2015年3月19日の参議院予算委員会で、アニメ・マンガ・ゲーム等の自由を守るために精力的に動いてくれている山田太郎議員が、同人誌・コスプレ文化に打撃を与える可能性がある『TPPによる著作権侵害の非親告罪化』について質問してくれました。大臣から重要な言質も引き出してくれています。実際の質疑の内容を文字起こししましたので公開します。
文字起こしの正確性には気をつけたつもりですが、間違いがある可能性もありますので、できるだけ実際の動画を見ることをオススメします。
文字起こしをする動画:参議院インターネット審議中継
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=2971&type=recorded
(この動画の4:00:00~4:17:45付近を文字起こし)
以下、山田議員の質疑の文字起こし
岸宏一 参議院予算委員会委員長
文字起こしの正確性には気をつけたつもりですが、間違いがある可能性もありますので、できるだけ実際の動画を見ることをオススメします。
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以下、山田議員の質疑の文字起こし
岸宏一 参議院予算委員会委員長
「次に山田太郎君の質疑を行います。山田太郎君」
山田太郎議員(新党「日本を元気にする会」 政調会長)
「えー、『日本を元気にする会・無所属会』の山田太郎でございます。えー、本日はですね、表現の自由を守りですね、マンガ・アニメ産業を盛り上げる。そして、農産品の輸出を増やす。まあ、そんな観点から日本を元気にするための質問をさせていただきたいと思います。
えー、まず最初にですね、TPPに関して、著作権の非親告罪についておうかがいしたいというふうに思ってます。えー、西村内閣府副大臣におうかがいしたいんですが、『thinkTPPIP』はですね、3月13日に、知財条項への緊急声明ということで、記者会見をやっております。えー、その前にですね、68団体、283名連名による緊急声明を西村副大臣に手渡しておりますが、その内容をどのように理解されてるのか、お答えいただけますでしょうか?」
西村内閣府副大臣
「お答え申し上げます。あのー、ご指摘のとおりですね、えー、関係の皆様が私の所に来られまして、知的財産権の交渉についての意見書を、えー、私自身受け取りました。で、えー、いろいろ意見交換をさせていただく中で、えー、この著作権、についてですね、えー、権利者の保護と、それから利用の促進と、いう両方の視点で、まあバランスの良い、えー、結論となるようにですね、えー、ぜひやっていただきたいと。まあ、そういうお話でしたし、私自身もそういう趣旨でお答えをさせていただきました」
山田議員
「えー、ちょっとばっくり言われちゃったんですけども。著作権の非親告罪については、えー、海賊版対策などに限るべき、というのが、まあ骨子だったというふうに思います。さて、その後、西村副大臣はツイートされてますが、どのような内容でしたでしょうか?」
西村副大臣
「えーと、私のツイートの内容はですね、えー、『津田大介さんはじめコンテンツ関係の方々が、TPP交渉における知的財産権の交渉に関する意見書をまとめ意見交換。知財は最も難航している分野。ご意見も踏まえ、また国内の制度との整合・調整も考えながら、国益を最大にすべく粘り強く交渉を続ける。』こういう内容でございます」
山田議員
「えー、ありがとうございます。えー、それではですね、その、国益を最大にする、国益とは何を意味するんでしょうか?」
西村副大臣
「えー、TPP交渉における国益についてはですね、次のように考えております。えー、まさにTPPによってによって自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々と経済連携に関する二十一世紀型の新たなルールをアジア太平洋地域に作り上げること、そして、同地域の活力を取り込むことで我が国の力強い経済成長を実現すること、また、美しい田園風景、農村の伝統・文化、国民皆保険を基礎とした社会保障制度といった世界に誇るべき我が国の国柄を守ると、いうことなどを念頭に置いております。えー、以上です」
