷駅に通い続けることになるのであります。
その話が新聞に出るとハチ公は忠犬として一躍国民的な人気者となりました。
ハチ公を見に渋谷駅前に大勢の人が詰めかけました。
私の同僚の解説委員のおばあさんが当時、渋谷近くに住んでいまして渋谷駅に行くと、よくハチ公を見かけたということです。
当時、有名になっていて駅の近くの肉屋のおじさんから肉をもらっている姿をよく見たそうです。
本当に通っていたんですね。
視聴者の方から質問が届いています。
こちらご覧ください。
確かに教授は渋谷の松濤に住んでいました。
駒場まで近いんです。
わざわざ渋谷駅に行く必要はないんです。
大学まで歩いて通っていました。
ただ各地の農業試験場などに長期出張することがあってそのときは渋谷駅を使っていてハチ公も送り迎えをしていました。
頭のいいハチ公は教授がしばらく帰ってこないときは渋谷駅に行けば会えるということが分かっていて渋谷駅通いをしたのではないかとみる研究者もいます。
ハチ公はその後、昭和10年3月8日に渋谷駅近くで死にました。
駅では盛大な葬儀が行われ当時の新聞ではハチ公に手を合わせる人の姿が掲載されています。
あれから80年たってもハチ公の人気は続いていますね。
先日、渋谷駅前のハチ公像を訪れてみました。
外国人観光客が写真の順番待ちをしていました。
また、駅前のデパートではハチ公人気にあやかろうと去年からハチ公をモチーフにしたクッキーなどお菓子のほかぬいぐるみやタオルなどの販売を始めました。
外国人観光客もよく買い求めに来るということです。
人気は日本だけではないんですね。
ただみんなハチ公のことは知っていても飼い主が誰でどんな人だったのかを知る人はほとんどいないというのが現実です。
確かに私もよく知りません。
そこで東大の有志の間に上野教授あってこそのハチ公で東大と関わりが深いんだと犬と人の愛情の象徴になるものが何かできないかという機運が盛り上がって3年前、銅像を作ろうというプロジェクトが発足して今回、実現したわけです。
上野教授はどんな人だったんでしょう。
日本の農業土木の創始者といわれています。
農地整理の重要性を訴えたということで教授の書いた本は復刻版も出版されています。
弟子たちにもよく慕われよく自宅に招いたそうなんですが教授の犬を呼び捨てにはできないということから尊敬の念を込めて公をつけてハチ公と呼び始めたということなんです。
そんな教授とハチ公の銅像づくりなんですが困難の連続でした。
何が大変でしたか?大学からの許可取りです。
実は、上野教授のほか学内には先駆者の銅像が多くあります。
皆、研究に関係するものなんです。
さすがに動物の銅像は前例がありませんでした。
学内の銅像委員会にはかり特例ということで認めてもらいました。
次に苦労したのが寄付金集めです。
1000万円を目標としていましたが当初はなかなか集まりませんでした。
シンポジウムを開くなどしてようやく集めることができました。
それから銅像作りも大変で名古屋の若手の彫刻家に依頼したんですが当然、生のハチ公を見たことはなく写真だけではイメージが湧かないということでブリーターのところにいって秋田犬を見せてもらったりしていろいろな格好をさせてイメージを膨らませて製作したということです。
新しい銅像何を表しているんでしょうか。
教授が出張から渋谷駅に戻ってきたときにハチ公だけが待っていてくれて大喜びして教授が抱き寄せたという実話を再現しています。
教授の足元を見てください。
ハチ公を抱きしめたときに思わず手を離して、かばんがここにあるというのがみそなんです。
両手で抱きしめるためなんですね。
本当に躍動感がありますね。
ハチ公と東大の関係はこれだけではありません。
ハチ公が死んだあと東大農学部に運ばれて解剖されています。
解剖記録も東大に残っていてそこには腹水がたまっていたと書かれています。
ハチ公は寄生虫によるフィラリア症で死んだというのが定説になっていました。
ところが最近、東大の研究者が改めて調べたところハチ公ががんに侵されていたことが分かったんです。
なぜ、がんだと分かったんですか。
ハチ公の肺などの臓器はホルマリン漬けにされてずっと保管されてきました。
それを改めて調べたんです。
すると赤い矢印のところ末期の肺がんで広い範囲に広がっていることが分かりました。
今ではハチ公はがんとフィラリアによって死んだということが分かっています。
よく保存されていましたね。
東大の研究室には動物の標本が数百点保管されていますが中には傷んでいるものもあります。
ただハチ公の標本だけは国民的な財産で特別な存在だということで歴代の教授の間で確実に引き継がれホルマリンも定期的に交換されてきました。
それだけハチ公と東大の関係は深いわけなんです。
新しい銅像は文京区の東大農学部の門を入ってすぐのところにあります。
日中であれば誰でも自由に見ることができます。
渋谷駅の銅像と同じく多くの人が新しい銅像を訪れて人と動物の愛情の深さを感じてもらえればいいんじゃないでしょうか。
水野倫之解説委員でした。
次回のテーマはこちら。
日本の主力ロケットの成功回数は30回となりました。
国産ロケット開発の現状と課題を解説します。
担当は室山哲也解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/03/18(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「ハチ公と東大 その深い関係とは?」[字]
NHK解説委員…水野倫之,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…水野倫之,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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