シャーロックホームズ・選(最終回)「消えたボーイフレンドの冒険」 2015.03.15


(ワトソン)
日曜の午後
僕が読書に夢中になっているとふいにホームズが話しかけてきた
(ホームズ)小説を読む人間の気が知れないな。
え?何で本が嫌いなの?本が嫌いなわけじゃない。
小説が嫌いなんだ。
図鑑とか辞典は大好きだよ。
へえ。
何で小説が嫌いなの?現実の方が100倍面白いからに決まってる。
小説からはいろんな事が学べるよ。
作家が頭で空想した世界じゃないか。
人の夢の話ほどつまらないものはない。
得るものは何もないね。
小説だって現実と同じくらい大事な事が書いてあると思うけどな。
ふ〜ん。
あれを見て!おっ?あそこにいる女子。
彼女は僕に会いに来ている。
手にしたメモをしきりに見ているだろ。
誰かから僕の部屋番号を教えてもらったんだ。
行ったり来たりしているのは迷っているから。
彼女の悩みは…恋愛問題。
相談はしたいけど分かってもらえるか不安なんだ。
相手の男に恨みはない。
むしろ愛している。
男に腹が立っている時はためらわずにまっすぐここに向かっているはずだからね。
相変わらずさえてるね。
大事なのは観察する事。
現実だけが僕の先生さ。
(メアリー)うん。

