(汽笛)
(倉田智子)100万円入ってます。
これしか用意出来ませんでした。
(咳)大丈夫ですか?
(咳)
(幹事)横浜光女学園平成元年卒業3年B組の皆さーん!注目してくださーい!ではここでサプライズです〜!はい私が今から名前を言う人は前に出てきて。
旧姓で言うね。
えー山下恵美。
村木美冬。
はい!
(幹事)工藤明菜。
(工藤明菜)えっ私も?
(幹事)倉田智子。
実はあなたたち美術クラブ4人になんとプレゼントが届いてます。
どうぞ〜!何よこれ!あなたたち心当たりある?ううん。
あのね私たち幹事もね全然わからないの。
なんかお店の裏に届いてたって。
ほらここにあなたたちの名前書いてあるでしょ?えーっ案外あれじゃないの?あなたたち4人にあこがれてる男子がいてクラス会の事知って送ってきた!えーっ!?ちょっと智子開けてみてよ。
うん。
(悲鳴)な…なんて事!
(幹事)ひとみじゃない!3年の時に自殺した…。
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)
(二宮早紀)どういう事?冷凍遺体って。
(二宮一馬)いやわからん。
とにかく見てくれ。
これ…。
真島ひとみ17歳。
23年前自殺した彼女たちの同級生だ。
23年前?なんで冷凍に…。
クライオニクスじゃなさそうね。
ん?ク…クライオニクス?アメリカで行われてる遺体の冷凍保存よ。
病死した遺体を保存して将来の医学の進歩に治療を託す。
その場合体内の水分を抜いて不凍液を注入し液体窒素でマイナス196度で保管するとかなんとかまあ色んな事があるらしいんだけど。
この遺体の場合は単純に冷凍されただけみたいね。
23年前彼女は首つり自殺を図ったが死にきれず脳死状態のまま神奈川医大に搬送され3日後に死亡した。
じゃあ解剖はされてないのね?遺族に連絡したがたった1人の身内だった父親が半月前に死亡している。
いずれにしても23年間の間遺体を冷凍していたなんて異常だ。
念のため検視頼むぞ。
ええ。
(未奈)こんな事初めてですよね。
自然解凍を待って解剖するなんて。
(桑田)だけどびっくりしたでしょうねそのクラス会。
自分の同級生が23年前の姿のまま冷凍死体で出席するなんて…。
自分の意思で出席したわけじゃないのクラス会に。
その事を忘れないで。
すみませんそうでした。
許せない遺体を物のように扱うなんて。
索条痕が耳の下を通って上に向かってるから縊死ね。
何かしら?これ。
歯の矯正具を無理矢理外した跡のような…。
ああそうなんだ。
当時の南横浜署の記録を見ると自殺した真島ひとみ17歳は歯の矯正具がぐらついて取れそうだから学校の帰りに歯医者に行くといって家を出その夕刻自殺を図ったらしい。
でその矯正具は?現場から発見されたの?いや見つかってないな。
じゃあ自殺の原因は?うん…。
美術クラブの顧問で大好きだった先生が結婚しその上学校を去るという事になりショックを受けたって話だ。
ありがちよねその年頃にはね。
(携帯電話)
(携帯電話)俺だ。
(大石貴一)大石です。
真島ひとみさんの遺体が保管されていたと思われる地下の冷凍室を発見しました。
やはり半月前に亡くなった父親の別荘か?ええ。
亡くなった父親は冷凍倉庫の会社を経営していたらしいんですが会社の人間もそんな冷凍室が別荘の地下にあるとはつい最近まで知らなかったようです。
うん…わかった。
娘の自殺に納得出来なかった父親が遺体を冷凍したみたいだ。
ああ…じゃあきっと色々と手を回したんでしょうね葬儀の時に。
今となっては真相は闇の中だ。
はい。
自殺に間違いないようだし死体遺棄の線で調べるか。
どういう意図かわからんが遺体を冷凍室から出しパーティー会場に運んだ人間がいるんだから。
じゃあな。
ちょっと待ってちょっと待って!ねえねえねえねえ絶対行かれるわよね?明日のぱしふぃっくびいなすのワンナイトクルーズ!ああ…無理。
えっ!?って言ったらお前に殺されるよな。
当たり前でしょう!明日なんだと思ってるの?あなたと私の23回目の結婚記念日なのよ。
俺は23年前に墓場に入ったんだな。
え?それ私との結婚が墓場だって言ってるわけ?バーカ!俺はその墓場が気に入ってるんだよ。
だよね〜!よかった!絶対よ?ほんとよ?約束よ?わかった。
絶対ね!ね!大丈夫だから。
わかってる。
となると問題は…あの人か。
(七海)なんですって?ワンナイトクルーズ!?はい。
ぱしふぃっくびいなすってさあの横浜港かなんか泊まってる世界一周する豪華客船?ピンポーン!大正解!大正解じゃないわよ。
クイズ番組じゃあるまいし。
よくも私に内緒で…そんな悪巧みを。
悪巧みって…。
だっておかしいでしょう?私と一馬さんの結婚記念日なんですよ?「叔母様一緒にどうぞ」なんてねぇ。
(二宮愛介)いいじゃないの叔母さん。
お父さんもお母さんも毎日仕事で疲れてるんだ。
二人っきりにしてやろうよ。
愛介優しい!さすが私の息子。
わかりました!フン!でもよく見てなさいよ。
神様はきっと私の味方。
二人とも事件かなんかで絶対行けなくなるわよ。
アハハハ…いい気味〜。
フフフフ…。
まあ大人気なーい。
ただいま。
おかえりなさーい!まああなた聞いて!叔母様ったらひどいの!明日のワンナイトクルーズ事件が起きて行けなくなる!いい気味〜。
大人気ない。
(携帯電話)やだ…まさか…。
俺だ。
何?潮見の廃工場で死体?第一発見者は?いません。
110番通報があって駆けつけたら死体があったという状況で。
中年男性からの通報だったようです。
この女性は?冷凍遺体が送られた4人のうちの1人山下恵美さんです。
不動産業を中心にエステサロンスポーツジムなど多角的に事業を展開している実業家です。
やっぱり関係あるのかしら例の冷凍遺体と。
お前は検視を始めてくれ。
家族に連絡は取れたのか?小池がさっき…。
あっ来たみたいです。
頭部を鈍器のようなもので…。
(山下益男)恵美!
(小池勇樹)山下さん!
(検見川博)社長…。
横浜東署の二宮です。
(小池)ご主人の山下さん。
(小池)社長秘書をなさってる…。
検見川です。
早速で申し訳ありませんが奥さんに最後に会われたのは?今朝です。
女子高のクラス会に行くって…。
じゃあ冷凍遺体の事は?冷凍遺体?なんです?それ。
あなたは?夕方恵美社長と電話で話し知りました。
絶対そんなものを送ってきた犯人を突き止めてやるって。
どうだ?まだ体温の温もりが残ってるし硬直が出てるのも顎や手足に限定されてる。
死後およそ2時間ぐらいね。
でも何かしらこの圧迫痕。
気になるわね…。
(未奈)こんな圧迫痕が出来そうなもの近くにはありませんよね。
どうしたの?ああいえ…。
ここに来てからなんか急に痒くなって…。
あの花に触れた?あさっき…。
あんなところに咲いてるって気づかなくて。
サクラソウにかぶれたのね。
サクラソウにはプリミンという物質が含まれていて人によっては接触性の皮膚炎を起こす事があるのよ。
あとでステロイドの軟膏でも塗っときなさい。
はい。
黙祷。
始めます。
1100グラム。
右側頭頭頂部に挫傷。
かなりの衝撃だったのね。
死因は脳の打撲による脳挫傷。
凶器は鈍器のようなもの。
でもやっぱりこの3本の圧迫痕が気になるのよね。
犯行現場は別って事か?どこかで殺害しあの廃工場にわざわざ運んだと。
まあその可能性はありえるな。
えっどういう事?あの廃工場はな23年前真島ひとみが自殺した工場。
じゃあやっぱりあの冷凍遺体と関係が?というわけで今夜のワンナイトクルーズは行けなくなった。
嘘!?この顔が嘘に見えるか?見えない。
あぁ〜そうよねぇ殺人事件が起きたんだものね。
担当刑事が行けるわけないか…。
あぁじゃあやっぱり私もキャンセル。
ん?いやお前は関係ないだろお前は。
だってぇ…。
お前はな今夜のぱしふぃっくびいなすでワンナイトクルーズたっぷり楽しんでこい。
叔母さんには電話しておいた。
お…叔母様って…。
私叔母様と一緒に行くの!?うん。
いや愛介に電話したらなあいつ留守番してるって言うんだ。
ええ?そういう事なら友達呼んでなんか徹夜でレポートを書き上げるって。
あぁ…。
愛介もお前は叔母さんと行くのが一番だろうって。
叔母様って…。
まあひとりぼっちよりはいいけど…。
だろ?な?叔母様も行きたがってたしね。
しょうがないか。
じゃあ行くか叔母様と。
そうしような。
ありがとな。
楽しんでおいで。
ハハハッ。
(ドアが閉まる音)ってなんでそんなニコニコしてんのよ。
一緒に行きたくなかったってか!?
