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「ワシントン条約に向けた?歪んだ“ウナギ報道”」 [本紙記事/速報]
日本養殖新聞3月15日号掲載
<鰻に魅せられて その50>
“シラスウナギ激減”“世界の7割のウナギを消費”といった、大きく歪んだ報道による、ワシントン条約への影響が懸念される。
シラス資源が長いスパンで見れば緩やかに減少傾向にある事を否定する気は毛頭ない。しかし、冒頭の歪んだ“ウナギ報道”について心底、辟易している。これまで多くのメディアをはじめ、一部の専門家も鬼の首を取ったかのように煽り、報道してきた。
なかでも“シラスウナギ激減”ニュースでよく用いられたのが“ニホンウナギ稚魚・国内採捕量の推移”の折れ線グラフ。昭和30年代を見ると、その数は250トンにも迫る水準で近年の採捕水準20〜25トンに比べ、あたかもシラスウナギが“激減”しているかのような、誤解を招きかねない。
しかし、このグラフはすでに水産庁によって修正されている。本紙も昨年の夏期特集号(8/10号)で掲載済みだが、そのなかで水産庁の太田愼吾課長が「シラスウナギの漁獲量については、ピーク時には250トン近い漁獲量が記録されています。しかし、養殖業者の間からは“昔は200トンも池入れしていない”との声が出ており、実際、昔のデータにはシラスだけでなくクロコの漁獲量も含まれていると考えられていますので、これを差し引いて考えることが必要です。しかしながら、クロコがどの程度含まれているかについて具体的なデータが無いことから実際のシラスウナギの漁獲量の推移を正確に知ることは困難です」と回答している。
これらのことをあえて取り上げるのは来年に控えるワシントン条約締約国会議が迫っている事に他ならない。すでにニホンウナギを取り巻く状況はかなり厳しいと言わざるを得ない。前述した“シラスウナギ激減”報道が頻繁に流れれば、ワシントン条約に向けてより心証を悪くさせる。それだけに即刻、煽るような報道はやめていただきたい。
▼さらには、ウナギに関する報道でよく耳にする“世界の7割のウナギが日本で消費されています”という、お決まりのフレーズ。
これはあくまで2000年当時の各種データを用いたもの(TRAFFIC のパンフレットに掲載/参考:FAO[国際連合食糧農業機関、財務省貿易統計、農水省漁業養殖業生産統計年報])で、当時は日本国内活鰻流通量が実に約16万トン(活鰻換算)とピークの年であり、日本の消費が全体の約7割を占めていた事は間違いない。
しかし、同様の算出方法で最新のFAOのデータ(2012年)を用いると、台湾、中国、韓国、日本を合わせた養殖生産量は23万6344トンになる。ちなみにその年の日本国内活鰻流通量は3万7203トン、単純にその割合を計算すると15.8%となり、近年においては“7割“という数字がいかに現実離れしたものか、明白だ。これで“日本が世界の大半のウナギを消費している”事実は根底から覆されることになる。
“シラスウナギ激減”“世界の7割のウナギを消費”といった、大きく歪んだ報道の、ワシントン条約に対する影響は計り知れない。開催される来年までに、いかにねじ曲がったイメージを払拭出来るか、そのアピールも必要だろう。
<うなっくす>
アメーバブログ『鰻に魅せられて』更新中
「蒲焼店が考える“これから”」5 〜2014年3月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]
宮澤 健取締役
(観光荘/長野県岡谷市)
『鰻を食べるお客様が、鰻に携わる全ての皆の 生活を支えて下さっています』
4月からの消費税増税が間近に迫った。蒲焼店間では依然として仕入れ値は高いまま、苦しい状況が続いている。
「活鰻相場が高い中での増税は非常に苦しいのが現実と言えます、ここ最近一般メディアではシラス豊漁、シラス相場の下落が報じられている影響で、お客様から“いつ下がるの??”などの声が予想以上に多く寄せられています、お客様の心理は値下げに向かっている傾向ですが、ここ数年の活鰻相場の先行きは予測不能である為、当面相場が下がらない事を前提にメニューの一部を増税分値上げさせて頂く予定です」
一方、近年、叫ばれるウナギ資源のことについてはどう考えているのだろうか。
「鰻の資源保護に関しましては、同じ目方でも太物を使用する事で扱う匹数を減らせれば活鰻資源の節約に少しでも繋がるのでは?と考え当店では若干のサイズアップをしました。太化する事は当店ではそれ迄のやり方をいくつか見直す事になりましたが、その過程で新たに生まれた事や、商売のあり方を更に突き詰める事が沢山ありました、新たな商品の開発、原価の細かい数値化、さらに数値化する事で明確化される計算だけでは生み出せないお客様への人と人との付加価値の数々、本当に守るべき物は何か?を考えるきっかけ等々。そういった意味では資源の枯渇は悪い側面だけではなかったと考えています。仮に鰻業界全体で0.5Pサイズアップするだけでもかなりの鰻の量が節約できるとは思いますが、これはあくまで鰻を節約するという1つの考えなので、天然鰻の保護、河川の整備、等それぞれの活動が複合出来れば大きな力になり、資源を守って行けるのではと思います」
資源保護に加えて、ウナギマーケットの縮小が気になるが?
