朝食の楽しさを広げてくれる一品です。
一碗の茶に「もてなしの心」を込める茶の湯。
千利休以来の伝統は400年以上大切に受け継がれ今も多くの人々を魅了し続けています。
使われる道具や装いが春を意識した華やかな物に変わる3月。
武者小路千家で春の茶事を楽しみます。
「趣味Do楽春の茶事を楽しむ」。
前回に引き続き武者小路千家のお作法を習います。
武者小路千家家元の千宗守さんです。
どうぞよろしくお願いします。
今日もしっかりお稽古して下さい。
はい。
今日は「正午の茶事」という事ですね。
正午の茶事というのは茶の湯では一番正式な茶会なんですね。
「炭点前」いわゆる「懐石」そして「濃茶」「薄茶」と前後4〜5時間にわたって行われる一番正式な茶会なんですね。
それでねその「懐石」なんですがほんとは茶事の中で占める時間が一番長いんですね。
今日は最初の事でもありますので懐石の方はやや簡略したそれでも正式の懐石に準じたやり方でやって頂きます。
それと炭点前の中で少し特殊な釜が透木釜というのを使ってますね。
これは春を告げる茶事の非常に季節を大切にする一つの大きな具体的な表れなんですね。
その前哨戦としての透木釜を是非体験して頂きたい。
これをよろしくご理解のうえでお稽古に入って下さい。
はい。
ではどうぞよろしくお願いいたします。
正午の茶事はおよそ4時間かけて行われます。
前半の「初座」途中退席の「中立ち」を経て後半の「後座」に移ります。
今回は亭主が客を迎える「迎付」から始まり「席入り」「炭点前」「懐石」に至るまでの初座を体験します。
茶事の当日露地はきれいに掃除され遣り水がまかれます。
そのあと客が歩いて滑らないように飛び石を一つ一つ拭いていきます。
客をもてなす亭主の演出は既にこの時から始まっているのです。
客を日常の喧騒から解き放ち茶の湯の世界に誘っていくのです。
芳野先生今回もどうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
今日は本番のお茶事です。
緊張されるん違いますか?とても緊張しています。
しかもね本日はお正客をして頂きます。
そんな大切な役務まるかどうかも不安なんですがお洋服で来てしまったんですけれども大丈夫でしょうか?実は作法もいろいろございますのでそちらも気になりますしお着物も着慣れなければ気になりますので。
今回はお洋服でお気楽にそして作法の方を中心にさせて頂くという事でこのようにお洋服で十分大丈夫です。
ありがとうございます。
客はまず外の腰掛けで亭主の準備が整うのを待ちます。
今回の茶事には岩槻アナウンサーを含めて4人の客が参加します。
客が待っている間亭主は座掃きで茶室を清めます。
座掃きの音は間もなく茶室の準備が整うという合図になります。
(座掃きの音)音がしましたね。
はい。
清め直すと言いますかね。
座掃きが済むと亭主はつくばいの水を改めます。
亭主は水を流す音を客に聞かせたあと客との挨拶に向かいます。
水の音が聞こえましたね。
はい。
これが合図になります。
私が後ろからついて参りますのでお正客ですので先にどうぞ。
はい。
では。
客も正客から順に席を立ち亭主の挨拶を受けに行きます。
迎付の場所に置かれた結界を外し亭主は客を迎え入れます。
亭主と客はその場につくばって礼をします。
ここでは言葉は交わしません。
挨拶が済むと亭主は次の準備に戻ります。
客はそれを見送り迎付は終わります。
客はそのあと茶室の前にあるつくばいに向かいます。
そこで手と口を清めます。
まず左手をすすぎ次に右手をすすぎます。
最後に口を清め終わると次の人のために柄杓の柄も清めます。
それが済むと茶室に席入りします。
(扉を開ける音)わざと音を立てて扉を開きます。
これから席入りする事を控えにいる亭主に知らせるためです。
軽く一礼してから席中を伺い座敷ににじり入ります。
茶室に入ると床前に進み掛け軸を拝見します。
春が来て草花が芽を出すようになったという意味の作品です。
どう思われました?これを読まれて。
床の間から春がやって来た!という気がいたしました。
まさにそのとおりなんですよね。
はい。
それをちょっと順々に読み解きながら楽しまさして頂いたらいかがでしょうかね。
本日はようこそ。
岩槻様にはお忙しい中お越し下さいましてありがとうございます。
お招き頂きましてありがとうございます。
客が全員席入りを済ませると亭主が挨拶に訪れ初めて言葉を交わします。
これで席入り終了でございます。
もうここまでで一仕事終えた気分です。
まだまだです。
まだまだですね。
席入りが終わると炭点前です。
炉の中の炭を改めるため釜を一旦上げます。
あの釜ちょっと変わった形でしょ?はい。
空飛ぶ円盤のようなかわいらしいユニークな形ですね。
透木釜です。
羽がついているのが特徴で暖かくなる春先に使われます。
冬場に使われる釜は炭の熱や釜から出る湯気で室内を暖めます。
一方透木釜は羽が熱を閉じ込めるので室内が暑くなり過ぎず春先に重宝されます。
釜の羽が炉の縁を傷つけないように間に「透木」と呼ばれる木を置きます。
そのため「透木釜」と呼ばれます。
小さいのに工夫がされているんですね。
炭点前で使われる道具です。
炭の他炉を掃く羽箒香灰を湿らせた濡れ灰などを使います。
炭を継ぐ順番組み方空気の流れを考えて亭主は理想の湯加減を作り上げていきます。
羽箒で炉の周りを掃き清め始めましてねそうしますと炭の継ぐ様子を近くでご覧頂くという事になります。
近くで見てもいいんですか?そうなんです。
