(希実)あ〜寒い!寒っ!ねえもうやめていいでしょ?
(弘基)うるさい!足じゃなくて手ぇ動かせよ!じゃあ暖房つけようよ。
バカ言ってんじゃねえよ!クロワッサンはめちゃくちゃ繊細なパンなんだから温度管理が命なんだよ!絶対風邪ひくし…。
だからジャージー着てこいって言ったのによ!ホントガキは使えねえな。
はい?その使えないガキに頼ってるくせに。
大体私がどんだけお店に貢献してるか分かってんの?デリバリーだって帳簿つけだって全部私が手伝ってるんだからね!だからどうした?あの〜お忘れかもしれませんけど私高校生なんですけど。
お店の手伝いのせいで成績が落ちたらどうしてくれんの?少しぐらい勉強時間が減ったぐらいで下がる成績なんざ所詮実力じゃねえって事だよ。
はあ〜?要はお前に勉強の才能がねえって話。
うわ〜!ムカつく!・ピーピー言ってないで黙ってやれよ。
あっ暮林さん!何やってたんだよ!1時間遅刻だぜ。
(暮林)ごめん。
ねえ聞いてよ。
弘基ったらね…。
何?
(鳴き声)あっ!何だ?クレさん…。
この先の駐車場の塀の上にいたんだけど上ったのはいいんだけど下りれなくなっちゃったみたいで。
それでしばらく様子を見ていたんだけど母猫も戻ってこないし鳴き声も弱々しくなっていくし。
だから連れてきたって訳?うん。
(ため息)おい希実これで何回目だ?3回目。
最初は子犬でしょ。
次がウサギ。
でこの子。
希実が来る前だっけなボクサー連れてきた事もあったよな?ボクサー?バカ犬。
こんなでっかいやつ。
そんな事もあったっけ?クレさん。
はい。
うちは食いもん屋なんだから動物は飼えないの。
はい。
分かってんのかよ?毎回飼い主探したりするの大変なの知ってるよな?はい。
やっぱ駄目かな…。
う〜駄目駄目駄目!うちに置いていいのは毛むくじゃらじゃない2足歩行の生き物だけなんだよ。
ごめんな。
力になれなくて…。
分かってくれるってそいつだって。
ホントに?うん大丈夫だと思う。
それじゃよろしく。
はい。
斑目さん何だって?うんすぐに来るって。
それじゃ…。
飼ってくれるって。
そっか。
よかったね。
お騒がせしました。
ねえそのシュトレンってどういうやつ?何だよ?シュトレンも知らねえのかよ。
何となくは知ってるけど…クリスマスのパンでしょ?うんドライフルーツがたっぷり入ったドイツのパンでね。
クリスマスを楽しみにしながら毎日少しずつ切り分けて食べるものなんだよ。
ふ〜ん。
(ドアベル)あの…。
(佳乃)会いたかった弘基!うわっ!
(佳乃)ねえ弘基私の事覚えてるでしょ?知らねえよお前なんて!またまた〜!約束したでしょ?お互い25歳まで独身だったら結婚しようって。
ほら!婚姻届だって一緒に書いたじゃん。
(暮林希実)婚姻届!?はい!見ます?いやいやいや!夫になる人柳弘基。
妻になる人由井佳乃さん?はい!私弘基の女なんです昔の。
はあ!?誰がお前なんかと!ひっど〜い。
忘れたの?中2のクリスマスにつきあいだしてバレンタイン明けに別れたの。
覚えてるでしょ?そりゃ覚えてるけどよ。
よかった!じゃあ結婚しよう!はあ〜!?