「ウナギマーケットの縮小は、価格の高騰の他に、他の外食産業、更には中食産業の動きも大きく影響があると考えています。個店の努力はもちろんですが、他の外食産業、中食産業に対抗するには同業者同士が力を合わせる事で出来る事もあるのではと思います。私どもが本店を構える岡谷市では「うなぎまち岡谷」として町おこしを始めて18年を迎えます、冬の土用を「寒の土用の丑」と制定、商標登録し、毎年丑に合わせて商品が当たる抽選キャンペーンや「寒うなぎまつり」を開催、また市内の学校に利益度外視で給食に蒲焼を卸し、PRに努めています。子供達が鰻給食を食べる姿を見に行った事がありますが、目を輝かせて美味しそうに食べる姿は本当に励みになります。地道なPR効果で多くのお客様が岡谷市に来て下さる様になりました。
『寒の土用の丑』が岡谷市だけでなく全国に広まれば、さらに大きな流れとなり業界全体で夏に次ぐ第二の繁忙期になるのではないか?と考え、うなぎのまち岡谷の会では「寒の土用の丑」の商標登録を全国で自由に使って頂いて全国の皆でアピールして頂けたらと考えています」
ウナギ業界を取り巻く環境は大きく様変わりしているなか、鰻屋としてはどう、今後を進んでいくべきか。
「私は都内の外食産業で経験を積み鰻業界に入りました、他の外食産業と比べると鰻業界は専門性が高いが故に独自の方法が多く、まだまだ改善できる事、新たに挑戦できる事が沢山あると思います、うなぎ、飲食業界の外の方々と交流する事も新たな発見があると思っており、日々勉強の毎日です。最近感じるのは雇用に関してなのですがここ数年若者が集まらないといった話を耳にします。旧態依然のやり方では若者に魅力を感じてもらえず、若い世代が減り、新しい発想で次の時代を作っていく事に繋がらないのでは?と考え、これからは働きやすい環境、アイディアを出しやすい環境、働く人が面白みや将来性を感じられる店作りを目指し、次の世代と共に歩み、未来に繋げて行きたいと思っています。
うなぎの食文化は昔から日本のスタミナを支えてきました、うなぎ料理を絶やす事は出来ません、最後に鰻を食べるお客様が、我々料理店、漁師さん、養鰻業者さん、問屋さん、加工業者さん、商社さん、その他鰻に携わる全ての皆の生活を支えて下さっています。これからも鰻で日本を元気にするつもりで楽しんで商売していきたいと思います」
[データ]
「観光荘」
〒394-0045 長野県岡谷市川岸東5-18-14
電話:0266-22-2041
*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
活鰻相場上方修正へ [本紙記事/速報]
愛知三河一色が15日、大隅地区養まん漁協が16日、それぞれオールサイズ100円/kg、の上方修正を行った。
以下、産地池揚げ価格(一時問屋渡し)。
<三河一色地区[新仔]>
3P2950円/kg
4P3150円/kg
5P3350円/kg
<九州地区[新仔・ヒネ仔]>
3P2950円/kg・2700円/kg
4P3150円/kg・2900円/kg
5P3350円/kg・3100円/kg
最新号15.3.15発行 [本紙記事/速報]
主な内容<8ページ建て>
・第14回全荷連加工部会開催 〜6日/東京都港区・全荷連事務所〜
・ワシントン条約控えるも危機感薄い 〜愛知三河一色の重鎮が語る〜
・「ワシントン条約に向けた?歪んだ”ウナギ報道”」 〜鰻に魅せられて その50〜
・シラス池入れ14トンにのせる 〜第四波”闇夜の大潮”期待薄!?〜
・蒲焼店が考える”これから”37 「厳しい環境も本筋は変えず、時代に合ったものを取り入れ、乗り越える」上野池之端 伊豆栄 (東京都)常務取締役 土肥弘基氏
・うなぎの干物「沼津の大名うなぎ」試食会開催 〜京丸うなぎと五十嵐水産が共同開発〜
・三重県で第1回「うなぎサミット」開催 〜9店舗が参加、活発に意見交換〜
・「FOODEX JAPAN2015」3~6日 〜業界関連も多数、出展〜
