地球イチバン(最終回)「世界一平らな大地 ボリビア・ウユニ塩原」 2015.03.19


チュニジアの保健省は、外国人観光客ら23人が死亡し、47人がけがをしたことを明らかにしました。
もしも天国が本当にあるとしたらこんな場所かもしれません。
大地が大空を映し出す天空の鏡。
今夜は「地球イチバン」がたどりついた究極の絶景へとご案内します。
どこまでも続く真っ白な大地。
世界で一番真っ平らな場所です。
地面は全て塩の結晶。
そんな大地が年に一度天空の鏡に姿を変えます。
奇跡の風景を生んだ聖なる山。
(鳴き声)その麓にははるかインカの暮らしが息づいていました。
南米ボリビア第1の都市…日本から飛行機を2回乗り継ぎ35時間。
やって来たのは俳優の…ああ何かでもちょっと空気が薄い気がしてきた…。
それもそのはず。
ここは標高4,000メートル酸素は平地の2/3しかありません。
須田さんがはるばるこの地にやって来たのはある写真との出会いがきっかけでした。
大地が壮大な鏡となる奇跡の絶景。
ここボリビアにあるウユニ塩原で見られるんだそうです。
こんな絶景が本当にあるんだろうかという気持ちですよね。
空を歩いているような感じになるのかな?雲が下にもあって上にもあるから。
ねっ。
宇宙にいるようなそんな感覚になるのかなと思いますけど。
須田さんの趣味はカメラ。
大学では映画学科に進みプロのカメラマンを目指していた本格派です。
坂道が多い。
やばい…息切れが。
ここに行きたいんですけど行った事ありますか?僕ここに行きたいんですけど…。
いろいろ準備が必要との事ですが須田さん実は海外旅行はほぼ初めて。
大丈夫でしょうか?長靴…。
載ってない!ボータ。
ボータ?ボータ。
ボータ!あった。
どうやら通じたみたいですね。
27センチ。
完璧な感じがします。
長靴を買ったし…OKだと思います。
はい。
あとは運がよければ。
目指すウユニ塩原はラパスから500キロ。
飛行機と車を乗り継いで向かいます。
あっこれがリャマ?お〜いっぱいいる!道の途中で出会ったのは…アンデスを象徴する動物です。
さあいよいよ塩原の入り口が近づいてきました。
着いた。
うわ〜来た。
広い!何だろう…何かこの不思議な感じ。
果てしなく続く地平線。
ここから先全てが塩の大地です。
白いかな。
硬い!硬いっていうか…。
あっ!ごめんなさい吐き出しちゃった。
ほんと塩だ!入り口では砂が混じるため黒ずんでいるんだそうです。
真っ白な大地を目指し塩原の奥へ。
ここからは特別な許可を取って進みます。
次第に水は無くなり大地が白くなってきました。
車を飛ばして1時間。
何かすごい砂漠みたいな感じ。
確かにすごい。
うわ…白い辺り一面!う〜!う〜!照り返しがすごいこれ!目が開けていられないぐらい。
360度見渡す限り一面白の世界。
ウユニ塩原は東西120キロ南北100キロもの広さがあります。
その大きさは四国のほぼ半分。
宇宙からもはっきり見て取れます。
実はここ世界で一番真っ平らという特別な場所なんです。
それを証明したのがこの人。
アメリカの…NASAの衛星を駆使し塩原の数千か所の標高を1センチ単位で調べた結果世界でもほかに例を見ない地形だという事が明らかになりました。
しかしなぜこれほど広大で平らな大地が出来たのでしょうか?7,000万年前海の底だったこの地は隆起し山となりました。
そこに雨が降ると海だった時の塩分がくぼ地へと流れ込みます。
たまった水は太陽の強い熱ですぐに蒸発塩だけが残ります。
雨が塩を運んできては乾く。
これが何十万年と繰り返されるうちに塩が起伏を埋めていきました。
大自然の営みが世界一平らな大地をつくったのです。
自然の力は大地に不思議な模様も生み出していました。
何でこんな模様になってるんですか?この形…。
乾燥でひび割れた場所に塩の結晶が固まり出来る模様。
自然の法則で六角形になるんだとか。
ここで須田さん記念の一枚。
うん本当に真っ平らですね。
この写真を撮るには結構いい条件がそろってると思うんですけど。
目的の天空の鏡を見るにはさまざまな条件がそろわなければなりません。
まず大地に水が張っている事。
更に風もなく晴れていなければあの奇跡の光景は現れないのです。
そんな水が張った場所を探していると須田さん何かを見つけました。
よいしょ。
おお〜面白い。
ブロックになってる。
大地を切り出した塩のブロックです。
家畜に与える塩なんだそうです。
層になってる。
何か模様になってますね。
断面にある幅数センチの年輪のような模様。
塩が堆積していく時に雨が多かった砂が舞っていたなどその年ごとの気候が刻まれています。
この塩のブロック最近では食用だけでなくちょっと変わった使い方もされています。
一体何だと思いますか?やって来たのは観光客のための休憩スペースです。
またここはちょっと不思議な…。
いろんな国の国旗が来てる。
へえ〜。
そこに答えがありました。
これあの塩のブロック?ここも?ここも塩?へえ〜!すごい…。
塩のブロックレンガ代わりにも使われているんですね。
オラ!ジャパン!