(佳乃)いきなりすぎる?じゃあまずは同せいでいいから。
何だよそれ!全然話見えねえし。
実は私行く所がなくて。
お金もないし…頼れる人もいないの。
だからお願い弘基!しばらくの間でいいから。
何言ってんの?お前。
置いてくれるなら私何でも言う事聞くから!家事もするし仕事も手伝う!だからお願い!いいですよ。
なあ弘基。
ちょっと待てよクレさん。
行くとこないんだったら大変じゃないか。
勝手に決めんなよ!大体俺んちワンルームだぜ!こいつが寝る場所なんて…。
ここに泊まってもらえばいい。
2階だってまだ1部屋空いてるし。
あのな…クレさん。
言っただろう弘基。
2足歩行の生き物ならここに置いてもいいって。
確かに言ったわ。
つうかお前はいいのかよ?どこの誰とも知らねえ女と一つ屋根の下で暮らす事になっても…。
私は全然大丈夫。
ここにいてもらえば。
おい!使えないガキよりだいぶ仕事の役に立ってくれそうじゃん。
お前!
(口笛)ムカつく!
(佳乃)ありがとうね。
私がこっちの部屋を使うのでこっちの部屋使って下さい。
うん。
は〜い!お邪魔しま〜す。
どうぞ。
うわ〜!何かレトロ!そうですかね?うん!いいじゃんいいじゃん。
私の荷物片づけますね。
ねえねえねえ希実ちゃんってさいくつ?17歳です。
へえ〜一番いい時だね。
そうなんですかね?そうだよ!やっぱさ10代はイケイケだよね。
イケイケって…。
ねえねえそうだ!このお店ってあの2人で経営してんの?経営者は一応暮林さんみたいで弘基は雇われブランジェって事みたいですよ。
でもまあ暮林さんはパンなんてほとんど作れないし弘基がいなきゃお店は成立しないと思いますよ。
そうなんだ。
ねえでもさ何で夜中なんかに営業してんの?さあ?一度聞いてみた事あるんですけど何かいろいろあるみたいで。
じゃあさ暮林さんって恋人は?やっぱいるよね!もしかして奥さんとかいたりする?住んでるのはここじゃないんでしょ?お店ってさまだオープンしてそんなにたってないんだよね?暮林さんって前どんな仕事してたの?スーツとか似合いそうだよね?こうネクタイをクッみたいなね。
弘基はさ恋人いたりすんのかな?分かんないよね。
私も分かんないもん。
そもそも暮林さんと弘基って何で一緒にお店始めたりしたの?知り合ったきっかけは?え〜っと…最初の質問は何でしたっけ?だから暮林さんって恋人いるの?・
(佳乃)ありがとう。
すいません。
うん。
ありがとうございます。
うんじゃあね。
(ため息)お邪魔します。
・
(犬の鳴き声)よろしくお願いします。
あっ!すいません携帯の充電器そっちに忘れてきちゃったみたいなんですけど…。
(ノック)すいません。
佳乃さん?あの〜入りますよ?お邪魔します…。
あっ!うそ…。
弘基!何だよ?あのね落ち着いて聞いてよ。
お前が落ち着け。
あの…あの人がね…。
お金…。
うん?金がどうしたって?ボストンバッグに札束!すんごいこ〜んなにたくさん入ってたの。
あっそう。
はい?ちょっとちゃんと聞いてんの?聞いてるよ。
弘基!あの人おかしいよ。
お金あんなに持ってるのに行く所がないなんて言っちゃって。
絶対おかしいって!お金があっても行くとこがないのはそいつが使える金じゃないからだろうな。
はっ?使えないお金って何?犯罪がらみか借金返済のための金とか?どういう事?もしかしてあの人ヤバい人な訳?知るかよ。
あいつとはもう10年以上も会ってなかったんだし今現在どんな人間やってるかなんて俺の知ったこっちゃないし。
それはそうかもしれないけど…。
大体あの登場のしかたどっからどう見ても怪しかっただろ。
だから俺はあいつをここに置いていいかどうか聞いたの。
なのにどっかのバカが全然大丈夫とか言うし。
それはその…私が悪かったけどさ。
で…どうするの?ほっとけ。
お前が首突っ込んでもえっ?しかたねえし。
そんなつもりじゃ…。
地元のやつらにあいつの事は聞いてみるからよ。
お前は何も見なかった事にして普通にしてろ。
そんな事できる訳…。
いいか?下手に関わんじゃねえぞ。
分かったな?ほらとっとと寝ろ!はい…。
(ドアベル)いらっしゃいませ。
(松川)なるほど。
(高橋)おい何が「なるほど」だ。
佳乃ちゃんの手握りたいだけじゃないのか?佳乃ちゃんは面倒見がよくって恋愛では献身的に相手に尽くすタイプだね。
やだ!何で分かるの?
