宮城県石巻市に来ました。
今回の舞台は皆さんも休日によく行く事がある大型のショッピングセンターです。
東日本大震災が起こった時あちらの建物に多くの人が逃げ込み避難生活を送りました。
店のマニュアルにない想定外の事態に陥った時に問われたのは責任者の判断でした。
「『学ぼうBOSAI』被災者に学ぶ」。
今回は東日本大震災の時に2,300人もの人の避難生活を受け入れた大型ショッピングセンターの責任者の方にお話を伺います。
こんにちは。
よろしくお願いします。
お会いしたのは震災当時この大型ショッピングセンターのマネージャーを務めていた秀方純さんです
こちらの大型ショッピングセンターには113もの店があります。
飲食店やスーパー靴屋おもちゃ屋などふだん500人ほどの人が働いています。
マネージャーはそれら全体の運営や安全管理の面で指示を出す監督いわば現場の最高責任者なのです。
秀方さんは地震が収まると1階の防災センターに駆け込みました。
ここはショッピングセンターの安全を管理する部屋です。
当時店内の様子を隅々まで映すはずの防犯カメラの映像は停電で見る事ができなくなっていました。
秀方さんは店内のお客さんや従業員が無事か気がかりでした。
停電で真っ暗な店内。
倒れた商品棚の間に挟まれた人はいないか隅々まで見まわって確認するように指示を出したのです。
幸い店内にけが人や逃げ遅れた人はいませんでした。
秀方さんは客と従業員合わせて1,000人ほどを外の安全な駐車場に避難させました。
しかしそのやさき10メートルの大津波が迫っているという情報が入ったためすぐに屋上へ移動し直しました。
一刻を争う緊急事態。
従業員が1,000人を誘導し屋上まで最短のルートで避難させたのです。
結局津波はショッピングセンターまでは到達しませんでした。
しかしここで秀方さんは想定外の事態に見舞われます。
津波から逃れて来た人々が…と続々と押し寄せてきたのです。
ショッピングセンターは石巻市の指定避難所ではありません。
しかも当時は店内のあらゆる物が壊れ危険な状態でした。
電話などの通信網は途絶え会社の指示も仰げない状況でした。
この時秀方さんはどう判断したのでしょうか?秀方さんは連絡が取れなかった本社の指示を待たずに自らの責任で避難者全員の受け入れを決断したのです。
この時から2,000人を超える人たちの避難生活が始まりました。
行政からの支援がない中で従業員たちはどうやって対応したのでしょうか?食事は1日3回。
停電で調理ができなかったため店の商品棚から腹持ちのよいせんべいなどを選んで人々に配りました。
更に寒さをしのいでもらうため一人一人に毛布と段ボールを配り寝床として使ってもらいました。
最も苦労したのはトイレです。
当時は水道が止まり水洗トイレの水が流れなかったため従業員がひしゃくとバケツを使って排せつ物をくみ取ったのです。
被災者たちの生活を支えた従業員たちもまた被災者でした。
秀方さんは職場の仲間たちをどのように励ましていたのでしょうか?更に地震の翌日からは物資を求めて多くの人々がショッピングセンターに押し寄せました。
当時直営スーパーの倉庫にはおよそ7,000万円分の在庫がありましたがこれらを無料で提供すれば会社に大きな損失を与えてしまいます。
秀方さんは悩んだ末に決断しました。
食料や飲料水などの無料配布は市内の指定避難所に支援物資が行き届くまで2日間行いました。
そして地震から半月後店内に避難していた人たちは地域の避難所に移っていきました。
よろしくお願いします。
当時このショッピングセンターで家族5人16日間の避難生活を送った佐藤隆宏さんにお話を伺いました
震災後秀方さんたちが勤めるショッピングセンターの運営会社は全国の店舗が使うマニュアルの一部を見直しました。
災害の時家に帰れない人が来た場合マネージャーの判断で受け入れてもよい事になったのです。
次の災害に備え秀方さんは改めて気を引き締めています。
今回の舞台となった大型ショッピングセンターに皆さんも家族や友人などと一緒に行く事が多いかもしれません。
もしその時に災害に襲われたらという不安がありましたが秀方さんたちのような方がいる事を知りとても頼もしく思いました。
2015/03/15(日) 18:30〜18:40
NHKEテレ1大阪
学ぼうBOSAI 東日本大震災 被災者に学ぶ「商業施設運営〜宮城・石巻市〜」[解][字]
今回の舞台は石巻市の大型ショッピングセンター。震災発生後、施設には買物客ら2300人が身を寄せた。大津波の危険、寒さと食料不足。施設の責任者は彼らを支え続けた。
詳細情報
番組内容
東日本大震災の被災者に話を聞く「被災者に学ぶ」シリーズ。地域の住民はその時どう行動したのか。小中学生の子どもたちが自分で考え行動するためのヒントを与える。中学生で俳優の濱田龍臣さんが宮城県石巻市の大型ショッピング施設を訪ねる。震災発生当時この施設には約千人の買物客がいた。大津波の危険が迫るなか施設の責任者は買物客をどうやって避難させたのか。さらに大勢の避難者が施設に来店。彼らをどう受け入れたのか。
出演者
【出演】秀方純,【リポーター】濱田龍臣
ジャンル :
趣味/教育 – 幼児・小学生
趣味/教育 – 中学生・高校生
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:24605(0x601D)