(ハドソン夫人の鼻歌)・「タララッタタターララララーラッタララー」はいどうぞ。
うわハハ!いつもすみませんねハドソン夫人。
今朝焼いてみたの。
食べたら感想を聞かせて。
ありがとうございます!うわ〜おいしそう。
あ〜どっちがいいかなあ〜。
何ですか?感想!今はお客さんなのであとでいいですか?アハハ。
そうね。
じゃああとで。
ごゆっくり〜。
・「タララッタタターララララー」お邪魔じゃなかった?そんな事はないよ。
ねえホームズ。
ああ。
確か君は…。
2年生のメアリー・サザーランドです。
ではハドソン夫人ご自慢の手作りクッキーでも食べながら話を聞きましょう。
チョコチップとレーズンがあるよ。
(メアリー)うわ〜じゃあ…レーズンを頂くわ。
あそれはチョコチップ。
ここに書いてあるから。
あらホントだ!アハハ…じゃあこっち。
うまっ!落ち着いたら本題に。
ホームズ君に頼めば何でも解決してくれるって聞いたの。
何でもってわけじゃない。
興味が湧けばの話だ。
ちょっと変わってるけど悪いやつじゃない。
きっと助けになると思うよ。
目の悪い人が眼鏡をかけないでいると視力がどんどん悪くなるのを知ってる?はっ!どうして私が眼鏡をかけてたって…。
ここに跡がある。
あ…。
そして今君はクッキーの字が読めなかった。
見てるわねこの人。
ふ〜ん。
ツンとした鼻がかわいいわね。
私好きよあなたの顔。
でご用件を。
お願いします。
アハハそうでした。
実は…。
メアリー・サザーランドが話し始めたのは実に奇妙な物語だった
(メアリーの声)私のボーイフレンドは6年生のホズマ・エンジェルっていう物静かな人。
ホズマは大人っぽくて会った瞬間から私は夢中になった。
話してみてびつくり!回想え?その本あなたも?
(メアリーの声)好きな作家も好きな音楽も好きな食べ物もみんな私と一緒なの。
驚きだったわ。
回想うそ!私も〜!
(メアリーの声)ホズマはもうすぐ卒業してしまうの。
先週彼は私に約束してくれた。
回想僕らはずっと一緒だよ。
(メアリーの声)ホズマは無口で声も小さいの。
回想ごめんなさい!聞き取れなかったわ。
僕らはずっと一緒だよ。
もちろんだわホズマ!たとえ離れ離れになっても絶対に僕の事は忘れないで。
忘れるわけないじゃない!ホ…ズ…マ…。
(メアリーの声)ところが昨日の事よ。
私とホズマは放課後学校の裏手の山道を散歩していたの。
ホズマは茂みの中に洞穴を見つけた。
すると突然おかしな事を言い出して…。
回想中をのぞいてくる。
(メアリーの声)あまりそういう事をする人ではないので私はびっくりして…。
回想危ないからやめて!
(ホズマ)すぐに戻る。
(メアリー)ごめんなさい!聞き取れなかったわ。
(ホズマ)すぐに戻る。
(メアリーの声)そしてホズマは消えてしまったの。
消えてしまった?なかなか出てこないので私も恐る恐る穴の中へ入ってみたんです。
回想ホズマホズマー!
(メアリーの声)中は行き止まりで…。
回想ホズマー!
(メアリーの声)そこに彼の姿はなかった…。
不思議な話だなあ。
お願いホズマを見つけて!いくつか質問をいい?どうぞ。
ホズマの前につきあっていた人はいますか?え…?つまり僕が聞きたいのはあなたとホズマの関係を良く思わない人物がいるかどうか。
いません。
ふ〜ん。
あ…幼なじみの男の子がクーパー寮にいるけどつきあってる感じじゃないわ。
ホントよ。
名前は?ウインディバンク。
ウインディバンクにはホズマの事を話した?まさか!ではホズマにウインディバンクの事は?話した…かな。
ウインディバンクは関係ないと思うけど。
それはまだ分からないよ。
ウインディバンクとホズマが知り合いの可能性は?ないわ。
一緒にいるのを見かけた事は?う〜んないわね。
ウインディバンクとホズマ背が高いのはどっち?ホズマだけど。
何なのこれ?では最後の質問です。
「あなたは眼鏡をしていない方がきれいだ」って言われた事はない?あら?あなたもそう思う?一応眼鏡持ち歩いてるんだけどフフフ比べてみる?結構。
ちなみにそう言ったのはホズマですね?はっ!何で分かるの?以上。
これだけは言っておくけどホズマの事はもう忘れた方がいい。
もう会えないって事?そうとは言っていない。
あの人に何があったの?とにかく今日はもう帰って。
真相が分かったら連絡するから。
大丈夫。
ホームズはきっと解決してくれるよ。
何か変な感じ…。
よろしくお願いします。
まさかウインディバンクがホズマを殺したとか?つまんない小説を読んでるからそういう発想になるんだ。
え…。
さあ出かけよう。
どど…どこに行くんだ?僕の推理が正しいかどうか検証する必要がある。
ハアハアハア…。
ラングデール・パイクは言うなれば何でも屋だ。
学内における面倒な調査は全て彼が引き受けてくれている。
パイク!オホホ!これはこれはホームズ先生。
ちょうどいいところに来た。
上物の写真が手に入ったんですよ。
言ったろ僕はその手の物には興味がない。
ああ!あああ…。
こんなの先生に見つかったら大変だよ!どうですか1枚。
いえ…。
遠慮せずに頂いていけば?あ…。
じゃあ…これ下さい。
2ペンスになります。
お金取るの?冷やかしは御免だ!仕事だ。
捜してほしい生徒がいる。
6年生で名前はホズマ・エンジェル。
(パイク)ヒヒッ了解。
(ホームズワトソン)ハアハアハア…。
それにしてもホズマはどこへ消えてしまったんだ?僕はホズマの言葉が気になるんだ。
「たとえ離れ離れになっても絶対に僕の事は忘れないで」。
ホズマは何かを予感してたんじゃないかな?さえてるね。
僕もその点は同意見だよ。
だけどさっぱり分からない。
ホズマに一体何があったんだ。
ん?思ったとおりだ!え?
(ホームズワトソン)うわあ…。
ワトソンメモ
メアリー・サザーランドは消えた恋人を捜すために訪ねてきた
どうも惚れっぽい性格らしい。
ホームズも困ってた
捜索中のホズマ・エンジェル。
彼はこの洞穴で消えた
そして隠し出口
彼はそこから抜け出したのか?何のために?
パイクの報告にその答えがあるってホームズは言った
ヒーヒヒヒーヒヒ…イヒヒヒ…。
さすが仕事が早いな。
職員室に忍び込んで名簿を盗み見するのにそう時間はかからない。
では6年生にホズマ・エンジェルという生徒はいないという君の調査結果を聞かせてもらおうかな。
え!人が悪いな〜。
知ってたんですか?僕の推理ではそれ以外の答えはありえない。
確認したかったんだ。
6年生どころかこの学園のどこにもホズマなんて名前の生徒は一人もいなかったんですよ。
これで事件解決だ。
いや僕にはさっぱりだ。
はい。
ありがとやんす。
ディーラー寮のメアリー・サザーランドを僕の部屋へ呼んできてくれ。
分かりやした。
それからクーパー寮のウインディバンクも。
へい。
(メアリー)待って下さい!どうしてこの人がいるんですか?今説明します。
(ウインディバンク)ごめんなさい。
僕あしたの予習があるんでやっぱり部屋に戻ります。
行っちゃ駄目だウインディバンク。
いや今はホズマ・エンジェルと呼んだ方がいいかな?ああ…。
(ワトソンメアリー)どういう事?メアリーの話で僕が最初に引っ掛かったのはホズマ・エンジェルはなぜ声が小さいのか。
そして彼はなぜ彼女に眼鏡を外すように言ったのか。
彼女は本当に眼鏡を外した方がきれいなのだろうか。
僕はそうは思わない。
何か失礼な感じ。
声が小さいのは本当の声を隠すためではないか。
眼鏡を外すように言ったのは自分の変装がばれるのを恐れたからではないか。
じゃあ誰がホズマに変装していたのか。
論理的に考えてそれは一人しかいない。
ウインディバンク君だよ。
あ…。
まさか。
何の話か僕にはさっぱりだ。
君はメアリーを女性として愛した。
でも彼女にとって君は幼なじみのまま。
君はメアリーを誰かに取られてしまうのが怖かった。
ただでさえ惚れっぽい性格だからね。
そこで作戦を練った。
かつらを着け底上げした靴を履いてホズマ・エンジェルという架空の先輩になりきって彼女の前に現れたんだ。
メアリーの事は何でも知ってる。
心をつかむのは簡単な事だ。
う…うう…。
あなただったの?最初は冗談のつもりだったんです。
でもびっくりするぐらい彼女は信じ込んであっという間にホズマ・エンジェルの事が大好きになった。
おかげで他の男には目もくれなくなり僕の計画は大成功。
最低!でも正直疲れました。
彼女は幼なじみの僕とつきあいホズマともデートを重ねた。
両方君なんだろう?そりゃ疲れたろうね。
でもうれしかった。
彼女を独占できて。
そんな時君はふとある事を確かめてみたくなった。
回想
(ホズマ)ウインディバンクってどんなやつ?
(メアリー)え?どうして彼の事を?君と歩いているところを偶然見ちゃったんだ。
同級生らしいね。
なかなかいかした青年じゃないか。
やめてよ!あの子は昔近所に住んでたただの幼なじみ。
実はねちょっとしつこく付きまとわれて困ってるの。
僕はしつこくなんかしてない!昔と一緒だ。
ただそばにいるだけなのに。
僕はホズマに嫉妬した。
メアリーが僕を嫌ってホズマを愛するようになったのが許せなかったんだ。
ホズマの野郎!落ち着くんだ!ホズマは君なんだよ。
だからホズマをこの世から消し去る事にしたんです。
「ずっと僕を忘れないで」と言い残して彼女の前から消える事に。
そうすれば彼女の心が他の男に移る事はないと思って。
ふん!
(ウインディバンク)分かってよ。
君を失いたくなかったんだ。
ひどすぎる!けんかはそこまで。
あとは君らで勝手にやってくれ。
どうぞお引き取りを。
失礼します。
(ウインディバンク)メアリー!あ〜ちょっと待って!彼の気持ちを分かってあげて。
彼はあなたを心から愛してる。
よく考えて。
ホズマがあなたにしてくれた事は本当は全部ウインディバンクがしてくれた事なんだよ。
え…。
だましてごめんなさい。
それにウインディバンク君は一つ思い違いをしているね。
え?うん?メアリーは君を嫌ってなんかいない。
彼女はホズマに困ってるって言ったあとも君と会ってたんだろ。
君の事を好きなのを知られたくなくてホズマにうそをついたんだよ。
そうなの?あ…あ…さようなら!
(ウインディバンク)メアリー!待って〜!女心を見抜く天才だな。
フフフそんな事ないよ。
申し訳ないけど君がそれほど恋多き男には見えない。
一体どこからそんな知恵を?言ったじゃないか。
小説からはたくさんの事を学べるってフフフ。
あ…フッ…。
あの2人幸せになってくれるといいね。