(池沢)じゃあさ結婚したらさ「あなたお帰りなさい。
お風呂になさいます?お食事になさいます?それとも…」なんて言っちゃったりする?エッチ!それセクハラ!ごめんなさ〜い。
そうですセクハラです。
ごめんなさ〜い。
(松川)気持ち悪いんだよ!おっ!結婚運いいですよ。
ほらほらほら来た!
(松川)25歳で結婚って出てるよ。
うそ!私もうすぐ25歳の誕生日なんですよ。
心に決めた人もういたりするんじゃないの?いません!ん?誰?誰?誰?誰!?後ろすいません。
もしかしてもう出会ってたりするのかな?運命の人に。
お客さん全員敵に回しちゃったね。
えっ?ねえまっつん!ほかのも見て。
ああ…。
(ドアベル)いらっしゃいませ。
(斑目)ああ遅かったか…。
クソ…不毛な打ち合わせのために…。
なんたる不覚だ!彼らは一体いつからああしてるのかな?今日の一番乗りはカレーパングリーンさん。
感情線これ7号線。
(笑い声)開店時間からかな?えっ!?かれこれ1時間になるじゃないか。
そうだね。
ハハハハ!斑目さんいらっしゃい。
こんばんは。
ちょっと斑目氏!斑目氏!ちょっと早く来て!ちょっと!ねえ来て早く。
何?また背後霊攻撃?そろそろ席を譲って頂こうかとやめなよ。
思ってね。
斑目氏のせいでお客さん減っちゃったらどうすんの?そんな事はないだろ!佳乃さんが来てからお客さん倍に増えてると見たけど。
確かに。
増えたのは男のお客さんだけだけどね。
あれ?もしかしたら…。
何よ?希実ちゃんも嫉妬とかするんだ?嫉妬?私が?
(斑目)希実ちゃんブランジェリークレバヤシの紅一点看板娘だったしね。
それが佳乃さんの登場から1週間もたたずしてあっさりその立場を取って代わられてしまった訳だから心中穏やかじゃないんじゃないの?別にそんなんじゃないから。
言っておくけどあの人はね…。
佳乃さんがどうかした?いや何でもない。
それじゃ失礼して…。
嫉妬?そんなんじゃないし…。
何ぶつぶつ言ってんだ?クレさん。
ねえ…。
あの人の事何か分かったの?ああ。
そもそも父親が社長か何かでな。
お嬢さん学校に通ってる優等生だったんだよ佳乃は。
そうなの?じゃあ最近の事は?まだ分からん。
今んとこあいつもおかしな動きはしてないし。
もう少し様子見てりゃいいよ。
何のんきな事言ってんの?絶対あの人おかしいよ!どこが?お客さんのあしらい方とか何かうますぎるっていうか…。
それに何か暮林さんに取り入ろうとしてるし。
それは昔からだよ。
とにかく八方美人なんだよあいつは。
弘基はそれでいいの?何が?だって佳乃さん一応元カノなんでしょ?昔の彼女が暮林さんにベタベタして平気な訳?平気だけど。
つうか何でお前がそんな事でピーピー言うんだよ?いつまでも私は別に…。
ぶつくさ言ってないで早く寝ろ。
都合が悪くなるとすぐ寝ろって言うんだから。
(佳乃)はいどうぞ。
うまそう!いい匂い!パンに合うんじゃないかと思って。
さあ頂きましょう。
頂きます。
頂きます。
頂きます。
どうですか?うんおいしい!普通のミネストローネの味と少し違うよね?ちょっとカレー粉を入れてみたんです。
だからスパイシーなんだ。
弘基うまいよな?うん…まあいいんじゃない。
これならイートインコーナーに出せるかもな…。
