相棒 season2 2015.03.18


(若杉栄一)阿部さん。
阿部さん…?あの…寝てんのかよ。
阿部さん。
おい!ん?おいおい…。
なんだお前…ウソ!?死んでんじゃねえかお前!ええっ!?か…固いなお前…!「遺書」ってなんだよ「遺書」って!お前…。
(阿部賢)「あのヤミ金が憎い」「あの男にもう少し人の心があったら俺は死なずに済んだだろう」「家族や周りの人間までも巻き込んで脅迫するヤミ金の悪質な手口に俺はもう生きる気力がなくなった」「これ以上家族に迷惑がかからないように借金は俺の死をもって清算する」「家族には本当にすまないと思う」
(角田課長)ヒマか?
(亀山薫)はい。
あれ?珍しくシャツに糊が効いてないですね。
目ざといねえ。
いや〜うちの奥さん今ストライキ。
ストライキ?女ってのはさなんで結婚するとああなるかねえ。
どうなっちゃったんすか?いや…昔の女がさ。
あっ!まさか焼けぼっくいに火が!?そりゃ俺だってな。
それで!?うん…彼女から久々に電話があったんだよ。
それでそれで!?…それだけだけど?…全然火ついてないじゃないですか。
お前はいいよなフリーでな。
昔の女が訪ねてきたって平気なもんだ。
来ませんよ。
来てるよ。
あ?真子ちゃん!
(若杉真子)ごぶさたしてます。
へえ〜びっくりした!どうしたの?亀山さん…私たち約束守れなかったみたい。
約束って…あいつどうかしたのか!?私…。
まじめに働いてないんだあいつ。
私…あの人と別れようと思って。
本当に死んでたんですよ!
(多治見治)証拠は?証拠を見せなさい。
嘘なら大変なことになるのはわかってるよね。
…わかりました。
…証拠を見せます。
チクショー!もう!
(クラシックのレコード)杉下さんありましたよ。
ホロビッツが演奏したショパンの『葬送行進曲』。
(杉下右京)そうですか。
それは楽しみですね。
お聴きになりますか?もちろん。
ですがこの曲をリクエストしてしまいましたので。
このレコードならあちらのお客様もリクエストなさってますね。
(薫)そうか…。
あいつまた東京で…。
北海道の実家で農業を手伝ってしばらくはまじめにやってたんですけど。
やっぱりきつかったみたいで…。
半年前友達と事業をやるからって東京へ。
何が事業だよ。
どうせ失敗するのがオチだろう?あ…失敗したんだ。
そうみたいです。
それから連絡も途絶えがちになって…。
まさか…?…はい。
またヤミ金の世界へ戻ってしまったようなんです。
ホンット懲りない奴だねあいつも。
それで…。
…別れるつもりなんだ。
最後に電話したとき言ってたんです。
亀山さんに逮捕されてなかったら今ごろ俺はうまくやってたって。
あのバカ!それ聞いて私ああこの人もう駄目だなって…。
亀山さん覚えてますか?私たちの結婚式…。
(薫)当たり前だろう?俺はたった1人の立会人だよ。
親にも反対された結婚だったのに…。
約束…守れなくてごめんなさい。
本当に本当にごめんなさい!真子ちゃん…もう少し待ってくれないか?俺もう一度会ってあいつの胸確かめたいんだ。
亀山さん…。
そうですか…エルガーお好きですか。
好きですねえ…。
特に『エルガーのミニアチュール』はすばらしい。
ノーマン・デル・マーの名盤ですね。
彼の指揮するエルガーはもう絶品ですよ。
その中でも『愛の挨拶』が特にいいですねえ。
これですね。
ええ。
その盤だけ他とアレンジが違っているんですよ。
知ってます。
ここに『エルガーのミニアチュール』があればすばらしいんですがね。
いや…すてきな方とお知り合いになれた。
私もこの店で初めて他の方と話し込んでしまいました。
私ね…友達がいないんですよ。
…はい?まして音楽の話ができる方など会えるとは思わなかった。
恐縮です。
またお目にかかれるといいのですが。

(玄関のチャイム)
(ノック)栄一!俺だ亀山だ!
(ノック)痛い…!亀山さん…。
久しぶりだなおい。
…お久しぶりです。
あー臭えなあもう。
どうぞ。
麦茶しかないんですけど…。
いらねえよ。
何やってんだお前は!?真子ちゃん東京に来てるぞ。
えっ!?
