オイコノミア「オイコノミア流 ニュースはこう読め!」(前編) 2015.03.18


(又吉)よろしくお願いします。
(大竹)お願いします。
いや先生「オイコノミア」もう3年間続きましたね。
そうですね!最初は半年間って聞いたから引き受けたんですよ。
ああそうやったんですね。
まさかこんなに長く続くとは。
そうなんですよ。
ええ。
ありがたいことですけどね。
このごろは又吉さんをどうやって経済学芸人にするかという事を考えすぎてまして秘書からね「本業を忘れてませんか?」ってよく言われるんですよ。
いやそれは言われますよ。
先生だけですから。
そう「経済学芸人」って言ってくれるのは。
やっぱり継続は力なりですよ。
そうですか。

(テーマ音楽)今年度はね富士山とかライブとかえ〜電車それから復興なんていう切り口も取り上げてきましたよね。
そうですね。
ホントいろんなテーマがあれですね経済学は切り口としてあるんですね。
経済学ってねよくそのうお金のことを扱う学問だというふうに思われてるじゃないですか。
はい。
私もよく自分のことを経済学者だっていうふうに自己紹介すると大抵ですね「どの株買ったらもうかるんですか?」って聞かれるんですよ。
ああやっぱりそのイメージもありますもんね。
でもねそのう経済学ってあのう確かにお金のこと扱うこと多いんですけどそれは一部なんですよね。
はいはい。
「経済」っていう言葉っていうのは「經世濟民」っていう言葉の略なんですよ。
ケイセイサイミン。
これなんですね經世濟民。
これは世を經め民を濟うという意味なんですよ。
どういうことですか?中国の古典に登場する經世濟民。
…という意味の言葉。
つまり経済学とは…この1年に起こったニュースを経済学の視点から振り返る…まあ身近なことに経済がいろいろあるということですよね。
そうですね。
まあどんなことでも結構生活していくうえでもあのう意思決定に役立つこと多いんですよね。
又吉さんもやっぱり3年やってきたら…。
そうですね。
やっぱりあのうよくありますよ。
ありますか?経済学的思考になってるんじゃないかと思う。
今まあ3人で後輩とシェアハウスみたいな形で住んでますがそういうときにすごい楽しいんですよ。
うん。
もう30僕も今年で5になりますしまあシェアハウスでいいのかなと思う時もあるんですけどすごく楽しくてそういう時にこれは「現在バイアス」なんじゃないかとか。
現在バイアス。
はい。
確かに経済学用語使いましたね。
どういう意味なんですか?あのう今ですよね。
今ですね。
今を重要視するというか。
そうなんですよ。
まあもうひとつはね長期的にはこうした方がいいなという計画はあるんだけどつい今の誘惑に負けてしまうということですよね。
僕は結構その傾向強いですよね。
そうですね。
だから又吉さんも長期的には結婚したいと思ってるじゃないですか。
そうですね。
でもつい3人の暮らしが楽しくて。
そうなんですよね。
はい。
そういうのは確かに現在バイアスですね。
現在バイアスですよね。
う〜ん。
又吉さん本格的に経済学芸人の道まっしぐらですね…。
さてさて今回の「オイコノミア」は今年度の総仕上げ。
この1年間で又吉さんと大竹先生が気になったニュースをググッと掘り下げます。
まず2人が一番気になったのはこのニュース。
(アナウンサー)「ニュースをお伝えします」。
(2人)おっ。
「今年1年の世相を漢字ひと文字で表す今年の漢字が京都の清水寺で発表され消費税の増税が話題になった事などを理由に『税』という字が選ばれました」。
さすが経済学者と経済学芸人ならではのチョイス。
オイコノミア流の視点でこれらのニュースを読み解くとあるキーワードが浮かんでくるのです。
それは…。
日本の未来を左右する大きな問題ですね。
少子高齢化じゃないんですか?いや違うんですよ。
少子化と高齢化。
よくそれ1つになってる事多いですよね。
そうなんですね。
でも今回はこの2つを分けて考えたいと思うんですよね。
はい。
で今回はさまざまなニュースを少子化という切り口で見ていきましょう。
はい。
というわけで今回見ていくテーマは「少子化」。
ところで少子化と税金の関係はどこにあるのでしょうか?う〜ん?消費税が8%に上がったじゃないですか。
はい。
それとそれから年末には10%に消費税を再度引き上げるという決定をするはずだったんですけどそれを見送った。
まあこの「税」というのと少子化。
あっどう関係あるんですか?これはね消費税の増税の一番の理由って何だと思います?ええ。
