新種発見!生きものたちの小宇宙〜カタツムリ&粘菌〜 2015.03.15


日本を代表する新種発見の達人が和歌山県にいます。
高校で社会科を担当し校長先生まで務めました。
湊さんは長年忙しい仕事の合間を縫ってある生きものを探し続けてきました。
その生きものとはこちら!
(「かたつむり」)そう湊さんはカタツムリの新種を見つける達人なんです。
さてここでクエスチョン!日本にカタツムリは何種類いると思いますか?ではそのうち湊さんは何種類のカタツムリを見つけたんですか?私は60年間カタツムリを研究しておりまして約102種類のカタツムリの新種を見つけました。
湊さんのお宅にあるカタツムリの標本を見せてもらいました。
それにしてもなぜこんなに種類があるんでしょうか?カタツムリはそれぞれふるさとを代表する動物なんです。
それぞれの地域にそれぞれの変わったカタツムリがあります。
なぜかといいますと離れ島があったり山があったり谷があったりしてそして歩みの遅いカタツムリがそこに交流できないんですよね。
…でその土地特有のカタツムリが進化していったのです。
こちらの標本は湊さんが発見した102種類のカタツムリ。
名前にはこだわりがあります。
殻の表面がすべすべしていたので…殻に毛のような突起がいっぱいあるので…こちらは…一風変わった名前ですね。
これは生息してる所が思いがけない所で生存しとったので名前を付けました。
非常にユニークな名前だと私は思っております。
発見したのは乾燥した岩だらけの山の頂。
普通カタツムリが住まない意外な場所でした。
湊さんは自分の子どもの名前を考えるように心を込めてカタツムリの名前を付けてきました。
湊さんが唯一飼育しているカタツムリがいます。
これは熊本県の洞窟の中に住んでいるイシカワギセル。
キセルのように細く長い殻を持つ透き通った体のカタツムリです。
世代交代をしながらなんと36年間洞窟に似た引き出しの暗闇でひっそりと生き続けています。
私の唯一飼っているペットがこのイシカワギセルなんです。
どこまでもカタツムリに寄り添う湊さん。
どうしてそんなに心引かれるんでしょうか?最初は海のそばで住んでおりましたので色彩がきれいな…形も変わっているという事で海の貝に魅せられたんです。
湊さんは小学生の頃毎日のように海の貝を拾いに海岸を訪れていました。
ところが学校の先生だった両親の転勤のため中学生の頃海から離れた山あいの村へ引っ越しました。
海の貝と離れ落ち込む湊さん。
そんな息子を励まそうと母末乃さんがかけた言葉がありました。
そうなんです。
カタツムリは海の貝が陸に上がって進化したものなんです。
私は海で育ったんでねまさか山に貝があるとはそのころ中学2年になるまで知らなかったと思います。
それからカタツムリに一生をささげるような形になったと。
これは中学生当時湊さんが夢中になって書き留めたカタツムリのフィールドノート。
後に102種類もの新種を発見する湊さんの原点です。
実は湊さんが母末乃さんにささげたカタツムリがいます。
発見当時病気と闘っていた末乃さんの健康を願ってそしてカタツムリへの道を開いてくれた事への感謝を込めた名前です。
あまり親孝行してないんだけども貝に名前を付けたという事は一種の親孝行かなあと私は今思っているんですよ。
湊さんのプレゼントに末乃さんは優しくほほ笑み返してくれたそうです。
湊さんは75歳になった今でも調査に出かけます。
森の中の朽ちた木落ち葉の上あるいは石の下。
そういう所を探せば大体のそこの地域のカタツムリが見られると。
湊さんはどんなに小さなカタツムリも見逃しません。
(湊)ミヤコムシオイといいます。
小さいですがこの殻に蓋があります。
乾燥を防ぐための蓋を持つ僅か3ミリのカタツムリ。
ひっくり返っていても…よいしょ!上手に起き上がります。
すぐそばにも細長い殻のコスジギセルがいました。
大きさは1.5センチ。
おや?触角が出てきました。
(湊)この足元の下にもひょっとしたら新種のカタツムリがいるかもしれません。
まだまだカタツムリ探しをやりたいと思います。
一方こちらは東京都。
新種発見を目指す未来の研究者がいます。
増井真那君中学生です。
真那君が突然えたいの知れないものを見せてくれました。
これが一緒に暮らしている粘菌です。
えっ?一緒に暮らしているって…これって生きものなの?まるでなぞなぞ。
この絵の具のようなもの立派な生きものなんですって。
粘菌は主に倒木や落ち葉など少し湿った所に住んでいます。