(薫)真子ちゃんみたいないい子お前にはもったいねえよ。
…駄目だ。
やっぱ別れたほうがいい。
真子ちゃんが不幸になるの目に見えてる。
なんとか言え!ヤミ金の仕事やってんだろ!?はい…そうするしかなくて…。
どういうことだ?俺こっち来て事業を始めるときに金を借りたんですよそっから。
どっから?090。
090…090金融か!?はい。
「保証人不要ブラックリストOK即日融資します」だったもんで。
は〜っ駄目だ…。
あきらめたお前のこと。
亀山さん!駄目。
真子ちゃんに報告する。
救いようがないってな。
亀山さん!なんだよ気持ち悪いなあ。
亀山さん!うるさいな!「亀山さん」って3回も!…したい!…何がしたいんだよ?死体!死んでる死体見たんですよ!死んでる死体って…死んでる死体か?きのう阿部賢から電話もらって…。
誰だよ「阿部賢」って?葬儀屋やってて金借りすぎて首が回んなくなった奴で今朝電話があったんですよ。
金ができたって。
それで潜伏先の安アパートに行ったら…。
(薫)死体って…他に誰もいなかったのか?
(栄一)遺書握ってて…。
(薫)遺書?
(栄一)はい。
死んだ阿部賢の。
俺の取り立ての悪口いっぱい書いてあってそんですぐ社長に報告したんです。
(多治見)…で遺書は?すぐ捨てました。
近くの川に…。
(多治見)まさか取り立てに失敗して下手な嘘をついてるんじゃないでしょうね。
本当です!
(多治見)確かに阿部賢が死んだという証拠…。
慌ててコンビニに行ってインスタントカメラを買って戻ったら…。
(薫)…死体がなくなってた?阿部賢の死体どこいったんでしょう?お前…なんですぐに警察に届けなかったんだよ!だって…遺書に俺の悪口いっぱい書いてあったから!救いようのないバカだなお前は!調べてくださいよ。
はっきりさせないと俺マズいんすよ。
マズい?何がマズいんだよ?…とにかく調べてくださいよ刑事でしょう!?お前相当ヤバイよ。
お前の見間違いであってもなくてもな!ヤミ金でその阿部賢って奴追い詰めたんだからな!脅迫でお前パクんなきゃなんなくなる。
亀山さん…。
俺…後悔してるんすよ。
借金チャラにしたら今度こそこの世界から足を洗って真子とやり直そうって本気でそう思ってるんです。
(奥寺美和子)自殺ねえ…。
そんなネタなかったか?そんなことは自分で調べなさいよ。
調べたんだけどさあ。
警察が調べてなけりゃないでしょう?今夜も遅いのか?そう。
これ1人で食ったら太るぞ。
じゃあな。
ちょっと待ちんしゃい。
ん?食べて行きんしゃい。
え?これ全部食べちゃうんだもん。
仕事しながら…。
いらねえよ。
太ってもいいの!?なかったよ。
ここ最近自殺ネタ。
(栄一)えっ嘘!?なかったって…。
ああ該当する死体はなかった。
ちゃんと調べてくれたんすか!?調べたよ!都内の変死体記録も監察医務院の記録も全部!やっぱりお前の見間違いじゃねえのか?だって…信用してくれないんすか!?
