(麻里亜)《大っ嫌い》
(麻里亜)《伯母ちゃんなんて大っ嫌い!》
(奈緒子)房子さん担当の杉の間は綾さんにお願いしましょうか。
(増岡)はい。
ほれでは陣内さま担当はいかがいたしましょう?
(奈緒子)そうでした。
今日から陣内さまがいらっしゃるんでしたね。
(増岡)はい。
えー。
どうしましょう。
(房子)失礼いたします。
房子さん?
(増岡)あらら。
今日はもうお帰りになられたんでは?
(房子)ええ。
ですがやはり普段どおりにお仕事させていただきます。
いいんですか?麻里亜ちゃんのそばにいてあげなくて。
(房子)はい。
麻里亜のことは真知子さんにお任せすることにいたしました。
(増岡)ほれでは杉の間の担当は房子さんのままでよろしいですね。
あっ。
(房子)すいませんね。
余計な手間かけちゃって。
(増岡)いえいえ。
そんなことはいいんです。
あのう。
今日からまた陣内さまがお泊まりになられることになったんです。
(房子)ああ。
そうですか。
担当は以前決めたとおり塾生の日替わりにしようかと思いますが。
(房子)ああ。
女将にお任せいたします。
それでは本日の陣内さまの担当は香さんということでお願いします。
(増岡)あっはい。
(真知子)麻里亜ちゃん。
(麻里亜)房子伯母ちゃんは?お仕事に戻ってもらったよ。
そう。
房子伯母ちゃん怒ってたよね?うーん。
そうだな。
怒ってたっていうよりも房子伯母ちゃんショックだったんじゃないかな?麻里亜ちゃんに「嫌い」って言われて。
何であんなこと言っちゃったの?帰ってきたら一緒に謝ろうね。
嫌。
どうして?嫌なものは嫌なの。
麻里亜ちゃん?
(弘美)ねえねえねえ。
知ってる?房子さんのめいごさん。
いなくなったと思ったら蔵で倒れてたんだって。
(佑美)そうなんですか?でも何で蔵なんかに?
(知子)いや。
理由は分かんないんだけどさ。
でも今日の房子さん。
心なしか元気なかったでしょ?きっとそのせいよ。
(弘美)うん。
(綾)確かに。
何かおかしいと思いました。
(香)それで麻里亜ちゃんは大丈夫だったんですか?
(弘美)大事には至らなかったみたい。
何しろ真知子さんが病院まで走ったらしいからね。
(和代)それであんなに落ち込むなんて房子さんも結構優しいとこあるんだね。
(知子)「鬼の目にも涙」ってやつね。
(弘美)うん。
これは陣内さま。
おかえりなさいませ。
(陣内)また数日間お世話になります。
かぐらや一同首を長くしてお待ちしておりました。
本日はこちらの香さんが陣内さまのお部屋を担当させていただきます。
(香)よろしくお願いいたします。
(陣内)こちらこそよろしく。
(綾)桑の間焼き物お願いします。
(健太)はい。
(佑美)陣内さまいらしたんだって?