・本物の旨さを追求する「うなぎ大嶋」三代目店主 大嶋茂樹さん〜新美貴資の「めぐる。」34〜
・平成26年度 後継者育成事業研修会 〜全国養鱒振興協会/9日、東京・築地「コンワビル」〜
・鹿児島産「うなぎ弁当」出展 〜京王百貨店で「大九州展」開催!〜
・アユシーズンへ販売PRで熱い議論 〜5日/荷受け各社及び全国鮎生産者合同会議、於:東京都中央卸売市場・築地市場〜
他。
「蒲焼店が考える“これから”」4 〜2014年3月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]
森田恵次店長
(しら河・今池店/愛知県名古屋市)
『誰が悪いとかどこが悪いとかいうのは もうやめにして』
鰻屋さんにとって様々な対応が見受けられる、4月からの消費税増税。「しら河」ではどのような対応だろうか。
「4月1日より、3%の増税分を全商品に上乗せしますが、円単位は四捨五入させていただきます」
一方、ここ4年間の不漁から、資源問題が浮上している。今シーズンは一転、シラスウナギ好漁となっているが、根本的な資源回復とはなっておらず、また今シーズンの好漁の原因もはっきりしていない。
「資源問題は本当に切実です。天然鰻を採らない(商品として扱わない)ことは既に多くの同業の方々も実践している事だと思いますが、その他にも例えばシラス漁の漁獲上限を決めてそれ以上は採らないなどの自主的な取り決めも必要かと思います。海洋環境の変化や河川環境の悪化はなにもウナギだけの問題ではありませんし、日本だけの取り組みでは限界があります。ただし、まずは我々が出来ることから1つでもよりよい事を実践していくことが一番重要な事だと感じてます」
資源問題とともに、重要なのが失ったマーケットをいかに取り戻すかという問題だ。ある問屋筋の話をきけば、「不良になる前の年と比べる、30〜40%、扱い量は落ちたまま」と厳しい現状がある。
「バランスだと思います。今、我々が置かれている現状をお客様に冷静に誇張することなく伝え続けていくことだと思います。例えば、我々はウナギ保護のために“こんな事をやってます”という事を常に発信していくと同時に1人でも多くのお客様に鰻を食べていただくために年に数回催事を各地で開催するなどのPRを両面でやっていく事が大切になってくると思います。今後、レッドリスト問題(IUCN:国際自然保護連合)で、絶滅危惧種に指定されうる鰻を食してもいいのかという意見も多くなってくるでしょう。しかし、そこはこちらが冷静にそして丁寧に説明していく事が大切になっていくと予想されます。多くのマスコミや一部の消費者は過度に歪曲された話題性のある事案を好みますが一過性のものに過ぎません。鰻の食文化を継承することを念頭におき、長い目で考えた、一過性ではない意見を発信する事が一番のPRになると考えます」
ところで近年は、環境が大きく変化しているが、うなぎ専門店としてはこれからどう進んでいくべきと考えているのだろうか。
「物凄く個人的な観測としてですが、敢えて言わせていただきます。私、個人的意見として、過去4年プラスあと10年間がこの業界において一番苦しかった時代だと思えてなりません。お客様に売る商品自体が少なくなるという根本的な危機に陥ったのは他にどれだけあるのでしょうか?この飽食の時代に飲食業界では例をみません。但し、逆の見方をすれば、どの食物に対しても鰻と同じような事がいえるという理由から単に我々はその危機が早かっただけの事かもしれません。大切なのはこれからです。過去4年間。我々の業界は浮足立ち、迷走を続けました。正に神頼みだったのです。いや現在進行形ですね。まずは今までの検証から始めて、来たる2年後のワシントン条約に向けて我々は何をやらなければいけないのかを考え、実行する事です。未来はそこから考えればいいと私は思うのです。今年はありがたい事にその猶予をもらえた年になるでしょう」
[データ]
「しら河」
