昨日待ちに待った北陸新幹線が走り出した
日本海沿いを走る初めての新幹線
窓から望むは雄大な立山連峰
日本が誇るあらゆる技術が注ぎ込まれた夢の超特急
注目なのはスピードと
そして美しさを兼ね備えたデザイン
北陸の澄み切った空のブルー
そして伝統工芸品をイメージした銅色を大胆に配置したのが
信念のデザイナー
貫き通した哲学は「和の未来」
そして45トンもの車両を超高速で走らせる究極の技が
それはモーターや車輪以外のある部品
孤高のエンジニア
静かなる闘志を燃やしたのは絶対に負けられない…
スペシャル企画
Ihaveadream
半世紀前に生まれた新幹線
まず目に止まるのが…
先頭車両のデザイン
この部分は空気抵抗を減らす形状と
美しさの両立が不可欠
速度が上がると同時に顔は長く
とがった形状に変化してきた
そして今回の北陸新幹線のデザインには
これまでにない革新が散りばめられていた
今年2月
粉雪舞い散る中完成車両を積み込む様子を
一人眺める男がいた
そのデザインを手がけた…
まあうれしくもありやっぱり寂しい気がしますね
胸に迫るのは悩み抜いた2年もの歳月
ついに作品が自分の手を離れ北陸の地へと旅立つ
車両メーカーのデザイナーとして勤務する亀田
北陸新幹線の担当になって早々一つの条件が課せられた
それは…
ハードルは高そうだと思いました
E2系は運転台が一体型となった独特のフォルム
先頭車両は運転席の分だけ断面積が増え
空気抵抗が増す
そこでその面積の分側面を削ることで相殺する
このように断面積の足し引きにより
近年の新幹線はデザインされている
E2系も緻密な計算を重ね
S字というフォルムが完成
結果機能と美しさを併せ持つ顔に仕上がったのだ
これをどう変えるか
ヒントになったのはこの動きだ
デザイナー・亀田が導き出した
E2系とは違う顔にするための改新のアイデア
それは…
物が落下するときに描かれる放物線その名も…
断面積を減らすために…そういう形でできたのが今回のE7系・W7系の先頭形状になっています
S字から自然に流れるような放物線の形に
ボディーを落とし込んでいく
そうすることで空気抵抗も軽減しながら
これまでにないデザインを作り出せる
近年の新幹線と比較してみると…
シンプルな流線型が際立つ顔に仕上がった
次に色や模様を決めていくのだが
亀田にはそのデザインに命を吹き込むための哲学があった
新幹線っていうものは土地と土地を結ぶものですのでその町が持っている雰囲気とかを理解した上で我々自分たちが作ったデザインをテーマに乗せていくと
何度も北陸3県に足を運んだ
ひたすらデザインの手がかりを求め
1000枚以上写真を撮り続けた
亀田の中にあったデザインのテーマ
それは…
未来を感じるフォルムに日本古来の色彩文様を施したい
具体的なプランを模索する中
亀田はデザイナーとして一生忘れない経験をすることになる
金沢の兼六園に足を運んだときのこと
江戸時代に建てられた加賀前田家の別邸
成巽閣に足を踏み入れた
2階へと上がりある部屋の前に立ち止まった
そのとき息をのんだ
兼六園にある成巽閣を訪れた亀田
2階へと上がったそのとき
ある部屋の前で息をのんだ
天井の青
かぶき者を輩出した前田家の日本建築群青の間
斬新だがそこには確かに和の美意識があった
こういうことしてもいいのだとコンセプトと目的がはっきりしていればかなり自由度が大きいんだなと
「奇抜」という言葉では片づけられない
和の様式になじんだ青
よく見ると薄い青と濃い青2種類ある
この濃淡が空間に奥行きを与えていた
今回亀田にはこの青を生かしデザインした場所がある
まさに青の世界なのにはわけがある
大きく3種類のブルーを使ってるんですねカーペットのブルーシートの両サイドのブルーそれと真ん中の部分のブルー色の取り合わせは…それが未来的なイメージなのかなというふうにも考えてます
これまでは落ち着いた配色が多かったグリーン車
しかし亀田は群青の間から自由な発想を得て
自らの殻を破った
もう一つ亀田が成巽閣で衝撃を受けたもの
それがこのシャンデリアだ
最上級の客席グランクラスに亀田はその思いをぶつけた
シックな和の空間に革張りの最新式シート
和の世界と先進性を融合させた
こうして和の未来が詰まった北陸新幹線が誕生した
何かあれですね私はまだそういう経験がないんでわからないですけど
いよいよ亀田の娘が
北陸に夢を届けるため出発した
デザインの次は…
新幹線のスピードを支える足元の話
最高時速260キロを実現するため欠かせないあるパーツ
それはモーターでも車輪でもない
知られざる究極の技術
開業に先駆けて行われた試乗会に
その開発者の姿が
作り上げた部品それは…
車輪の外側のケースに入っている…
これがいかに重要な部品なのか説明しよう
新幹線の足元には車輪をつなぐ車軸がある
時速260キロで走行するとき
この車軸は毎分およそ2000回転する
上に載っている車両は…
この重量を支えながら車軸を回そうとすると
接触面に強い摩擦が起きてしまう
そこで威力を発揮するのがこのベアリング
内側にくるくると回る部品がついている
これにより車両の重さを支えながらでもスムーズに回る
実際にベアリングがついている模型と
ついていない模型で比べてみると…
その差は歴然
このベアリングのおかげで45トンの車両が
最高時速260キロで走ることが可能になる
実はこのベアリング
私たちの暮らしの中のあちこちで使われているという