(阿部由紀子)いらっしゃいませ。
またあんた?何度来たって同じだからね。
あの人の借金なんて私絶対返さないから。
警視庁の亀山と申します。
「阿部葬祭」…ご主人のお店ですよね?あの人の父親が残した葬儀屋です。
じゃあご主人は2代目。
ロクに仕事もしないで借金ばっかりして…。
…で今はあなたがこのお仕事を?食べてかないといけませんから。
ご主人…このところ帰ってないみたいですね。
ええ。
今始まったことじゃありませんけど。
枕飾りセットが倉庫にあるから持ってきて。
あの…ご主人が亡くなってるのを見たという人がいるんですが…。
そうですか。
「そうですか」?どうでもいいです。
死んでようが生きてようが。
本気で言ってるんですか?店の売り上げ何度持ってかれたかしれません。
お金を返さないと殺されるとかもう強盗するしかないとかその度に借金重ねて…こんな人にまで借金して!おかげで私はずっと地獄でした。

(主婦)あの…。
これ…なんでもないんです。
こんなファクスが…。
この人なんて葬儀の最中にまで取り立てに…。
お前そんなことしたのか!夫が死んだなら殺したのはあんたよ!奥さん被害届出してください。
そうすれば俺がこいつもヤミ金も検挙します。
そうなればご主人の生死もきっとわかります。
警察の捜査が入りますから。
もうそっとしておいてほしいんです。
奥さん…。
これ以上私のところに取り立てに来ないと約束するなら被害届は出しません。
メチャクチャな取り立てしやがって!お…俺だってやりたくなかったんすよ。
ふざけんなよ!だって…社長がそうしろって…。
また俺に捕まりてえのか!…社長に借金があるんですよ。
ああ?俺こっち来てすぐ事業に失敗して…。
何が事業だ。
脅すんですよ!「伝説の男」の話までして!伝説の男?
(多治見)今の君のようにかつて私のところにいた男の話です。
はあ…。
そういえば…彼は君によく似ている。
あるはずのないものを見たと言って騒いだりよく債権を回収しそびれたり。
…その人がどうして「伝説の男」なんですか?彼がうちに500万の損害を与えたときに言ったんです。
…なんて言ったんですか?
(多治見)10本の指から5本選んで私に差し出しなさい…って。
差し出すって…どうやって…?あなたの借金も500万でしたよね?ヤミ金なんかに頼るからだよ!あと4日しかないんですよ!あと4日?タイムリミットはあと5日。
自業自得だ。
亀山さん!俺が見た死体見つけてくれよ!お前はもう駄目だ。
真子ちゃんにも離婚を勧める。
だったら…だったら俺をパクってくれ!今すぐパクってくれよ。
俺も社長も。
そんで…罪を償ったら俺田舎に帰ります。
…っていうか帰りてえ!やっぱ…東京向いてないっす。
(右京)消えた死体ですか。
確かに気になる話ではありますね。
力貸してくれますよね?嫌です。
ありがとうござい…?嫌!?僕はあなたのような人が嫌いです。
右京さん!君はなぜ彼にそこまで肩入れするんですか?自分の目…信じたいんです。
こいつがやり直すって約束したときに「大丈夫だ」って俺思ったんですよ!傷害でこいつをパクったのだってもとはといえば年寄りからひどい取り立てをする同業者ともめたからなんです。
でも今の彼はその同業者と同じではありませんか。
それは…そうかもしれないですけど…。
右京さん…。
はい?俺…信じた人間に裏切られるの嫌なんです。
だから…力貸してください!亀山君。
はい!いつもながら感傷的ですねえ。
駄目っすか…。
いや。
人間としては美徳というべきでしょう。
ありがとうございます!もっともそれが刑事にとってプラスであるとはかぎりませんが。
お前も頼めよ!お願いします!若杉さん…といいましたか。
はい。
あなたはその「阿部賢」という人と面識はあったんですか?それはもちろん。
なっ!?ない!ない!ない?金貸したんだろ?直接貸したの俺じゃないし取り立ても電話だったから…。
もっともそれが090金融ですからねえ。
でもホラ葬式してるとき踏み込んだろう?そんときも奥さんしかいなかったし…。
…とするとあなたが見たというその死体本当に阿部賢さんだったかどうか疑わしくなりますねえ。
えっとこれは…?阿部賢だよ。
今朝奥さんから借りてきた。
違う!俺が見た死体と全然違います!いやいや!歳格好は似てるけど顔が全然違います。
なるほど。
少し謎が見えてきました。
どういうことですか?恐らくこの阿部賢という人はあなたの厳しい取り立てから逃げるため偽装自殺をはかった。
偽装自殺?身代わりの死体を用意して…。
身代わりの死体…。
しかしまあ簡単に死体など用意できませんがねえ。
あっ!何か心当たりが?阿部賢の奥さんです。
彼女なら死体なんとかなるんじゃ…?そうですねえ。
(薫)やっぱ違うかなあ?違うとは?さんざん旦那に苦しめられた彼女がそんな奴のために遺体を持ち出したりしますかね?たまきさんどう思います?
