(「東京ブギウギ」)戦争が終わって3年穏やかな日々が続いています。
近頃エリーは読書に夢中でマッサンがプレゼントしてくれた洋書を家事の合間に読みふけっています。
エマは25歳になりました。
エマ。
マッサンの取り引きが縁で2年前に進駐軍の現地職員に採用されました。
翻訳や英文タイプ時には通訳として頑張っています。
そしてマッサンは粛々とウイスキーを造り続けています。
昭和9年に初めて仕込んだ原酒は戦火をくぐり抜け熟成15年目を迎えていました。
統制経済の下一本1,300円するドウカは一般にはあまり売れていませんが進駐軍との取り引きは順調で工場の経営も安定しています。
(俊夫)お坊ちゃま!これ!
(政春)何じゃ?これ見てつかぁさい!「配給公團廃止へ」。
ついに来たか。
わしゃこの時を待っとったんじゃ。
いや〜腕が鳴るのう。
(俊夫)ほうですのう。
・「大好きな人々大好きな明け暮れ」・「新しい『大好き』をあなたと探したい」・「私たちは出会い私たちは惑い」・「いつか信じる日を経て1本の麦になる」・「空よ風よ聞かせてよ私は誰に似てるだろう」・「生まれた国育つ国愛する人の国」・「麦は泣き麦は咲き」・「明日へ育ってゆく」・「麦は泣き麦は咲き」・「明日へ育ってゆく」日本は自由化という大きな節目を迎えています。
これまでウイスキーの価格は政府が決めていましたが来年春からは各メーカーが自由に決めて販売してよい事になるのです。
マッサンはこれを絶好の機会と考えていました。
味もスモーキーフレーバーもますます深みを増しとる。
ハッハハ!いよいよこの15年物が日の目を見る日が来るのう。
(俊夫)新しいウイスキーの名前早よ考えんにゃいけまへんの。
スーパードウカはどうじゃ?スーパードウカ?ああ。
今までのドウカよりはるかにうまいスーパーなウイスキーじゃ。
よがんすのう!スーパードウカ!ああ。
値段は一本780円じゃ。
えっ…780円!?いやドウカが一本1,300円じゃのに15年物を780円…。
わしゃ常々一人でもようけの日本人に味わってもらいたい思いよった。
自由化になりゃようやくその時が来るんじゃ。
じゃけど一本780円で売ったんじゃ…。
いや…赤字にさえならんかったらわしゃもうけはええ。
これまで海軍や進駐軍と取り引きを続けてきたおかげでうちには多少の蓄えもある。
お坊ちゃまお気持ちは分かりますがのう…。
俊兄…わしにはウイスキーしかなぁ。
ウイスキーで傷ついた日本の復興の役に立ちたいんじゃ!いやじゃけど…。
マッサンは町の復興にも惜しみない協力をしていました。
こんにちは。
ああわざわざどうも。
町役場の小林です。
この度はまことにありがとうございます。
いやいや…。
役場や余市の町の人らにはいつもお世話になっとりますけん。
さあ皆さんどうぞ!お世話になります。
入って入って。
戦争で樺太を追われた人々や身寄りをなくした復員兵などを住み込みで雇い入れる事にしたのです。
ああどうも。
ああこんにちは!こんにちは。
失礼します。
(ハナ)ご苦労さまです。
ありがとうございます。
(熊虎)みんなちょっとの間だがここをわがんちと思ってゆっくりしてくれ。
(一同)ありがとうございます。
お世話になります。
(熊虎)ああご苦労さん。
(エリー)こちらでお願いします。
(熊虎)ああゆっくりしてくれ。
お世話になります。
母ちゃん布団フカフカだ!よかったな〜。
必要なものがあったら言って下さいね。
ありがとうございます。
仕事のいろはも分からん者をぞろぞろぞろぞろ…。
現場で往生するのは工場長のわしですで。
わしも一緒に教えるけん。
真面目に働いてくれりゃええんですがのう。
ところが俊夫の心配はいい意味で裏切られました。
これのう石炭が平らになるようくべてつかぁさい。
はい!全体を満遍なく燃やして火力を安定させる事が大事なんです。
はい!お願いします。
はい!何もかも失った人々は感謝を込め一生懸命に働いてくれました。
ああっ!これ蓋はな上に向けんといけんのじゃ。
よいしょ!せ〜の。
工場長!えっええ?次は何をすればいいべ?えっえ…あ…。
指示願います!おおほうじゃのう…あ〜っとへじゃ…。
そして仕事を終えた人々は…。
(ハナ)お待ちどおさま。
(子どもたち)うわ〜!
(ハナ)ほら。
(子どもたち)うわ〜!おいしそう。
どうぞ!ありがとうございます。
頂きます!いっぱい食え。
熱いから気を付けて。
頂きます!乾杯!
(一同)乾杯!