〒451-0031 愛知県名古屋市西区城西4-30-3
電話:052-522-8331
*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
「ウギャル」が寿司作りに挑戦 [本紙記事/速報]
*画像をクリックすると拡大します。
ファッションモデルや女優らでつくる「ウギャル」が3日、千葉県船橋市の寿司店で寿司作りに挑戦した。
これは魚食普及を目的に「旦那や彼氏、子どもを喜ばせる料理教室」と題して開催されたもので、「ウギャル」のメンバーは3日、船橋市の寿司店「御旦孤(おたんこ)」を訪問。市川正店長から、千葉県勝浦産の7.9kgの初がつおを使用した「手ごね寿司」の作り方を教わった。
「ウギャル」らは最初は緊張した面持ちだったが、市川店長の手ほどきを受け徐々にコツを習得。協力しながら本格的な「手ごね寿司」作りに奮闘した。
リーダーを務めるファッションモデルのライさんは「初めて挑戦しましたが、とてもおいしかったです。ひな祭りのごちそうとして子どもに食べさせるのもいいですね」と話していた。
また、今年から「ウギャル」に加入した女優の橋本甜歌(てんか)さんも「普段はなかなかこういう機会がないのでいい経験ができ、光栄でした。次の機会にもぜひ挑戦したいと思います」と、満足した様子だった。
今年から「ウギャル」に加入した“てんちむ”こと橋本甜歌さん
最新号15.3.5発行 [本紙記事/速報]
主な内容<8ページ建て>
・生鮮アユ今シーズン初入荷 〜2日/東京・大阪・名古屋の三公設卸売市場〜
・「日本食普及の特別親善大使」に壇れいさんを任命 〜農水省〜
・「馬瀬鮎だし入り醤油」が完成 〜下呂市『馬瀬の集い』で〜
・ウナギをめぐる状況と対策/後編<水産庁>
・勝負合あった?国内外のシラスウナギ
・蒲焼店が考える”これから”36 「お客様に今も昔も変わらぬ感動いただける蒲焼提供を」濵丑川魚店(長野県)代表取締役 濵守氏
・ホワイトデーには白焼鰻をご馳走しよう 〜真鯉ひろしの「長いものには巻かれよ」その120〜
・お声かかれば鰻に関するスピーチを 〜大高未貴の百鰻件聞録 182〜
・養鰻大産地鹿児島訪問 〜東京鰻蒲焼商組合青年部〜
・子どもへの鰻PRの重要性 〜鰻屋組織「鰻福会」が情報交換会〜
他。
第40回「FOODEX JAPAN2015」開幕! [本紙記事/速報]
(一社)日本能率協会などが主催するアジア最大級の食品・飲料展示会「FOODEX JAPAN2015」が、3月3日から6日まで千葉市の幕張メッセで開催されている。40回目の節目を迎える今回は、過去最大規模の79の国と地域から2,977社が出展、業界関連企業からも出展が相次いだ。
福岡市東区の西日本冷食は、シャコの残さを飼料に混ぜて育てた「筑紫金うなぎ」を出展。月間で400〜500kgの生産を誇る主力商品だが、引き合いがさらに増えており生産が追いつかない状態だという。事業部の井上慶一さんは「お客様のニーズに合わせて池も増設する予定です。当社の新しいブランドとして引き続き販売していきます」と話していた。
また、浜松市北区のうなぎ蒲焼専門店「勝美」(二橋幸司社長:写真向かって左)と東京・台東区の善ケミカルは、国産ウナギの頭から抽出したコラーゲンを使用したサプリメント「うな姫ツルツル」を共同で開発。善ケミカルの桑原哲郎開発顧問は「蒲焼屋さんの店頭での販売を目指しています。まず東京都内からスタートし、販売エリアを拡大しながら消費者のうなぎ離れに歯止めをかけられれば」とPR。
一方、小鮎のつまみ「燻り鮎」を出展したのは岐阜県各務原市のマグリーフ。鮎特有のほろ苦さが特長で、同社の板津由加里さんは「今までにない鮎の食べ方を提案してみました。そのままお菓子のようにも召し上がれますし、ちょっと炙ればおつまみにも最適です」と、酒のつまみにも合うことを強調していた。
*詳細は3月15日号本紙にて