山田議員
「えーと、今、西村副大臣のほうがお話いただいたのは、お手元にお配りした紙の通りであります。あのー、政府がですね、この国益に対して回答した内容なわけでありますが。えー、それではですね、海賊版対策以外に、非親告罪にすることによる国益は何があるのか、お答えいただけないでしょうか?」
西村副大臣
「えー、先程申し上げた通り、知的財産についてはですね、その権利者の保護ということと、利用の促進とのバランスの取れた、合意を目指してるところでありまして、このバランスと、いうものが大事だというふうに考えております」
山田議員
「えーと、もう一度ちょっと質問したいんですが、国益を守るということは、具体的に何が当たるのか、もう一度具体的に教えていただけないでしょうか?」
西村副大臣
「えー、先程申し上げました通り、えー、国益とはですね、先程も申し上げたとおりでありますけれども、えー、我が国の国柄も含めて、そして、我が国の経済成長をしっかり実現すること、こうしたことが国益でございます」
山田議員
「えーと、まさにですね、その内容は、たぶん、新たなルールを作るということと、えー、国柄を守るということがポイントだと思うんですね。で、その国柄についてなんですが、まあ日本にはですね、『守破離』ですとか、『習うより慣れろ』、『学ぶよりヌスメ(管理人注:カタカナの箇所がよく聞き取れず)』、それから、写経、写本などの、まあ真似る文化があると思っております。
まあ、それでですね、コミケも含めた、真似る文化、パロディの文化を守ることは、これは西村副大臣が言う国益。つまり日本の国柄をですね、守ることと思いますが、西村副大臣、いかがでしょうか?」
西村副大臣
「えー、様々なこと、日本の国の文化、そして、社会でのいろんな意識、人々の意識、こうしたことも含めて、全体として国柄を守っていくということが大事だというふうに認識しております」
山田議員
「えーと、やっと西村副大臣と、噛み合ってきましたんで、今度は経産大臣のほうにもおうかがいしていきたいと思いますが。えー、まあ、コミケなどの同人誌即売会とかですね、まあ今月はAnimeJapan、OTAKU SUMMIT等があります。そんな中でですね、著作権の非親告罪化によって、まあこういったですね、同人誌マーケットや同人文化は、まあ打撃を受けると言われてますが、それについてどのようにお考えでしょうか?」
宮沢経済産業大臣
「あのー、私もあの、ご質問受ける前まで、コミックマーケットって何かと、知らなかったんですが。あのー、そう言われてみると、あの、ワイドショーとかニュースで、若い女性なんか来て、ホントに楽しそうに、たくさんの人が集まってる場面見たなあと思って、おりました。あのー、おそらく、麻生大臣のほうが、答弁されるのに適当かと思いますけれども。
えーと、コミックマーケットの関係者からは、仮に著作権侵害が非親告罪化された場合には、厳密に言えば違法だが、権利者に実害がない限り、強いて問題視はされていない多くの利用を萎縮させる恐れがある、といったまあ懸念が表明されていることは、あの、承知を、認識をしております。あのー、全面的にですね、あのー、著作権侵害が非親告罪化されるとなると、まあその、コミケ、コミックマーケット等の参加者に、まあ、その、影響なしとは言えないという気がいたします」
山田議員
「えーと、実は今月末のですね、OTAKU SUMMITはまさにですね、経産省が後援しているイベントでございまして。えー、アニメとかマンガを広めようとしている経産省のトップがですね、その程度の理解では非常に困りますし、特に若者は今の答弁を嘆いてるんではないかなと、まあこんなふうに思いますので、ぜひこのあたり今後ご理解いただければと思っておりますが。
さて、今、経産大臣のほうから積極的なご意見、ご発言いただきましたが、えー、じゃあ逆にですね、著作権法の、実は担当である文化庁にそのことを、えー、おうかがいしたいんですが、そういったですね、経産省の考え方をですね、えー、実は言ったことがないと。つまり、これ事務方のほうの経産省の担当にですね、おうかがいしたところ、著作権を非親告罪化して一律に扱うと、まあアニメ・マンガなど、同人の文化には大きな影響があるんだ。これをですね、今まで文化庁等には言ったことがないということなんですが、えー、まあ、文科大臣がここにいらっしゃいますので、アニメ・マンガ振興の担当省として、そこで、この趣旨を伝えてはどうかな、と思うわけでありますけれども、経産大臣いかがですか?」
