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 チュニジアの首都チュニスで18日、武装グループが博物館を襲撃し、外国人観光客ら19人が死亡した事件で、安倍晋三首相は19日朝、日本人3人が死亡、3人が負傷したことを明らかにした。政府関係者によると、死亡したのはいずれも女性で、60代、40代、20代。チュニジアのハビーブ・シド首相は死亡した日本人を5人としている。襲撃犯の一部は逃走している模様だ。日本政府は首相官邸内の危機管理センターに情報連絡室を設置し、確認を急いでいる。

 ロイター通信などによると、襲撃は18日午後、国会議事堂近くにあるバルドー博物館に観光バスが到着した直後にあった。バスの運転手は「武装グループは、観光客がバスを降りたところに銃を撃ち始めた」と語った。博物館に逃げ込んだ観光客らを、武装グループは人質にとった。

 約2時間後に治安部隊が突入して武装グループの2人を射殺、1人を逮捕した。AP通信によると、射殺されたのは、いずれもチュニジア国籍のヤシン・ラビディ容疑者とハテム・カシュナウル容疑者。シド首相によると、2、3人が逃亡しているとみられ、行方を追っているという。

 今のところ犯行声明などは出ていない。イスラム過激派の動向を追っている米国の調査機関によると、ツイッターでは過激派組織「イスラム国」(IS)の関係者とみられる者が事件を称賛し、チュニジア国民に対して「兄弟(実行犯)たちに続け」とする書き込みがあった。AP通信が伝えた。

 チュニジアからイスラム過激派に影響された若者約3千人がシリア、イラクへ渡り、ISなどに加わったとされる。治安当局は、現地で戦闘経験を積んだ者が母国に戻り、テロを起こす可能性があると警戒を強めていた。

 カイドセブシ大統領は18日夕、「我々はテロとの戦いの中にいる。民主主義は勝つ」と、国民に団結を呼びかけた。チュニスの目抜き通りには同日夜、数千人の市民が集まり、国旗を振りながら「テロは許さない」と声を上げた。

 チュニジアで起きたテロ事件としては、2002年に南部ジェルバ島のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)での爆破テロでドイツ人観光客らが死傷して以来の惨事だ。

 チュニジアは民主化運動「アラブの春」で11年にベンアリ独裁政権が倒れた。昨年10~12月に議会選と大統領選を実施し、民主国家として再スタートを切ったばかり。低迷した経済の立て直しが急務だが、今回の事件は主要産業である観光に大きな打撃となりそうだ。

 チュニジアのシド首相は18日夜(日本時間19日朝)、「死亡した外国人観光客17人のうち5人が日本人」と発表した。死亡した外国人の国籍は日本のほか、イタリア4人、コロンビア、スペインが各2人、オーストラリア、フランス、ポーランドが各1人という。残る1人の国籍は不明。負傷者は少なくとも44人に上ったとしている。(カイロ=翁長忠雄)

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■チュニジアの博物館襲撃事件の経過

(時間は日本時間、現地時間は8時間遅れ、AP通信などによる)

18日

午後9時30分 チュニジア政府が、武装グループによるバルドー博物館襲撃で、死者が出ていると発表

午後11時30分 チュニジア内務省は、博物館に治安部隊が突入し襲撃犯らが死亡したと発表

19日

午前0時25分 チュニジアのハビーブ・シド首相がイタリア人、ポーランド人ら外国人観光客17人を含む19人が死亡したと発表

午前2時55分 米国のケリー国務長官らがテロ行為を非難

午前6時前 シド首相が被害に遭った外国人観光客のうち、日本人5人が死亡したと発表

午前7時 日本政府が、官邸内の危機管理センターに情報連絡室を設置

午前9時15分 安倍晋三首相が日本人の死者は3人、3人がけがと発表