それはやっぱり何でしょうね?社会保障とか。
うん。
そういうところに回したり。
そうですね。
一番大きいのは実は日本の財政結構赤字出してるじゃないですか。
はい。
だからこのまま赤字が増えていくと財政破綻するんじゃないかって言われてますから。
まずは借金返済という事ですか?そうですね。
一方で少子化対策って結構しなきゃいけないじゃないですか。
はい。
そこにお金回んないわけですよ。
はい。
だから増税していかないと少子化対策も遅れるというふうな議論があったの覚えてます?はい。
あのう財務大臣がそういう発言したんですけどね。
はい。
政府はね少子化対策を国を挙げて取り組まなきゃいけない問題というふうに考えてるんですけどでもよく考えたら本当に少子化って問題なんですかね。
いや問題なんじゃないですか。
やっぱり子供が減ってくると。
う〜ん。
でもね経済学では一般に考えられてるのとちょっと違って少子化のイメージって違うように思うんですよね。
そうなんですか。
はい。
問題点ばかりとは言えないんですよ。
へぇ〜!え〜っ!?少子化が問題ばかりじゃない!一体どういうことなんでしょう?少子化の方が一人当たりの資産は大きくなる可能性ありますよね。
ああ割らないでいいという。
そう。
だから親から子に相続をする資産というのもねえ人数が多かったら一人当たり少なくなりますよね。
それからあのう機械設備なんかでも考えてもそうなんですけども工場の設備はそんなにすぐには減らなくても人口が減ってきたら一人当たり使える資産って多くなりますよね。
はい。
という事は生産性上がるということになりますからね。
はい。
大竹ポイント!つまり…これが生産性が高くなるということですね。
一人当たりの生産性が上がるということは一人当たりで見ると豊かになるということですよ。
一人一人はそうですけど全体日本全体でいうとどうなるんですかね?確かにね日本全体のまあGDP国内総生産とかっていうのは減っていく可能性高いですよね。
まあ減ってもそれぞれの例えば家庭とかで一人一人が裕福になってるんやとしたらそれでも別にいいのかとは思いますけどね。
うん。
そこがねあのう難しい問題かもしれないんですけどね。
ただ理屈としては必ずしも少子化だからといって貧しくなるわけではないわけですよね。
そうですね。
うん。
だから問題はね少子化そのものにあるというよりはその無理な予想の元で制度を設計してしまうということだと思うんですよ。
これがね日本の出生率の動きなんですよ。
はい。
あのう2.2。
1970年ぐらいはこのくらい高くて2を超えてたんですよね。
だから十分日本の人口は維持できるという状況だったんですけどどんどん下がっていったんですよ。
うわっこんな下がったんですね。
今ここまで下がってんですけど。
今2000年代に入ってから将来のその出生率の予想は大体こんな感じでもう戻らないという…。
はい。
このまま少子化は続くんだという今予想をしてるんですよ。
ところがね1992年だと1.8。
まあ2よりは低いんですけど結構戻ると考えてたんですよね。
はい。
1981年に政府が出した推計では出生率は将来2以上になり人口は減らないと予測されていました。
今考えると楽観的ですが当時の研究者たちは晩婚化や生涯未婚率がここまで高くなるとは想定できなかったようです。
1組の夫婦つまり2人が2人以上の子供を産まなければ将来的に人口は減ります。
1人の女性が一生で産む子供の数「合計特殊出生率」。
日本は2013年で1.43です。
大竹ポイント!どういうことかと言うと…。
少子化対策をこれからするとしますよね。
将来税金を払ってくれる人とか社会保険料を払ってくれる人を増やしたいということで少子化対策をしました。
はい。
来年からは一気に子供がこれ以上増えました。
生まれるようになりましたと。
はい。
この効果が現れるのはいつからですか?ええ増えたとして…。
はい。
20年後ぐらいですよね。
そうですよね。
働いてくれるようになるのはそれぐらいですよ。
だからこれから20年は少子化対策が仮に来年からすごく効果が上がって子供の数が2人以上になったとしても20年間はその負担をしてくれるところまでいかない。
なるほど。
むしろその間教育費がかかる。
ああそうですね。
そうですよね。
少子化が続くということを前提に社会保障も含めて社会の仕組みを考え直したほうが少子化のいいところを享受できるというふうには思いますけどね。
又吉さん。
こんなニュース見たり聞いたりしてません?
