NHKが3月9日に公表した世論調査で、安倍内閣の支持率が前月比8ポイント減の46%、自民党の支持率も4.5ポイント減の36.7%と低下した。
「毎日新聞」の報道によれば、自民党の谷垣禎一幹事長は「政治とカネの問題が予算委でも取り上げられ、少しボディーブローみたいに効いている」と分析し、高村正彦副総裁も「そうだな」と同調。高村氏は「内閣、政党支持率が若干下がっているが、反省すべきは反省し、謙虚に対応することがまず大切だ」と述べたという。
これまでに繰り返し述べている通り、僕は安倍政権を極めて危険な存在だと考えている。だからその支持率が低下することは歓迎する。
しかし、もしその理由が谷垣氏らが言うように「政治とカネ」の問題に起因するのだとしたら、複雑な気分にならざるを得ない。これまで国会や報道で明らかにされつつある「政治とカネ」の問題は、安倍政権の本質的な問題と比較すれば小さなものであり、そんなものが「ボディーブローみたいに効いている」などということには、どうにも納得できないからである。
いや、もっと正確に言うと、僕の気分を複雑にさせるのは、「政治とカネ」の問題が「ボディーブローみたいに効いている」ことではなく、それ以外の大きな問題が「ボディーブローみたいに効いていない」ことなのかもしれない。
実際、本来ならば政権をノックアウトしてもよいほど大問題なのに、「ボディーブローみたいに効いていない」問題は、ここに列挙しきれないほど存在する。
例えば、福島第一原発であれほど深刻な事故が起きたにもかかわらず、国内の原発を再稼働し外国にも売ろうとしている問題。あるいは、民主主義を事実上否定した「自民党改憲草案」を今でも堅持し、それに沿った改憲を望んでいる問題。あるいは、集団的自衛権の解釈改憲。あるいは、第二次世界大戦の歴史の改ざん主義。あるいは、事実上の公約違反を犯してのTPP交渉参加。あるいは、沖縄県民や知事の意思を無視した辺野古基地移設。あるいは、報道や市民運動の自由を脅かす秘密保護法の強硬採決…。
これらの問題は、どれもそれだけで政権基盤を根本から揺るがすべき、大問題である。にもかかわらず、こうした問題が持ち上がっても、政権の支持率の低下には結びつかない。一時的に結びついたとしても、すぐに回復してしまう。それどころか、国政選挙で何度も圧勝してしまう。
この事実がいったい何を指し示しているのか。
そのことを考えると、僕は半ば絶望的になってしまう。なぜならその事実は、「日本の主権者はこれらの問題を重大だとは思っていない」ということを指し示しているとしか、考えられないからである。
だとしたら、日本という名の船は沈没していくしかないのではないだろうか。船体に大きな穴が空いているのに、それには気づかない努力を乗組員みんなでして、代わりに小さな穴の処置に大騒ぎする。大騒ぎが過熱してきたら、担当者の首を切ることでその場を収め、つかの間の満足を得る。その傍らで、大きな穴からはものすごい勢いで水が侵入してきている。そのことに警鐘を鳴らす者は、「国賊」だの「売国奴」などと呼ばれて切って捨てられる。
僕にはいまの日本の政治状況が、そんな光景に見えて仕方がない。
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