基本的には大学で学びます.
数学科の事情には私は明るくありませんが,
多くの工学部であれば,数学で微分方程式を扱うよりも先に
物理(物体の運動)や電気回路の講義で微分方程式を扱うでしょう.
微分方程式を用いることの最大の利点は,過渡状態を容易に扱える,という点です.
例えば,高校の物理では,
「空気抵抗がある状態で物体を自由落下させたときの終端速度を求めよ」
という問題がしばしば出題されます.
このとき求めるのは,あくまで終端速度,
つまり「十分に時間が経過した後」での速度です.
高校までの知識では,
・自由落下を始める前
・自由落下を始めてから,十分な時間が経過した後
の2つの状態しか扱えないのです.
これに対して,微分方程式を用いると,
「落下を始めてから後の任意の時刻」での速度を求めることができます.
つまり,上記の2つの状態に加えて,
・自由落下を始めてから任意の時間が経過した後
という状態をさらに扱えるようになります.
実世界の問題では,このような状態を扱う方が圧倒的に多いため,
この状態を扱えるようになるメリットは説明するまでもないでしょう.