食糧自給率は実のところ大した問題ではない。まやかしである。重要なのはエネルギーをどう供給するかである。
こんな記事が出ているのですが,食糧自給率って実のところ大した問題ではないと思います。
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食料自給率目標初引き下げ 2015年3月17日(火)13時54分配信
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2015031701001582/1.htm
農林水産省は17日、今後10年間の農業政策の基本となる新たな「食料・農業・農村基本計画」の案を審議会に提示した。カロリーベースの食料自給率目標を初めて引き下げ、従来の50%から45%にした。今月中に閣議決定する。
自給率の実績は40%を切っており、現実的な目標へと見直した。自給率向上を最優先する政策から脱却し、低カロリーでも付加価値の高い作物を重視する狙いもある。生産額ベースの目標は70%から73%に引き上げた。
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私以前よりどこかで主張していますが,仮に食糧がなくなったって備蓄もあるし,どこかの国から融通することもできます。
休耕田とかいっぱいあるのですし,いざとなればなんとかなります。
たとえばシンガポールとかスイスなんて,都市だったり山間部だったりして,食糧自給率が高いとは思えません。
むしろ食糧自給率よりも,「一次エネルギーの自給率」のほうが比較的問題と思います。
この記事重要と思ったのですが,阿修羅さんに転載されていなかったので,転載しました。
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世界最低水準!日本「6%」の不安 2015年2月28日(土)11時2分配信 R25
http://www.asyura2.com/13/lunchbreak53/msg/365.html#c32
日本6.0%、韓国18.0%、アメリカ85.0%、オーストラリア235.4%――これが何を指す数字かお分かりになるだろうか? 答えは「一次エネルギーの自給率」である。IEAの資料によると、日本はOECD加盟34か国のうち、下から2番目の水準。簡単にいえば、日本は一次エネルギーの94%を輸入に頼っていることになる。「資源の乏しい国ゆえ、日本のエネルギー自給率は低い」と知っている人でも、そんなに低かったのか!と改めて驚かされる数字ではないだろうか。(なにせお隣の韓国の1/3に過ぎないのだから)
ちなみに「エネルギー自給率」とは、その国の経済活動や暮らしに必要なエネルギーのうち、自国内で確保できる割合を指す。化石燃料の乏しい日本で「自給」できるエネルギーといえば、水力や太陽光、地熱、原子力(※)などのみ。それらを全部ひっくるめても6%しか自国で賄えないのだから、よく懸念される食料自給率どころの話ではない。食料自給率は約4割(カロリーベース)に及んでおり、エネルギー自給率に比べればはるかにマシだ。庶民感覚としても、「こんな状態で大丈夫なの?」と心配になってしまう。
(略)
だが、日本のエネルギー自給率は昔からこんなに低かったわけではない。2010年には20%ほどあったが、東日本大震災に伴う原発停止により一気に落ち込んでしまったのだ。やむを得ない事態とはいえ、これは危機的な状況である。
(略)
こうした危機感を背景に、世界各国はエネルギー自給率の向上に取り組んでいる。エネルギー環境は国ごとに大きく異なるが、供給源を他国に頼って良しとする国は世界中どこにもない。
ロシアからの天然ガスに依存していた欧州諸国も、かつて痛い目にあった教訓から、依存度を下げつつある。日本と同じく資源のないフランスが原子力を重視しているのは、まさにそうしたリスクを避けるためだ。アジア新興国が原発導入に積極姿勢を示しているのも、自国の責任でエネルギー需要の高まりに対応していくためである。
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これは大問題なのですが,日本国民全体の暗黙の了解だからか,とりたてて問題にされません。
いや,記憶をたどれば,震災・原発事故の前は言っていたけれども,言わなくなった,というほうが正解でしょうか。
私は原発推進派ではなく,反対派ですが,このような事情を考慮すると,諸手を挙げて原発反対をできるわけではありません。
どのように代替燃料を確保するか,そこまで整理してはじめて,原発反対を唱えられると思います。
日本の場合を考えましたが,現状結局は,
① 従前どおりアメリカと手を組む
② ロシアと手を組む(新パイプライン建設,北方領土問題の解決を含む)
③ 中国と手を組む(尖閣諸島問題の解決を含む)
この3本の柱を全部活かして,情勢を見ながら比較検討するしかないと思います。
日本って独立国家として立てない弱さがあるんですよね。
それでいえば,まだ高度経済成長以前は石炭もあり,日本のエネルギーの自給率はそれなりに高かったはずなのですが,日本は石炭を採らなくなり,オイルショックもあった経緯から,アメリカ追従が強くなったのではと思わざるを得ません。
その結果,いまのところ①しか生きてないですよね。それが問題と思います。
食糧自給率だけ取り上げてどうのと言っても,エネルギーがなくなれば輸送が全滅する上に,ハウス栽培の電源,トラクターなどの農機具も全て使えなくなってしまいますよね。
けれども阿修羅さんでも,食糧自給率の問題だけを取り上げた記事が掲載されているだけで,これでは解にたどり着かないと思います。
「食料自給率目標切り下げ 政策転換が危うくする食料安保:農業情報研究所」
http://www.asyura2.com/15/senkyo181/msg/582.html
それで思い出すのは,国鉄の分割・民営化です。
いくらJRに残りたくても,人員を見直したら不要となる人は必ず出てくるし,その方々が職業を続けられる面倒を見る義務は日本政府にありますが,同じ職業を続けられる面倒を見る義務までは日本政府にはないと思います。
農業も一緒で,TPPを受け入れて,海外と戦ってそれでも勝ち残れるように方策を練る一方,どうしても勝ち残れない農家に対しては,違う職業への転換を促すなり,違う土地での再出発を促すなりしたほうが現実的と思います。
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