短期投資には「需給を読め」という鉄則がありますが、僕にはさっぱり分かりません。
株式相場の変動の傾向は、タイムスパンによって大きく異なると言われています。
- 短期スパン…需給関係、投資家心理
- 長期スパン…企業価値、成長性
ざっくりと言ってしまうと、このようなカテゴリ分けがされているようです。
需給関係…。短期トレードをメインとしている私ですが、こういった指標を定量化するのはニガテです。
なんとなく、この位置には損切りが集中しそう
なんとなく、このあたりで利益確定が集中しそう
など、投資家の行動をイメージするのは得意なのですが、「需給」とかいう小難しい言葉は…うーむ。。。
しかし、私だってトレーダーのはしくれ。「分からない」なんて甘えたことは言ってられません。どうやったら需給がカンタンに理解できるか、考えてみました。
ああだこうだ考えているうちに行き着いたのが「板情報」と「SD曲線」の融合フレームワーク。
精密ではありませんが、このフレームワークによって相場の「需給の流れ」がカンタンに読めるようになりました。
…ということで、今回ご紹介するのは板情報から読み取れる需給の3類型と、需給変動の4パターン。きっと役立ちますから、最後まで読んで下さいね。
目次
1. 板情報とは?
板情報とは、「株を買いたい/売りたい価格と注文株数(気配値)がまとめられた表」です。
上画像はSBI証券からスクショしました。この時、水色の枠で囲われているところが板情報になります。
たとえば、上画像では「株式を1,153円で売りたい」という注文が800株分、「株式を1,151円で買いたい」という注文が200株分出されていることが分かります。
板をあまり見ないという方にとっては「なんのこっちゃ」という感じでしょうが、これはかなり参考になりますから見逃さないようにしましょう。
…こんなことを言っている私も、全然分かっていないんですけどね笑
2. SD曲線とは?
「SD曲線を知らない」という方はまず居ないでしょうが、イメージをつかむためにも復習しておきましょう。
SD曲線の名前は需要(Demand)と供給(Supply)に由来します。上図のように、需要曲線(Demand Curve)と供給曲線(Supply Curve)の2つの曲線で構成されていて、価格を決定づける理由をまとめた有名な理論です。
これらの曲線が意味するのはたった2つ。
- 人は安いものを買いたい人が多く、高いものを買いたい人が少ない
- 人は高くものを売りたい人が多く、安くものを売りたい人が少ない
これだけです。
冒頭でも述べましたが、本記事のテーマは「SD曲線」と「板情報」の融合です。
このアイデアを思いついた時、「これは面白い! 俺は天才かもしれない!」と思い上がってしまいました笑
さて、具体的に融合する方法ですが、これは次項でお話ししていきます。
3. 板情報から読み取れる需給の3類型
私が思いついたのは、SD曲線の向きを変えて「板情報」のフォーマットに合わせてみるというアイデア。
こうやってみると、板の数字を見ながら需給がイメージしやすくなりませんか?
