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去年の衆院選「合憲」1票の格差で東京高裁3月19日 18時17分
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去年12月の衆議院選挙で選挙区ごとの1票の価値に最大で2.13倍の格差があったことについて、東京高等裁判所は「格差は2倍を少し超える程度で、憲法が求める投票価値の平等に反する状態だったとはいえない」として去年の選挙は憲法に違反しないとする判決を言い渡しました。
去年12月に行われた衆議院選挙では、選挙区ごとの1票の価値に最大で2.13倍の格差があり、弁護士のグループは「投票価値の平等を保障した憲法に違反する」などと主張して、295のすべての選挙区を対象に選挙の無効を求める訴えを全国の裁判所に起こしています。
この一連の裁判で初めてとなる判決が19日、東京高等裁判所で言い渡され、大段亨裁判長は「去年の選挙は格差が2倍未満になるよう小選挙区を5つ減らす『0増5減』が行われた。その後、人口変動もあって格差は2.13倍になったが、2倍を少し超える程度で、憲法が求める投票価値の平等に反する状態だったとはいえない」と判断しました。さらに国会の取り組みについても「格差是正に向けた議論が有識者の調査会で継続的に行われていることを考慮すれば、『0増5減』による選挙区割りは国会に認められた裁量の範囲内で妥当だ」として、去年の選挙は憲法に違反しない「合憲」と結論づけ、訴えを退けました。
訴えを起こした弁護士グループは、判決を不服として最高裁判所に上告する方針です。
判決について、訴えを起こした弁護士グループの伊藤真弁護士は「格差が2倍を少し超える程度だからかまわないということは、住んでいる場所によって1票の価値が半分以下になっても我慢しろということだ。こんなふざけた話はない。司法が政治に追随した、とても残念な判決だ」と話していました。
菅官房長官は午後の記者会見で、「去年の衆議院選挙の1票の格差に関わる訴訟は、今後も各高等裁判所で判決が言い渡される予定になっているので結果を注視したい。選挙制度の在り方は、議会政治の根幹に関わることであり、国会や各党各会派で議論いただくことだ。衆議院議長のもとに第三者機関も設けられ議論されているので、そういうことを見守っていきたい」と述べました。
この一連の裁判で初めてとなる判決が19日、東京高等裁判所で言い渡され、大段亨裁判長は「去年の選挙は格差が2倍未満になるよう小選挙区を5つ減らす『0増5減』が行われた。その後、人口変動もあって格差は2.13倍になったが、2倍を少し超える程度で、憲法が求める投票価値の平等に反する状態だったとはいえない」と判断しました。さらに国会の取り組みについても「格差是正に向けた議論が有識者の調査会で継続的に行われていることを考慮すれば、『0増5減』による選挙区割りは国会に認められた裁量の範囲内で妥当だ」として、去年の選挙は憲法に違反しない「合憲」と結論づけ、訴えを退けました。
訴えを起こした弁護士グループは、判決を不服として最高裁判所に上告する方針です。
判決について、訴えを起こした弁護士グループの伊藤真弁護士は「格差が2倍を少し超える程度だからかまわないということは、住んでいる場所によって1票の価値が半分以下になっても我慢しろということだ。こんなふざけた話はない。司法が政治に追随した、とても残念な判決だ」と話していました。
菅官房長官は午後の記者会見で、「去年の衆議院選挙の1票の格差に関わる訴訟は、今後も各高等裁判所で判決が言い渡される予定になっているので結果を注視したい。選挙制度の在り方は、議会政治の根幹に関わることであり、国会や各党各会派で議論いただくことだ。衆議院議長のもとに第三者機関も設けられ議論されているので、そういうことを見守っていきたい」と述べました。
衆院選の格差是正の取り組み
衆議院選挙のいわゆる1票の格差を巡っては、これまでに最高裁判所による「憲法違反」や「違憲状態」の判断と、国会による格差の是正が繰り返されてきました。最近では2.30倍の格差があった平成21年の選挙について最高裁判所が「違憲状態」と判断して選挙制度の見直しを求めたことを受けて、与野党間で協議が進められました。
国会は3年前に、すべての都道府県にまず1議席を割り当てる「1人別枠方式」の規定を削除し、小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法改正を行いました。