ここで僕はウユニならではの楽しみ方を教えてもらいました
何かというと…
ここでしか撮れない不思議な記念写真です
OK?
手前に人形を置いて…
遠くでポーズをとると…
ほら!こんな写真になるんです
何も遮るものがない平らな大地では遠近感が狂ってしまうからです。
この写真を撮るためにわざわざ道具を持ってくるほど世界中の観光客の間ではやっていました
ところで皆さん鏡の絶景は見られたんでしょうか?
あんまりみんな見れてないって言ってたから逆に俺は見たいっていう気になりますね。
本当に鏡張りの絶景に出会えるんでしょうか?塩原を走り回る事2時間。
ほんとだ!水が…急に水が。
おお!塩の大地に水が現れ始めました。
そしてついに…。
雲の感じもあっちとねほら似てるし。
確かにあの景色の場所です。
足元に敷き詰められた塩の結晶。
年に一度の雨季塩の上にうっすらと雨水の膜が張ると乾くまでの数時間だけ奇跡の絶景が現れます。
まるで雲の上を歩いているかのようです。
こんな世界があったんだって感じですね…。
すげえ涙が出てくるんです…。
圧倒的なものを見ちゃうとね涙が出ちゃうような感覚って初めてだから…。
うん…何でだろう?自分の限界を超えちゃうのかな?毛穴がぶわっと開くような感覚っていうかうわ〜ってなってしまう感覚…。
せっかくなんで塩の…どんな感触なんだろう?あっ硬い。
痛くないですか?うん。
まだ歩いてないんであれですけど。
あっ気持ちいい!ちょうどいい刺激じゃないけど。
気持ちがいい。
水の深さを測ってみると…。
1センチ!何かもうちょっと深いのかと思ってたけど。
浅いほど波が立ちにくくきれいな鏡になるんだそうです。
さあいよいよ写真の撮影です。
2台のカメラを駆使して最高の写真を撮りたいと思います。
これでもどうなんだろう?どれぐらいで撮れるんだろう?慎重に同じ構図を探し露出を調整。
OK!ガイドにカメラを託します。
出来栄えはどうでしょうか?おおおおおお!うんなかなか!写真が撮れたところでお祝いに絶景の中でランチ。
まさかこんな所でピクニック気分が…。
最高です。
う〜んなんともぜいたくですね。
そして夜。
ウユニの魅力はこれだけではありません。
何でもこの塩の大地に島が浮かんでいるとか。
島と聞いて須田さんどうしても行ってみたくなりました。
ちょっと自分に通じるものがある。
僕も島の出身で200人ぐらいの小さな島に住んでたんです。
須田さんは福岡県の姫島という人口およそ200人の小さな島の生まれです。
中学卒業まで海の自然に親しみ育ちました。
地球の反対側にある塩原の島って一体どんな所なんでしょう?遠く陽炎の向こうに島が見えてきました。
一周2キロ。
塩原の真ん中にある…「インカの家」を意味するこの場所は塩原を行き来する人たちが立ち寄る休憩所として使われてきました。
すごいこの無数のサボテン。
しかもでかい。
一面塩の大地でも島にだけはサボテンが生い茂っていました。
中には高さ9メートル数百年生きているサボテンもあるそうです
あっ思ってたより堅い。
痛っ!こんなでかいんだ。
たくましい何か。
何なんですかね?ここ。
早速海底にあった事を思わせるような場所を見つけました
あっ何かこれとか…ボコボコボコって潜ってきてこうやったりなんかするとサザエとかアワビとかこの辺にいたりする感じしません?俺海で潜ってた時こういうとこ探してたから。
遠く地球の反対側にもふるさとに通じる風景があるもんですねえ
オラ。
この島に1軒だけ人が住む家がありました
これもサボテンの?へえ!お邪魔します。
アルフレッドさんはここを訪れる観光客向けに店を開いています
アルフレッドさんがいつもお客さんをもてなす時に出すとっておきのデザートを食べさせてくれました
おっと怖い。
サボテンの実です
おっととと!