(パトカーのサイレン)恵美が殺された!?
(有田光志)山下恵美さんは冷凍遺体を送ってきた人間を突き止めてやると意気込んでたらしいんです。
何か心当たりはありませんか?
(智子)ありません。
何か関係あるんですか?ひとみさんの冷凍遺体と恵美が殺された事が。
いやそれはまだ捜査中ですので。
で差し支えなければあなたはゆうべの7時から9時半の間どちらにいらっしゃったか聞かせてもらえませんか?家にいましたその時間は。
(小池)あ主任。
ここが美術クラブの4人の1人工藤明菜の住んでるリースマンションです。
アメリカに住んでる夫と離婚訴訟中で日本に戻ってきているらしいんです。
それに工藤明菜は殺された山下恵美に借金を申し込んでそれを断られたと。
ええ。
確かに恵美を頼った。
娘を取り戻すためには仕方がなかった。
このままじゃこの子は夫のものになってしまう。
それだけは避けたかったの。
(小池)つまり日本でのあなたの生活基盤がないから裁判で不利になると?わかりきったような事言わないでよ!それより恵美を殺した犯人を早く見つけたらどうなの?ひとみの死体を送り付けた人間が犯人に決まってるじゃない!これはね23年前の復讐なのよ!復讐?23年前の真島ひとみさんの自殺についてあなたは何かを知ってるのでは?教えて頂けませんか?教えて頂かないと私たちはあなたを山下恵美さんの殺害の容疑者として…。
冗談じゃない!私は狙われてるのよ!?殺されようとしてるの!美冬たちはお金さえ払えばなんとかなるって言ってるけど私にはそんなお金ないし…。
ねえとにかく私を守ってよ。
お願いだから。
ね?誰にです?誰にどんな理由であなたは狙われているんです?知らない。
そんな気がしただけよ。
とにかく私を守ってよね!それが警察の仕事でしょ!?
(七海)「晴れた空そよぐ風」「港出船のドラの音愉し」「あああこがれの…」はいはい叔母様〜。
「ハワイ航路」じゃあ行きますよそろそろ。
はーいよーそろー!まあ…。
よいしょ。
(腰の骨が鳴る音)ああー…。
行きますよ叔母様。
ちょっと私ダメみたい…。
あぁ腰にきちゃった…。
持病のねぎっくり腰ちゃん。
ちょっと大丈夫ですか!?あぁ触んないで!近寄んないでよ。
大丈夫よいつもの事だからね心配ご無用。
でもさ私…このワンナイトクルーズ…ううっ…断念。
ええーっ!?あなたさねえ愛介と一緒に行きなさいよ。
なんとか説得して。
いやだって愛介は友達と徹夜で勉強…。
(ドアが開く音)
(愛介)大丈夫大丈夫。
誰もいないから上がって。
あっ!ああっ!あぁ〜!うぅ〜…。
(相沢くるみ)お邪魔します。
どうして…どうしてここにいるの?もう時間じゃないの?船出港しちゃうよ?ちょ…あんた友達と徹夜で勉強するって…女の子じゃないの。
いやその…。
あ…紹介するよ。
相沢くるみさん。
初めまして相沢くるみです。
あ…。
くるみだかどんぐりだか知らないけどさ私がちゃんと見張っててあげるからあんたいってらっしゃいよワンナイトクルーズ。
あっすいませんちょっと取り込んでて。
でも叔母様…。
あんたさ夢だったんでしょ?なんか2年後の銀婚式には地中海クルーズに行きたいってあんた考えてたんでしょ?だからさあいたた…。
こういうチャンスはね逃さない方がいいのよ。
ありがとうございます叔母様。
じゃあ私叔母様の分も食べて元を取ってきますね。
じゃあいってきます。
悔しいけどいってらっしゃい。
じゃごゆっくり。
あ…いってらっしゃい…。
ごめんなさいねなんだかバタバタしちゃって。
でどんぐりちゃんおいくつ?
(腰の骨が鳴る音)あぁ痛〜い!うぅ〜…。
(汽笛)
(ドラの音)
(ドラの音)で1人で船に乗って気張っておしゃれもしたけど…。
なんだかなぁ…。
(汽笛)早紀。
空耳?早紀!あなた!やっぱり来てくれたのね!嬉しい!寂しかった…。
あこれ似合う?ウフフッ惚れ直した?大丈夫よバーゲンだから。
アハハハ早紀上の唇と下の唇をくっつけてごらん。
うんそのまましゃべるな。
話がある。
張り込み?ああ。
昨日冷凍遺体が送られた4人組の1人工藤明菜の言葉が気になったんだ。
で残りの2人をマークしていたら村木美冬倉田智子この2人はぱしふぃっくびいなすに乗り込んだ。
えっじゃあ私も捜査に協力する。
いい。
そんなビラビラな格好で動き回られたら感づかれるだろ。
はやってるのよ。
とにかくな俺はこの船に乗ってない。
それだけ言いたかったんだ。
いいな。
乗ってんじゃない。
なんか言った?言ってません。
言ってない。
よし。
(ため息)あの2人ね?おかわりいかがでしょうか?
(美冬)もう結構です。
行こうか。
うん。
あのベージュのスーツの人どこかで会った事があるんだけどどこだったっけなぁ…。
あぁ…私の23回目の結婚記念日こんなふうに寂し〜く過ぎていくのね。
まそれも私らしいか。
あっ!だ…大丈夫?坊や!まあありがとう。
助かった。
あ…。
あら!ちょっと血が出てるじゃない。
医務室行きましょう。
消毒した方がいいから。
ええ?言葉が不自由なのね。
ありがとう。
(司会)「しゃぼん玉飛んだ屋根まで飛んだ」「屋根まで飛んで…」「皆様新しい年の夜のひと時を夢とロマン溢れるシャボン玉でたっぷりとお楽しみください!」
(拍手)
(司会)「おお〜!なんとジャンボなシャボン玉!」
(拍手)「あ〜ららかわいらしい!ハハハハハ…!」「それでは…おおっと!」「大きなシャボン玉の中には大きな夢が…あら?」
(司会)「あらら〜」
(観客たちの笑い声)
(笑い声)「ではここで客席からどなたかお客様に上がって頂いてシャボン玉ショーに加わって頂きたいと思います」「それではちびっこピエロ君客席に下りてシャボン玉と相性のよさそうな人連れてきてください」「さあ一体どなたが選ばれるんでございましょう?」私?もしかして君さっきの…?「そちらのお客様ね。
じゃあ連れてきて」
(拍手)まずいなこんな目立っちゃって。
あとで何言われるか…。
「じゃあお客様にはとっておきのシャボン玉ショーに挑戦して頂きましょう!」「それではいきますよ!」「ジャジャジャーン!」
(観客たちのどよめき)うわぁすごい!