「蒲焼店が考える“これから”」3 〜2014年2月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]
渡邊 昌宏取締役
(喜代川/東京都中央区)
『親うなぎを取り続けていたら 子であるシラスウナギも減ってしまう』
消費税増税が迫っている。シラスウナギ漁の動向次第では“予定していた値上げは取りやめる”といった鰻屋の声も聞かれるが、お店によって見方は様々だ。
「一昨年の1月、4月と二度にわたり、値上げをさせて頂いてますが仕入れ値の高騰を受けて利益確保が難しくなってきています。消費税増税3%分に加え、仕入れ値高騰ということ背景から値上げを予定しています」
今シーズンのシラスウナギ漁は幸いにも好調を維持しているが、それまでの4年間の不漁は、絶対量不足、相場高騰など業界を苦境に陥れた。今なお、供給不安、相場も高値安定で推移しており、厳しい現状に変わりはない。とくにウナギ資源問題については何ら改善されていない。
「業界全体において、親ウナギの放流、シラス漁の日数を縮める等、あります。対して、一蒲焼店が出来る資源保護と言えば“天然ウナギを買わない、扱わない”ということでしょうか。親ウナギを採り続けていたら、子であるシラスウナギも減ってしまいます」
地道な資源保護への取組みの一方で、大幅に冷え込んだウナギの消費。東京淡水魚卸協同組合の東京地区活鰻流通量データを例にとってみても2013年度は、近年の平均データの70%の水準となっている。
「4年連続のシラス不漁で今年は久しぶりに例年並みに採捕されているようですがたまたま捕れているだけでまた来年以降不漁ということもあります。天然資源に頼らざるを得ない以上、資源保護も考えたうえで、PRしていく必要があるでしょう。夏の繁忙期に安価なうなぎ蒲焼をたくさん食べるなら、秋冬にも高くても美味しいうなぎ専門店でうなぎを食べて頂くことでしょうか」
資源保護を絡めたPRという難しさも含め、近年、蒲焼店業界を取り巻く環境は一変している。
「これだけシラス不漁が続き資源保護が叫ばれているなか、薄利多売という大量生産ではなく、高くてもお客様が食べに来て頂ける店作りをしていかなければならないと思います。うなぎ専門店として丁寧な仕事をし美味しいうなぎをお客様に提供できるよう努力すると共に、ただの飲食店のみならず老舗としてのうなぎ文化の継承も提供していきたいと考えております」
[データ]
「喜代川」
〒103−0016 東京都中央区日本橋小網町10-5
電話:03−3666−3197
*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
最新号15.2.25発行 [本紙記事/速報]
主な内容<8ページ建て>
・各スーパー大半国産 〜スーパーの鰻蒲焼拝見〜
・<新刊紹介>『すし、うなぎ、てんぷら林修が語る食の美学』 〜宝島社発行〜
・「戦争に巻き込まれない」 〜大高未貴のなんくるないさあ〜27〜
・「バラエティに富んだ約3000アイテム揃う」〜築地市場卸4社が「春夏新商品展示会」〜
・蒲焼店が考える”これから”35 「鰻屋同士、そして問屋との繋がりを大切にしていくべき」清水屋川魚店(長野県)三澤純也氏
・第12回シーフードショー大阪開催 〜業界関連から5社出展〜
・「情緒そのまま!リニューアル」 〜日本橋老舗蒲焼専門店『喜代川』〜
・ウナギをめぐる状況と対策/前編<水産庁>
・飼料メーカーも値上がり軽減の提案を! 〜小堀彰彦の自然の恵み&虹鱒 119〜
・他メーカー始まるも時期尚早感拭えず 〜生鮮小アユ〜
・ワシントン条約に向け予断許さず 〜老舗問屋「鯉平」主催/平成27年度・第1回情報交換会開催〜
・宇和島水産高校がウナギ人工ふ化に成功 〜全国の高校で2例目〜
他。
今号のうなLady〈Vol.13〉 [うなLady]
寺脇 加恵代表取締役(38歳)
「㈱NURSE&Co」
▼どんなときにウナギを食べたいと思いますか?