(笑い声)落ちてきた。
ハハハハ!とれた。
ワオ!
サボテンの実は滋養強壮によいと昔から食べられてきたんだそうです
お〜!ありがとうございます。
グラシアス。
頂きます。
うん!やばい懐かしい!アケビとか何かそういう…おいしい!甘い!甘くて…。
シャキシャキしてて種が。
うん!
(笑い声)
アルフレッドさんにとっても元気の源でした
アルフレッドさんがこの地で生きる人たちが崇める大切な場所を教えてくれました。
対岸にそびえる…標高5,000メートルを超える火山です。
トゥヌーパはこの地で信仰されてきた女神です。
生まれたばかりの我が子をなくした女神トゥヌーパが悲しみのうちに搾った母乳。
それが真っ白な塩原を生んだと伝えられています。
女神の山の麓にある神聖な村。
そこにはインカの時代から続く暮らしが残っているといいます。
聖なる村への交通手段は塩原の入り口にある町から出る路線バスだけです。
大きいけどちょっと古い…古いタイプのバスですね。
オラ。
水が張った大地でも走れるよう車高を上げた専用のバスです。
整備中なのかな?話しかけちゃいけないのかな。
オラ。
このバスはトゥヌーパの方に行きますか?バスが出るのは1週間に1本だけ。
皆さん大量の荷物を持ち込んでいます。
たくさんの食材にガスタンクまで。
聖なる村の暮らしとはどんなものなんでしょう?
午前11時出発の時間。
地元の人たちに交じって乗り込みました
ここ座っても大丈夫ですか?
予定より30分遅れての出発
乗っているのは塩原の周囲で暮らす人たち
中にはひなを運ぶ子どももいました。
途中フラミンゴの群れが。
塩原で唯一の渡り鳥なんだそうです
インカの伝統に思いをはせているとあっという間に4時間がたっていました
塩原の道なき道をひた走る路線バス。
村があるトゥヌーパ山が間近に迫ってきました。
ここは塩原のほとりにある…標高は3,700メートル。
富士山の頂上と同じぐらいの高さにあります。
お〜町並みが…。
およそ70人が暮らすのどかな村。
車もほとんど通りません。
へえ〜。
町を歩いていると肉を運んでいる人が。
干し肉。
リャマを飼って暮らすエクトルさん一家です。
月に一度保存食として干し肉作りをしています。
この不毛な土地では貴重なたんぱく源です。
作り方は至って簡単。
肉を切って塩を振るだけ。
これは塩湖の塩ですか?塩原の塩はミネラルが豊富でいい風味に仕上がるんだそうです。
日ざしが強いためたった2〜3日で出来上がります。
タワ村の人々は塩原の恵みと共に生きてきました。
その中心は塩作りです。
作るといっても地面を掘るだけ。
機械を使わずインカ以来の方法で塩を採っています。
これで最初掘って軟らかくするんですか?ちょっとやってみてもいいですか?硬い塩の大地も雨が降るこの時期だけは少し軟らかくなります。
あっそうやって…。
落として…。
わ〜こうやって…。
あっ崩れてきた。
いやこれかなり重いですよこの棒。
首が…何かつりそうになるぐらい。
それでもやっぱ硬い!掘り出した塩を積み上げ天日で乾かします。
この1山が6,000円ほどで売れるそうです。
村人たちの貴重な現金収入です。
こうやって掘って無くなるじゃないですか塩が。
そのあとはどうなるんですか?ここには山に降った雨水が地中の塩分を溶かし流れ込んできます。
その水が乾いて結晶を作り自然と塩の大地が再生されるのです。
塩原を生んだ女神トゥヌーパは今も人々に恵みをもたらしていました。
朝7時。
塩原に2つの太陽が昇ります。
聖なる山に抱かれた村の一日が始まります。
タワ村にはあらゆる自然を敬うインカの精神が息づいています。
リャマを飼っているエクトルさんが放牧に連れていってくれました。
厳しい環境にも強いリャマは肉や毛皮を取るだけでなく儀式にも使われアンデスの生活を支えてきた生き物です。
これあの耳の赤いのは何なんですか?2月には耳に赤いリボンをつけ大地の神への感謝を表します。
インカ以来続けてきた大事な風習です。