(携帯電話)
(司会)「どうもありがとうございました」「ありがとうございました」「大きなシャボン玉ちっこいシャボン玉シャボン玉は大きくてもちっこくても夢が膨らむもので…」「ありがとうございました」
(携帯電話)へぇ〜コインランドリーまであるんですねこの船。
世界一周にも出る船らしいからな。
設備は万全ってわけだ。
出てきましたよ。
あっどうでした?有田の話だと工藤明菜の方に動きはないらしい。
こっちはどうだ?ええ今村木美冬が6階のコインランドリーに洗濯物を持っていっただけで別に変わった事は。
コインランドリー?ええ。
それは変だぞ。
これはワンナイトクルーズだ。
汚れ物なんかうちへ持って帰る。
行くぞ。
はい。
大石ここにいてくれ。
(大石)わかりました。
あっボクその紙袋…。
(エレベーターの音声)「ドアが閉まります」上だ!はい!すいませんここら辺で…。
ゼロ!ボク…!ねえどうしたの!?何かあったの?わからない。
私に何か助けてほしいの?大丈夫。
ここにいれば安心だから。
(ノック)俺だ。
心配いらないわ私の夫だから。
あぁここら辺で10歳ぐらいの男の子…。
まあいいやちょっと水くれ。
ああの…。
え…?な…なんでここに!?あなたが捜してるのってこの子だったの?この子はちょっと言葉が…。
坊や…。
あっ!「6階のコインランドリー8番の中に置きました」
(ノック)どうぞ。
児島優斗君のお父さんですね。
ちょっとよろしいでしょうか。
優斗!優斗大丈夫だ。
息子は場面緘黙症というわけじゃないんですけど1年ほど前ちょっとした事があって心に傷を負い私と2人でいる以外言葉がしゃべれなくなったんです。
あの…息子と2人で話してもいいですか?ああお願いします。
事情を聞いてみてください。
すいません。
優斗さあ…。
場面緘黙症っていうのは確か幼稚園児や小学生に多い…。
うん。
特定の人としかしゃべれなくなる障害。
でもあの子の場合は心に傷って言ってたから多分PTSD…心的外傷後ストレス障害ね。
1年前に人と話したくなくなるほど何か強いショックがあった。
聞きました話を。
どうもこの子はその紙袋を拾ったので届けようとしたらしいんです。
でも悪い人に追われてるような気がして逃げたと。
そうだよな?なあ優斗。
優斗?そうだろ?な?そうですか。
わかりました。
それであなたにはこのお金の持ち主と思われる女性たちに会って頂きたいんですが。
小池。
(小池)はい。
でもお会いしても…。
(咳)大丈夫ですか?具合でも?…いや大丈夫です。
風邪をちょっとこじらせまして。
でもお会いしても意味がないと思うんです。
私もこの子も謝礼など受け取るつもりはありません。
申し訳ありませんがある事件の捜査でぜひ会って頂きたい。
あなた私坊やと一緒に表に出てても…?ああ頼む。
さあ坊や行きましょう。
おばちゃんと。
お願いします。
お父さんの事が心配?だよね。
でもねおばさんは君の事が心配。
おばさんもね昔すっごくいやな事があって言葉がしゃべれなくなった事があるの。
心が風邪をひいたのね…。
でも大丈夫よ。
きっとよくなるから。
ね。
だから焦らずにゆっくり治そうね。
あの花に触れた?あさっき…。
あんなところに咲いてるって気づかなくて。
(早紀の声)サクラソウでかぶれたのね。
どうぞこちらへ。
あの…この方と知り合いですか?いいえ初めて見る方ですが。
私もです。
知らない方です。
あのお金あなた方のものですか?それ!ええそうです!船に乗る直前に作品の代金を受け取って銀行に行く暇がなかったのでそのまま持ってきちゃって…。
や〜だどこにあったんですか?あっコインランドリー…。
そうだ!洗濯物と一緒に入れちゃったんだ!あ…じゃあこちらの方が拾ってくださったんですか?そうですか。
どうもありがとうございました。
本当に助かりました。
いや別に…。
今じゃあお礼を…。
あいいです。
結構です。
そうですか?じゃあ私たちはこれで。
そのお金…誰かに何かで脅かされ用意した金じゃ?なんの話です?おっしゃっている意味がよくわかりませんが。
お二人の友達の工藤明菜さんは怯えていましたよ。
金を渡さないと山下恵美さんのように殺されるかもしれないと。
明菜は妄想癖がすごいんです。
真に受けない方がいいですよ。
ねえ?ええ…。
じゃあ。
じゃあいいですか?私も。
お金も無事に持ち主のところへ戻ったようですし。
念のために1つだけ。
ゆうべの7時から9時半どちらに?宿にいました。
仕事のある時は横浜栄町のさくら旅館に泊まってるんです。
その時間は息子と部屋にいました。
でもそれが何か?いやなんでもありません。
ご協力感謝します。
優斗…。
大丈夫だ。
帰ろうか。
な?右手の甲にプリミンのかぶれが…。
プリミン?わかった。
ちょっと待ってください。
ボク昨日の夜どこにいたか覚えてるかな?
(児島)私の言う事が信じられないんですか?優斗旅館にいたよな?じゃあ息子さんのこの手のかぶれ調べてもいいですか?なんのためですか?理由は言えません。
それとも調べられたら困るわけでも?別に…どうぞご自由に。
そうですか。
早紀。
彼女は私の妻で横浜市で監察医をやっています。
失礼します。
ちょっとごめんね。
(児島)優斗大丈夫だ。
ありがとうございました。
失礼します。
なんだかあの子にかわいそうな事をしたみたい…。
これは殺人事件の捜査だ。
(汽笛)永岡君!大至急この綿棒についてる体液の成分を調べて。
それと念のため未奈ちゃんのかぶれた足の成分もね。
(永岡)はい…。
(オペレーター)「はいこちら110番どうしました?」
(男の声)「もしもし横浜潮見町の廃工場で…」「
(男の咳)」
(オペレーター)「もしもし?どうしました?」
(男の声)「女の人が死んでいます」
(オペレーター)「もしもし?あなたのお名前は?」
(村中葉子)ねえそのピエロの児島誠一という男は風邪をこじらせて咳をしてたそうね。
(安東篤)おそらく声を変えようとしてハンカチを口に当てて電話したんじゃないですかね。
だから声がくぐもっていた。
(携帯電話)俺だ。
間違いない。
あの子のかぶれはプリミンによるものだったわ。
念のために調べた未奈ちゃんのものとも一致した。
つまりあの優斗という子は山下恵美の死体のあった廃工場にいてサクラソウでかぶれたと。
まあその可能性はあるわね。
だけどねサクラソウっていうのはどこにでも咲いて…。
わかった。
児島誠一を呼ぶべきね。
主任児島誠一の素性がわかりました。
児島誠一は元光女学園の教師で山下恵美たち4人や真島ひとみが所属していた美術クラブの顧問でした。
じゃあ真島ひとみの自殺の原因になった結婚して退職した教師というのは…。
ええこの児島誠一です。
そしてその辞めた理由が盗撮ビデオなんです。
盗撮ビデオ?
(小池)23年前児島誠一は光女学園の更衣室に盗撮用のビデオを仕掛けたらしくそれが発覚し…。
児島誠一は学校にいられなくなった。
つまりわいせつ教師って事ですか。
でその時ビデオに映っていたのが真島ひとみ山下恵美村木美冬工藤明菜倉田智子の5人だったようです。
だから嘘だったんです。
児島誠一も村木美冬も倉田智子もお互いに知らないって言ったのは。
(葉子)でもなぜ?自分たちを盗撮した元教師をなぜその2人は知らないって言ったの?それだけじゃない。
なぜその2人は自分たちを盗撮した児島誠一に1千万という大金を支払おうとしたのか。
そこが謎なんです。
もし…もしその盗撮ビデオがねつ造だとしたら…。
ねつ造?あり得るわねぇ。
それなら23年前の事を隠そうとする村木美冬たちの気持ちもわかる。
自分たちのやった事が後ろめたいから。
じゃあこの真島ひとみもその罪を悔いて自殺した…。
児島誠一を呼んで話を聞きます。
あなたの事を少し調べさせてもらいました。
あなたは23年前盗撮ビデオを撮影した教師という汚名を着せられましたね。
そんな昔の事は忘れました。
これはどういう事なんです!?児島先生!
(児島)確かにそれは私のビデオカメラです。
でも盗撮なんかしてません。
信じてください校長先生!証拠が挙がっている以上あなたの罪は明白でしょう。
そんな…!?これは何かの罠です!私をおとしめようとする…。
だがあなたの言い分は聞き入れてもらえずわいせつ教師の汚名を着せられ学校を追放された。
そんな事があったような気がしますがもう忘れました。
忘れるわけないでしょう。
あなたはそのあと奥さんの実家の郡山へ行った。
そこで大道芸を仕事にしている義理の父親の仕事を手伝いながら子供をもうけた。
で病気で奥さんを亡くされたあなたは子供といられる時間を長くしようと学習塾を始められた。
だが1年前その学習塾で評判が立った。
あなたがわいせつ教師だったと。
それで教職を追われた人間だったと。
その噂でいじめにあった息子さんは心に傷を負い言葉をしゃべれなくなった。
我々が調べられたのはそこまでです。
優斗…いじめられたのか?優斗…!ごめんなお父さんのせいで…。
優斗!優斗ごめんな!あの子にはかわいそうな事をしました…。
全て私の責任です。
だからあんたはビデオをねつ造した山下恵美村木美冬工藤明菜倉田智子の4人から金を強請ろうと考えそしてそれを拒否した山下恵美を殺害した!なんの話です!?冗談じゃない!私は誰も殺したりは…!だがあなたは山下恵美さんの遺体があったあの廃工場にいた。
そしてそこには息子さんも。
もしもし横浜潮見町の廃工場で…。
(咳)女の人が死んでいます。
優斗!