(宮部たまき)え?私?そんな夫のためにわざわざ危ない橋を渡りますかね?さあ私には…。
聞かせてくださいよ。
…経験上どうですか?亀山君。
確かにあんまりいい夫ではないみたいね。
そりゃもう奥さん愛想つかしてますよ。
でもどんなに苦しめられても愛想つかしても結局男と女だから。
なぜ私をつけるんですか!?ご主人が死んでると通報があった件話しましたよね?それ殺人や死体遺棄の可能性があるんですよ。
だから調べなきゃなんないんすよ。
それでまずご主人を捜そうと思いまして。
私を見張っても無駄ですよ。
そうでしょうか。
あの人との関係はとっくに終わってます。
ところでなんで病院に?契約されてるんですよね。
契約?遺体を引き取る契約ですよ。
いいえ今日は…。
ではどちらへ?地下に葬儀屋の控え室があるので。
葬儀屋の控え室?仏様が出たときにすぐに対処できるように。
今からそちらへ詰めるんですか?ついてこないでくださいね。
なぜですか?私たちが病院にいることを一般の患者さんに知られると困るんです。
病院ともそう約束してますし。
なるほど。
お願いします。
(右京)奥さん。
3日前に葬儀をされた家を教えていただけますか?3日前?ご主人の死体が目撃された日です。
なぜそんなことを教えなきゃならないんですか?何か不都合なことでも?
(りんの音)阿部賢と同じくらいの歳ですかね。

(八木厚子)ご丁寧に。
お子さん…まだ小さいですね。
主人もそれだけが心残りだったんじゃないかって…。
また駄目!そんなところに書いちゃ。
嫌だもう…書くのはこっちでしょう?なんの絵ですかそれ?
(八木)さあ…。
ごめんなさい…。
それでなんでしたか?実は最近葬儀で不当な料金を請求されたという被害が多く報告されていまして。
まあやだ…。
それでご主人の葬儀のときはどうだったかと。
でもうちはいい葬儀屋さんで…。
どちらの葬儀屋さんで?えっと…ちょっと待ってください。
あそうそう「阿部葬祭」さん。
病院で紹介してくれて。
見せてもらっていいですか。
どうぞ。
それは?これはお葬式の写真です。
なるほど良心的な価格ですね。
ええ。
本当によくしてもらって…。
あの…この祭壇なんですが。
奥様がお決めになられた祭壇ですか?いいえ。
私はそういうことわからないのですべて葬儀屋さんにお任せしましたけど。
そうですか。
(薫)お前が見た死体ってこの男じゃなかったか?似てるけど…よくわかんないすね。
おい!お前の問題なんだぞ!だって死体を見たの3日も前のことだし…。
間に合わねえぞ。
あと2日。
そうなんすよ…社長から電話があって…。
なんて?どの指を差し出すか決まったか…って。
…で決まったのか?決まんないっすよ!5本っすよ5本!じゃあ…こうすれば?なんすかそれ?こっちでタバコ吸ってこっちでライターつける。
嫌ですよ!そんな使いみち限定の指!ピースもできるぞ。
気持ちがピースになんないっす!冗談だよバカ!冗談言わないでくださいよ!やってみるな!ただいま…あれ?どうでしたか?奴の記憶あいまいになってて。
そうですか。
いかがですか?
(米沢鑑識官)これは柩を後ろに安置するタイプの祭壇ですね。
変わってますよね。
さほど珍しくはないようですよ。
名古屋のほうではよくあるタイプだと…あれ?でもこれはちょっと珍しいかも。
…といいますと?よく見ると柩の上に祭壇が乗ってます。
(薫)今日はもうお仕事おしまいですか?いえ。
葬儀屋は24時間営業ですから。
なるほど。
警察と一緒ですね。
…なんでしょうか?あなたが葬儀をした八木さんからお話を伺いました。
どんな話ですか?通夜から葬儀にかけてご遺体がどんな状態だったか。
通夜のとき遺体は布団に寝かされていたそうですね。
そして通夜が終わった次の日の朝祭壇を組むときに遺体は柩に納められた。
ええそれが何か?柩の上に乗せる珍しいタイプの祭壇らしいですね。
…ええ。
しかもあなたはこの祭壇を組むときその部屋からご遺族を出ていかせたそうですね。
祭壇ができるまで休んでいただこうと。
つまり部屋にはあなただけ…いや「あなた方だけ」ということになります。
何が言いたいんですか?そんな作業あなた1人でできるはずがない。
そのとき一緒にいたのはご主人じゃないですか?あなた方はご遺体の入った柩と空の柩をすり替えたんです。
この祭壇を組み上げるとご遺族は柩を開けてご遺体を拝むことができません。
つまり柩が空でも誰にもわからないんです。
だからあなたはこの祭壇を選んだんですね?なぜ私が柩のすり替えなんてするんですか?あなたは彼のご遺体が必要だったからです。
ご主人の阿部賢さんと同じような歳格好ですからね。
(右京)もちろんご主人が自殺したように見せかけるためあなたはご主人とご遺体の入った柩を運び人気のないあの場所にご遺体を寝かせ若杉さんを電話で呼び出した。
(阿部賢)もしもし…若杉さん?阿部です…。
(阿部)…9時に取りに来てもらえないでしょうか。
(右京)それでやってきた若杉さんは…そのご遺体をあなたの夫阿部賢さんだと思った。
(栄一)…死んでんじゃねえか!