(香)そうなの。
相変わらずお忙しそう。
(佑美)そろそろ旅館の改築も始まるだろうし。
大変な時期よね。
(香)うん。
ママ。
もう一口。
ごめんなさい。
いいのよ。
病気が治るまでは私がママの代わりになってあげる。
ホントに?うん。
はい。
でもさ麻里亜ちゃんがこうして寝込んでることママに知らせなくていいのかな?麻里亜ちゃんだってホントのママにそばにいてもらった方がいいよね?麻里亜ちゃん?麻里亜。
ママいないの。
えっ?そうだったんだ。
ごめんね。
実はね私もお母さんいないんだ。
そうなの?私が小さいころ病気で死んじゃったの。
麻里亜のママは麻里亜を置いてどこかに行っちゃったの。
えっ?そっか。
それじゃ麻里亜ちゃんはずっとパパと2人で暮らしてきたのかな?うん。
あとたまに房子伯母ちゃん。
私もそうだったよ。
お父さんとおばあちゃんとずっと3人で暮らしてきたの。
私にとっておばあちゃんはお母さんの代わりね。
ふーん。
麻里亜ちゃんだって房子伯母ちゃんがママの代わりみたいに思ってたんじゃないの?うん。
なのにどうして「嫌い」なんて言っちゃったのかな?何か房子伯母ちゃんを嫌いになるようなことあった?悪口言ったの。
えっ?房子伯母ちゃんママの悪口言ったの。
そうだったんだ。
それで麻里亜ちゃんもショック受けちゃったんだね。
うん。
そっか。
それは確かに房子伯母ちゃんが悪いね。
でもさ麻里亜ちゃん。
房子伯母ちゃんのことホントに嫌いになったわけじゃないんでしょ?ホントは大好きなんじゃないの?大好きな房子伯母ちゃんだからそんなママのこと悪く言われて余計ショックだったんじゃない?うん。
うん。
そっか。
分かったよ。
よく分かったよ麻里亜ちゃんの気持ち。
うん。
(翔太)何か房子さんがいないと静かだね。
(一同)うん。
(幸)麻里亜ちゃんもこっちで食べればいいのにね。
そうね。
麻里亜ちゃんが元気になったらそうするように言ってみるわ。
(辰夫)ほうや。
ほれがいい。
うん。
(志乃)ほういえば房子さん。
今日何で旅館の方に戻ってきたんや?麻里亜ちゃんのことは真知子さんに任せることにしたからと。
(辰夫)うん。
何だか元気もなくて。
どうしたんやろうね?
(辰夫)弟さんのことで騒がせた上に麻里亜ちゃんの迷子騒動や。
うん。
(辰夫)立て続けにわしらに迷惑を掛けたと気にしとるんやないか?ほうかもしれんね。
ほんでも房子さんは家族同然なんやさかいほんなこと気ぃにせんでもいいがにね。
うん。
うん。
(房子)ただいま。
房子さん。
おかえりなさい。
(房子)麻里亜は?夕飯のおかゆをたくさん食べて今は寝ています。
そう。
ありがとう真知子さん。
いえ。
あっ房子さん。
はい。
麻里亜ちゃんに会う前に少しだけいいですか?はい。
そうですか。
麻里亜私と増岡さんの話聞いてたんだ。
子供心にすごくショックだったんだと思います。
そうでしょうね。
ああ。
弟がこしらえた借金の取り立て屋が職場まで押し掛けてきたもんだからもう取り乱してしまって。
悪いのは弟じゃなくて麻里亜の母親だなんて言っちゃって。
分かります。
房子さんの気持ちも。
でも麻里亜ちゃんもすごく後悔してるんです。
房子さんのことを「嫌い」だなんて言ったこと。
だからもう麻里亜ちゃんのこと怒らないでください。
ああ。
もちろんです。
悪いのは私なんだから。
でも麻里亜が許してくれるかどうか。
自信持ってくださいよ。
房子さんは麻里亜ちゃんのお母さん代わりみたいなものなんじゃないですか?そうね。
たった一人の弟のたった一人の娘だから。
子供のいない私にとって実の娘のように思ってた。
赤ん坊のころはねもうかわいくて仕方なかったの。
あの子の母親がいなくなったときに私が引き取ってあげられりゃよかったんだけども小さい子供抱えてできる仕事じゃないしね。
そんな麻里亜ちゃんがかぐらやに訪ねてきてくれてうれしかったんじゃないんですか?もちろんよ。
久しぶりに姿見たときはどんなにうれしかったことか。
それなら今からでも言ってあげてください。
えっ?麻里亜ちゃんはただ大好きな房子さんに言ってもらいたかっただけなんです。
「待ってたよ。
よく来たね」って。
麻里亜ちゃん。
房子伯母ちゃん帰ってきたよ。
(房子)麻里亜。
ただいま。
大丈夫?