時間を早めてみると…なんと変形体といわれるアメーバ状態の時は自由に動き回ります。
速さは1時間に数センチ。
バクテリアなどの微生物を探しながら食べ進み大きくなります。
ところがびっくり!粘菌には別の姿があるんです。
十分に成長するとキノコのような形に変身します。
この状態は子実体と呼ばれます。
子孫を残すための胞子を作るんです。
こちらは…胞子は風に乗って広がり仲間が増えるんです。
粘菌はまだまだ謎がいっぱい!真那君が新種を発見するチャンスは十分にあります。
粘菌がいるのは森の中だけではありません。
町なかの身近な場所にもいるんです。
あっあった!街路樹の幹に白い小さな粒々。
これも粘菌です。
植え込みにたまった落ち葉にもたくさんいました。
さすが真那君。
居場所をよく知っていますね。
都会でも掃除されてなかったりするとこなら本当にどこにでもあるんです。
なおかつ雨が降って湿気がすごい出たあとに晴れたらそういう時にはどこにでも出ます。
真那君は5歳の時テレビで動く粘菌を見てからずっと夢中です。
小学校1年生から飼育を始めて今も6種類の粘菌と暮らしています。
研究者の方の指導も受けながら実験報告や論文を次々と発表。
大きな科学賞を17も受賞しているんですよ。
真那君はどんな研究をしているんでしょうか?最近のテーマは…何やら哲学的ですがこんな実験をしたんですよ。
これはもともと1つだった「自分」が2つに切り分けられてもくっつくの?という実験。
結果は迷う事なくくっつきました。
では同じ種類でも採った場所が違う「自分」と「他人」の場合くっつくのでしょうか?おや?ギリギリのところで一旦止まりました。
どうやら「自分」と「他人」を見分けて行動したようです。
そして72分後…くっつきました!粘菌が何をもって「自分」と「他人」を判断しているのか真那君はその鍵を探っているんです。
研究者顔負けの真那くん。
粘菌は大好きな友達のような存在です。
これが…名前には意味があるのでしょうか?何かよく分かんないんですけどすごいかわいいから名前を付けずにはいられなくなって気付かないところでも身近にいっぱいいるのでそういうのを見つけたら是非かわいがってあげて下さい。
真那君は自然に触れ合える野外調査が大好きです。
その影響で今ではお父さんとお母さんも粘菌のファン。
よく家族で出かけます。
いろいろ話してて印象に残っているのが「答えよりも疑問の方が好きだ」ってよく言うんですね。
次々出てくる疑問を追っかけてくっていうのがすごく楽しいみたいで。
粘菌を探す時真那君は目の高さを大切にします。
上から見ると草と枯れ葉だけだった世界がしゃがんだら一気にいっぱい見えるみたいな…。
ここにムラサキホコリっていう種類がありました。
落ち葉の上にも見つけました。
今までに200種類もの粘菌を観察してきた真那君。
いつか必ず新種も見つけたいと願っています。
きれいなものにも引かれるんですけどやっぱり見た事ないものに一番引かれます。
新種を見つけるにはみんなが見てるところを見てるんじゃ駄目でやっぱりほかの人が見ないところ水の中とか土の中とか木の上とか…。
だからそういう事をやってたらいつか見つかるんじゃないかなって思っています。
この世界には人々を夢中にする生きものたちの小宇宙が広がっているのです。
2015/03/15(日) 03:25〜03:40
NHK総合1・神戸
新種発見!生きものたちの小宇宙〜カタツムリ&粘菌〜[字]

新種生物の発見が相次ぐ地球。和歌山の湊宏さんは全国で新種のカタツムリを102種類発見し、ユニークな名前をつけてきた。人々を夢中にする生きものたちの小宇宙に迫る。

詳細情報
番組内容
多種多様な生命で満ちあふれる地球。今、奇妙な形をした新種生物の発見が相次ぎ、その数は年間1万8千種に及ぶ。和歌山在住の湊宏さんは75歳。全国各地で102種類にも及ぶ新種のカタツムリを発見し、「オモイガケナマイマイ」などユニークな名前をつけてきた。東京在住の中学生・増井真那くんは、新種の粘菌発見を目指す未来の研究者。6種類の粘菌を飼育し、研究を続けている。人々を夢中にする生きものたちの小宇宙に迫る。
出演者
【出演】カタツムリ研究者…湊宏,粘菌研究者…増井真那

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行

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