そして、SD曲線を利用すると板情報を3パターンに類型できることが分かりました。それは、
- 均衡型
- bull型
- bear型
の3パターンです。(ちなみに、それぞれの類型の名前は私が命名しました笑)
詳しく、これらのパターンの特性を考察していきましょう。
3 – 1. 需給の類型その1:均衡型
均衡型は、需要曲線と供給曲線の形が似ていて、買い圧力と売り圧力が均衡している状態を示します。この場合、株価は変動しづらいと考えられます。
また、均衡型の中でも注文株数が多い(需要曲線、供給曲線の両方に傾きが大きい)ほど株価が変動しづらいと考えられます。
3 – 2. 需給の類型その2:bull型
bull型は、供給曲線よりも需要曲線の傾きが大きく、買い圧力が強い状態を示します。この時、株価の変動は売り圧力によっては変化しづらいと考えられ、「需要の動向」が値動きを支配しているでしょう。
また同様に、需要曲線が安定しているときには買い支えとなることが期待でき、ダウンサイドリスクが低減され、アップサイドリスクが高まる状態であると言えそうです。
3 – 3. 需給の類型その3:bear型
bear型では需要曲線よりも供給曲線の傾きが大きく、売り圧力が強い状態を示します。この時、株価の変動は買い圧力ではビクともしません。逆に言うと、「供給の動向」が支配的で、株価を大きく左右する状況と言えるはずです。
供給曲線が安定したいる場合はアップサイドリスクが小さく、「なかなか株価が上がらない状況」にあると考えられます。同時にダウンサイドリスクが大きくなりますから、買いたくない局面です。
4. 需給変動の4パターン
得られるヒントは、これだけではありません。
次は、「需給が変動したとき株価や出来高にどのような影響を及ぼすのか」を4つのパターンから理解していきましょう。
- 需要曲線が上に移動した場合
- 供給曲線が上に移動した場合
- 需要曲線が下に移動した場合
- 供給曲線が下に移動した場合
考えられるのはこれらの4パターン。このパターンを熟知することで、出来高や値動きから需給の流れがつかめるようになるでしょう。
4 – 1. 需要曲線が上に移動した場合
需要曲線が上にスライドする、つまり買い圧力が強まることで株価は上昇します。
上昇トレンド時の株価の上昇要因はこれが主なものと考えられます。これは、上昇トレンドが「出来高の上昇が伴うことが多い」という通念に由来します。
需要曲線が上にスライドすることで、買い圧力が売り圧力に対して正面衝突することとなります。需要曲線と供給曲線が被る面積も増えますから、出来高が増加しながら「下から押し上げられる」形で株価が上昇することとなります。
4 – 2. 供給曲線が上に移動した場合
供給曲線が上にスライドする、つまり売り圧力が弱まることで株価は上昇します。
このような場合はダマシとなるケースが多いとされていますが、この理由は「売り圧力が弱まったのみで、需要の増加が伴わない」ことが原因として考えられます。
供給曲線が上にスライドすると、売り圧力が買い圧力から逃げていく構図となります。この場合は需要曲線と供給曲線が被る面積が減りますから、出来高が減少しながら「上から吸い上げられる」形で株価が上昇することとなります。
4 – 3. 需要曲線が下に移動した場合
需要曲線が下にスライドする、つまり買い圧力が弱まることで株価は下落します。
本ケースは「興ざめ」などが代表例として挙げられ、「買い圧力が弱まったのみ」で供給の増加を伴いません。
需要曲線が下にスライドすると、買い圧力が売り圧力から逃げる形となります。この場合は、需要曲線と供給曲線が被る面積が減りますから、出来高が減少しながら「下から引っ張られる」形で株価が下落することとなります。
また、この場合は売り圧力が強化されていないことから、調整によって反発への期待値が高まると考えられます。
4 – 4. 供給曲線が下に移動した場合
供給曲線が下にスライドする、つまり売り圧力が強まることで株価は下落します。
これは◯◯ショックといった経済打撃を受けた際によく見られるケースで、先行きの不透明感や悪材料の発生による投げ売りに起因すると考えられます。
供給曲線が下にスライドすると、売り圧力が買い圧力に正面衝突することとなります。需要曲線と供給曲線が被る面積も増えますから、出来高が増加しながら「上から押し下げられる形」で株価が下落することとなります。
需要曲線は株式を保有していない人の「願望」によって形成されるのに対し、供給曲線は既に株式を保有している人の「損得勘定」によって形成されることが多いと考えられます。
損得が絡むことから供給曲線は材料に対してより敏感だと考えられます。これにより、供給曲線が急激に下にスライドすると、◯◯ショックのような大暴落が引き起こされるのだと考えられます。下落トレンドが上昇トレンドよりも短いタイムスパンで終焉を得るのも、この傾向が要因かもしれません。
5. まとめ:板情報とSD曲線で需給をラクに視覚化できる。
いかがでしたか?
今までなんとなく板情報をながめていた方も、板情報とSD曲線を合体することで「需給の流れ」が想像しやすくなったんじゃないでしょうか。
今回紹介した類型やパターンはいささか単純化し過ぎなようにも思えますが、これらを全て頭に叩き込んでおくだけで有利なトレードにつながると思います。
需給が読めないなんて、君もまだまだだね。
こんなことを言える日が、少し近づいた気がします。