ホントですか?うん。
うれしい!じゃあオムレツも食べてみて下さい。
自信作なんですよ。
あっ!何だよ?何で?何でそういう事するの?えっ?私何かしたかな?それ!私の靴下だよね?ああこれ?暖かそうだったから借りちゃった〜。
普通人に断りもなく勝手に借りたりする?だよね。
ごめんね。
この間は私の携帯使おうとしたしジャージーも勝手に着てたよね?着た。
そうだよシャンプーも使ったでしょ!うん使った!全く…せこい事言ってんなよ。
どっちがせこいのよ?だってこの人はね…。
…っていうか佳乃さんって何者?ごちそうさまでした。
あ〜あせっかく作ったのに…。
まあいいや。
食べよう。
希実ちゃん!はい。
ありがとう。
どうした?何か最近変だよ。
佳乃さんすごい大金持ってるんだよ。
えっ?お金!ボストンバッグいっぱい。
何だそんな事か。
はい?何千万とかってすごい額のお金なんだよ!それなのにお金ないとかうそついて…。
おかしいでしょ?弘基は自分が調べるから待ってろとか言うけどその間に大変な事が起こるかもしれないし…。
大変な事って?それは…。
よく分かんないけど。
弘基に任せよう。
待ってよ!もしかして悪い事して逃げる人かもしれないんだよ!大丈夫。
悪い人なんかじゃないよ。
何で?どうしてそう言い切れんの?婚姻届。
婚姻届?中学2年生の頃に書いたって言ってただろう。
そんな昔のものを無くさずに大切に取っておいたんだから。
きっとすごく純粋な人なんだろうな。
だから大丈夫だよ。
暮林さんってそういう人だよね。
どんな人でも受け入れて…。
私もだけど。
行ってきます。
行ってらっしゃい。
(こだま)うわ〜!これがシュトレンか!よし…。
(子ども)早く!早く行って!早く行って!また行くよ〜。
行くよ〜。
(母親)は〜い。
すげえいい匂いがする!だろ?匂いだけじゃないからないいのは。
ホントいい匂いだね。
楽しみ。
よし試食会始めるぞ。
みんなの意見を聞いてこれがブランジェリークレバヤシのシュトレンだって言えるように仕上げようと思ってるからさ。
心して味わえ。
よし…。
うんいい感じだ。
じゃあ食ってみるか。
頂きま〜す!頂きます。
頂きます。
頂きます。
頂きます。
うまい!うんおいしい!ホントすごいよ。
やるじゃん。
でもシュトレンの本当のうまさはこんなもんじゃないんだ。
そうなの?うん。
何せ熟成していくタイプのパンだからな。
一日一日砂糖とかドライフルーツとかどんどん生地となじんでいってクリスマスの頃に一番うまくなるんだぞ。
すげえ!何かかっけえ!何でもかっけえって…。
何?クレさんどうかした?う〜ん何かちょっと…。
ちょっと何だよ?いやおいしいよ。
でも美和子が作ってくれていたのと何かが違う気がして…。
香りが違うのかな?香りが違う?う〜ん…。
何かもっとふわっとしたような匂いだったような…。
酒の種類が違うのかな?う〜んよく分かんないんだけど美和子が作ってくれていたのとは。
何だよ?それじゃ改良のしようがないじゃんかよ。
ごめん…。
分かったよ。
よし美和子さんのオリジナルのシュトレンは俺が絶対再現してやるからよ。
いいよこれでいこうよ。
すごいおいしいし…。
駄目だよ。
ブランジェリークレバヤシのシュトレンは美和子さんのレシピでいく!