しかし、平成24年の選挙は区割りの見直しが間に合わないまま実施され、1票の格差は2.43倍に拡大しました。この選挙の翌年に小選挙区の区割りを見直す法律が成立したため、去年12月の選挙では「0増5減」を行って295の小選挙区で争われ、格差が2.13倍に縮小しました。現在も有識者の調査会で格差の是正に向けた議論が進められていて、都道府県ごとの小選挙区の数の割りふりに、より人口比を反映させるため、定数が今のままなら9県で選挙区が1つずつ減る一方で、6都県で合わせて9つ増える「9増9減」になる案などが検討されています。
国会は3年前に、すべての都道府県にまず1議席を割り当てる「1人別枠方式」の規定を削除し、小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法改正を行いました。
しかし、平成24年の選挙は区割りの見直しが間に合わないまま実施され、1票の格差は2.43倍に拡大しました。この選挙の翌年に小選挙区の区割りを見直す法律が成立したため、去年12月の選挙では「0増5減」を行って295の小選挙区で争われ、格差が2.13倍に縮小しました。現在も有識者の調査会で格差の是正に向けた議論が進められていて、都道府県ごとの小選挙区の数の割りふりに、より人口比を反映させるため、定数が今のままなら9県で選挙区が1つずつ減る一方で、6都県で合わせて9つ増える「9増9減」になる案などが検討されています。
過去の衆院選の司法判断
衆議院選挙のいわゆる1票の格差について、最高裁判所はこれまでに2度「憲法違反」の判決を出しています。
1回目は4.99倍の格差があった昭和47年の選挙、2回目は4.40倍の格差があった昭和58年の選挙で、いずれも1つの選挙区で複数の議員が選ばれる中選挙区制でした。
平成6年に現在の小選挙区制が導入され、最高裁では1票の格差が3倍以内の選挙について「合憲」とする判断が続きました。
しかし、4年前、最高裁は2.30倍の格差があった平成21年の選挙について3倍未満の格差で初めて「違憲状態」と判断し、従来より厳しい姿勢を示しました。
この判決では、すべての都道府県にまず1議席を割り当てる「1人別枠方式」が格差の主な要因だと指摘して廃止を求めました。
さらにおととし、格差が2.43倍に広がった平成24年の選挙について、各地の高裁では「憲法違反」とする判決が相次ぎ、このうち広島高裁と広島高裁岡山支部は戦後初めて国政選挙を無効とする判決を言い渡しました。
この裁判について、最高裁は再び「違憲状態」と判断して、格差の解消に向けた抜本的な取り組みを国会に求めました。
1回目は4.99倍の格差があった昭和47年の選挙、2回目は4.40倍の格差があった昭和58年の選挙で、いずれも1つの選挙区で複数の議員が選ばれる中選挙区制でした。
平成6年に現在の小選挙区制が導入され、最高裁では1票の格差が3倍以内の選挙について「合憲」とする判断が続きました。
しかし、4年前、最高裁は2.30倍の格差があった平成21年の選挙について3倍未満の格差で初めて「違憲状態」と判断し、従来より厳しい姿勢を示しました。
この判決では、すべての都道府県にまず1議席を割り当てる「1人別枠方式」が格差の主な要因だと指摘して廃止を求めました。
さらにおととし、格差が2.43倍に広がった平成24年の選挙について、各地の高裁では「憲法違反」とする判決が相次ぎ、このうち広島高裁と広島高裁岡山支部は戦後初めて国政選挙を無効とする判決を言い渡しました。
この裁判について、最高裁は再び「違憲状態」と判断して、格差の解消に向けた抜本的な取り組みを国会に求めました。
各党の反応
自民党の細田幹事長代行は党本部で記者団に対し、「今回の判決は0増5減の区割り改定で国勢調査ベースの格差は2倍未満となり、合憲であるという判断をした。人口の増減で2倍を超える可能性があるので、今後とも格差2倍未満を達成するよう努力していくべきだというのが基本だ」と述べました。
民主党の枝野幹事長は記者団に対し、「若干、意外感があるが、きょうの判決を前提にしても、このまま放置すれば、違憲判決が出かねない状況は変わらない。衆議院議長のもとで行われている議論を加速し、選挙制度改革について、できれば今の国会中に法改正を行う必要がある。同時に、議員定数の削減という国民との約束が残っており、1票の格差是正とあわせて進めるべきだ」と述べました。
公明党の山口代表は国会内で記者団に対し、「判決は妥当な内容だ。裁判所は、0増5減の区割り改定と、その後、立法府が格差是正に向けて抜本的な取り組みをしている点も評価している。引き続き、立法府として、自主的に投票価値の平等を実現し、さまざまな課題について、合意をつくっていく作業が重要だ」と述べました。