宮沢経済産業大臣
「あのー、まだ仮定の話でございますんで、あのー、仮に、まあ、著作権法の改正の検討が行われるという場合には、まあコンテンツの権利保護と利用促進とのバランスを踏まえて、総合的に判断される必要があると考えておりますので、そうした点も含めて必要あれば、文部科学省と適切に相談していきたいと思っております」
山田議員
「やっと文科省と話をするということになったわけでありますが。さて、じゃあ、文科大臣にですね、おうかがいしたいと思いますが、海賊版対策以外の著作権の非親告罪化に対しては、まあ慎重にしてほしいという意見が、まああるという話なんですけれども、これについてどのように対応されていくんでしょうか?」
下村文部科学大臣
「あの、まず我が国の著作権法では、著作権等の侵害罪は原則として著作権者等の告訴がなければ検察官が公訴を提起することができない、いわゆるまあ親告罪となっているわけでございます。著作権等の侵害罪の非親告罪化につきましては、文化審議会著作権分科会において検討が行われました。その結果、平成21年の著作権分科会報告書では、著作権等の侵害が著作権者に与える影響は、著作物の利用形態や規模によって多様であることなどから、一律に非親告罪化することは適当でない旨の結論が示されました。まあ、従って、このような文化審議会での検討の経緯や国内外の諸状況を踏まえつつ適切に対応していくことが必要であると考えております」
山田議員
「今ですね、文科大臣にも、経産大臣にも、あるいは西村副大臣にもおうかがいしまして、まさにTPPのですね、著作権に対する非親告罪に関しては、影響があるということを、まあ大臣ご認識だと思います。ただ、その大臣かたがたが、実は今TPPの交渉、特に著作権の問題について、どこまで情報を知っているのか。どんな交渉にあるのか。そのあたり各大臣ですね、文科大臣、経産大臣、西村大臣、えー、ご認識あるのかどうか、知ってらっしゃるのか、そのあたりぜひ、それぞれお答えいただけないでしょうか」
下村文部科学大臣
「えーまあ、そのことについては今、お答えできる立場ではございません」
宮沢経済産業大臣
「あのー、私も、TPPに関係する閣僚でありますけれども、TPPの交渉の中身については申し上げるわけにはまいりません」
西村内閣府副大臣
「あのー、私はTPP交渉の担当副大臣でございますので、えー、様々な、えー、報告を受けております」
山田議員
「えーと、海外との交渉結果によってはですね、実は、国の極めて重要な商習慣。国内の整備、整合性が問われると。各大臣からはいわゆる文化に対しても影響があるというふうに言ってるわけですから、これで我が国は主権国家なのか、と、えー、いうふうに思いますので、中身についてはしっかり大臣はですね、えー、よく理解していただいて、聞いていただいて、やっぱり国内の問題は国内の問題として、ぜひ所管の大臣のかたがたですね、この問題、しっかり守っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。西村、もしかしたら、副大臣だけが知ってると。あるいは、甘利大臣だけが知ってるという状況では、日本の、私は、文化は守れない、というふうに思っております。
さて、これまでの国益議論を踏まえて、TPPの担当大臣である、甘利大臣のほうからも、この非親告罪の交渉にどう取り組むのか、お答えいただけないでしょうか」
甘利TPP担当大臣
「えー、あのー、この著作権侵害の非親告罪化、えー、主要国で、まあ親告罪をとっているのは日本とドイツと、えー、まあ韓国、でありまして。韓国も、非親告罪化の方向に、あの、かじを切るやの情報があります。で、TPP12カ国のうち、親告罪、かをとっているのは日本とベトナムだけ、であります。で、まああの、世界的な分布図で言うと、えー、親告罪のほうが圧倒的に、まあ少ないということであります。