(右京)さらに彼はそこで自分が悪く書かれている遺書を見つけた。
あなたはそうしておけば彼が警察に届けないと思ったのでしょう。
案の定彼はその遺書を川に捨ててしまった。
その後彼が現場から逃げたのを確認したあなた方は八木さんの遺体をまた柩に入れ葬儀場へ戻った。
問題は「いつ柩を戻したか」ですが…。
無理ですそんなこと。
ご遺族が祭壇をずっと見守っていたそうですからね。
しかし葬儀が終わって出棺のときあなたはご遺族や弔問客をまた部屋の外に出したそうですね。
祭壇を解体して柩を出さなければいけませんから。
そのときですね?ご遺体の入った柩を元に戻したのは。
この祭壇ならそれが可能なんですよ。
できるというだけで疑うんですか。
はい。
証拠はあるんですか?必ず用意します。
(薫)今朝栄一が泣きついてきましたよ。
彼にとっては今日1日が一生ですからねえ。
まさか本気で指を取る気ですかねその社長。
かもしれませんね。
俺これからその社長に会ってきます。
まだ今日1日ありますよ。
でも栄一が見た死体が彼だってどう証明するんですか?今から確かめようにも遺体はすでに焼けてますし。
つまり柩も焼けているということですねえ。
そういうことですね。
では空の柩は?ああ…本物の柩とすり替えたってヤツですか?それはどこへ消えたのでしょう。
葬儀屋の奥さんが処分したんでしょう。
あんな大きな物を?人目につきますねえ。
じゃあまだあの葬儀屋にあるんじゃないですか?僕もそう思います。
あったとしてもわかんないっすよ。
わからないでしょうか。
だって柩ですよ?どれも一緒でしょ。
一緒でしょうか?一度使うと色や形が変わるっていうのならまだしも。
なるほど。
変わっていればいいんですがねえ。
え?
(携帯電話)もしもし…ああ真子ちゃん。
…えっ?亀山さんからあの人に渡してください。
え?あ…離婚届。
いや…もうちょっと待ってくんないかな?きっともう彼は私のことなんか…。
そんなことないって。
奴は「帰りたい」って言ってた。
真子ちゃんと一緒に。
だけど今奴には片づけなきゃなんないことがあって…。
ありがとう亀山さん。
でも…もう私…。
真子ちゃん…。
この曲ご存じですか?え?エルガーという作曲家がアリスという女性に婚約の挨拶として送った曲なんですよ。
右京さん今そんな話…。
エルガーがバイオリンを奥さんがピアノを弾いて2人で演奏したといわれています。
もしかしたら夫婦というのはそんな別々の楽器で1つの曲を奏でるようなものかもしれませんねえ。
私たちに子供でもいれば違っていたのかもしれませんね。
なるほど…子供ですか。
亀山君。
はい。
柩が変わっていたかもしれません。
(店員)いらっしゃいませ。
どうも。
奥さんいらっしゃいますか?奥さんなら今病院に。
葬儀屋の控え室に詰めてるんですか?ええ。
いつも柩はどちらに保管されてますか?柩?裏の倉庫ですけど。
ちょっと拝見させていただいてよろしいですか?どうぞ。
あ…お前ここで待ってろ。
亀山さん…今日っすよ指…。
わかってるわかってるから。
もう…!どうぞ。
(店員)こちらです。
右京さん…俺らが見てもわかんないっすよ。
おい!お前の社長ここに呼んでくれ。
社長を?なんなんすか一体!?いいから!俺を信じて言うとおりにしろ!…はい。
…はいお願いします。
来るそうです。
刑事さんたちも暇なんですね。
あなたにお見せしたいものがあるんです。
…私に?なんですか?阿部さん…ここにある柩はまだ使われてませんね?もちろん。
そうですか。
この柩があなたがすり替えた証拠です。
これのどこが?