維新の党の江田代表は記者会見で、「立法府は、司法がどうあれ、能動的に取り組まなければならない。1票の格差が2倍を少々超えているからよいのか、3倍を超えたらだめなのかというレベルの話ではなく、1票の格差をゼロにする方向に向けて、しっかりと取り組んでいかなければならない」と述べました。
共産党の穀田国会対策委員長は「東京高裁が合憲の判断を示したことは極めて不当である。今、重要なことは、民意を著しくゆがめる小選挙区制を廃止することである。わが党は、多様な民意を議席に正確に反映する比例代表を中心とする選挙制度に抜本改革するため、全力を尽くす」というコメントを発表しました。
次世代の党の松沢幹事長は国会内で記者団に対し、「最高裁は、2倍以内であるべきという判例を出しており、私たちも、それを目指すべきと考えているので、少し意外だった。今、有識者の調査会に議論していただいているが、今後、選挙制度については、強力な権限を持った諮問機関に預け、その答申を最大限尊重するルールをつくるべきだ」と述べました。
社民党の又市幹事長は記者団に対し、「おととし、最高裁で『違憲状態』の判決が出されたことを踏まえれば、2.13倍になったからといって合憲だというのは整合性がとれず、東京高裁の判断は甘い。今の小選挙区制はあまりにもひどく、議員定数は下げるべきではないことも含めて、まずは小選挙区制そのものを根本的に改めることを求めていく」と述べました。
生活の党と山本太郎となかまたちの玉城幹事長は国会内で記者団に対し、「判決は、0増5減に取り組んだことへの評価だと受け止めている。ただ、去年の衆議院選挙でも格差は2倍を超えており、5年ごとの国勢調査に基づいて選挙区の区割りを見直して格差を是正するなど、選挙制度の改正を目指していきたい」と述べました。
日本を元気にする会の松田代表は記者会見で、「1票の格差が2倍を少し超えたところで合憲の判決が出てしまったことは少し残念だ。あくまで全国集計の比例ブロックをつくって、1票の格差がない『1人1票』を実現すべきだ」と述べました。
民主党の枝野幹事長は記者団に対し、「若干、意外感があるが、きょうの判決を前提にしても、このまま放置すれば、違憲判決が出かねない状況は変わらない。衆議院議長のもとで行われている議論を加速し、選挙制度改革について、できれば今の国会中に法改正を行う必要がある。同時に、議員定数の削減という国民との約束が残っており、1票の格差是正とあわせて進めるべきだ」と述べました。
公明党の山口代表は国会内で記者団に対し、「判決は妥当な内容だ。裁判所は、0増5減の区割り改定と、その後、立法府が格差是正に向けて抜本的な取り組みをしている点も評価している。引き続き、立法府として、自主的に投票価値の平等を実現し、さまざまな課題について、合意をつくっていく作業が重要だ」と述べました。
維新の党の江田代表は記者会見で、「立法府は、司法がどうあれ、能動的に取り組まなければならない。1票の格差が2倍を少々超えているからよいのか、3倍を超えたらだめなのかというレベルの話ではなく、1票の格差をゼロにする方向に向けて、しっかりと取り組んでいかなければならない」と述べました。
共産党の穀田国会対策委員長は「東京高裁が合憲の判断を示したことは極めて不当である。今、重要なことは、民意を著しくゆがめる小選挙区制を廃止することである。わが党は、多様な民意を議席に正確に反映する比例代表を中心とする選挙制度に抜本改革するため、全力を尽くす」というコメントを発表しました。
次世代の党の松沢幹事長は国会内で記者団に対し、「最高裁は、2倍以内であるべきという判例を出しており、私たちも、それを目指すべきと考えているので、少し意外だった。今、有識者の調査会に議論していただいているが、今後、選挙制度については、強力な権限を持った諮問機関に預け、その答申を最大限尊重するルールをつくるべきだ」と述べました。
社民党の又市幹事長は記者団に対し、「おととし、最高裁で『違憲状態』の判決が出されたことを踏まえれば、2.13倍になったからといって合憲だというのは整合性がとれず、東京高裁の判断は甘い。今の小選挙区制はあまりにもひどく、議員定数は下げるべきではないことも含めて、まずは小選挙区制そのものを根本的に改めることを求めていく」と述べました。
生活の党と山本太郎となかまたちの玉城幹事長は国会内で記者団に対し、「判決は、0増5減に取り組んだことへの評価だと受け止めている。ただ、去年の衆議院選挙でも格差は2倍を超えており、5年ごとの国勢調査に基づいて選挙区の区割りを見直して格差を是正するなど、選挙制度の改正を目指していきたい」と述べました。
日本を元気にする会の松田代表は記者会見で、「1票の格差が2倍を少し超えたところで合憲の判決が出てしまったことは少し残念だ。あくまで全国集計の比例ブロックをつくって、1票の格差がない『1人1票』を実現すべきだ」と述べました。