この炭点前というのはね…客は扇子を後ろに下げ「お先に」という挨拶を済ませて炉の正面に向かいます。
亭主は乾いた灰が飛ばないようにまず濡れ灰を炉にまきます。
そのあと炭を継いでいきます。
濃茶を点てる時に釜の湯がちょうどよい温度になる事を計算して大きさや種類の異なる炭を並べます。
炭を並べた時の美しさも重要なポイントです。
最後の炭を継ぎ終えると正客以外は席に戻ります。
まあ私もちょっと指導役ですのでちょっとこちら残らして頂きますけれどもやはり前半の炭点前その中でねこの香合これがメインの道具の一つになるんですね炭点前の中ではね。
香を入れる香合が大事…。
そうですはい。
それをこちらで拝見を乞って預かって帰って手元でご覧になられると。
香合の拝見をお願いいたします。
それではお持ち帰り頂きましょうか。
正客は亭主から香合を受け取り席に戻ります。
香合を上座に預けると扇子を元の位置に戻して居住まいを正します。
それでは今度は拝見の所作になります。
まず出し帛紗これを出して頂いてこれを一つ広げてもう一つ広げて頂きます。
もう一つ広げるんですね。
はい。
そして前に置いて頂いたらいいんですね。
これは香合格が高い物ですのでねそういった物にはこういう出し帛紗を使います。
香合をお持ち頂いて置いて頂いてこちらですね。
そして「お先でございます」と挨拶して頂きます。
お先でございます。
藤のお花がありますね。
そうですね。
ちょうどこれから咲くもうすぐの風情を表してますね。
今回亭主が選んだのは3月のひな祭りにちなんで貝で作られた香合でした。
どうぞ身の方もご覧頂いたら…。
あっ全く同じ絵柄ですね!はいそうですね。
香合の拝見ありがとうございました。
客は拝見のあと亭主と香合についての問答を交わします。
松に藤ですか。
さようでございます。
そして蓋と身も同じ絵柄ですね。
はい。
どうもありがとうございました。
炭点前が終わりまして今度はお食事の時間。
懐石でございますけれども…。
まあこの度は…このように向付にこのお酒でスタートという形になるんです。
鯛の刺身に春の山菜を添えた向付が出されました。
どうぞ。
ありがとうございます。
亭主からは白酒が振る舞われます。
もうこれは頂いてしまって…?せっかくですのでね。
少し口つけられてそれから向付手つけられたらいいですよね。
いい香りですね。
う〜ん!続いてメインの懐石料理を頂きます。
白酒のあと煮物碗に続いて広い器に盛られた料理などが順番に振る舞われていきます。
3月の料理にはたけのことえびの炊き合わせや菜の花などの旬菜が並びます。
貝の器には金箔が施され華やかな祝いの装いです。
春が一堂に集まった感じの…。
そうですね。
高杯と言うんですね。
じゃあちょっとどちらかねもうそろそろお手をつけて頂いて…。
それでは…。
じゃあこれは菜の花でしょうか。
菜の花ですね。
いただきます。
うん!いかがですか?香りがよろしゅうございますでしょう。
おいしいです。
いい香りです。
懐石の最後に主菓子を頂きます。
どうぞお取り上げ下さい。
わあ!形も色もかわいいですね。
こちらもおひな祭りにちなんだお菓子なんですよ。
真珠をつくるアコヤガイに似せた主菓子。
京都で親しまれてきた伝統的なひな菓子です。
主菓子の持つ甘みが後に頂く濃茶の味をより一層引き立ててくれます。
じゃあいただきます。
わあ〜かわいい。
う〜ん!いかがですか?おいしゅうございます。
これで初座が終わり中立ちになります。
客は一旦外に出て後座の準備が整うのを待ちます。
正午の茶事前半まで教えて頂きました。
いかがでした?あの…率直な感想としましておいしいお酒と懐石料理を頂いて主菓子を頂いてもう本当に満足しまして。
もう帰ります?そう。
もう帰っていいかなと思ってしまうぐらいだったんですけども…。
まだ一服も実はお茶を頂いていないんですね。
それは次の「後座」と言います後半の事をね茶事の。
後座の最初に経験をして頂く。
まあ次回ですかね。
一番大事な事が残っておりますのでねそう早く帰ってもらっては困るんです。
お楽しみはまだまだこれからですね。
では次回も正午の茶事後半どうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお勉強下さい。
2015/03/16(月) 11:30〜11:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 茶の湯 武者小路千家“春の茶事を楽しむ”第2回「茶事(前編)」[解][字]
千利休以来400年の歴史を誇る、武者小路千家の茶の湯を学ぶ、全4回。第2回は「茶事を学ぶ(前編)」。迎付(むかえつけ)から、炭点前、主菓子を頂くまでを体験する。
詳細情報
番組内容
千利休以来、400年以上に渡り人々を魅了してきた茶の湯。その精神を受け継ぎ発展させてきた武者小路千家に学ぶ4回シリーズ。第2回は「茶事を学ぶ(前編)」。正式な茶事をアナウンサーが体験していく。亭主と挨拶を交わす「迎付(むかえつけ)」に始まり、「炭点前」、「懐石料理」、そして「主菓子」を頂くまで。独特な形の透木(すきぎ)釜、華やかな貝合わせ香合、旬の山菜が添えられた懐石料理など、春の趣向を楽しむ。
出演者
【出演】茶道(武者小路千家家元)…千宗守,茶道教授…芳野宗春,岩槻里子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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