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山形大生救急車訴訟、事実上の和解成立 山形市と遺族、解決金1500万円

2015年03月17日 14:39
 山形市消防本部が救急車を出動させなかったため、山形大に通っていた大久保祐映(ゆうは)さん=当時(19)=が死亡したとして、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが17日、山形地裁であり、先月地裁が示した和解案に沿う形で、事実上、和解した。被告の市側が解決金1500万円を支払うことや、再発防止へ今回の事案を救急救命の研修に取り入れていくことなどを盛り込んだ和解条項に、原告、市側双方が合意した。

 市側の代理人弁護士によると、和解条項の要旨は▽市側が解決金1500万円を支払う▽市川昭男市長と消防関係者が亡くなった大久保さんの冥福を祈り、今後の教訓として重く受け止め、救急救命体制の整備に努める▽今回の事案を消防職員の研修カリキュラムに取り入れる―の3点。これらを市川市長が記者会見などの場で表明するとしている。

 これまでの訴訟では、原告側が「大久保さんはウイルス性心筋炎で、救急車で搬送されなかったため死亡。救急車不出動と死亡には因果関係がある」と市側に過失があると主張し、市側はこれに反論していた。

 市川市長は協議後の取材で「今回の和解には謝罪という言葉は入っていないと認識している」とした上で、「弔意と冥福をお祈りするという気持ちを示させていただいた。今回のケースを教訓に、今後の救急救命の在り方を改善するというのが今回の内容。真摯(しんし)に取り組んでいきたい」と述べた。

 原告側の代理人弁護士は、市が結果を重く受け止め、再発防止への教訓とする考えを示した点が合意のポイントだったとし、謝罪を求めないことについては「市側が重く受け止め、解決金を支払うということで納得している」とした。その上で、「今回の事案を教訓としたカリキュラムを作り、山形市が日本全国に発信してほしい」と述べた。

 次回の協議は30日に行われる。大久保さんの母親も出席し、正式に和解が成立する見通し。

 訴状によると、大久保さんは2011年10月31日、山形市内のアパートで体調不良を訴えて119番通報したが、救急車は出動せず、翌月9日に死亡した状態で見つかった。12年6月に大久保さんの母親が市に損害賠償を求めて提訴。過失をめぐり双方の主張が対立していたが、昨年12月に地裁が和解勧告し、先月初の和解協議が行われていた。

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