(こだま)頑張って!弘基師匠!おう!任せとけ。
でもこれすごいおいしいけどね。
う〜んこれじゃなさそうだな…。
つうかお前も手伝えよ。
えっ?私宿題やってんだけど。
宿題とシュトレンどっちが大事なんだよ?
(ため息)そう来ると思った…。
ねえ美和子さんってさもしかして結構大ざっぱな人だったとか?大ざっぱっていうか細かい事は気にしないタイプだな。
これ全部探すの?決まってんだろ。
暮林さんにも一緒に探してもらえばいいのに。
あの人は無理だな。
何で?まだ受け止められないんじゃねえかな。
え?自分が一緒にいられなかった間に美和子さんが感じていた事に触れる勇気がないんだよきっと。
何で?好きだった人の事なら何でも知りたいんじゃないの?前は俺もそう思ってたけど…。
でも好きだったから知りたくないのかもしれないし…。
(ノック)・
(女性)オラヨウスケ!
(外国語で)チャオ!チャオ!
(呼び出し音)おはよう。
(美和子)「おはよう。
今帰ってきたの?」。
うん。
受け取ったよ。
「毎日ちゃんと食べなくちゃ駄目だからね」。
はいはい。
ねえどうしてシュトレンだけは毎年贈ってくれんの?「秘密!」。
秘密?「フフッ…秘密ったら秘密なの」。
何だよそれ。
(美和子)「今日は商談うまくいった?」。
うんまあなんとかね。
リオは頑固でさ…。
う〜んどこに書いてあるんだよ?そっちは?まだ見つからないのか?ねえ美和子さんってドイツ語話せたりしたの?ああパン修業ドイツでもやってたからな。
この…「Stollen」ってもしかして…。
シュトレン!それだよ!えっ?「RhumRosinePeaud’orangePelureducitronドライフィグクランベリーAmandeピーカンNoix」。
何だ随分スタンダードだな。
「ZimtMuskatnussPfefferカルダモンVanille」。
何だよスパイスも普通じゃねえかよ。
ん?何だ?これ…。
何?アイ。
アイ?何それ?だから愛だよ愛。
ラブの愛?うん。
「愛を少々」って書いてある。
一応お伺いしますけど愛って食材があったりするの?バカ!だから一応確認しただけじゃん。
クソ!諦めないからな!何意地になってんのよ?うるせえ!あっいいか?俺は仕込みに戻るけどお前は参考になるもん探しとけ。
えっ?だから宿題があるんだって!宿題とシュトレンどっちが大切なんだよ?宿題に決まってるでしょ!うん頼んだぞ。
もう!何なのよあいつ!命令じゃなくてお願いしなさいよ!パンオタクめ…。
あ〜!もう無理…。
・
(佳乃)希実ちゃん!はい?ああ…お店に届いたダイレクトメールの中に希実ちゃん宛てのが混ざってたんだけど。
私?うん。
でもね差出人の名前書いてないの。
何だったら私処分してくるけど。
大丈夫です。
ありがとう。
そう?じゃあ何かあったら言ってね。
(律子)「のぞみん元気?お姉さんとはうまくやれてる?いい人だからきっと大丈夫よね?ちなみにハハは元気よ。
毎日ハッピーです。
写真の彼はハハの新しい恋人です。
びっくりした?びっくりするよね?ハハもびっくり。
なんと彼はお医者さまなんです。
ようやくハハも幸せになれそうです。
でねハハの住所も本当は伝えておきたいんだけどでもまだのぞみんのこと彼に言えてないのね。
てゆうか二十六歳独身っていうことになってるからのぞみんから返事の手紙がきたらすっごくヤバいのね。
だからまだ住んでいるところは秘密にさせて下さい」。
相変わらず勝手な事ばっかり…。
(律子)「のぞみんは強い子だからハハがいなくても全部うまくいくと思います。
という訳でがんばってね。
クサバのカゲから応援してま〜す。
じゃあね。
バイバイ。
ハハより」。
(ソフィア)あららもう終わりねこの2人。
ソフィアさん!?どうしてここに?あれ?ニューハーフのお店復活して忙しいんじゃないんですか?