ー夏の暑いときや体力をつけたいときです。ウナギは好きで2ヶ月に1回程度の頻度で食べに行きます。時間に余裕があるときなどは着物を着用し、気持ちを引き締めて行く場合もあります。
▼ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたことについてどう思いますか?
ー絶滅危惧種を食べていいのか、将来食べられなくなるのかという不安もあります。そのために私が直接できることはありませんが。
▼仕事のやりがいは?
ーお客様からイベントの概要をお伺いしてそれに合わせた料理をケータリングしますが、お客様の反応が直接見えること、また、毎回違った料理を提供するので常に変化があることです。
▼仕事でどんなことを心がけていますか?
ーお客様が予想外だと思うような料理を提供すること、常にクオリティの高いもので、いい意味で驚きを提供することを心がけています。
「蒲焼店が考える“これから”」2 〜2014年2月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]
村田章太郎常務
(逢坂山かねよ/滋賀県大津市)
『天然ウナギを漁獲されている人たちと どう共存していくか』
「先日、『国際ソロプチミスト大津』というイベントに参加し、弊社のうなぎ商品を販売させていただきましたが、“鰻蒲焼一本入(3500円)“などやはり、売れが落ちています。お客さんの”鰻は高い“というイメージが深く、刷り込まれてしまっている事を強く感じました」
近年、シラスウナギ不漁による相場高騰から、ウナギ離れは顕著となっている。また今年4月から、消費税も増税され、売れ行きが懸念されているところでもある。
「おととしの4月にメニュー価格を値上げさせていただいていますが、すでに限界を超えている状況です。この4月からは3%消費税分に加え、“4年連続のシラスウナギ不漁”など業界事情を説明させていただいた上で値上げも考えています。お客様に喜んでいただけるよう、変わらず努力は続けていきますが、とにかく、不安でしょうがないです」
ウナギ業界において近年、“ウナギ資源保護”が叫ばれている。天然ウナギの漁獲規制、シラスウナギ稚魚採捕の日数縮減、また天然ウナギを買い上げ、放流する取組みも実施に行われている。
「天然ウナギを漁獲されている人たちとどう共存していくか考える事も大切だと思います。天然ウナギについても、“ハードランディング”的な規制ではなく、“ソフトランディング”で進めていきながら、一方で消費者に向けても資源の大切さをアピールしていくことも大事でしょう」
ウナギ資源保護を進めていく一方、ウナギマーケット回復のためのPRについてはどうだろうか。売れ行きに関して、一つの指標となる東京地区活鰻流通量(東淡調べ)は昨年、史上最低を記録、今後が懸念されているところもである。
「昨年12月、“和食”が世界無形文化遺産に登録されましたが、そのなかで“鰻も含まれています”というキャッチコピーを添えPOP、ポスター、ステッカーなどを用い、広く啓蒙していくことも良いかもしれないですね。とにかく、多くの人に関心を持っていただくこと、興味をもっていただくことが大事ですね」
価格、資源問題など様々な課題が山積する鰻蒲焼店業界。取り巻く環境も厳しいなかで、鰻屋はどう進んでいくべきか。
「古いものは守るべきだと思います。ただし、やはり、お客さんを待つのではなく、足を運んでいただけるよう、敷居を低くしていく必要があります。また社員には “もの作り”という意識を強く持ち、単なる“作業”にならないように常々、強く言っています。商売を取り巻く環境が厳しいなか、“ウナギがきれいに並んでいるか?”など細かい部分を徹底させる事もお客様への礼儀。老舗ながら、活気ある店作りに今後も努力していきたいですね」
[データ]
「逢坂山かねよ」
〒520-0062 滋賀県大津市大谷町23-15
電話(本店)077-524-2222
*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
