【北京=大越匡洋】中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)にフランス、ドイツ、イタリアが参加する方針だと、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の電子版が16日報じた。英国が参加を表明しており、欧州の先進各国が追随する可能性が出てきた。米国や日本はAIIBの組織運営が不透明だとして距離を置いており、日米と欧州勢との間で摩擦が生じそうだ。
欧州高官の話として伝えた。AIIB構想は中国の習近平国家主席がアジアのインフラ整備を支援するとして提唱し、年内の設立をめざしている。中国を含めてアジア太平洋域内の27カ国が参加を正式に決めた。12日には英国が主要7カ国(G7)、アジア域外で初めて参加を表明した。
中国は6月末までに各国の出資比率などをまとめた設立協定を結ぶため、3月末までに創設当初の参加国を確定する方針だ。新たに参加するには、すでに参加を表明している国々の同意を得る手続きが必要なため「今週が実質的な意思表明の期限になる」(国際金融筋)との見方が強い。
英国の参加表明をきっかけに、いったんは参加表明を見送っていたオーストラリアが改めて参加の是非の検討に入った。中国は韓国にも再三にわたり、参加を呼びかけている。欧州勢がアジア域外から雪崩を打って加われば、AIIBへの参加国は30カ国を超える可能性がある。
欧州勢は日本などと異なり、中国に対する安全保障上の警戒感が薄い。中国との関係を強め、中国・アジア市場での自国企業のビジネスや投資機会を拡大したいとの思惑もある。中国は欧州など先進国の参加を促すことで、国際機関としてのAIIBの信認を高める狙いがある。
ただ、最終的に1千億ドルとする資本金の大半は中国が出すほか、初代総裁のポストも中国が握る方向だ。米国や日本は世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など既存の国際機関を主導してきただけに、AIIBについて「意思決定の過程や融資の審査基準が不透明だ」として警戒している。