(ソフィア)そうなの。
忙しいったらありゃしないのよ。
「あの伝説のソフィアついに復活」とか騒がれちゃって。
毎晩毎晩私目当ての客が殺到!「ソフィア!」って。
でも今宵はここのパンがどうしても食べたくなっちゃってお店早くあがりました。
ここ着きました。
そしたら満席でしたって。
もう私「信じられない!」ってほえたの。
そしたらあの黒い方弘基が希実ちゃんの部屋どうぞって言ってくれたの。
ふ〜んそうだったんですか。
そんな事より…。
その男の表情から察するにう〜ん…。
関係はあと1か月ううん半月もつかなって感じかな。
どうして分かるんですか?決まってるじゃない。
女の勘よ。
女の勘…?ねえその写真の女の人って希実ちゃんのお母さん?そうですけど。
やっぱり!似てるもんね。
何か恋してるみたいでうちの母。
そりゃするでしょうよ。
まだお若いみたいだし。
でももう34ですよ。
あら私と一緒じゃない!そりゃするわよ。
させてよ恋くらい。
でもうちの母の場合恋っていうか居場所を探してるみたいっていうかつきあう男の人で生活変えちゃったり娘の私もほったらかしにしたり。
寂しいでいっぱいなのね希実ちゃんのお母さん。
そうなんですかね?でも親が寂しいでいっぱいって子どもにとってはきついわよね。
そう…なのかな?カモン!はい?私の事をお母さんって呼んでいいんだよ。
いやあの…大丈夫です…。
ううんおいで。
大丈夫です。
そう?遠慮しなくていいのに。
あっはい…。
でも寂しい時はいつでも貸すからねこの胸。
ありがとうございます…。
あっねえ希実ちゃん何あの女。
新入り!ちょっと感じ悪くない?分かります?分かるわよ。
私のクレといちゃいちゃしちゃってさ〜。
してました?いちゃいちゃ。
してたしてた。
クレもさ奥さんを亡くして1年とちょっとでしょ?いろいろと周りが落ち着く分精神的にもつらい時期だと思うのよね。
そんな時にああいう女が周りをウロウロチョロチョロしてたらさよっぽどの聖人君子じゃない限り多少はフラフラッと来ちゃうもんなのよ。
フラフラッと?危ないわよああいう女は。
男を惑わすタイプだもん。
なあホントに覚えてないのかよ?何が?美和子さんのレシピだよ。
いくらノート探しても分かんないんだよな。
そうか。
あれいつだったっけな…。
ん?それまで作ってもらっていたのと何か味が変わったなと思った時があったんだよね。
それいつ?え〜っと…。
5年くらい前だったかな?5年前っていったら美和子さんがドイツにパンの修業に行ってた時だな。
ミュンヘンからデュッセルドルフに行った頃か。
いやドレスデンだな…。
すごいな弘基は。
美和子の事何でも知ってて。
妙な感心のしかたすんなよ。
なあ弘基佳乃さんの事なんだけど…。
聞いたのか希実から。
何か分かった?分かんない。
しかし何で俺のとこなんかに…。
弘基だったら助けてくれると思ったからだよ。
だよな。
大丈夫だよな?あああいつの事も美和子さんの事もちゃんと片つけるからさ。
じゃあお休み。
お休み。
デリバリー手伝ってくれてありがとうねこだま君。
うん!俺佳乃ちゃんのお手伝いならいつだってやってあげる。
ホント?優しいね!こだまお前もか…。
あ〜お帰り!お帰り!ただいま。
こだまちょっと来て。
ちょっと来てよ。
こだま佳乃さん怪しい動きしなかった?怪しい動きって?う〜ん…怪しいは怪しいよ。
佳乃ちゃんね全然怪しくなんかなかったよ。
お客さんもみんなすっごく楽しそうに話してたし。
ねえ希実ちゃん佳乃ちゃんの事嫌いなの?えっ?この間斑目氏が「女同士の嫉妬ほど怖いもんはない」って言ってたけどどういう意味?もういいよ。
あんたも男だって事忘れてた。
どういう意味?もういいよ。
誰が呼んだんだ?俺じゃない。
私じゃない。
じゃあ帰るよ。
冗談だよ冗談!何だよもう!ごめんごめん。
