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真実の追究のために記者も行動を<北岡和義さん>
「直言26」在米ジャーナリスト 北岡和義さん

真実追求に記者は行動を

 「少数者の思い」が通じた画期的な判決がこの秋、最高裁であった。海外に住む日本人の選挙権を制限する公職選挙法の規定を違憲とした9月14日の大法廷判決。米ロサンゼルスの「リトルトーキョー」で有志が立ち上がって以来、12年間に及ぶ在外投票運動のブレーン役を務めたのは元読売新聞記者で在米ジャーナリストの北岡和義さん(63)だ。「選挙権の行使は市民の基本的な権利。私自身、行動を起こすべきだと思った」と話す。【明珍美紀】




●日本は「与えられた民主主義」の国

 1、2審と請求を棄却され、初めに8カ国53人いた原告団の仲間も、1審の控訴審で21人に減り、上告団に残ったのはたったの13人。正直言って判決は五分五分、うまく行って「違憲とまではいえないけれど改善が望ましい」といったあいまいな内容でお茶を濁すのかと思っていた。ところがふたを開ければ、全面的にわれわれの主張を認め、明確に「憲法違反」という言葉を使っていた。立法不作為、すなわち本来、国会がやるべきことをやらなかったという怠慢を認定し、1人5000円の支払いも命じた画期的な判決だった。
 とはいえ、僕らからすれば12年間も運動を続け、その間、何度も帰国し、ものすごい金と労力を使ってやっとひとこと「選挙する権利がある」と言われた。当たり前のことをするのに、こんなにエネルギーが要るというのは、日本の民主主義がまだまだ成熟していない証拠だ。実際に日本は、戦争が終わってマッカーサーが来て、いわば「与えられた民主主義」の国。逆に僕らはそれを勝ち取った。海外にいるというハンデがありながら、インターネットでつながって、国に不作為を認めさせた。これは非常に価値がある。
 ジャーナリストだから、反核や環境保全、子どもの権利の運動など、どんなにいい運動でも「あくまで報道者」というのが僕の立場。けれども、選挙権の行使は基本的な権利の問題で、しかも自分は立法府がどんなところかを知っている。「これだけは自分がやらなければ」と思った。

●沖縄返還密約事件、いまこそ真実を明らかに


 もう一つ、自分にとって重要な裁判がこの春、提訴された。「沖縄返還密約事件」から33年を経て、元毎日新聞記者の西山太吉さん(74)が自ら証言をする決意をした。
 あの事件について、みなさんとスタンスが違うのは僕は当時、あの機密文書を国会で明らかにした横路孝弘議員の秘書をしており、当事者のスタッフだった。権力のウソを暴いたことで西山さんと情報提供者の女性のプライバシーが明るみにでて、記者がつぶされた。彼は情報提供者を守れなかった自責の念でこれまで一切、弁解しなかった。それがいま、封印を破って声を上げたわけだから、応援しなければいけない。
 2000年と02年の米公文書の公開で返還交渉に絡む「密約」が裏付けられたにもかかわらず、政府は一貫して否定している。これは33年前の事件ではない。まさに現代の問題だということをジャーナリズムの現場にいる人は考えてほしい。そして事件の渦中にいた僕らもそれを語り継ぎ、本当はどうだったのか歴史の証言者として話していきたい。

●憲法問題がいよいよ政治の俎上に


 新聞記者、ジャーナリストは、起きたことだけを書くのではなく、なぜこんなことが起きるのか、そのためにはどうしたらいいのかと追及して書かなければいけない。そのときに初めて社会のゆがみや病根がえぐりだされる。社会現象、システムの構造的な問題、外交、平和、あらゆる問題について記者は物を言っていかなければならない。
 これから憲法問題がいよいよ政治の俎上にのぼってくる。もう一度、平和憲法とは何なのか、戦争責任とは、戦争が終わって60年を経て日本の国はどうなったのかをきちんと検証し、それを踏まえて靖国の問題、中国や韓国などアジア諸国との関係、国連の常任理事国のことなどしっかり論議をしていくべきだ。


きたおか・かずよし
1941年岐阜県生まれ。64年南山大卒、読売新聞入社。千葉支局、北海道支社編集部を経て69年、横路孝弘・衆院議員秘書。74年フリーとなり79年渡米。93年に在外選挙権実現の運動を始め96年、有志と違憲確認訴訟を東京地裁に起こした。ロサンゼルスにある日本語ニュース番組制作会社「JATV」社長を経て今年1月から同社顧問。
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