(泣き声)優斗お前俺のあとを…?そうか…見てしまったのかあの死体を。
優斗…。
あなたのお子さんはまだ10歳だ。
10歳の子を事件や捜査に巻き込みたくない。
それにはあなたの口から真実を話してもらうしかない。
話せよ。
あんたがやったんだろ。
違う。
確かにあの廃工場には行った。
110番通報もした。
でも私が行ったのはあの場所で亡くなった真島ひとみ君の霊前に花を手向けようと思ったからだ。
彼女はあなたを陥れようとした女生徒の1人では?確かに…。
だが彼女は自殺する前に私に電話をくれました。
私が結婚したのがショックだったので5人でビデオのねつ造をしたと。
ごめんなさいと泣きながら謝ってました。
そんな事を彼女たちにさせたのも私が教師として未熟だったせいです。
何も死ぬ事はなかったんだ…。
(有田)でもなあんた息子の事もあって怒りがぶり返し金を強請り山下恵美を…!違う!私は殺しちゃいない!それだけは信じてくれ。
信じてください!どう思う?自分は奴がホシだと思います。
村木美冬たちもそう思って自分たちの身を守るために1千万という金を用意したんだと。
それが引っかかるんだ…。
俺にはこの事件にはもう1つ何か裏があるような気がする。
…勘だがな。
そうですか。
どうもありがとうございました。
あ…。
あなたは…。
すいません突然お訪ねしたりして…。
私船の上で優斗君にスカーフを拾ってもらったのにお礼も言ってなくて…。
あのこれ優斗君に…。
いりません。
そんな事言って刑事のご主人に頼まれて私たち親子の事を探りに来たんじゃないんですか?違います!ここの事はぱしふぃっくびいなすの人に聞きました。
あなたが事情聴取を受けられるって聞いてその間1人になってしまう優斗君の事が心配で…。
余計な心配です。
私たち親子にはもうかかわらないでください。
でも聞きました!旅館の人から。
あなたたちがとってもいい親子だって。
あなた学校に行けない優斗君に一生懸命勉強を教えてらっしゃるそうですね。
優斗君も時間があると図書館で勉強してるって。
親として当たり前の事をしているだけです。
(ため息)優斗君!「おまえなんかきらいだ」これは…。
(永岡)これが先生が写してきたマンホールの蓋の写真でこちらが山下恵美さんの顔の圧迫痕の写真です。
これを拡大して重ね合わせると…。
一致した!でもあの現場の廃工場にはマンホールなんてなかった…。
という事は犯行現場と遺体発見現場はやっぱり別って事になりますね。
ええ。
横浜東署に電話して。
どこかのマンホールの蓋の上で山下恵美さんは殺された可能性があるって。
了解!横浜市全域でベイブリッジの図柄のマンホールを使っているのは1万2〜3千か所。
事件関係者の住まいを中心に今捜査を行っています。
すごい数ですねぇ。
でもまさかそれだけしか捜査をやってないっていうんじゃ…。
もちろんです。
殺された山下恵美の資産15億。
それが夫の山下益男に全て入るわけですからその線でも捜査を行います。
(葉子)それと冷凍遺体よね。
真島ひとみの冷凍遺体と山下恵美殺しがどういう関係があるのか。
あなたはこの2つには必ず関係が…。
あると思っています。
ですから引き続き村木美冬工藤明菜倉田智子その周辺を洗わせています。
(益男)ハハッそうでしたね。
さあどうぞ。
山下恵美の夫益男のアリバイは完璧だったな?ええ山下恵美が殺されたと思われる時刻に行きつけのカラオケバーでご機嫌だったところを多数の人間に目撃されています。
(大石)山下恵美の秘書検見川は自宅にいたそうでそれを証明する人間はいません。
それと検見川はどうも殺された山下恵美と不倫関係にあったらしくその事に山下益男も気づいてた節があります。
益男さん。
ん?サインお願いします。
なんだこれは!こんなもんいちいちサイン取りにくるな!あの2人が協力して山下恵美を亡き者にした可能性もある。
だとしたらあれも演技かもしれん。
(吠える声)有田さん血痕です!何っ!?ここは…!何!?村木美冬のアトリエの前?ええ。
よーしすぐに血痕を採取しDNA鑑定に回してくれ。
その結果で動くぞ。
恵美が殺された時のアリバイ?それなら言ったはずよ。
個展が近いから製作に没頭してこのアトリエにいたと。
実はこのすぐ近くで山下恵美さんの血痕が見つかりましてね。
なんですって…。
じゃあ私を疑って?それに私たちはこういう情報も手にしてるんです。
山下恵美さんのご主人山下益男さんあなたの恋人だった。
(有田)その事もあってあなたと山下恵美さんの仲はうまくいってなかったんですね。
あなたは結局恋人をとられたわけだから。
冗談じゃない。
あんな男くれてさしあげたのよ。
あんな芸術をまったく理解しない男別れてせいせいしました。
(有田)ところであなたはその山下恵美さんと工藤明菜さん倉田智子さんそして冷凍遺体で発見された真島ひとみさんこの4人と手を組んで盗撮ビデオをねつ造し学園から児島誠一先生を追放した。
なんの事?そんな話知らない!その23年前の出来事にはもう1つ何か謎がある。
でなければあなたは1千万円という大金を用意したりしない。
勝手な事言わないで!そんな話私にはまったくわからない。
第一もしそういう話があるなら児島先生を疑ったらどうなの?あの先生がひとみの冷凍遺体を見つけて恨みから恵美を殺した。
そう考えるべきなんじゃないの!?もう…!間違いない。
何かを隠してる。
でも一番動機のはっきりしてるのはピエロの児島誠一じゃないですか。
(男子生徒)あれ?今日はこのマンホールの蓋閉まってんじゃん。
あっほんとだ。
ああ閉まってる…。
ああ君たち今なんて言った?今日はマンホールが閉まってるって言った?ええ。
あれは3日前だったかな。
(男子生徒の声)夜の7時半頃ここで財布を広げた時小銭を落としたんですよ。
そしたら…。
ああっ…。
マンホールの蓋が開いていた…。
でこのマンホールの上に駐車していた車どんな車だった?さあそこまでは…。
主任…。
法医学が裏をかかれた!?おそらくそういう事になると思う。
犯人は法医学があの圧迫痕に注目する事を見越したうえで村木美冬のアトリエ近くのマンホールの蓋を外し廃工場へ運びそこへ山下恵美の顔を押しつけた。
蓋を外したマンホールの上には車を駐車させ人目につかないようにしていた。
俺は児島誠一という元教師を信じ始めていた。
だがそれは間違いだったかもしれない。
あなた…。
お前が優斗君の父親が犯人でなければいいと思う気持ちはわかる。
だが奴は学習塾が倒産したあとマンホールのメンテナンスの仕事をしながら生計を立てていた。
そしてもう1人だ。
法医学の知識を悪用する人間がいるとすれば工藤明菜。
彼女の離婚訴訟中の夫はロスの検視官。
許せない…!私の亡くなった人の最後の声を聞きたいという気持ちが犯人に利用された…。
この犯人だけは絶対許せない!《法医学が裏をかかれた》《その知識が悪用された…》
(七海)それでね愛介のガールフレンドのくるみって子法学部らしいのよ。
だから愛介も転部してゆくゆくは検事を目指そうかななんて…。
ちょっと叔母さん。
それはまだ軽い気持ちだよ。
あらだって大事な事でしょ?女の子の存在1つで自分の将来がぐらつくようじゃ二宮家の跡取りとしてはもう情けないのひと言に尽きるわよ。
ねえ早紀さん?叔母さんやめた方がいい。
お母さん今考え事してるから。
はい?え?何?今なんか言った?だからさ愛介のガールフレンドのねくるみ…。
(腰の骨が鳴る音)痛い〜…。
ほら見なよバチが当たった。
ああお母さん横浜市からなんか来てたよ。
まあまあ何かしら?はい。
ああ市民セミナーの案内書ね。
去年の法医学のセミナー評判がよくて大々的に今年も募集かけるって言ってた。
ああ講義の写真を表紙に使うって言ってた…。
いた…もう1人。
冷凍遺体を送られた4人の中に法医学に興味を持ってる人間が。
どうもお待たせしました。
しばらくぶりね倉田智子さん。
あっ覚えててくださったんですね先生!私前もお見かけした時声をかけようかと思ったんですけど先生私など覚えてらっしゃらないと思って…。