バカ!そしたらシュトレン第2回試食会始めるぞ。
例の食材って分かったの?愛を少々だろ?愛を少々?ちゃんとぶち込んでおいたぜ。
よし!はいクレさん。
ありがとう。
俺も!頂きま〜す!うまい!これこの間よりもいい匂いでうめえ!少々薬っぽい味がするな。
これは…ハーブかな?正解!この場合はスパイスって言った方がいいけどな。
さすが斑目違いが分かる男だな。
そりゃどうも。
アハハハハ!確かに薬っぽいけどでも強くは主張してないね。
何なの?これ。
キャラウェーだよ。
まあ使ってるのはこのキャラウェーシードだけどな。
(斑目)知ってる白い花を咲かせるセリ科の二年草でしょ。
キャラウェーはヨーロッパで古くから親しまれてるスパイスなんだよね。
キャラウェーはシュトレンに混ぜるのは邪道なんだけどドイツではほかのパンやお菓子なんかにはよく入れられてんだ。
で…実際入れてみたらクレさんの言ってたふわって感じの香りがして味も別に悪くなかったし。
しかしシュトレンにキャラウェーとは随分意味深な感じがするな。
けどだからキャラウェーなんじゃないかって思ってさ。
どういう意味?何でそのキャラウェーが意味深なの?キャラウェーは昔から味や香りをよくするだけじゃなくて特別な効用があると信じられてきたんだよ。
特別な効用?
(斑目)例えばさ魔女から身を守るとかそれからほれ薬に使ったという説もある。
そうそう。
ほかにもいろいろ言い伝えがあるんだぜ。
人や物を結び付けるだとか大切なものにキャラウェーを忍ばせておくとそれを無くさないでいられるとか。
あとは大切な人との別離を防ぐとかね。
それで思った訳よ。
誰かさんは海外赴任で世界各地を飛び回ってたから美和子さんは誰かさんと離れ離れにならないようにキャラウェーをシュトレンに込めたんじゃないかなって。
そうか。
それが愛を少々の正体か…。
どうしてシュトレンだけは回想毎年贈ってくれんの?「秘密!」。
秘密?「フフッ…秘密ったら秘密なの」。
で…どうなんだよクレさん。
これは美和子さんのシュトレンと同じ味か?ありがとう弘基。
これが美和子のシュトレンだよ。
やるじゃん。
余裕だよ。
よく言うよ。
うまいか?こだま。
(こだま)うん!
(斑目)おいしいねこれね。
(こだま)ねえドイツって日本から何m離れてんの?
(ノック)・佳乃さん。
はいどうぞ。
(ドアを開ける音)シュトレン食べませんか?もうすぐクリスマスでしょ。
それまでに食べ終わらないと弘基に怒られちゃうから。
クリスマスってさ何だろうね?えっ?私にはさ1年に1回神様に「お前にはお前の事をちゃんと愛してくれる人がいるか」って聞かれる日のような気がする。
よし!じゃあ頂こう。
頂きます。
フフッおいしい。
おいしい。
佳乃さんってどういう人なの?えっ?分かんなくなっちゃった。
私知ってるんです。
佳乃さんがボストンバッグにお金いっぱい持ってる事。
もしかして何か悪い事して手に入れたお金だったらどうしようって思ってて…。
弘基も暮林さんもその事知ってるんです。
でも2人とも佳乃さんの事問い詰めようとしないでしょ?2人とも信じてるんです佳乃さんの事。
私はいいけどでも2人の事裏切るような事だったら私許しませんから。
ごめんね。
どういう意味ですか?今はまだ何も言えないの。
佳乃さん…。
お願い!もう少しだけ待って。
ここのみんなの事裏切るような事だけはしないって約束するから。
お願い…。
あ〜終わった終わった!うわ〜!おおっ!弘基大変だったでしょ?大変だったよ感謝して食えよ。
あっクレさん何かひと言。
あっうん。
え〜2013年もお疲れさま。
え〜…あっ2014年もよろしく。
以上。
はっ!?それだけ?えっ?うん。
何かしまんねえ挨拶だな。
まあいいや。
乾杯しようぜ。
佳乃は?2階かな?
