年次改革要望書(ねんじかいかくようぼうしょ)は、
日本政府と
米国政府が両国の
経済発展のために改善が必要と考える相手国の規制や制度の問題点についてまとめた文書で、毎年日米両政府間で交換されていた。正式には「
日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」(The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)と呼ばれた。
2009年(平成21年)に
自民党から
民主党へと
政権交代した後、
鳩山内閣時代に廃止されている
[1]。
「
成長のための日米経済パートナーシップ」の一環として最初に「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」(年次改革要望書)が作成されたのは
2001年(
平成13年)であるが、これは先行する「日本とアメリカ合衆国との間の規制緩和に関する対話に基づく双方の要望書」の枠組みが現行のイニシアティブの形式に整えられたことによる。
アメリカの要望[編集]
アメリカ政府による日本改造[編集]
関岡英之は年次改革要望書はアメリカ政府による日本改造という観点から注目し、アメリカによる日本への年次改革要望書の性格は、アメリカの
国益の追求という点で一貫しており、その中には日本の国益に反するものも多く含まれているとしている。
衆議院議員小泉龍司は、2005年(平成17年)5月31日の郵政民営化に関する特別委員会において、要望書について「
内政干渉と思われるぐらいきめ細かく、米国の要望として書かれている」と述べている
[3]。
年次改革要望書で言及されている医療改革は、外資系保険を利することが目的となる一方で
診療報酬減額や患者の
医療費負担増大が
医療崩壊に繋がっていると指摘する意見がある。
米国政府高官の認識[編集]
国務省にて経済・通商分野を専門に担当した
ジェームス・ズムワルトは、
小林興起から「『年次改革要望書』を日本に突きつけ、さらにその達成 (achievement) を強く求めている張本人 (key person) の1人」
[4]と名指しで指摘されている。
2006年(平成18年)
4月にズムワルトは小林との対談に臨み、
日本の内閣がアメリカの年次改革要望書の言いなりだとする指摘に対し、否定的な見解を示した
[5]。
また、年次改革要望書を提示する理由について、ズムワルトは、日本の
経済成長はアメリカにも
利益を齎すと説明し、
日本経済低迷の一因は規制の多さにあるため、その撤廃を年次改革要望書で求めているだけだと述べている
[6]。アメリカはあくまで「日本のしたいことを応援するスタンス」
[6]であり「
小泉さんが考えていることの応援のつもりというのが基本的なスタンス」
[7]だとしている。
そのうえで、年次改革要望書とは「日本の成長が最大の目標」
[6]であると説明し、日米の利害が激しく対立した
日米構造協議などとは全く事情が異なると主張している
[6]。
日本の対応[編集]
日本政府高官の認識[編集]
2005年(平成17年)
6月7日の衆議院郵政民営化特別委員会では、
城内実の「郵政について
日本政府は米国と過去1年間に何回協議をしたか」、「米国の対日要求で拒否したものはあるか」という質問に対して、竹中大臣は米国と17回協議したことを認めるも、対日要求についての具体的言及は避けた
[9][10]。
郵政法案の審議が大詰めを迎えた
2005年(平成17年)
8月2日の
参議院郵政民営化特別委員会で
桜井充の「(年次改革要望書に)アメリカの要望として日本における郵政民営化について書かれている。(中略)国民のための改正なのか、米国の意向を受けた改正なのか分からない」という質問に対し、竹中大臣は「アメリカがそういうことを言い出す前から小泉総理は(もう十年二十年)ずっと
郵政民営化を言っておられる。アメリカはどういう意図で言っておられるか私は知りませんが、これは国のためにやっております。このまあ一年二年ですね、わき目も振らず一生懸命国内の調整やっておりまして、アメリカのそういう報告書(年次改革要望書)、見たこともありません。私たちは年次改革要望書とは全く関係なく、国益のために、将来のために民営化を議論している」と述べた
[11]。
日本の内政との密接な関係[編集]
報道での扱い[編集]
関岡英之、
城内実などからは、以下の点から、年次改革要望書に関する報道が広く国民に充分になされていないのが事実だという意見がある。
日米経済調和対話[編集]
民主党
鳩山由紀夫内閣の時代に、「日米規制改革委員会」が廃止され年次改革要望書の交換も事実上停止した。しかしその後もアメリカは、
駐日アメリカ合衆国大使館サイトにおいて、「
日米経済調和対話」と題し産業のいくつかの分野について『米国政府は、実行可能な範囲において、両国のシステム、規制アプローチ、その他の措置や政策の調和に向け、この共通の目標を推進する形で日本と緊密に協働することを期待する。』とする文章を掲載していた
[14]。
2011年(平成23年)3月に日本側では
外務省サイトにおいて、貿易の円滑化、ビジネス環境や個別案件、共通の関心を有する地域の課題等について、日本とアメリカ両国が協力し取り組むための、「日米経済調和対話」事務レベル会合の開催を発表した
[15]。
年次改革要望書の一覧[編集]
アメリカ政府から日本政府への要望書[編集]
仮和訳は在日米国大使館による。
日本政府からアメリカ政府への要望書[編集]
仮英訳は日本外務省による。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]