昨日思い出したのよ。
去年のセミナーの写真を見て。
あっ…。
本当にその節はありがとうございました。
時間…ある?歩きましょうか少し。
あなた私の法医学のセミナーいつも一番前の席で熱心にメモをとってた。
印象に残ってるわ。
おもしろくてあっという間の5回の講義でした。
でもどうして法医学を勉強しようと思ったの?あっそれは…。
山下恵美さんを殺害した犯人法医学の知識を使ったそうよ。
まさか先生…!それで私を訪ねてこられたんですか?疑って…ひどい。
ごめんなさい。
でも知りたいの。
なぜあのぱしふぃっくびいなすに1千万というお金を持って行ったのか。
なぜ?あれは一緒にいた美冬のお金です。
でも理由は知ってるでしょ?なぜぱしふぃっくびいなすで児島誠一さんに1千万というお金を渡そうとしたのかその理由を聞かせて。
(児島)私も聞きたい。
児島さん…。
私も聞きたい。
先生…。
その前に…。
これを返しておく。
(咳)君らにすがってこんなものを受け取った自分が恥ずかしい。
先生…。
それ…。
10日ほど前ぱしふぃっくびいなすのデッキでもらったんだ。
(智子)これしか用意出来ませんでした。
こんなものをもらったからこんな事件が起きて私は巻き込まれてしまったんだと思っている。
全ては私のさもしい心のせいだ。
だが1千万はどうにも納得出来ない。
それも殺された山下恵美君の携帯を使いこんなメールを送ってきたのは一体どういう意味なんだ?あっちょっといいですか?「先生へのつぐないはきちんとした形にして6階のコインランドリー8番の中におきました」「ひとみ」…。
待ってください。
同じようにひとみの名前で美冬の携帯にも1千万を用意しろとかコインランドリーの洗濯槽の中に入れろとか事細かいメールが来てたんです。
私は先生が恵美の携帯を使ってメールを出しているんだと…。
じゃあ誰なの?あなたたち2人や美冬さんがこんなメールを出したんじゃないとしたら一体誰が?その人間が真犯人なんだろ?山下恵美君を殺し携帯を奪った。
でも私にはそんな事はどうでもいい。
私に1千万などという金を用意したのは一体どういうつもりなんだ?私に同情したのか?十日前に君が言ったじゃないか私に。
これしか用意出来ませんでしたと。
その封筒を渡して…。
これは恵美と美冬と私と明菜で25万円ずつ出し合ったお金で明菜の分は恵美が立て替えて…。
私には君たちの考えてる事が理解出来ない。
それにもう終わりにしたいんだ。
こんな事…。
(咳)先生?児島さん?児島さん!これただの風邪じゃないわ。
病院に行きましょう。
ねっ。
うち整形外科ですけどベッドは空いてます。
いやいい。
送ってくれないか。
(咳)本牧2丁目の中沢医院だ。
わかりました。
中沢医院ですね。
大丈夫ですよ!すぐ着きますからね。
(咳)すみません!急患です!お願いします!大丈夫ですか?お願いします!あっ…。
(中沢)児島!
(児島)中沢さん頼む。
モルヒネを…。
モルヒネ?わかった。
おいしっかりしろ!落ち着いたら奥のベッドで少し休め。
今な酸素吸入も用意するから。
(咳)すいません…。
ちょっと待て。
先生。
先生は診察もしないでモルヒネを打つんですか?私は児島の主治医です。
それに長い付き合いの友人だ。
主治医?病名は私の口からは言えない。
本人から聞いてください。
(児島)二宮さん。
大丈夫ですか?わかるでしょ?あなたも医者だ。
私は末期です。
それでもなんとか頑張って生きてきた。
優斗を残して死ねない。
でも…もう手遅れなんです。
自分の体は自分がよくわかってる…。
優斗君はあなたの病気の事を…。
知らない。
いや薄々気がついてるかもしれない。
これだけ咳をしていれば。
あの子は勘のいい子です。
だから私は頼ったんです。
あの子たちに。
23年前の彼女たちのビデオのねつ造を持ち出して形でもいいから償ってほしいと…。
優斗…優斗にいくばくかのものを残してやりたかった…。
このさもしさが神様を怒らせたんだ。
だからあんな殺人事件に巻き込まれて…。
警察に行きましょう。
行って話しましょう。
あなたは犯人じゃない。
彼女たちを頼った事を利用されただけなんだって…。
いや誰にも病気の事は知られたくない。
警察に知れれば警察は余計疑う。
やっぱり切羽詰まって山下恵美君を殺したんだと…。
それに優斗にも病気の事を内緒にしておきたい。
でも児島さん!あなたも医者でしょ?医者には守秘義務っていうのがありますよね。
頼みます。
私の体の事はあなたの胸にとどめておいてください。
(咳)児島さん児島さん…。
大丈夫?児島さん!二宮さん。
頼みます。
はい。
(咳)
(電話)ああ俺だ。
(小池)工藤明菜の様子がちょっとおかしいんです。
この間までの怯えが嘘のようにカードで色々なものを買いあさり…。
反動が出たんじゃないのか?リースマンションにずっと閉じこもっていたんだろ。
その反動が…。
かもしれませんが…。
(岩本刑事)小池さん変ですよ。
工藤明菜の姿が見えない。
何っ?
(岩本)あっ今のお客さん…。
こちらに行かれました。
主任やられました。
わかりました。
すぐ探します!
(有田)消えた?工藤明菜がですか?それだけじゃない。
さっき芝山たちから連絡が入ったが児島誠一も行方不明だ。
芝山たちの目を盗んでどこかへ出かけたと…。
(有田)一体どうなってるんですか?法医学に詳しい女とマンホールの扱いに慣れてそうな男が2人していなくなる…。
この事件の関係者…。
この中で何かが起きている。
何かが…。
どう?2千万用意出来た?いいの?冷凍遺体を引っ張り出しそして恵美を殺した犯人があなただって警察に言っても。
(救急車のサイレン)倉田さん?あっ二宮先生。
すいませんお呼びだてして。
どうしたの?歩道橋から落ちたって。
児島先生の事を考えていたら足を滑らせてしまって…。
でも腕の骨折だけで済みました。
救急車を呼んで港南医大へ行ってほしいと頼んだのはどうしても先生にお話ししたい事があったからです。
私に話したい事?さあどうぞ。
ここなら誰もいないわ。
児島先生の容態は?うん?大丈夫。
元気にしてらっしゃる。
嘘。
私は色々な病院で働いてきています。
あの様子を見ればどのぐらい重い病気なのかはわかる。
だから二宮先生にお話ししなくちゃって思ったんです。
それで?23年前のひとみの自殺は自殺じゃありません。
私たちが殺したんです。
なんですって?23年前ひとみがビデオのねつ造の事を児島先生に電話で話したと聞いた時私たちはみんなでひとみを責めたんです。
(美冬)ふざけないでよ!
(恵美)児島先生がもういい忘れるからって言ってるからいいでしょ?
(智子の声)ひとみはそれでもけじめをつけるためにねつ造の事を学校側に話すと言い出したんです。
(真島ひとみ)ちゃんと学校に言わないと…。
そんなに自分のした事の罪を後悔してるなら自殺すれば?それいいね。
美冬の言うとおりだよ。
自殺しなよあんた。
(明菜)そうだよ自殺しなよ。
(智子の声)それに乗って私も明菜もはやし立ててしまって…。
(3人)自殺!自殺!そして自殺ゲームが始まったんです。
(恵美・明菜)自殺!自殺!自殺!自殺!
(美冬)痛い!こいつ!
(2人)自殺!自殺!自殺!自殺!
(美冬)いい眺め。
私がもし死んだら呪って出てきてやる!へえ〜じゃあ自分でそのいす蹴れるの?無理でしょ。
(美冬)無理なんでしょ?じゃあ手伝ってあげる。
(智子)キャッ!ああ…!はっ…!それ本当なの?いい?これは全員の責任だからね。
特に智子。
あんたがいすにぶつかったんだからね。
あんたの責任が一番重いわよ。
そんな!そして私たちはその場から逃げ去ったんです。
何もなかった事にして。
ひとみの遺体だけを残して…。
これが全ての真実です。
だから私たち4人は児島先生がその事にまで気がついたんじゃないかと思い怯えそしてお金を…。
すでに時効が成立して罪にはならないかもしれない。
でもこの事は警察に…。
いいわね?あーっ!!
