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社説:刑訴法改正案 冤罪根絶の原点に返れ

 取り調べの録音・録画(可視化)を警察と検察に義務付ける刑事訴訟法などの改正案が閣議決定された。政府は今国会での成立を目指すとしている。

 法制審議会で専門家らが3年以上議論した司法制度改革が、いよいよ動きだす。

 改革論議の出発点となったのは、2009年に厚生労働省局長だった村木厚子氏が逮捕され、無罪となった文書偽造事件である。大阪地検特捜部の証拠改ざんが発覚、強引な取り調べと自白に頼った捜査が問題になった。

 その反省に立ち、密室での取り調べを監視、記録して検証できるようにするのが可視化だ。捜査当局に緊張感が生まれ、冤罪(えんざい)防止が期待されるという。

 しかし改正案の内容を見ると、改革の本来の目的である「冤罪の根絶」が本当に可能なのかどうか疑問だ。

 問題はまず、可視化の対象事件が裁判員裁判事件や検察の独自事件に限られるということだ。容疑者の取り調べ過程の全てを録音・録画するとはいえ、割合にして全事件の3%にすぎない。在宅捜査での取り調べや参考人は含まれない。

 一方では捜査手法の拡充が盛り込まれており、冤罪防止の観点からバランスを欠いた内容と言うほかない。

 その一つが司法取引の導入だ。共犯者の情報を捜査機関に提供する見返りとして、容疑者が起訴などを免れることができる制度である。

 手続きには弁護人が関与するというが、自分の罪を逃れるために虚偽の供述をし無実の他人を巻き込む恐れもある。

 岐阜県美濃加茂市の贈収賄事件では、名古屋地裁が収賄側の市長に無罪を言い渡した。検察が唯一の直接証拠とした贈賄側の社長の供述に関して、信用性を認めなかったのである。

 社長が別の詐欺事件でも起訴されていたことから、判決は、自身の罪を軽くしてもらおうと捜査機関に迎合し、虚偽の供述をした可能性を指摘した。

 現行制度でも虚偽の供述による冤罪の可能性があるということだ。そこに司法取引を導入すれば、新たな冤罪を生むことにならないか。

 通信傍受、つまり盗聴の範囲拡大も懸念材料だ。従来は薬物犯罪など4種類に限定していたが、殺人や窃盗など9種類が追加される。通信事業者の立ち会いは不要になる。

 捜査のためとはいえ、盗聴拡大は憲法の通信の秘密を侵害し、「監視社会」につながる恐れがある。盗聴が捜査に限定され、適切に運用されたかどうかを検証する仕組みも考えなければならない。

 法制審で委員を務めた現厚労事務次官の村木氏は、冤罪は「ある日突然、誰にでも起こり得る」と語る。改正案の議論は今後、国会に移る。冤罪根絶の原点に立ち返り、国民の目線に立った慎重な議論を求める。

(2015/03/18 付)

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