(風間)
都内のとあるビル
ここで今注目のエンターテインメントが行われています
何も見えない暗闇の中チームを組んで感覚を頼りに進んでいく…
暗闇を案内しているのはアテンドと呼ばれる視覚障害者たち。
闇の中から生きる答えを見いだしてきました
リーダーの…
社会の役に立てないと引きこもっていた状況から脱出
歌手としても活動する川端みきさん。
周囲からの同情に苦しみます
歌の力を信じればいい。
そう気付かせてくれたのはお客さんとの出会いでした
目に見えない幸せを探り当てるエキスパートたち。
彼らからのメッセージです
今日は漆黒の暗闇の世界を体験できるダイアログ・イン・ザ・ダークに来ています。
そしてサヘルさんと一緒なんですがサヘルさんこちらのダイアログ・イン・ザ・ダークご存じでしたか?名前は聞いた事があったんですけどもまだ来た事なくて。
…というのもそんなに暗闇が得意ではなく入ると体が震えてしまうのであまり率先して入った事がないです。
すごく怖いです。
でもその怖い暗闇を楽しんで頂こうっていうこちらの施設なんですけれども…。
ダイアログ・イン・ザ・ダークは…世界中に広がりました。
日本で初めて開催されたのは15年前。
珍しい体験が評判を呼びます。
今では予約も取れないほどの人気ぶり。
これまで14万人が体験しています。
アテンドのリーダー檜山晃さんが今日は案内してくれます。
はい檜山です。
いいですか?今日「ひやまっち!」って感じで。
気軽に呼んで頂いて…。
オッケーですオッケーです。
さっさと見るって事を諦めて下さい。
今日は…。
分かりました。
潔く。
早速中へ。
暗闇では杖が頼り。
周りの様子を確認するのに使います。
お入り下さい。
ありがとうございます。
もう一段階…。
(サヘル)暗くなりましたね。
あっ…ああ真っ暗。
怖い。
本当に怖いです。
こんなに不安定になる事ってあるんですね。
(檜山)なるほど。
すごく怖い。
イラン生まれのサヘルさん。
幼い頃戦争でがれきの中に閉じ込められ暗闇は苦手です。
じゃ行ってきま〜す。
ここからは皆さんも音を頼りに想像してみて下さい。
(サヘル)枝かな…?何かを発見。
(檜山)しかも少し枯れ気味ですね。
更に奥へ。
水があるっていう空間はこんなに空気が本当は変わってるんだよね。
(檜山)ちょっと変わりましたね。
(サヘル)変わりました。
声の響きが違う。
洞窟みたい。
何なんだろう?ここ…。
(サヘル)あっ結構手入りますね。
あっいろんな石。
…で線がある。
あっ面白い!
(檜山)サヘルさん何か好奇心がいっぱい出てきましたね。
出てきた。
(サヘル)はい。
(檜山)こんな奥まで触る人なかなかいないですよ。
(サヘル)すみません。
ごめんなさい。
(笑い声)暗闇では感覚が研ぎ澄まされていきます。
(サヘル)これ見えてない時の触った水って優しいというか柔らかいんだっていう。
(サヘル)そう思うと何かいろんなもの生きてるんですね。
(檜山)いい発見ですね。
いやすごいっすね。
(サヘル)いろんな音とか触っていく事によって体がその空間にいつの間にかなじもうとしてるから…。
更に次の空間へ。
(檜山)もうちょい行くと僕らアテンドの家がありますのでちょっとお二人招待しちゃおうかな。
(サヘル)ありがとうございます。
(檜山)アテンド仲間のみきティが待っているので…。
なかなか古風なちゃぶ台を使ってらっしゃるんですね。
えっ?どうやって入れるの?どれくらいお湯っていうか入ってるのかっていう感覚が今すごいドキドキしてるの。
(お湯が入る音)
(みきティ)カップに入っていく音の感じが変わってきますよね。
お湯の音の高さというか。
およそ1時間暗闇を体験した2人。
どうでしたか?すごい…人との距離みたいなものを大切にいとおしいと思えるというのがすごいなって思って。
母性愛ですか。
(サヘル)うん。
何か守りたくなる。
それは一緒にいる人を守りたくもなるし自分もそこにいる空間で…2人が暗闇を楽しめたのはひやまっちのサポートがあったから。
俺そんなに声出してないのにサヘルさんを追い抜いて俺前に出ちゃったじゃないですか。
そしたらその時に「あっ風間さんの方が前に来たんですね」って言った時に俺心の中で「何で分かったの!?」って思って。
はあ〜!?えっ!?そうだったんですか?だからコンコンコンコンと音がする方が風間さんだなという。
杖の音の違い…。
私はどんな音でした?サヘルさんはあんまり杖の音がしなかったですね。
衝撃の事実。
鋭い洞察力を持つひやまっち。
その能力は企業向けのプログラムでも存分に発揮されます。
新しいプログラム作りでも彼は中心的な存在。
ブランコして…で水。
水。
じゃお茶もやろうか。
はい。
中で体験させてもらった水だったりお茶を飲んだりっていうのはアテンド側のひやまっちのアイデアだったりもするんですね。
そうですね。
僕らからも提案していく事もやってます。
一番大事にしている事は…今も十分面白かったんだけどでももしかしたらもっと面白い事があるかもしれない。
そして先ほど暗闇の和室で会った川端みきさん。