(ハナ)うまいか?ありがとうございます。
ああ…皆さんご苦労さまでした。
(ハナ)ご苦労さまです。
ああご苦労さん。
お疲れさまでした。
(一同)お疲れさまでした。
これわしからの差し入れですけんえかったら飲んでつかぁさい。
いやいやそこまでしてもらう訳には…。
ドウカウイスキーなんてもったいねえ。
高級品だべ。
自分たちは三級で十分であります!酒は飲み慣れた酒が一番です。
毎日これだけはやめられなかった。
戦地にいた自分たちもそうでした。
(笑い声)まあまあまあ…。
ここに置いときますけん遠慮せんでつかぁさい。
遠慮せんと!
(一同)ありがとうございます。
いっぱい食べぇよう!のう?ありがとうございます。
お代わりはなんぼでもあるけん。
(熊虎)何杯でも食え。
ああ〜!ああ〜!
(ハナ)お代わりたくさんあっからな。
(ドアが開く音)
(福田)失礼します。
社長あの大阪の出資者のお二人が…。
え?
(福田)来られてます。
さあどうぞ!
(渡)ハハッすまんな。
ハハハハハ。
邪魔しまっせ。
ハハハハッ…。
(野々村)札幌の百貨店の創業記念式典に呼ばれましてね。
ええ。
どうせならと2人して足を伸ばして寄らせてもらいました。
ああ…どうぞ!連絡もらえりゃお迎えに…。
抜き打ち検査や。
また何ぞ妙な事たくらんでへんか確かめに来ましたんや。
いやわしゃそがな…。
ハハハッ…冗談やがな。
ハハッ!おっおお!エリーちゃん相変わらずべっぴんさんでんな。
ありがとうございます。
すいません失礼します。
すんませんすんません。
おおきにおおきに。
じゃあ…ごゆっくり。
はい。
ハハハッ…。
(渡)ハハハ。
三級のウイスキーや。
自由化したらこれからますます売り上げ伸ばしよる。
亀山さんにも是非三級酒を造って頂きたいんです。
うちで三級酒を?来年の春にはウイスキーの配給が終わるいう噂をご存じですか?はい。
自由化になったら間違いなく三級酒の安売り競争が始まる。
進駐軍との取り引きかていつ打ち切られるか。
いや…ちいと待ってつかぁさい。
これはウイスキーとは違います。
うちで造っとるウイスキーは原酒しか使うとりません。
じゃけど三級酒は原酒の割合が5%未満と法律で定められとる。
つまりほとんど原酒が入っとらんまがい物なんです。
相変わらず世の中見てへん男やな〜。
(野々村)今の日本でそんなに高価な一級ウイスキーを買う余裕のある者がどれだけいてます?わしゃ15年物の本格ウイスキースーパードウカを日本中の人に。
なにがスーパードウカや。
お前な誰のためにウイスキー造っとんねん。
いや…。
戦後復興にしのぎを削るこの日本で本物とかまがい物とかそんななまやさしい事は通用しません。
生きるか死ぬかです。
四の五の言わんと早いこと三級ウイスキー造りなはれ。
これは命令や!出資者に突きつけられた難題に頭を抱えつつマッサンは三級ウイスキーを飲んでみる事にしました。
はあ…。
どうじゃ?言葉は悪いがただ酔えりゃええいう酒ですの。
いや〜こがぁなもんをウイスキーじゃ言う奴は詐欺師じゃ。
へじゃが会社を続けていくためにゃ…。
分かっとる。
じゃけどわしまでこがぁなもん造ったら日本はまたイミテーション時代に逆戻りじゃ。
ほうじゃのう…。
・
(足音)
(ドアが開く音)マッサン!大変!政春叔父さんお久しぶりです。
え…?悟です!
(千加子)ほれご挨拶。
岡崎悟です。
こんにちは。
あの悟か?岡崎悟帰ってまいりました!ええ〜っ!?出征以来消息不明だったおいっ子の悟が帰ってきたのです。
信じられない再会にただただ驚くマッサンとエリーでした。
2015/03/16(月) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 マッサン(139)「一念岩をも通す」[解][字][デ][再]
終戦から3年、熟成した原酒を使ったより安いウイスキーづくりに燃えるマッサン(玉山鉄二)であったが、出資者の渡(オール阪神)から三級酒をつくるよう命じられ…。
詳細情報
番組内容
1948年(昭和23年)、エリー(シャーロット)は穏やかな日々を送り、エマ(木南晴夏)は進駐軍の現地職員として頑張る毎日。そして、マッサン(玉山鉄二)は熟成15年を迎えた原酒を用いて新しいウイスキーを開発し、より安い値段で売り出そうと考えていた。そんな中、工場へやってきた出資者の渡(オール阪神)から、酒の自由化に合わせ三級ウイスキーをつくるよう命じられ、マッサンは頭を悩ますのだったが…。
出演者
【出演】玉山鉄二,シャーロット・ケイト・フォックス,八嶋智人,小池栄子,西田尚美,泉澤祐希,木南晴夏,オール阪神,神尾佑,風間杜夫
原作・脚本
【作】羽原大介
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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