で、全体的な世界の流れはそっちのほうに向かっているのかなとも思うわけでありますが、いずれにいたしましても、あの、西村副大臣が最終的な結論をですね、我が国が取る立場についてお話をさせていただきました通り、これはあの、権利者それから利用者、権利者はできるだけ権利を守ってもらいたい、と。しかし、あまりガチガチに守りますとですね、利用ができませんからですね、結局流通しないと、いうことにもなるわけです。
で、この利用者、にですね、あまり片寄りますとですね、権利保護が失われるということで、このバランスが非常に大事だと思っております。えー、まああの、パロディ文化という話もありましたけれども、えー、欧米にも広くですね、一般的にパロディ文化というのはあるわけでありまして。えー、まあ日本と共通の認識のもとにですね、いろんな制度が国内的に(注:ここは聞き取りづらく「国外的に」の可能性も)取り組まれているんだと思います。
えー、結論といたしましては、西村副大臣が申し上げましたようにですね、えー、権利保護と利用促進のバランスを取りながらですね、えー、この共通のルールを作っていきたいというふうに考えております」
山田議員
「まあ、バランスを取るということは、まあ考慮するということだと解釈したいと思います。もうひとつ、解決策としてですね、例えば『自由利用マーク』とか『同人マーク』ですね。えーと、著作物の二次利用に関する事前の承諾マークというものを付すということがあるかと思います。で、そこで、これついては警察庁、それから法務省におうかがいしたいんですが。えー、そのマークが許諾する範囲で二次利用を行うことは、まあどんな場合でも、えー、捜査や起訴はされないのかどうか。このあたり、お答えいただけますでしょうか」
警察庁生活安全局長
「お答えをいたします。えー、一般的には、著作者が許諾する範囲内での、二次創作行為については、著作権法上の問題は生じないと、えー、考えておりますが、お尋ねの事前許諾マークを付した作品の二次創作行為について、まあ著作権法違反としての捜査の対象になるかどうかと、につきましては、どの範囲での使用を許諾したのかなどを確認する必要があるから、個別の事案ごとにまあ判断されることになるというふうに考えております」
川上法務大臣
「えー、そもそもまあ、犯罪の成立するか否か。また、捜査機関が捜査するか否か、起訴するか否か、というような判断につきましては、捜査機関によりまして収集された証拠等に基づきまして、まあ個別に判断される、事柄であるということではございます。まあ一概にお答えすることがなかなか難しいということでございます」
山田議員
「今の話だとですね、まあようはケースによっては、それがホントに許諾されたかどうか、ということを確認しなきゃいけないんで、捜査をする可能性はあるということなんですが。そうなるとですね、これ文科大臣、お答えいただきたいんですが、文化庁が推進している自由利用マークでも、いわゆる捜査、起訴される可能性はあるっていうことになっちゃうんですけれども、これいかがでしょうか」
下村文部科学大臣
「まあご指摘のような事前許諾マークは、著作物の積極的な活用を図るため著作権者があらかじめ一定の条件のもとに著作物の利用を許諾する意思を表示するものであると考えます。著作権者によりこのようなマークが付された著作物については、その許諾された利用方法や、まあ条件の範囲内であれば、著作権法上適法に利用することが可能であると考えられます。ようは、その利用方法、それから条件の範囲内、それをどう判断するか、ということだと思います」
山田議員
「えーと、まさにこの問題ですね、被害者の告訴無き、例えば起訴とか処罰をですね、まあ可能にするかもしれない非親告罪っていうのは、まあ権利者に実害のない限りですね、強い問題視をされていない、まあ多くの利用の文化までですね、萎縮する可能性があるということですから。特にですね、政府、ならびにですね、捜査機関は、しっかりそのことを理解して対処していただきたいと思っております」
文字起こしは以上です。
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