車のタイヤの部分ですね回転する軸の部分には軸受は使われていますこちらのエレベーターにも数多くの軸受は使われていますこういう回転する部分にもありますし今こうやって上がってきている黒いゴムリングの真ん中の部分にも軸受は使われています
ベアリングは物を動かすときに生まれる摩擦を
陰ながらいろいろなところで減らしている
地道にコツコツ頑張ってるなという感じはしますね私自身はコツコツやるしか能がないので
高野は17年にわたり
新幹線のベアリング開発を行う第一人者
開発設計から耐久試験まですべてを行う
ミスター・ベアリングだ
高野が働く会社は51年前の新幹線誕生を支えた1社
当時不可能とされていた…
その技術の神髄を見せてもらおう
ベアリングの要となるのが円柱の形をしたころ
回転するときの摩擦を減らすために
表面は極限まで滑らかでないといけない
砥石で徹底的に磨かれる
水をかけていても火花が散るほどだ
求められる精度は1000分の1ミリ単位
ツルツルピカピカだ
パチンコ玉ところの滑らかさを比べてみる
計測器で表面の凹凸を調べ1000倍にした結果がこちら
赤い線が完璧な円
緑のラインが計測された値
パチンコ玉はでこぼこだが
ころは緑と赤がほぼ一致している
やっぱりきれいだと思いますねそういう状態でないときちんと回ってくれませんのでそんなミリ単位なんてもうもってのほかです
わずかな傷もつけないために掃除は念入りに
後輩との作業中も…
すごく仕事が丁寧だと思いますこういう「ふいとけよ」っていういやここここだけじゃん
見えない仕事も念入りにするのが高野なのだ
同僚や後輩からはどう思われているのだろうか
部下に慕われるミスター・ベアリング
実はこんな過去があった
かつて技術者の花形
設計者になることを夢見ていた
これまでにない新しいものを作り出したい
しかし納得がいくまでじっくりと仕事に向き合うため
設計に同僚の2倍の時間がかかった
その後わずか1年で異動に新たな部署は
同僚が設計したベアリングの性能を試験する場所だった
いわば花形役者を支える裏方だ
しかし高野は前を向き続けた
もう少し会社のために人の役に立ちたいなと思って気持ちを切り替えましたここの評価試験で軸受の技術を極めてやろうという気持ちにはなりました
技術を極めるために
高野はなんと試験装置そのものを開発
じゃスタートします
従来の試験ではただ加重をかけ
ベアリングを回し続けるだけだが
この装置は列車の振動まで忠実に再現
より精密な試験ができるという
今では新幹線のベアリング開発に欠かせない装置となった
裏方と思われていた仕事にもコツコツ向き合ったからこそ
完成できた
今私が持ちえている考えの中で…
自分は新幹線を支えるベアリングのようだ
そう語る高野が北陸新幹線の開業を見守る
昨日北陸新幹線開業日
駅のホームに高野の姿があった
問題なく使われててホッとしてます
そしてデザインを手がけた亀田の姿も
北陸の方々に非常に喜ばれてるんだなというのが肌で感じるというかどうも初めまして亀田と申します高野といいますこのたびは新幹線の走行装置の非常に重要な部分を設計されたということで非常に大変な仕事をなさっていると思ってますありがとうございます北陸にマッチしたデザインとなっておりましてすごくかっこいいなと思ってますそう言っていただけたら本当にうれしいです本当にみんなの心を…
お互いに北陸新幹線に情熱を傾けた2人
話が尽きることはなかった
2人の夢が詰まった北陸新幹線
日本の未来を乗せて走り出した
次回はどんな津波にも耐え抜く
鍵となるのは常識を覆す…
地上には驚きの建造物
そして地下には便利施設を次々と生み出すその技術
キーワードは…
ナレーターは彼にバトンタッチ
今夜は
2015/03/15(日) 18:30〜19:00
MBS毎日放送
夢の扉+[字]【向井理▼北陸新幹線開業SP!〜“和”の伝統美と最新技術】
1000分の1ミリの闘い!時速260kmを支えた技術者たち
詳細情報
お知らせ
3月14日、北陸新幹線ついに開業!そこには、日本が誇る新技術が注ぎ込まれている。
最も注目されるのは、シンプルに流れるような曲線—先頭車両の“顔立ち”だ。
手掛けたのは、川崎重工業のデザイナー、亀田芳高。
新たなデザインのテーマを探るため、拠点とする神戸から、北陸三県へと何度も足を運んだ亀田は、そこで目にした、ある“和の伝統美”に衝撃を受けた。
番組内容
もう一つ欠かせないのが、重さ45トンの車両を最高時速260kmで走らせる“究極の技”。
重い車両の下で、車輪をスムーズに回転させるためのパーツ、「ベアリング」だ。
その開発・設計から耐久試験まですべてを担うのが、孤高のエンジニア、高野浩二。
地道にコツコツと技術を極めてきた高野。たどり着いたのは、1000分の1ミリ単位の精度を誇る、絶対的な“機能美”だった。
出演者
【ドリーム・メーカー】川崎重工業 車両カンパニー 亀田芳高(46) / 不二越 軸受事業部 高野浩二(45)
【ナレーション】向井理
音楽
小田和正「やさしい雨」
制作
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ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
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