「蒲焼店が考える“これから”」1 〜2014年2月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]
関野忠明社長
(うなよし/静岡県三島市)
『ウナギ資源を守る事が先決』
近年のシラスウナギ不漁、それに伴う相場高騰から、ウナギ離れが進む昨今。蒲焼店を取り巻く環境も大きく変わり、廃業を余儀なくされたお店も少なくない。未だ仕入れ値は高止まりしているものの、幸いにシラスウナギ漁が5年振りに好調さを見せており、秋以降、相場、そして供給面でようやく一息つけそうな、明るい兆しも見えてきた。
ただ、手放しで喜べないのは、4月からの消費税増税、未だ何ら解決していないウナギ資源問題、かつ、近年のウナギマーケットの大幅縮小など、課題が山積していることだ。
「うちではこれまで5回にわたり、細かく値上げをさせていただきました。今回4月の消費税増税に関してですが、最低でも1%分、値上げをさせていただく予定です。また、久しぶりにシラスウナギ漁が好調ですが、相場の先行きがどうなるのか、ある程度、見渡せた段階で、はじめてメニュー価格をどうするのか考えていきたいと思います。安易に値下げることは危険かなと思います」
そもそも相場高騰の原因になったのは、“4年連続のシラスウナギ不漁”に他ならない。今年は幸いにも久方ぶりの好漁気配となっているが、ウナギ資源保護に関しては何ら解決されていない。昨年2月には環境省がニホンウナギをレッドリストに登録、業界内外を根底から震撼させ、水産庁も資源保護に乗り出した。
「昨年末、“和食”が無形文化遺産に登録され、ウナギもどのようにアピールしていくか、との話も出ているかと思います。しかし、私はちょっと待てよ、と言いたい。まずは、ウナギ資源を守る事が先決ではないでしょうか。ウナギ資源が増えて、はじめて“無形文化遺産”の名称を使ったウナギの売り方も出来るのだと思います。ウナギ屋としてどんな資源保護が出来るか、ですが、まずは“天然ウナギを買わない、使わない”こと。“漁をされている方はどうするのだ?“の声も聞こえてきそうですが浜松では“天然ウナギを買い取り、沖合で放流する”取組みが既に始まっていますし、その動きが全国に波及することを望んでいます」
シラスウナギ漁は好調だが、気になる相場もまだまだ、高値に張り付いているのが現状で、マーケットは年々、減少の一途を辿っている。
「店が生き残るためには、これからも“本物”をしっかり、提供していくことですね。そして厳しい環境下、経営面を考えると営業調整も必要なのではないかと思います。これまで私どもでは8時ごろまで営業していましたが、最近では夕方頃、お客さんの“波”が途切れたら、ぴたっと店を閉めさせていただいています。儲からない時間帯は、人件費の問題もありますからね。“資源”も“お店”も両方なければ、商売出来ません。危機感を持ち、資源問題を考えながら、商売もしっかり考えていく。“今を乗り越えられれば”との声もよく聞きますが、“乗り切る、乗り切らない”の問題ではなく、“明日をどう生きるか”、それが今の世の中、大事だと思います」
[データ]
「うなよし」
〒411-0848 静岡県三島市緑町21-6
電話:055-975-3340
*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
今号のうなLady〈Vol.12〉 [うなLady]
小坂 弥生さん(30歳)
築地仲卸「亀本商店」
▼どんなときにウナギを食べたいと思いますか?
ー疲れたときやスタミナをつけたいときに。初めはウナギは苦手でしたが、知人に誘われて食べに行ったらおいしかったので、以来月に一度くらいのペースで蒲焼屋に行っています。
▼ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたことについてどう思いますか?
ーあまり食べすぎると将来いなくなってしまうのかが心配です。ウナギの生態がもっとわからないのかなとも思うんですが…。
▼仕事のやりがいは?
ー忙しくてもお客様や従業員の皆と冗談が言い合えることです。お客様から「いつも楽しそうだね」といわれると嬉しいです。
▼仕事でどんなことを心がけていますか?