(パトカーのサイレン)彼女は…。
光女学園3年B組美術クラブ工藤明菜です。
2人目の被害者だ。
被害者って他殺って決めつけてるの?もう。
自殺を装ってる。
ここは光女学園の旧校舎だ。
墜落した外階段の4階に冷凍遺体を送りつけたのも山下恵美を殺したのも自分だという遺書のようなメモを携帯に残している。
その横には山下恵美のものと思われる携帯がご丁寧に置かれていた。
動機は?動機はなんて書かれてるの?23年前の事を持ち出し他の3人から金を引き出そうとしたがうまくいかず児島誠一にも迷惑をかけたので思い出の校舎で死んで償うと。
その遺書がなぜ偽物だと…。
彼女はカードでたくさんの買い物をしたうえアメリカに戻る航空券まで予約していた。
そんな奴が自殺するか?頸骨が骨折してる。
左側頭骨も。
骨折部分から脳挫傷も見えるし墜落死ね。
どうしてこっちの手だけ拳を握ってるのかしら?
(未奈)左手は握ってませんね。
桑田君死後硬直をといて。
はい。
何かしら?このギザギザ。
なんですかね?何かを握りしめた痕?これ…。
ひょっとしたら…。
実験を始める前に皆さんに見てもらいたいものがあります。
工藤明菜さんの右手のひらの中にあったこの傷です。
なんなんです?そのギザギザ。
あなたが今身に着けているものの中にあります。
身に着けてる…?ジッパー!変なとこ触らない。
すいません。
監察医務室で精査したところこの傷は衣類についているジッパーで出来たものだとわかりました。
でもそれだけで他殺だとは決めつけられないでしょ。
もちろん。
実験君始めて。
はい!ではわかりやすくするためにまずこの桑田君のこのジッパーにカラー塗料をスプレーします。
で犯人の私はおそらく鈍器で叩かれ気を失っているであろう工藤明菜を廃校舎になっている光女学園の旧校舎に運び自殺に見せかけ突き落とそうとします。
その時私工藤明菜が意識を取り戻しました。
あっやめて!助けて!死にたくないー!でも抵抗むなしく工藤明菜は突き落とされます。
(永岡)あれぇ〜!
(桑田)そして犯人はちぎれたジッパーをそのままにしておくのはまずいので慌てて下へ下りて工藤明菜の握り拳のジッパーを回収します。
はいそこまで!ストップ!未奈ちゃん写真。
はい。
じゃあ永岡君手を広げて。
はい。
ほぼ同じだ。
だけど普通衣服のジッパーは先生がやった実験のように破りやすくはなってないですよね?もちろん実験ですからあらかじめ破れやすくしてあります。
そして衣服のどの部分のジッパーかも特定出来ない。
工藤明菜さんの衣服にジッパーはついていなかったわけだし彼女と最後まで一緒にいた人間の服のジッパーである事は間違いないでしょ。
他殺とみて間違いなさそうね。
よしそれじゃあ昨日から行方がわからない児島誠一の所在を突き止め事情聴取だ。
(刑事たち)はい。
ちょっと待って!この件に関して児島さんは関係ないと思うの。
倉田智子さんは工藤明菜さんが殺された時私と一緒にいたわけだし。
それにほら昨日も言ったでしょ。
23年前の真島ひとみさんの自殺は他殺だったって。
だからその線から押してって村木美冬さんに絞って捜査をしてった方が…。
捜査に関してまでなぜお前の指図を受けなくちゃならん。
指図ってわけじゃないけど児島さんはほんとに無関係なのよ。
あの男は子供一人置き去りにして行動している。
そういう男だ。
何も知らないで余計な口出しするな!知らないんじゃないわよ!わかってるから…。
何か知ってるのかお前。
《言えない…医者の守秘義務だもの》誰にも病気の事は知られたくない。
警察に知れれば警察は余計疑う。
ごめんなさい。
余計な口出しして。
すいません。
よし始めるぞ。
(刑事たち)はい。
いつもの事ながらまいりますね。
行きましょう。
(児島)さあ行くか。
(小池)お帰りになってたんですね児島さん。
よろしかったらちょっと話を聞かせてもらえませんかね。
申し訳ありませんが船に乗る時間なんで。
仕事なもので。
さあ優斗行こう。
ちょっと待ってください。
話ぐらい出来るでしょう。
それとも何かやましい事でもあるんですか?私に触らないでください!
(児島の咳)
(有田)あっ…!コラッ!
(咳)おい…救急車だ!はい!
(救急車のサイレン)児島さん私に話って…。
あなた…約束を…守ってくれたんですね。
この子にも…刑事さんたちにも私の病気の事は言わないでいてくれた…。
約束ですから。
あなたも約束守ってくださいね。
優斗君と一緒に1日でも長生きするって自分に約束したはずでしょ。
ダメです。
私はもう…。
優斗…。
ごめんな…。
悔しい…!ずっと犯人に思われていた…。
あんなさもしい事をしなければこんな事には…。
さもしくなんかないわ。
優斗君を大事に思っただけです。
大丈夫です。
あなたの無実は証明出来ます。
いえ絶対に証明します。
悔しい…。
児島さん?
(アラーム音)お父さんと2人っきりにしてあげる。
お父さんといっぱいしゃべってね。
(優斗の泣き声)
(泣き声)《無実を証明するのよ。
無実を…》《何か見落としてる事はないか…》先生!優斗君がいないんです!えっ?迎えに来た児童相談所の人が今捜しているんですけど…。
まさか変な事考えてませんよね?自殺なんて…。
(職員)優斗君!
(未奈)優斗君!優斗君…。
優斗君!優斗君!優斗君!優斗君…。
優斗君…君に話したよね。
私も言葉を失った事があるって。
それは母が亡くなって犯人として父が逮捕された時辛くて言葉を失った。
人と話せなくなったの。
でも父が犯人じゃない事を法医学っていう学問が証明してくれて私は言葉を取り戻したの。
約束する。
優斗君のお父さんの無実…私の法医学で証明する。
それはそれだけは約束する。
(職員)優斗君!
(未奈)先生…。
捜したよ。
さあ行こう。
(ため息)何よこんなとこ呼び出して。
(益男)ここがお前にとって一番ふさわしい場所だと思ってさ。
ふさわしい場所?もう終わりにしたいんだ。
お前に死んでもらって…。
何言ってるのよそういう冗談…。
冗談じゃないっていう証拠を見せてやるよ。
これなんだかわかるか?お前が殺した真島ひとみの歯の矯正具さ。
23年前お前真島ひとみに噛みつかれて慌てただろ。
(美冬)痛い!こいつ!
(益男)自分の肉片が入ってるんじゃないかと思って勇気をふるって矯正具をはがしうちの恵美に預けた。
これ処分しといて恵美。
私が?
