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ビキニ事件 周辺で操業の元乗組員に健康相談会3月17日 6時01分
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61年前、アメリカが太平洋で行った水爆実験によって、日本のマグロ漁船の乗組員が被爆したいわゆるビキニ事件では、ほかの漁船の乗組員からも通常より高い放射線量が検出されていた記録が去年、明らかになりました。
当時、周辺では高知県の漁船が多く操業していたとみられ、元乗組員などを対象にした健康相談会が16日、初めて高知県で開かれました。
当時、周辺では高知県の漁船が多く操業していたとみられ、元乗組員などを対象にした健康相談会が16日、初めて高知県で開かれました。
61年前の昭和29年にアメリカが太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で、静岡県のマグロ漁船「第五福竜丸」が被爆し、乗組員1人が死亡した「ビキニ事件」を巡り、厚生労働省は去年9月、周辺で操業していたほかの漁船の乗組員からも通常より高い放射線量が検出されていことを示す記録を新たに開示しました。
国の調査によりますと、当時、周辺の海域では高知県からの漁船が多く操業していたとみられ、高知県は16日、元乗組員や家族などを対象にした健康相談会を初めて開きました。室戸市の会場には元乗組員と家族、合わせて8人が訪れ、放射線による健康への影響に詳しい医師らに相談をしていました。
このうち、高知市に住むマグロ漁船の元乗組員、桑野浩さん(82)は「今は症状はないが、若い頃に白血球が異常に多いという診断を受けた」ことなどを相談しました。
これに対し、専門家は「原爆が投下された長崎でも白血球が多くなる症状が確認されている。今後も定期的に診察を受けて体調に注意してほしい」などと答えていました。
高知県によりますと、相談に訪れた人のうち、現在も健康に影響が出ていると訴えた人はいませんでしたが、桑野さんのように若い頃に異常があったと話した人が多かったということです。
高知県と専門家は参加した人たちに定期的に医師の診察を受けるよう呼びかけるとともに、今後も健康相談会を開くことを検討しているということです。
国の調査によりますと、当時、周辺の海域では高知県からの漁船が多く操業していたとみられ、高知県は16日、元乗組員や家族などを対象にした健康相談会を初めて開きました。室戸市の会場には元乗組員と家族、合わせて8人が訪れ、放射線による健康への影響に詳しい医師らに相談をしていました。
このうち、高知市に住むマグロ漁船の元乗組員、桑野浩さん(82)は「今は症状はないが、若い頃に白血球が異常に多いという診断を受けた」ことなどを相談しました。
これに対し、専門家は「原爆が投下された長崎でも白血球が多くなる症状が確認されている。今後も定期的に診察を受けて体調に注意してほしい」などと答えていました。
高知県によりますと、相談に訪れた人のうち、現在も健康に影響が出ていると訴えた人はいませんでしたが、桑野さんのように若い頃に異常があったと話した人が多かったということです。
高知県と専門家は参加した人たちに定期的に医師の診察を受けるよう呼びかけるとともに、今後も健康相談会を開くことを検討しているということです。
【桑野さん「早く真相究明を」】
桑野さんは当時21歳で、マグロ漁船の甲板員としてビキニ環礁近くの海域で操業していたところ、「ビキニ事件」に巻き込まれました。
当時の状況について桑野さんは「黒い灰が雪のように降ってきたのを船の上で見た」と話しています。
事件のあと、桑野さんは鼻血が大量に出たり、白血球が異常に増えたりする症状に悩まされました。現在は大きな異常はないものの、いつ再び、体調に変化が出るかと不安を抱えています。
桑野さんは「同じ船に乗っていた多くの仲間が40代や50代の若さで亡くなった。被爆から60年が過ぎた今もビキニで何があったのか分からないままだ。亡くなった人たちのためにも早く真相が明らかになってほしい」と話していました。
当時の状況について桑野さんは「黒い灰が雪のように降ってきたのを船の上で見た」と話しています。