(右京)これがなんのマークかわかりますか?僕もわかりません。
でも誰が書いたのかはわかります。
(薫)あなたが葬儀をした八木さんのお子さんですよ。
どうして…。
そう。
どうして八木さんのお子さんが書いた落書きがここにあるのか。
つまりこの柩は八木さんの家にあったからですよ。
葬式のとき柩の中は空っぽだったんですね?これでもまだ否認なさいますか?阿部さん!すみません…。
罰当たりなことをしました…。
(栄一)え…?じゃ阿部賢は?今でもちゃんと生きてるよ。
…ですよね?でも…私も主人も何度死のうと思ったかしれません。
それでこんなことを思いついたんですね?あんたたちが追い詰めたのよ!あんたたちが自分のせいで死んだと思ってくれたらもうあんな取り立てはしなくなると思ったのに…!すいません…。
(栄一)あ…社長!奇遇ですねこんなところで。
そうですか…まさかあなたが…。
まさかあなたが刑事だとは…。
知り合いなんですか?ご主人…ご健在のようでなによりです。
では今すぐ全額返済してもらいましょうか。
社長。
私が刑事だということを忘れては困ります。
…といいますと?あなたを逮捕します。
相変わらず面白い方だ。
冗談ではありません。
あなたの会社が設定している金利とあなたが命じている取り立ては明らかに違法です。
ではこの場で返済を法に準ずるものとするならどうでしょう。
結構。
しかし脅迫があったことは事実ですから。
なるほど。
あなたはどうしても私を捕まえたい訳だ。
はい。
うちには優秀な弁護士がいます。
すぐに出ることになるでしょう。
そうですか。
そんなイタチごっこにあなたが首を突っ込むことはないでしょう?私はあなたのような人が嫌いなんですよ。
…思ったとおりだ。
やはり私には友達ができない。
どうしてでしょうね?さあ…。
しかしそれを考える時間は十分できるはずですよ。
(薫)ここにいたんですか阿部賢…。
彼女が人を隠すならきっとここだと思っていました。
誰だ!?違うの。
あの人たち取り立て屋じゃない。
逮捕されたわあのヤミ金。
結局…あなたを隠せなかった…。
…刑事か?俺がやりました!全部俺がやりました。
妻は関係ありません。
あの葬儀屋夫婦執行猶予がつけばいいんすけどね…。
大丈夫でしょう初犯ですし。
だといいんすけど。
あっ。
執行猶予中じゃなかったのが幸いしましたね。
今度やったら起訴猶予にはなんねえぞ。
ホント迷惑かけました!お前これからどうすんだ?仕事を探します。
もちろん今度はマトモな。
本当かよお前〜。
約束します。
もう…懲りました。
信じていいんだな?はい!じゃあもう1人…信じさせてやってくれよ。
怒ってるぞ〜。
ありがとうございます!ホントごめん!もうしません!本当に?本当に。
信じていいの?信じて!…わかった。
(栄一)ごはん食べようか。
(真子)うん。
ありがとうございました!北海道に帰ります!なんかいいっすね。
夫婦ってやつも。
行きましょうか我々も。
どこ行くんすか?ちょっと届け物がありましてね。
なんすか届け物って?
(署員)おい多治見。
お前に差し入れ。
ここに署名しといて。

(薫)え?レコードを差し入れしたんですか?ええ。
刑務所に持ってっても聴けませんよ。
まそれも1つの罰です。
なんすか?あっ!八木さんのところへも行かなければなりませんねえ報告に。
まあ遺体なしで葬式やったわけですからね。
ではちょっと買っていきましょうか。
なるほどこれか。
2015/03/18(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season2[再][字]

「消えた死体」

詳細情報
◇出演者
水谷豊、寺脇康文 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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