(益男)よーく見たんだこの中を。
そしたらほんとにひからびた肉片が付いてた。
これが知られればお前終わりだよな?これを返して。
返しなさい!さあ飲むんだこれを。
青酸カリだ。
楽に死ねる。
ほら飲め!ああっ!うっ!ああっ…!う…うう…。
あんたがいけないのよ。
こんな真似するから。
もう私に近づかないで!う…。
(物音)
(鳴き声)ネコか…。
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)
(カメラのシャッター音)まあ…!確か…山下恵美さんのご主人よねこの人。
どういう事…?この懐中電灯もそうだが青酸カリと思われるカプセルや指紋が残されていた。
それに…。
これ…歯の矯正具?じゃあもしかして真島ひとみさんの…?何かしら?これ。
歯の矯正具を無理やり外した跡のような…。
これ…ねえ見て。
これひからびた肉片のようなものが…。
ほらこれ…。
ああ確かに。
よしDNA鑑定は鑑識に頼む。
お前は検視を始めてくれ。
左背面の外側第六〜七肋骨の高さで刺されてるわね。
創長3.8センチ。
創幅0.4センチ。
心臓まで達してるわね。
これだけ深く刺されれば即死だったんでしょうね。
おそらく。
あの男が死んだ?嘘でしょ?この突き刺したナイフそれに現場に落ちていた懐中電灯からあなたの指紋が検出された。
それだけじゃない。
この歯の矯正具からはなひからびた肉片が発見されあんたのDNAが検出されたんだ。
嘘!?なんでここにあるのよ?私は山下から奪って持って帰って…。
山下益男を刺した事を認めるんだな?刺した事は認めます。
でもあいつは生きてたの。
死んでなんか…。
私は殺してなんかいない。
やだ信じてよ!とぼけるのもいい加減にしろ。
あんたは山下益男と組んで山下恵美を殺害しそして工藤明菜に全ての罪を被せる形で自殺に見せかけ殺害した。
(大石)最後には仲間割れで山下益男に青酸カリを飲まされそうになり殺害したんじゃないのか?違う…。
私は知らない。
そんな恵美や明菜の死んだ事に私は関係してない。
お願い信じて。
(美冬)信じて!昨日のアリバイ?犯人は捕まったんじゃないんですか?恵美のだんなさんと美冬が共犯だって聞いたんですけどそうじゃないんですか?まだ村木美冬は犯行を認めてないの?それだけ証拠が揃ってて。
ああ…。
23年前真島ひとみを誤って死なせた事は認めた。
山下益男を刺した事も認めた。
だが山下恵美殺しも工藤明菜殺しも認めていない。
山下益男だって刺しただけで殺していないと…。
そんな…そんなの嘘に決まってる!往生際の悪い。
山下益男が一連の犯行に加わっていたのは間違いないだろう。
奴の家からなポケットのジッパーがとれたブルゾンが見つかった。
ただな俺なんか納得出来ないんだ。
じゃあ村木美冬のアトリエ近くのマンホールの蓋を偽装に使ったのはなぜだ?村木美冬と山下益男が本当に共犯ならマンホールの蓋を使ってなぜ村木美冬に疑いがかかるような真似をした?それは…。
そう考えるとだ山下益男の共犯者は村木美冬を恨んでる人間という事になる。
山下恵美工藤明菜村木美冬この3人を恨んでいる人間となると1人しか浮かんでこない。
まさか…。
悔しい…。
あなたまだ児島さんを疑ってるの?だからあらゆる可能性をだ…。
私約束したのよ。
お父さんの無実を証明するって優斗君に。
真実は俺たちが突き止める。
もういい!あなたには頼らない。
私は私で真実を突き止めるわ。
早紀!それはお前の仕事じゃない。
バカ野郎。
俺だってな…。
先生行ってきました。
貸してくれた?鑑識の資料とデータ。
ばっちり。
法医学の鑑定に使うって言ったら。
それに未奈ちゃんのこの美貌で鑑識さんもイチコロですよ。
もうやめてくださいよ下らない事言うのは。
でも先生そのファイルの中にはこんなデータが入ってました。
これ…。
(未奈)山下益男が殺されたあの現場では微量のガラス繊維が発見されてるんです。
村木美冬はガラス工芸作家ですしそれも逮捕拘留した一つの決め手みたいなんです。
なるほど。
ガラス繊維…。
でも先生村木美冬が山下益男を殺したっていう線は動かないんじゃないですか。
見てくださいデータのこの指紋。
このナイフに付いていた指紋は山下益男と村木美冬のものだけ。
第三者が手袋をして握ったとしても…。
その前あった指紋は消えるでしょうしこんなにくっきりとは残らないですよね。
でも山下益男と村木美冬が共犯で仲間割れを起こしたとしたらなぜ村木美冬は自分に容疑がかかるようなマンホールの偽装をしたのかという疑問にぶつかる。
う〜ん…でもなこのナイフだけ見ると2人以外の第三者の存在は考えられないんですけどねえ。
確かに。
ただいま。
(愛介)ダメだよ叔母さん。
また腰痛めるって。
大丈夫。
見てなさい私の腕前。
何やってんですか?あら…。
見りゃわかるでしょ。
どこかのご夫婦が仕事仕事で忙しいって日本の伝統の鏡開きをおろそかにしたから代わって私が…。
いくわよ。
せーの!
(腰の骨が鳴る音)うっ!あいたた…。
痛い…あいたたた…。
ほれ見なよ。
だから代わるって。
えっとまな板まな板…。
愛介あんた何やってんの?直接トンカチで割ったら汚いだろ?食べるもんなんだし。
え?だってそんな事したらまな板に穴開いちゃうじゃないの。
あそっか。
まな板…トンカチ…。
トンカチ…!
(七海)ん?まな板はどうなの?まな板で打ったら…。
(七海)ちょっと…早紀さん。
お母さん?わ…!でこの包丁をまな板で…。
(愛介)お母さん…?
(七海)早紀さん…。
これよ!これなら指紋も残らないし包丁の柄に付いた指紋や掌紋を消す事もないわ。
これなら出来る…。
(未奈の声)山下益男が殺されたあの現場では微量のガラス繊維が発見されてるんです。
ガラス繊維…。
まさか…!永岡君?明日実験よ。
豚肉を用意して。
そう豚肉!人間の肉に一番近いのが豚肉だからこれを使うのはよくわかるんだけどこれ使って先生何するつもりなんだろうね?さあ…。
でもさ実験のあとは楽しみじゃない?豚の生姜焼き。
生姜焼き。
お待たせー。
整形外科でもらってきた。
ギブス包帯?チッチッチッチ!ギブスじゃない。
「ギプス」。
もう…君はほんとにそれでも医学に携わる人間?さあ腕出して。
え?はいまずこれ。
このギプス包帯を巻くの。
水で濡らしたギプス包帯を巻けば…。
5〜6分で固まるわ。
よし…。
お〜カチンカチンになってきた。
オーケー。
じゃあ始めるわよ。
未奈ちゃん。
あの豚肉にナイフを軽く突き刺して。
はい。
(未奈)こうですか?オーケー。
次は実験君の番よ。
君はこのギプスであのナイフに体当たりして。
ナイフを深く押し込むように。
はい。
じゃあいくよ?はい。
えーい!
(桑田)おお深く突き刺さった!ね?こうすれば元からナイフにあった指紋も消さなくて済むでしょ?
(未奈)でも先生ギプスって…。
未奈ちゃんの一言で思い出したの。
ほら現場にガラス片が落ちてたって言ってたでしょ?あれはガラス工芸のガラスじゃなかったのかもしれない。
このギプス包帯はガラス繊維で出来てるのよ。
だからぶつかった時の衝撃でそれがこぼれたのかも。
は〜このギプス包帯ガラス繊維で出来てるんですか。
じゃあ先生そうなると犯人はあの人って事に…?ちょっとこれを見て。
山下恵美さんが殺害された時真っ先に疑われた夫の山下益男にはアリバイがあり他の2人にはなかった。
そして工藤明菜さんが殺害された時山下益男にはアリバイはなく倉田智子には私と一緒にいたという完璧なアリバイがあった。
じゃあ交換殺人?みたいなものね。
つまり今回の事件は最初から2人の人間が犯行を行ったと考えるとどちらか疑いがかかる方のアリバイを確実に作ってから殺す。
山下恵美さんの場合一番疑いがかかるのは夫の山下益男だから疑いのかからない人間が彼女を殺す。
そして工藤明菜さんの時は疑いのかからない山下益男が犯行を行った。
いやだ…!オラ…オラ…!
(明菜)うわあ…!でも…じゃあなぜ倉田智子はアリバイ作りのために骨折なんてしたんです?工藤明菜に山下恵美殺しの犯人だと悟られてもみ合いになり…。
(智子)うわあ…!その時に骨を折ったとは考えられない?
(智子)痛い…。
ううっ!ダメ!とどめをさしちゃ。
今度は私がアリバイを作る。
それからにして。
(未奈)そしてどこかまで移動し歩道橋から滑り落ちた事にして救急車を呼んだ。
おそらく港南医大を行き先に指定したんでしょう。
私にアリバイを証言させるために。
でも先生それをどうやって証明するんです?そこなのよ…。
そこが問題よね。
どうやって証明したらいいのかしらね…。
えー!?それ考えてないで僕にこんなギプス付けたんですか?もうどうすんですか…。
これ外す時大変なんですよ?電動ノコ使わないといけないし…。
電動ノコ…?そうそれよ!電動ノコ!どうしよう…。
もし外されて新しいギプス包帯巻かれたら証拠がなくなる…!