(アナウンサー)「大手予備校の代々木ゼミナールは少子化に伴う受験生の減少などを受けて全国にある29の校舎のうち22の校舎を来年度閉鎖する方針を決めました。
閉鎖の理由として代々木ゼミナールは…」。
これもう直接少子化に関係がありますね。
そうですよ。
これ今予備校だけじゃないんですけどね。
私も勤めてますけど大学も生き残り策に必死なんですよ。
そっか。
少子化がどんどん進んでいって国内で活躍できる場が小さくなるということじゃないですか。
人口が減ってきたら。
日本のマーケットを相手にこうあんまり活躍できないなっていうふうになってくるんだったらむしろもう海外に向けて海外の大学に進学しようとかっていう学生も増えてきますよね。
はい。
子供向けとか若者向けのサービス業って衰退してしまいますよね。
そうですね。
ということはお笑いの世界も?お笑いもそうなっていくんじゃないですか。
芸人自体の数が減るというのはありますよね多分。
う〜ん。
あと子供向けのものが減っていくということですよね。
全体的に。
コンビの相方の人は結構幅広い層をターゲットにされている。
そうですね。
まあ幅広いというかどっちかというと上めというか。
それは少子化をやっぱり見据えた戦略なんですか?それはねあんまりそこまで考えてないと思いますね。
ああそうですか。
すごく本能的なものだと思いますね。
偶然ですか。
偶然ですね。
でもまあねえこう少子化で子供が少なくなってきてるという事で子供や若者にターゲットをするとマーケットが小さくなっていくと。
そうですね。
はい。
今まで又吉さんが仮にですね10代の人を対象にお笑いを考えてたとしたら10代の人の人口がどんどん減っていったらお笑いの仕事が減っていくどころか又吉さんの給料も減っていきますよね。
そうですね。
だけどちょっとターゲットを変えていくとすれば仕事は必ずしも減らないということになりますよね。
だから一人一人がそういうことをすることが私たちのその生活水準を維持したり向上させていくという上では一番大事なんですよね。
はい。
不安にはなりますけどね。
う〜ん。
しかたないですもんね。
そうですね。
確かにね将来また自分がやってた仕事と違う仕事をやらないといけないとか仕事の中身を変えなきゃいけないとかっていうのは不安は不安ですよね。
はいはい。
だけどこう他の変化と違ってねこの少子化というのはまあ見えてるわけですよね。
はい。
で突然なんか人の気持ちが変わってですね今までこれが流行してたのにあしたから違う流行だというので慌てたりとか新しい技術革新が起こって今まで対応していた自分の技能が全然役に立たなくなるとかっていうタイプの不安とはちょっと違うとは思うんですね。
大竹ポイント!又吉さんは心配していましたが……と大竹先生は考えているのです。
なるほどねぇ!だからこれからその仕事に就く人はまだいいんですけど今までやってた仕事ができなくなるということが出てきますから。
でもそれもやっぱりもうこれから世の中が急に変わって子供が増えるということは考えにくいんでそれを前提にした仕事の計画を立てるっていうのが大事ですね。
だから本能的かもしれないですけど相方が今こう支持されてる世代というのはもしかしたらすごいいい事かもしれないという事ですよね。
僕たちはだから2人でもしかしたらそこを…。
これ考えてやってません?何がですか?いやいや僕ら何も考えてないですよ。
僕らというか僕はそもそも考えてないですし相方も本当にもう自然なことですね。
なるほど。
まあねそう言っておかないとねなかなか。
「戦略的にこうやってます」とかって言うとね。
いやいや。
僕らアホやから多分戦略的にやってたら「戦略的にやってる」って言っちゃうと思いますよ。
大竹先生。
そういえば大竹先生の今年度のニュースは何だったんですか。
まあいろいろあるんですけどね1つだけ。
あのう実はですねこれ一生の思い出になるんじゃないかと。
これすごいですね!これ杉山愛さんですか。
そうなんですよ。
これどこで?これねまああのうある所で講演させていただいてその時ねちょうど杉山愛さんのテニスレッスンに参加させていただいたんですよ。
へぇ〜!そうなんですか。
これはいいですね。
はい。
これが一番大きな?そうです!