(房子)麻里亜。
さっきは怒ったりしてごめんなさいね。
ママのことも悪く言ったりしてごめんなさい。
伯母ちゃんね麻里亜が来たのが突然だったんでさびっくりしちゃったのよ。
ホントはとってもうれしかったのにね。
麻里亜。
遠くから一人でよく来てくれたね。
ずっと会いたかったよ。
ホントに?
(房子)ホントに決まってるでしょう。
麻里亜は房子伯母ちゃんの大切な大切なたった一人のめいですよ。
房子伯母ちゃん。
(房子)ごめんね麻里亜。
私も「嫌い」なんて言ってごめんなさい。
いいのよ…。
いいのよ。
(一同)いただきます。
(香)それで麻里亜ちゃんの具合どうなの?もう大丈夫だと思う。
(綾)それはよかったです。
これで房子さんも元気になってくれそうですね。
(一同)うん。
(佑美)真知子がいない上に房子さんも元気ないと何だか調子狂うのよね。
(香)そういえば真知子。
大女将の面談どうだったの?あっ。
いけない。
忘れてた。
(佑美)それまずいんじゃない?早めにおわびした方がよさそうですね。
そうだよね。
ああー。
奈緒子さんに謹慎が解けるかもしれないって言われてたのに。
(宗佑)はい。
毎度どうも。
(女性)ありがとうございます。
(宗佑)へえー。
元気のない房子さんね。
何かそれ想像もつかんな。
でしょう?何だか私も拍子抜けで。
(宗佑)何言ってんだよ奈緒子。
お前房子さんがうち来たときさ何か目の敵にされてるようでやりづらいって言ってたじゃねえかよ。
そうなんだけど。
いざこうなってみると妙に張り合いがないっていうか。
物足りない感じがして。
(宗佑)ああ。
(宗佑)まあいつの間にか房子さんのあの厳しさはかぐらやにとってなくてはならないスパイスになっちまってたってことか。
そうかもね。
うん。
房子さん。
(房子)真知子さん。
麻里亜ちゃんどうですか?おかげさまで熱もすっかり下がりました。
よかった。
きっと麻里亜ちゃん房子さんがそばにいてくれて安心したんですね。
いや。
全て真知子さんのおかげです。
もうあなたがいてくれなかったらこの子との仲がどうなってたか。
ホントにありがとうございました。
そんなやめてください。
私はただ麻里亜ちゃんの気持ちを房子さんにお伝えしただけなんですから。
でも知らないふりだってできたはずでしょう?えっ?私これまであなたにはことさら厳しくしてきました。
真知子さんには私を助ける義理などないはずです。
そんなことは全然思ってません。
私は房子さんに厳しくしていただいたことむしろ感謝してるんです。
何もできなかったこの私がここまで成長できたのは房子さんの厳しい指導のおかげなんですから。
真知子さん。
とはいっても今は謹慎中の身なので指導もしていただけないですけどね。
(房子)違うのよ真知子さん。
どうされたんですか?こんな朝早くから。
(房子)突然お呼び立てして申し訳ございません。
実は女将に折り入ってお願いしたいことがございまして。
何でしょう?あのう。
真知子さんを…。
真知子さんを女将塾の修業に戻してやっていただけませんか?房子さん?いや。
房子さんにそう言っていただけてとってもうれしいです。
でも驚きました。
房子さんが真知子さんの謹慎を解くようにおっしゃるなんて。
まさか房子さん。
弟さんとめいごさんのことでこのかぐらやを出ていこうなんて思われてるんじゃ?あっ。
違います。
そういうことではなくて。
だったらどうして急にそんなことを?あっ。
それは…。
私のせいなんです。
えっ?陣内さまの会食でのタイのお料理に私が塩を入れました。
塩ですか?はい。
真知子さんのオオダイのお料理を台無しにしようと私が夜中にそっと塩を足しました。
えっ?そ…そんな。
次は内々のことではありますが房子さんのめいごさんが春休みを利用して金沢に遊びに来とります。
めいごさんがいる間房子さんがなるべく早う寮に帰れるよう皆さんも協力してあげてくださいね。
(一同)はい。
では今日もよろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
大女将。
うん?あのう…。
何や?深刻な顔して。
折り入ってお話ししたいことがあります。
えっ?いったいどうしたんや?けさからずっと難しい顔して。
実はけさ早く房子さんに呼び出されました。
房子さんに?はい。
それで陣内さまの会食での真知子さんの失敗は房子さんがご自分のせいだと打ち明けられました。
うん?どういうことや?房子さんが真知子さんのたい料理に夜中こっそりと塩を足したんだそうです。
塩辛くて食べられない料理にするために。
えっ!?何ということ。
何ということや。
大女将?房子さんにはすぐこのかぐらやを出ていってもらいます。
(房子)佑美さん。
(佑美)はい。
(房子)この裏は掃除しました?