ー単価間違えをしないこと、機嫌が悪くても根気よくやることです。お客様に優しく接するためには従業員の皆と仲良く仕事をすることが大切ですので。
最新号15.2.15発行 [本紙記事/速報]
主な内容<10ページ建て>
・ウナギ用配合飼料ニュース
・国内残鰻量は約1万トン 〜日本鰻協会定例会合開催〜
・期待の”第三波”闇夜の大潮 〜シラスウナギ状況〜
・「鰻文化継承のために必要な事とは?」〜えっせい 鰻に魅せられてその49〜
・長野県岡谷産鰻が成鰻に! 〜今期、長野県の配分数量は2.6kg〜
・水産総合研究センターへ30万円を寄付 〜日本のうなぎを育てる会〜
・蒲焼店が考える”これから”34 「『味』『サービス』『雰囲気』を提供し続ければお客様は必ず、ついて来ていただける」うなぎ藤田浜松店(静岡県)代表取締役 藤田将徳氏
・第49回スーパーマーケット・トレードショー2015 〜業界関連からも出展相次ぐ〜
・ミニうな丼1000食、30分で完売 〜うなぎのまち岡谷の会主催「第8回岡谷寒うなぎまつり」〜
・結いの精神で川と生きる/長良川漁師・平工顕太郎さん 〜新美貴資の「めぐる。」33〜
・うなLady<vol.13> (株)NURSE&Co 代表取締役 寺脇加恵さん
・うなぎ文化継承!さらに注力 〜平成27年新年賀詞交歓会開催/東京鰻蒲焼商組合主催〜
・”法的拘束力のある枠組み”設立は継続協議に 〜次回は6月、札幌で/水産庁・ウナギ資源管理非公式協議〜
・アイテム揃うも、活気感じられず 〜ピーコックストア/スーパーの鰻蒲焼拝見〜
・アメリカ出張で見つけた”ドリンク 〜真鯉ひろしの「長いものには巻かれよ その119」〜”
・ワシントン条約に話題集まる 〜日本鰻輸入組合「2015年度春の情報交換会」〜
他。
ウナギ資源管理で“法的拘束力のある枠組み”継続協議に 〜次回会合は6月、札幌〜 [本紙記事/速報]
水産庁は4、5日の両日、東京都千代田区の三番町共用会議所で「ウナギ資源の保存及び管理に関する法的枠組みの設立の可能性についての検討のための非公式協議」を開催した。
当日は、日本から農林水産省顧問である宮原正典氏、水産庁漁場資源課長の太田愼吾氏、そして中国、韓国、台湾がそれぞれ参加、協議した。そのなかで新たなウナギ資源の保存及び管理のための法的拘束力のある枠組み設立の可能性について議論を交わした。結果、継続協議することになり、次回会合は札幌で6月に開催される予定だ。
参加した太田課長は「昨年9月に合意したシラス池入れ量20%削減についてはあくまで自主的なもので法的拘束力はない。今回、そして次回会合を通じ、割当てを守らない場合にどのようなペナルティを課すか、議論を交わしていく。来年はワシントン条約もあり、早期策定に向けて水産庁としても努力していきたい」と話している。
今号のうなLady〈Vol.11〉 [うなLady]
東 園絵代表取締役
「株式会社ウナギトラベル」
▼ウナギに対するイメージは?
ーやはり高級で特別なときに食べるものというイメージがあるだけに、食べたあとの充実感や満足感が違います。蒲焼屋さんでもただ食べるのではなく、香りや肉の厚さ、タレの甘い辛いなどいろんな楽しみ方を見つけて味わうようにしています。
▼どんなときにウナギを食べたいと思いますか?
ー元気になりたいときや忙しさで疲れているとき、また、地方に出張した際にもちょっと贅沢して食べることがあります。お店によって雰囲気や空気感もすべて違いますが、それぞれ違った雰囲気を味わえるのが蒲焼屋さんの魅力です。
▼「ニホンウナギ」が絶滅危惧種に指定されたことについてどう思いますか?
ー将来、ウナギが食べられなくなってしまうのかという心配があります。日本を代表する食文化が途絶えることのないよう、ウナギの魅力をもっと広めて多くの人に食べてもらったり、「ニホンウナギは大変なんだ」ということを示したりすることも必要なのではないでしょうか。
▼仕事のやりがいは?
ーお客様からぬいぐるみをお預かりして写真を撮るのですが、「嬉しかった」「自分も実際に行ってみた」という生の声をいただくときが一番のやりがいです。「ぬいぐるみが旅している姿を見てリハビリを頑張れた」など、お客様の実生活に直結してくれたときは本当に嬉しいです。
▼仕事でどんなことを心がけていますか?
ーぬいぐるみを単なる「モノ」として撮るのではなく、お客様の心に寄り添い、気持ちをくみ取るようにしています。日本語を学んでいる外国人のお客様なら黒板に書かれた日本語と一緒に撮るなど、お客様と同じ気持ちになることで初めて感動が生まれます。
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