(2人の笑い声)2014年はソチオリンピックをはじめ国際的なスポーツの祭典も多くさまざまな分野のスポーツ選手が活躍を見せてくれました。
又吉さんの大好きなこの選手も…。
あっ。
あっ。
これ僕が描いたメッシですね。
これメッシなんですか?ホントに。
「メッシ」って書いてあるからメッシというふうに。
これは紛れもなくメッシですね。
そうですか。
はい。
ふ〜ん。
メッシも活躍しましたよね。
しましたよね。
サッカーのワールドカップ。
ワールドカップもすごかったですね。
ねえ。
それからテニス。
さっきのテニスでいくとですね錦織選手が大活躍しましたよね。
しましたね。
それからまあスポーツでは非常に話題が多い一年だったと思いますね。
はい。
そういえばワールドカップを見ていて少子化問題について思うことがあったんですけど少子化問題が進むとその国はやっぱりスポーツの面ではだいぶ不利になるんじゃないですか?どうしてですか?あのうやっぱり人数が多い方がその中から天才というかものすごいプレーヤーが生まれてくる確率が上がると思うんですよ。
う〜ん。
確かにね。
あのねでもまあそういう研究も経済学では踏み込んでるんですよ。
はいはい。
こちらは2014年サッカーワールドカップでベスト8に進出した国とそれぞれの人口。
又吉さんが心配するような人口とサッカーの強さに関係は無さそうですね。
又吉さんそこのリボン引っ張ってもらえません?あっこれですか。
はい。
実は2億というのはそこまでいくんですよ。
え〜っ!ブラジルはこれだけ多いんですか?そうなんですよ。
そのためにリボンが実はぶら下がってたんですが。
気になってたんですけどこういうことやったんですね。
これすごいシステムですね。
これ。
そうでしょう。
へぇ〜!あっ2億200万人。
そう。
圧倒的に多いですね。
でもね人口とサッカーの強い国ってあんまり関係ないじゃないですか。
確かに。
ちなみに日本は去年のワールドカップに出場した32か国中5番目に人口が多い国。
もしねその人口に比例して天才が生まれるんだったら人口が多い国が強くなってるはずですよね。
そうですね。
人口だけじゃなくてねやっぱりサッカー強くなるっていったら他にも大事なことないですか?環境とあとは指導力みたいなとこですかね。
そうですね。
だからサッカーの教育にどれだけお金をかけたり時間をかけるかっていうのがサッカーが強くなるということはひとつ大事ですよね。
はい。
それからもうひとつはそういう才能を持った例えば運動能力に優れた人というのがサッカーを選ぶ比率がどのくらいあるかというのも大きな影響を与えると思いません?そうですね。
大竹ポイント!少子化といえどもやり方によっては強くなれるのかも。
ガンバ!かつて日本で教育によってサッカーが強くなった事例があります。
又吉さんが高校時代圧倒的な強さを誇っていたのが静岡県のチーム。
大正時代学校のスポーツといえば「野球」と言われていた頃静岡では全国に先駆けてサッカーを導入。
選手や指導者がいち早く育ちやがて「サッカー王国静岡」と言われるまでになりました。
アハッ!静岡県お茶だけじゃないのね!静岡はやっぱり盛んだっていうふうに言われてたんじゃないですかね。
それはやっぱりサッカーの指導がよかったんですかね。
ムチャクチャ強いチームがありましたね。
うん。
それも今のJリーグのジュニア世代みたいな育成を当時からやってたようなそのううまい人しか残っていけない。
そもそも入部誰もができる訳じゃないというチームが静岡にあってそこがあるから周りもだんだん強くなっていくというかそういうのはもう静岡は別なんやろうなとは思いながらやってましたけど。
やっぱりここもその訓練とそれからセレクションというのが効いてるという意味ではすごく経済と関係してますよね。
そうですね。
「オイコノミア流ニュースはこう読め!」。
「少子化」をキーワードにした今回大竹先生の知識と又吉さんの好奇心から来る丁々発止になんだか話が止まらなくなっています。
続きは次回!お楽しみに!2015/03/18(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「オイコノミア流 ニュースはこう読め!」(前編)[字]

今年度の様々なニュースを「経済学」の考え方で見てみると…社会の重要な問題が浮き彫りになってくる。今回見えてきた問題は「少子化」。徹底的に掘り下げていくと…。

詳細情報
番組内容
例えば去年を表す漢字に選ばれた「税」。このことと少子化問題は密接に絡む。少子化対策の財源には税金が重要だからだ。何かと取りざたされる「少子化」だが、経済学的には問題ばかりでもない。例えばものづくりの現場で、今と同じだけの機械設備が使えるとする。少子化になれば一人当たりが使える設備が増えることになる。つまり生産量は増えるのだ。人が減ることに対して、むしろどんな対策や知恵を絞るかこそが重要だ。
出演者
【出演】又吉直樹,【解説】大阪大学教授…大竹文雄,【語り】朴ろ美

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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