(佑美)はい。
いいでしょう。
皆さん。
ずいぶんとよくなりました。
房子さん。
はい。
奈緒子さんから話を聞きました。
陣内さまの会食でお出しした真知子さんのたい料理にあなたが塩を入れたというのはホントですか?塩?間違いございません。
あっあのう。
すみません。
おっしゃってる意味が分からないのですが。
けさ房子さんが打ち明けてくれたんです。
真知子さんが陣内さまの会食のために作ったオオダイの料理に房子さんがこっそり塩を足したと。
それじゃあれは…。
(村田)《んっ!?女将。
これはいったい何だ!?》《村田さま?》《どうかされましたか?》
(村田)《こんな塩っ辛いものをよく食わせてくれたもんだね?》房子さんが私の料理に塩を足したからですか?そのとおりです。
全て私の責任です。
真知子さんは何も悪くありません。
申し訳ございません。
えっ?何で?どうしてそんなこと?あのお料理を台無しにすれば陣内さまの真知子さんへの評価が下がると思ったからです。
何でほんなことを?何で真知子さんの評価を下げんないかんのです?ほんなに真知子さんのことが気に入りませんか?房子さん。
何とか言ってください。
どんな理由があったにせよ誰かを陥れるということは人としてあってはならんことです。
しかもお客さまを巻き込むやなんてとうてい許されることではありません。
大女将のおっしゃるとおりです。
私のしたことです。
何一つ申し開きはございません。
ほうですか。
房子さん?ほれなら真知子さんにはあしたから今までどおり女将修業に戻ってもらいます。
はい。
ですが…。
房子さんにはこのかぐらやを辞めてもらいます。
はい。
2015/03/19(木) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #54[字][デ]【出演:羽田美智子 矢田亜希子 野際陽子】
陣内(須賀貴匡)が開いた宴席で大失敗した真知子(矢田亜希子)は志乃(野際陽子)に謹慎を命じられ、責任を感じて行方をくらます。奈緒子(羽田美智子)は懸命に探すが…
詳細情報
番組内容
房子(沢田雅美)は麻里亜(伊東蒼)に拒絶され、ショックを受ける。これまで素直で大人しかった麻里亜の変化に、真知子(矢田亜希子)は何か理由があるのではないか、と考えるが…。
「かぐらや」に陣内(須賀貴匡)が戻ってくる。これまでなら何かしら理由をつけて、贔屓にしている綾(原田佳奈)に陣内の世話をさせようとした房子だが、今回はそこまで頭が回っていない様子。
番組内容2
最近、どこか元気のない房子に、奈緒子(羽田美智子)を始め誰もが心配になる。
房子は贔屓にしている綾のためとはいえ、真知子の作った、陣内の食事会に出す鯛料理に塩を入れてしまったことに内心苦しんでいた。追い詰めたはずの真知子に姪の世話をさせた上、感謝の言葉まで告げられ、ついに全てを打ち明けようと決心を固めるが…。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
片瀬真知子:矢田亜希子
宮崎 綾:原田佳奈
白山 香:広澤 草
石野佑美:川村ゆきえ
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
・
神楽宗佑:津田寛治
小島房子:沢田雅美
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:新村良二
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:東方神起「サクラミチ」(avextrax)
エンディングテーマ:東京カランコロン「夢かウツツか」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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