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再生エネの電気代上乗せ、来年度は2倍の年5600円超に 総負担額は1兆円突破

産経新聞 3月19日(木)19時25分配信

 再生可能エネルギーの導入促進費用として電気料金に上乗せされる額が、平成27年度に標準家庭で年5688円(月額474円相当)となり、26年度の2700円(同225円)から倍増する算定結果を経済産業省が19日示した。家計や企業の負担は約1・3兆円と初めて1兆円を超える。太陽光発電が政府の想定以上に増え、上乗せ額も急増した。国民負担の増加は政府が今後決める再生エネの導入目標の議論に影響を及ぼしそうだ。

 24年7月に導入した固定価格買い取り制度(FIT)は、電力会社が再生エネを買い取る費用を「賦課金」の名目で電気代に上乗せし、徴収している。

 算定結果は経産省が同日の有識者会議に開示。買い取りに要する賦課金の総額は、27年度に1兆3222億円と、26年度の6520億円からほぼ倍になり、FIT導入後、初めて1兆円台に入った。月に300キロワット時の電力を使う標準家庭で、27年度の負担額は月474円と、26年度の225円から上昇する。5月の電気料金から適用される。

 太陽光発電は、風力やバイオマスなどに比べて初期費用が低く、多数の事業者が参入。経産省は「想定を上回るスピードで太陽光の導入が進んだ」(新エネルギー対策課)としている。

 再生エネは、資源が乏しい日本には“国産エネルギー”となり、政府は再生エネを増やす方針だ。今夏までに策定する42年の「エネルギーミックス(電源構成比)」で、電力に占める再生エネ(水力発電を含む)の比率を2割以上とする方向で検討している。

 ただ、賦課金の総額は、今後も年々、増え続ける見通しだ。特に電気料金の減免制度がない中小企業の負担は重く、この日の経産省の会議で、中小企業経営者の委員から「賦課金が膨張し続けていくことを心配している」との指摘も出た。

最終更新:3月19日(木)19時25分

産経新聞