エクトルさんは50頭ものリャマを飼って暮らしています。
リャマが走っていった先には緑の草原が広がっていました。
塩原のほとりの湿地帯に山に降った雨水が湧き出る事で緑のじゅうたんが生み出されます。
僅かな恩恵を慈しみ生きる。
タワ村の人々はこの土地に特別な思いを抱いてきました。
放牧のあとエクトルさんが食事に招待してくれました。
主食はキヌアという雑穀。
ゆでるとお米のようになります。
そしてこの前作ったリャマの干し肉。
これを焼いて頂きます。
キヌアと干し肉。
この地の伝統的な食事です。
グラシアス!うん!コリコリしている。
おいしい!ジャーキーみたいな?うんジャーキーみたいな感じで。
キヌアのお味は?うん!おいしい。
フワフワしてて日本の米とはちょっと…全く違う。
エクトルさんの子どもたちもキヌアが大好き。
キヌアのおかげで病気知らずだといいます。
アンデスの恵みであるキヌアはインカの黄金とも呼ばれ聖なる植物とされてきました。
丈夫で乾燥した塩の土地でも育つ貴重な作物です。
キヌアは人間に必要な必須アミノ酸を全て含み鉄分や食物繊維も豊富なため完全食とまで言われています。
最近では世界の食糧難を救う植物と国連が注目。
価格は5年で3倍にもなりました。
インカの黄金キヌア。
しかしその栽培が途絶えかけた事もありました。
これどこから入ればいいですか?そこら辺って。
えっ?よいしょ。
ちょっと行ってみよう。
この地で代々キヌア畑を守ってきた…キヌアの栽培では種まきや収穫の度に儀式を行うといいます。
取り出したのはリャマの胎児のミイラ。
大地の神へささげます。
しかし代々続けてきたこの儀式がキヌア栽培の危機を招いてしまいます。
16世紀にスペインがインカを征服するとキヌアの栽培が禁止されました。
インカ文明を払拭したい征服者にとって信仰心をあおる儀式は都合の悪いものでした。
呪術の力で人々が結集するのを恐れたのです。
しかし奥地ではひっそりとキヌアの栽培を続ける人たちがいました。
この地で細々と守ってきたインカの聖なる実。

(笛)今その真の価値が世界中で見いだされ希望の実となりつつあります。
旅の終わり奇跡の大地はひときわ美しい姿を見せてくれました。
ウユニ塩湖の天空の鏡っていうのは僕はその…自分の想像を絶してたしこんなまぶしい世界があったとはすごいですね。
その麓で暮らす人たちにもまぶしい世界があったなあと。
そんな簡単な暮らしじゃないと思うんですけどみんなが何か一つの大きな家族みたいに自分たちの暮らす土地を守っている感じがすごくして何か僕らがふだん忘れているような地球の原風景そういうものがあそこにはあったような気が今はしています。
ハハハハハ!
(シャッター音)2015/03/19(木) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
地球イチバン[終]「世界一平らな大地 ボリビア・ウユニ塩原」[字]

2つの太陽が上り、空飛ぶバスが駆け抜ける白の大地。青い空に白い雲、夕日に星空、全てを映し出す奇跡の絶景を堪能。天空の鏡を生んだ伝説が残る村と、世界を救う食の宝。

詳細情報
番組内容
2つの太陽が上り、“空飛ぶバス”が駆け抜ける白の大地へ。青い空に白い雲、夕日に星空、全てを映し出し、眼前を奇跡の絶景が埋め尽くす塩原。ここは、南北100キロにわたり、わずか50センチの高低差しかない、大自然の営みが生んだ天空の鏡。ウユニ塩原を生んだ伝説が残る村では、インカ以来の暮らしと、世界を救うと注目される“食の宝”との出会いが。地球の広さと奥深さを感じる旅の終着点。【ナビゲーター】役所広司
出演者
【ナビゲーター】役所広司,【旅人】須田邦裕

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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