(桑田)先生どこ行くんですか?やばいよ未奈ちゃん。
二宮警部に電話!大丈夫。
もう鉄砲玉みたいに飛び出したりはしないわ。
うちの人には私から連絡する!ギプス包帯?そうよ。
おそらくギプス包帯には山下益男の返り血が付着している。
それを見えなくするために新たにギプス包帯を巻いたと思うの。
だから電動ノコを使われ全てを新しいギプス包帯にされたら証拠がなくなる。
わかった。
倉田智子はこちらで手配する。
(大石)主任。
倉田智子は勤め先の病院を…。
(大石)「今日は休むと連絡してきたそうです」休む!?ねえ家はどこ?自宅は?いいから。
それはこちらで調べる。
あ…!いた!おい早紀…。
おい!倉田さん。
あ…先生。
お買い物?送っていこうか?いえいいです。
これから仕事なんで。
でも病院は休んだんじゃ…?どうして先生がそれを…?あ…こんな時間に大工センターから出てきたから休みなのかなって。
何買ったの?ごめんなさい。
私急ぎますんで。
待って。
話があるの。
あなた?倉田智子港南スタジアムに逃げ込んだ。
(ガラス瓶が割れる音)わっ!もうなんで逃げるの?逃げるから追いかけちゃったじゃない。
ほんと。
変ですね私たち。
ちょっとそのギプス見せてもらえるかな?なぜ?どうしてですか?わかってるでしょ?そのギプス包帯の下には山下益男の血液が付着している。
それを隠すために包帯を重ねて巻いたのね。
なんの話です?おっしゃってる事が…。
とぼけるのはやめましょう。
わかってるのよ私には全て。
なぜ山下恵美さんを殺したの?また疑ってる。
あなたが法医学のセミナーに来ていたのは山下恵美さんを殺すためだった。
人生って不公平なんですよね。
不公平?だって形はどうであれ私たちはひとみを殺した。
その責任の一番ない私が4人の中で一番不幸なんです。
あの時の光景が目に焼きついてずっとトラウマになって。
だから結婚も出来なかったしいつも悶々と1人で悩んできた。
それなのにあの3人は23年前の事なんか全部忘れてのびのび幸せつかんで…。
それで憎かった他の3人が。
法医学のセミナーで先生の話を聞いてうちへ帰ると1人で想像した。
あの3人を殺すところを。
そんな時ひとみのお父さんから連絡があったんです。
(智子の声)ひとみの遺体を荼毘に付してほしいって。
頼めるのは毎年欠かさず命日に来てくれてたあなただけだって。
冷凍遺体を見た時は驚いた。
でもちょうどその時恵美が児島先生に会いお金を無心されたと聞いて「あ!これだ」って思った。
(智子の声)ひとみの冷凍遺体を使ってあの3人を私と同じぐらい苦しめてやろうって。
見せたかったなあ。
冷凍遺体を見た時のあの恵美たちの驚いた顔。
フフ…あなたのおかげよ。
あなたがあのパーティー会場まで冷凍遺体を運んできてくれたから。
恵美!どうしてここに…?札幌に出張じゃなかったのか?許さない…!どうせ女がいるとは薄々感づいてたけどこの女とはね!あんたとも離婚よ!ちょっと待て。
なあとにかくゆっくり落ち着いて話そう。
な?誤解だよ。
落ち着けって…。
ああっ!ああ…!恵美!お前なんて事を…。
死んじゃいない。
でももう後戻り出来ない…。
あなただって離婚して無一文で追い出されるなんていやでしょ?恵美を殺せば十何億もの遺産が入る。
いいわね?あなたも協力するのよ!そして益男に命じてマンホールの蓋の偽装をやらせた。
うまくいくと思ったのになあ…。
さすが法医学者。
尊敬します先生を。
尊敬なんてしてほしくないわ。
遺体を物のように扱ったり法医学の知識を犯罪に利用するような人間に。
でも23年前ひとみを殺した罪は法改正前に時効が成立しているから法律的には裁けない。
だから私は…。
(智子の声)もう全ての罪を美冬に被せて死んでもらうしかないと考えた。
うっ!あ…!
(智子の声)だけど益男はそれに失敗しそれならそれでもっといい方法があった。
智子か?助かった…。
このナイフ抜いてくれ。
(智子の声)骨折した腕は痛かった。
でも美冬をおとしめるためですもの。
長年の恨みだもの。
我慢して頑張った。
こんな事もあろうかと益男には偽物の矯正具を渡し本物は私が持っていた。
私あの3人のパシリだったんです。
(智子の声)だから恵美が頼まれたはずの矯正具の始末も私に押し付けられた。
ところが23年前に埋めた矯正具が思わぬところで役に立った。
でも明菜もバカよね。
私と益男が車に乗ってるのをどこかで見たらしくて…。
犯人は私たちでしょって言ってきた。
だから殺した。
(ため息)確かに23年前のあなたはかわいそうでいたいけな少女だった。
でも今のあなたにはそのかけらもないわ。
今のあなたは人を殺して喜ぶただの殺人鬼よ。
あなたの手にかかった人たちがどんな思いで死んでいったかあなたにはわからないでしょ。
そんなものわかって…どうするのよ!早紀!おい…大丈夫か?ええ…。
大丈夫。
言っとくけど今度の事は全て児島先生のためにやったの。
だから恵美の携帯を使って益男にメールを出させ美冬に1千万用意させた。
この私の思いだけはきっと児島先生はわかってくれると思うな。
わかるわけないじゃない。
何身勝手な事言ってるの。
罪を着せられ苦しみの中で死んでいった児島先生の無念さなんてあなたにわかるわけがない。
あなたただ自分がかわいいだけでしょ。
自分の欲望のために何人もの人を殺してそれを…児島先生のためだなんて!早紀よせ。
(パトカーのサイレン)ハァ…終わったな。
ええ…終わった。
(携帯電話)もしもし。
わかりました。
ありがとうございます。
早紀急げ。
え?優斗君が児童相談所の人に付き添われ郡山へ帰るそうだ。
ほら知らせる事あるだろ。
あなた…。
優斗君!お父さんの無実証明出来たよ。
優斗君のお父さんこれっぽっちも悪い事なんてしてなかった。
優斗君の言うように世界一のお父さんだったよ。
いいよもうなんにも言わなくったって。
ただお父さんの無実が証明出来た事だけわかってくれたらそれで十分だから。
(児島優斗)あ…あ…。
ありが…。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
ああそう…。
じゃあやっぱり23年前の事件で村木美冬を罪には問えなかったのね。
でもな社会的制裁は受けそうだ。
マスコミが23年前の事を調べ記事にするみたいだからな。
あそう…。
23年か…。
…あっ私たちの結婚生活も23年。
重い年月よねえ。
重い…。
重い。
ほんとに重いよな。
違うでしょ!ここじゃないでしょ。
重いのは。
もう!そんな事でねへこたれないわよ。
愛介はねガールフレンドの影響で検事になりたいんだって。
何?検事になってねあなたを捜査の手ゴマとしてアゴで使いたいんだって。
あの野郎…女の子連れ込んだり検事になると言ったり…!ああちょっとちょっとちょっとちょっと。
ほら子供の夢は子供に任せなきゃ。
子供っていったら優斗君はどうしてるかな?おうあのな元気になってきたみたいで言葉もこうしゃべってくるようになった。
え〜よかった〜。
優斗!一緒に野球やろうよ。
うん!
(優斗)じゃあ僕キャッチャーやる。
ここにミットあるよ。
それもこれもお前と俺のおかげだ。
俺はないでしょ俺は。
なんでだよ〜。
俺はいらないでしょ俺は。
お愛介。
お前そういや女の子連れ込んだそうだな。
こう若くて細〜い女の子。
それになお前検事になるって?検事。
それはやめろそれは。
ねえねえねえ検事になってお父さんの事アゴで使うんだよね?な…バカ!この野郎…!ああもう…あちょうどよかった。
ねえねえその赤いシクラメンをさそっちに運んでちょうだい。
あなたこの黄色いバラは向こうに運んで。
でここのね肥料をこっちに持ってきてね。
人の事をアゴで使うなアゴで。
文句言う前に働きなさい!はーい。
あ〜いいお返事。
フフフ…。
2015/03/14(土) 12:00〜14:30
ABCテレビ1
法医学教室の事件ファイル[再][字]
アラフォー同窓会に届いた冷凍遺体!女医VS元・女子高教師23年目の秘密?傷口のギザギザ線と歯の矯正具の謎
詳細情報
◇番組内容
名取裕子が演じる大人気シリーズ第32弾!!
同窓会の会場に届いたのは…冷凍遺体!?不気味な事件をきっかけに、連続殺人が発生して!?
◇出演者
名取裕子、宅麻伸、中村橋之助、大路恵美、由紀さおり、七瀬なつみ、ちはる、江口ともみ、黒田アーサー、尾崎右宗 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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