(ウインディバンク)メアリー!僕には関係ない事だ。
(笛)・
(ウインディバンク)待って〜!
クイズで楽しく原作を読み解く…
今回は甘酸っぱい恋のミステリー
メアリー・サザーランドはちょっと惚れっぽい女の子として描かれていました
ずっと一緒だよ。
もちろんだわホズマ!
この物語の原作は「花婿失踪事件」
依頼人のメアリー・サザーランドは大柄で立派ないでたちの女性
結婚式の日に突然消えた花婿を捜してほしいとホームズを訪ねてきたのですが…
ここで…
ホームズは出会った途端にメアリーの職業を見抜きました
分かるかな?
その理由はホームズの推理によると…
「あの女性は袖口にフラシテンを着けていた。
この布は手がかりになりやすいのだ」。
原作で描かれた時代は19世紀末
電話やタイプライターなど新しい技術が普及し始めていました
それに伴い女性たちは電話交換手やタイピストとして社会に進出
「シャーロックホームズ」では仕事を持つ女性が度々描かれます。
時代を反映しているんですね
今回はこちら
次回はどの原作からのクイズかな?お楽しみに!
2015/03/15(日) 17:30〜17:51
NHKEテレ1大阪
シャーロックホームズ・選[終]「消えたボーイフレンドの冒険」[字]

三谷幸喜が推理小説の古典を学園ミステリーとして脚本化。15歳の少年・ホームズとワトソンが学園内で起こる奇妙な事件のなぞを解く。今回は消えたボーイフレンドのなぞ。

詳細情報
番組内容
三谷幸喜が推理小説の古典を学園ミステリーとして脚本化。15歳の少年ホームズとワトソンが学園内で起こる奇妙な事件のなぞを解く。ホームズとワトソンの部屋に、一人の大柄な女子生徒、メアリー・サザーランドが訪ねてくる。最近つきあい始めた男子生徒、ホズマ・エンジェルが学校の裏にある洞窟の中でこつ然と姿を消したというのだ。メアリーと完全に趣味が一致したという理想のボーイフレンド・ホズマ。一体どこに消えたのか?
出演者
【声】山寺宏一,高木渉,堀内敬子,関智一,瀬戸カトリーヌ,藤原竜也
原作・脚本
【脚本】三谷幸喜

ジャンル :
アニメ/特撮 – 特撮
ドラマ – その他
趣味/教育 – 中学生・高校生

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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