事件のあと、桑野さんは鼻血が大量に出たり、白血球が異常に増えたりする症状に悩まされました。現在は大きな異常はないものの、いつ再び、体調に変化が出るかと不安を抱えています。
桑野さんは「同じ船に乗っていた多くの仲間が40代や50代の若さで亡くなった。被爆から60年が過ぎた今もビキニで何があったのか分からないままだ。亡くなった人たちのためにも早く真相が明らかになってほしい」と話していました。
【ビキニ事件とは】
「ビキニ事件」は61年前の昭和29年3月、アメリカが太平洋・マーシャル諸島のビキニ環礁で行った水爆実験で、静岡県のマグロ漁船、「第五福竜丸」の乗組員がいわゆる死の灰を浴びて被爆し、半年後に無線長の久保山愛吉さんが死亡したものです。
広島、長崎に続く「第三の被爆」とも言われ、乗組員や家族を苦しめただけでなく、汚染した魚が流通するなど食卓の安全も脅かし、その後の全国的な反核運動につながりました。
一方、水爆実験が行われた頃、周辺の海域では第五福竜丸のほかにも、多くの日本の漁船が操業していて、このうち470隻余りの漁船の乗組員について、およそ10か月間、放射線量が測定されていました。
そして、国は去年9月、情報公開を請求した高知県の研究者にこの記録を開示しました。
記録には通常、自然界で被ばくする放射線量は年間2.1ミリシーベルト程度なのに対し、第五福竜丸以外の合わせて12隻の漁船の乗組員の一部からは、年間に換算して4ミリシーベルトを超える放射線量が検出されていたことなどが記載され、中には40ミリシーベルトを超えていた乗組員もいたということです。
国の別の調査によりますと、当時、周辺海域で操業していた船は1000隻近くに上るとも言われ、このうち3分の1近くに当たるおよそ270隻が高知県の船でした。
このため、高知県は国の新たな記録の開示を受けて、「元乗組員と家族の不安を解消するため」などとして、16日、相談会を初めて開きました。
広島、長崎に続く「第三の被爆」とも言われ、乗組員や家族を苦しめただけでなく、汚染した魚が流通するなど食卓の安全も脅かし、その後の全国的な反核運動につながりました。
一方、水爆実験が行われた頃、周辺の海域では第五福竜丸のほかにも、多くの日本の漁船が操業していて、このうち470隻余りの漁船の乗組員について、およそ10か月間、放射線量が測定されていました。
そして、国は去年9月、情報公開を請求した高知県の研究者にこの記録を開示しました。
記録には通常、自然界で被ばくする放射線量は年間2.1ミリシーベルト程度なのに対し、第五福竜丸以外の合わせて12隻の漁船の乗組員の一部からは、年間に換算して4ミリシーベルトを超える放射線量が検出されていたことなどが記載され、中には40ミリシーベルトを超えていた乗組員もいたということです。
国の別の調査によりますと、当時、周辺海域で操業していた船は1000隻近くに上るとも言われ、このうち3分の1近くに当たるおよそ270隻が高知県の船でした。
このため、高知県は国の新たな記録の開示を受けて、「元乗組員と家族の不安を解消するため」などとして、16日、相談会を初めて開きました。
【ビキニ事件巡る今後の動きは】
「ビキニ事件」を巡っては、厚生労働省が、これまでに見つかっているビキニ事件に関する資料を分析・評価する研究班を、ことし1月に立ち上げていて、来年度以降、何らかの見解を示すことにしています。
また、高知県は16日、相談会が開かれた室戸市がある県東部と同じように関係者が多く住む西部でも説明会を開く方向で検討することにしています。
このほか、元乗組員や家族の支援を行っている高知県宿毛市の市民団体は事件の実態を解明するための独自の調査を引き続き進めるとともに、船員保険の適用など関係者の補償の実現に向けた運動を続けています。
また、高知県は16日、相談会が開かれた室戸市がある県東部と同じように関係者が多く住む西部でも説明会を開く方向で検討することにしています。
このほか、元乗組員や家族の支援を行っている高知県宿毛市の市民団体は事件の実態を解明するための独自の調査を引き続き進めるとともに、船員保険の適用など関係者の補償の実現に向けた運動を続けています。