(チャイム)・すいません!
(チャイム)・すいませ〜ん!誰だろう?元日のこんな朝早くに。
お待ち下さい。
(ドアベル)新年早々申し訳ありません。
あの〜実はちょっと人捜しをしておりまして。
人捜しですか?あの〜ゆいちゃんです。
ゆいちゃん?そんな人…。
あいにくうちにはそういう名字の方はいませんが。
(小声で)佳乃さんの?
(小声で)ああ。
(男)いえ確かにこちらにゆいちゃんがいるって聞いて…。
それで僕らはこちらに伺ったんです。
あの〜失礼ですがそのゆいさんとお二人はどういったお知り合いで?
(2人)恋人です。
2人とも?恋人なんです2人とも。
お力になれなくてすいません。
いえこちらこそ朝早くからすいませんでした。
佳乃さん?ない!何がないの?佳乃さんのボストンバッグ!いなくなっちゃったんだよ佳乃さん!どういう事?何でいなくなっちゃったの?佳乃さん。
さっきの男の人たちが来たの知って逃げたって事?だろうな。
2人とも恋人って言ってたけどそれって二股かけてたって事だよね?佳乃さんって一体…。
(ため息)由井佳乃は結婚詐欺師なんだよ。
何でもいいんです。
彼女に関する事知っていたら…。
あんたもストーカー?大丈夫かよ?クレさん。
いらっしゃいませ〜。
この間は朝まで楽しかったね。
俺もです。
えっ?悪い事してるなんて思ってないから。
時間を元に戻せたらって…。
時間を戻せたらって…。
・「同じがいい」・「変わって行く色欲しいものは」・「ママがくれた」・「足りないんだよ足りない夢中」・「不思議そうに抱きしめたくなった?」・「もし、今が終わりでも」・「確かに会いたいの聴こえてるよ」・「やさしい糸また転がすけれど」・「一瞬聴こえた」・「『空を変えたい自分で越えないと』」・「『私には世界がなかったの』」2015/03/19(木) 00:10〜00:58
NHK総合1・神戸
ドラマ10 真夜中のパン屋さん(5)「元カノの秘密」[解][字][再]
物語は新展開に!弘基(桐山照史)の彼女といって店にとびこんできた佳乃は、店に住み着き、常連客のアイドルになる。面白くない希実は彼女の秘密を知ってしまう。
詳細情報
番組内容
物語は新展開! 「弘基(桐山照史)の元カノ」と言ってブランジェリークレバヤシにとびこんできた佳乃(野村麻純)は、その日から暮林(滝沢秀明)の好意に甘え、店に住み着いてしまう。面白くない希実(土屋太鳳)だったが、ひょんなことから佳乃が大量の現金を持っていることに気づき、不審に思う。だが、佳乃の過去を知っている弘基(桐山照史)はとりあわない。はたして佳乃の秘密とは? そして佳乃は本当に佳乃なのか…。
出演者
【出演】滝沢秀明,桐山照史,土屋太鳳,伊藤歩,六角精児,ムロツヨシ,野村麻純
原作・脚本
【原作】大沼紀子,【脚本】李正姫
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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