(テーマ音楽)愛知三河湾。
大きな川がいくつも注ぐ豊かな海です。
その一番奥に広がっている干潟が六条潟です。
潮が引くのを待っていた鳥たち。
彼らがついばむのはアサリなど干潟に暮らす生き物です。
愛知県はアサリの漁獲量日本一。
その稚貝がここで育ちます。
潮が満ちた海では海底に育つ植物のもとに小さな命が集まっています。
冬六条潟で懸命に生きるものたちの姿を見つめました。
愛知県の南東部。
豊川の河口に広がる六条潟です。
広さはおよそ300ヘクタール。
東京ドーム64個分にもなる大きな干潟です。
ここにはたくさんの生き物たちがやって来ます。
干潟をつつくのはカモメたち。
カニやゴカイ貝を探して食べています。
タカの仲間ミサゴもやって来ました。
浅瀬にいる魚を狙っています。
取りました。
大きな魚です。
鳥たちにとってここは食べ物がたくさん取れる場所です。
群れでやって来たのはスズガモです。
冬を越すためにシベリアから渡って来ました。
潜り始めました。
彼らの好物はアサリ。
丸飲みにします。
干潟の砂の中にはここ六条潟を代表する生き物がいます。
アサリです。
大きさは1.5センチ。
生まれて2年目です。
六条潟には三河湾全体で生まれたアサリの稚貝が潮の流れによって運ばれ集まります。
流れ着いたアサリはここで大きくなっていくのです。
そのため六条潟は「アサリがわく干潟」として知られています。
多くのアサリが育つ理由。
それは六条潟の砂に秘密があります。
アサリが快適に生きていける条件を満たしているのです。
アサリを持ち上げると一緒に砂粒もついてきました。
アサリは透明の糸を出しています。
この糸に砂粒をくっつけて波に流されないようにしています。
六条潟の砂粒は2ミリ程度。
アサリがおもりにするのにちょうどいい大きさなのです。
六条潟にとってもアサリは重要な役割を果たしています。
海水に含まれる有機物を栄養として取り込むアサリ。
体の中で栄養をこし取るので吐き出す水は浄化されます。
それが六条潟の水をきれいにしているのです。
潮が満ち始めました。
およそ2時間で干潟が姿を消していきます。
水深1.5メートルになった場所です。
海底に自生しているのはコアマモ。
砂地を好んで育つ植物です。
コアマモは砂の中に地下茎をはわせています。
そのため強い波でも流される事はありません。
しかもコアマモは波がつくる流れを弱めて穏やかにします。
周りには外敵から身を守るため小さな生き物が集まっています。
今動きました。
生き物がいるのはここ。
周りと同化して見分けがつきません。
ここでようやく見えました。
イシガレイです。
大きさは僅か1.5センチ。
この冬に生まれたばかりです。
イシガレイは稚魚の間を干潟で過ごします。
外敵に見つかりにくく波の穏やかなコアマモの近くで育っていくのです。
もう一つ生き物を見つけました。
大きさ4センチほど。
砂地の干潟に住むエビの仲間です。
砂地は潜りやすいので危険を感じるとサッと身を隠す事ができます。
コアマモが育つ砂地は小さな生き物たちにとって揺りかごとなっているのです。
六条潟に流れ込むのは日本有数の急流豊川です。
この川が上流から大粒の砂を大量に運び広大な干潟をつくり出しました。
さまざまな生き物たちを育むこの砂粒。
長い時間をかけて自然がつくり出した干潟が生き物たちのオアシスになっているのです。
干潟の近くにある雑木林。
その周りにはヨシが生えています。
カモたちが羽を休めていました。
こちらはコガモ。
ヨシの根元にある藻を食べます。
目の周りが鮮やかな緑色なのがオス。
体全体が茶色いのがメスです。
左から泳ぐオス。
お尻を上げました。
実はこれメスに対するプロポーズ。
コガモは越冬先のここで繁殖相手を見つけます。
どうやらメスは気に入ったようです。
このあと5月頃に繁殖地のシベリアに渡ります。
そこで新しい命が生まれるはずです。
こちらカワウも繁殖の時期を迎えています。
主に魚を獲物にするカワウ。
六条潟の近くにある雑木林が彼らの住みかです。
上がオス下がメスです。
メスがオスに対して翼をバタつかせアピールしています。
オスがメスの上に乗りました。
順調にいけば1か月後にはヒナが生まれます。
(波音)六条潟の砂の中でも小さな命が育まれていました。
真ん中で動いているのはアサリの赤ちゃんです。
大きさは僅か1ミリ。
砂粒よりも小さいですがアサリの形をしています。
前の年の秋に生まれたものが半年かけて大きくなりました。
このあとおよそ3年かけて育ち大人になります。
山から運ばれた大粒の砂で出来た愛知六条潟。
砂は命の輪を巡らせます。
多くの生き物たちが育まれる掛けがえのない干潟です。
都内の警察署へと急ぐこの男性。
2015/03/15(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「愛知 六条潟」[字]
愛知県はアサリの漁獲量日本一だが、その多くが育つのが六条潟。潮が引くと、身を潜めていたゴカイやカニなどが姿を現し、ユリカモメが砂の中の生きものを掘り出す。
詳細情報
番組内容
愛知県渥美半島に広がる六条潟。三河湾に注ぎ込む豊川の上流から運ばれた砂れきが、堆積してできた。愛知県はアサリの漁獲量日本一だが、その多くが育つのが六条潟だ。潮が引くと、身を潜めていたゴカイやカニなどが姿を現す。干潟に点在する小さな砂団子は、カニたちが食事をした跡。コメツキガニなどを食べにやってくるのが、シギなど越冬する鳥たちだ。スズガモやユリカモメは、砂の中の生きものを掘り出して冬をしのぐ。
出演者
【語り】黒崎めぐみ
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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