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倉本聰さん 福島の苦しみを舞台に3月18日 13時33分
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脚本家の倉本聰さんが手がけた作品「ノクターン 夜想曲」。東日本大震災の被災地・福島を舞台にしたこの作品が、ことし1月から今月にかけて全国各地で上演されました。
脚本を書くにあたって被災地を何度も訪れた倉本さんが舞台で問いかけようとすることは。
脚本を書くにあたって被災地を何度も訪れた倉本さんが舞台で問いかけようとすることは。
被災者の心情を舞台に
物語の舞台は、福島第一原発に近い富岡町にある、荒れ果てたアトリエです。そのアトリエを津波で失った娘の遺体を捜す原発作業員と新聞記者が訪れます。娘を守れなかったことを悔やみ、自分を責める原発作業員と、津波にのまれる人を救わずに取材を優先してしまった過去を持つ記者が、互いに境遇を語ります。
舞台にはピエロの彫刻の役も登場、ショパンのノクターンに乗せて被災者の苦悩を代弁します。
この脚本を書くにあたって、倉本さんは、被災した人たちの思いをしっかり受け止めるために10回以上にわたって現地を訪れ、福島第一原発の内部にも特別な許可を得て入りました。試験的な上演のあと10回以上台本に手を入れ、ことしの全国公演を実現させました。
「できるだけ(現実に)近づこうと思ったんです。現地を歩いていると悲惨だと思うんだけれども、窓から家の中をのぞくと震災当時のまんまなんです。よく見ると、この家は意外と新築だと分かる家があるんですね。そこにはベビー用品が置いてあって、“この家はたぶん、若い夫婦が初めて家を建てたんだな、ローンはどうなってるんだろう”とか、いろんなことを考えちゃうわけですよ。やっぱりそれぞれの一軒一軒の家に重いストーリーがあるわけでしょう」(倉本さん)
舞台にはピエロの彫刻の役も登場、ショパンのノクターンに乗せて被災者の苦悩を代弁します。
この脚本を書くにあたって、倉本さんは、被災した人たちの思いをしっかり受け止めるために10回以上にわたって現地を訪れ、福島第一原発の内部にも特別な許可を得て入りました。試験的な上演のあと10回以上台本に手を入れ、ことしの全国公演を実現させました。
「できるだけ(現実に)近づこうと思ったんです。現地を歩いていると悲惨だと思うんだけれども、窓から家の中をのぞくと震災当時のまんまなんです。よく見ると、この家は意外と新築だと分かる家があるんですね。そこにはベビー用品が置いてあって、“この家はたぶん、若い夫婦が初めて家を建てたんだな、ローンはどうなってるんだろう”とか、いろんなことを考えちゃうわけですよ。やっぱりそれぞれの一軒一軒の家に重いストーリーがあるわけでしょう」(倉本さん)
地元紙取り寄せ 福島感じる
北海道・富良野に暮らす倉本さん。福島の現状を知るため、福島の地元紙を毎日取り寄せています。その紙面に気付かされることも多いと言います。「中央紙とは全然違うんですよ。もう1面からほとんど原発の関連のニュースなんです。それから、線量がどこの小学校では0コンマ…と細かくずっと出ているんです。でも、電気を送ってもらっている都会では、みんなそのことは忘れちゃってますね。僕はやっぱり福島に行くべきだと思いますね。廃炉作業にはこれから40~50年、作業はかかる。まだまだその先に、燃料棒はどうするのという問題が山積してますよね」(倉本さん)
ラストシーンに込めた思いは
倉本さんは今回の公演に併せてラストシーンを書き加えました。それは1億年後の海底で、被災者を代弁するピエロの心の声が聞こえるというシーンです。人々の感性に訴えかけることが、事故を風化させない唯一の希望だと考えたからです。
「海の底から音楽というか訳の分からない音が聞こえてきて、震えちゃう。人の心を揺り動かす力というのは、そういうものを大事にするということでもあるし、それが、ひとつの光になるという気がします」(倉本さん)
「海の底から音楽というか訳の分からない音が聞こえてきて、震えちゃう。人の心を揺り動かす力というのは、そういうものを大事にするということでもあるし、それが、ひとつの光になるという気がします」(倉本さん)