うちらは中ではみきティと呼ばせて頂いてたのでこのままみきティと呼ばせて頂きます。
みきティよろしくお願いします。
よろしくお願いしま〜す。
みきティから見てひやまっちってどんな人ですか?アテンドしててもひやまっちって…ここに至るまで長い道のりがありました。
生まれた時から目が見えなかったひやまっちは盲学校に入学。
成績は優秀。
スポーツも万能。
応援団長や文化祭の責任者を務めるなどいつも仲間の中心でした。
しかし大学生の時その自信を砕かれます。
IT企業への就職を目指しましたが目が見えないためにかなわなかったのです。
自分は…7年の間ほとんど家に引きこもっていました。
自分の中でちょっと諦めみたいなものというのは…?目が見える人はできるけど自分にはできないとかそういう積み重ねがすごいイライラするし…そんな時友人の紹介でダイアログ・イン・ザ・ダークを知りアテンドを始めました。
アテンドをする中で気持ちに変化が生まれます。
自分には健常者にないものがあるのではないか。
だから見えるとか見えないっていう事が自分がだからゆえにできない訳じゃなくて別な方法で自分はやってるよというふうにポジティブに思えるようになってきた。
そうなんですよね。
中に入ってうちらが「あっ風が動いた!」って言うけどひやまっちからしたら「うんまあそうだよね」っていう。
「当たり前ですよ」っていう。
「何を今更感動してるんですか?」ぐらいに…。
「えっ知らなかったんですか?あっそれは教えてあげないと」っていうね。
「アテンドを究めたい」。
そう決意したのは子ども向けのプログラムを担当した時の事。
10歳の少女から思いがけない言葉をかけられたのです。
なかなかびっくりするエピソードですよね。
どうされたんですか?もちろん結婚はしてないんですけれど…。
ひやまっちという人の…人しか見てない訳じゃないですか。
その暗闇の中の平等さみたいなのをすごく感じるエピソードですよね。
本当おっしゃるとおりでその子の言動振る舞いを見て何かダイアログとかアテンドが果たす社会的意味が分かったみたいな。
みきティさんもそういうふうに感じる事ってあったんですね。
(みきティ)そうですね。
それが本当に…みきティもまた新しい自分を見つけた一人です。
みきティはソプラノ歌手としても活躍しています。
生まれてすぐ目の病にかかり次第に視力を失ったみきティ。
幼い頃から歌う事が大好きで大学の声楽科を首席で卒業。
全国各地のコンサートに招かれるようになりました。
しかしそこで待ち受けていたのは視覚障害者という現実。
障害がある事で正当に評価されていないのではないか。
思い悩む日々が続きます。
ダイアログ・イン・ザ・ダークを知ったのはそのころ。
あるプログラムがみきティの意識を変えます。
(みきティ)・「忘れがたき故郷」
(拍手)披露した歌が参加者の心を捉えたのです。
私の歌が確かに届いている。
障害にこだわっていたのは自分自身かもしれない。
「私が目が見えなくて歌ってる事がすごいと思ったんですか?」って聞いた訳じゃなくてただ私がそう感じたんですよね。
でもそれってそう思うと実はそれは私からするとどっちでもいい。
どっちで感じてもらえてもそれは私自身なんだなっていうふうにすごく今は思ってますね。
みきティもそうだと思いますしひやまっちだってそうだし…自信を取り戻した2人。
更に価値観を大きく変える出来事がありました。
ドイツから来日したアテンドからもっと自分の強みを押し出しなさいと教えられたのです。
(檜山)なぜあなたはダイアログ・イン・ザ・ダークに関わりたいんだ?その中でも…答えをなんとかして言葉にしてみるみたいな事をし始めると割と物事うまくいき始めた感じがすごくありましたね。
本当に自分自身を見つめて…ほかの人と違う経験。
それは違う経験は悪い…それこそネガティブに捉えるんじゃなくてそれが本当は活用できるんじゃないか…。
自分の強みは何か。
見つめ続ける中である事に気付きます。
皆さんこんにちは。
(一同)こんにちは。
気配りをする事です。
誕生日が近い人がいると知り急きょ暗闇の中で作ったバースデーカードをプレゼント。
読んで。
そうなんだ!すごい!お客さんが一体となって楽しめるようにささいな音も聞き漏らさないひやまっち。
一つの確信があります。
本当は空気をよむっていう言葉の意味は事なかれで何もしないっていう波風立てないって事が空気をよむ事じゃなくて本当はその時に最善を尽くしてその場にいるみんなとか自分自身がハッピーになるという事自体が本当は空気をよむっていう意味な訳で…。
会話をどうしたらいいんだろうと思って周りと合わせてしまう方に行ってしまうけれども合わせる事と空気をよむ事また違いますよね。
いや〜でも本当に…運命論者じゃないんですけど巡り合うべきしてここに来たみたいな感じがするんですけどね。
最近僕もそんなふうに思い始めてて本当ラッキーだったなって。
ラッキーって言っちゃうと言葉軽くなっちゃうんですけど…そんなふうに考えるので本当出会ってよかったという気がします。
ソプラノ歌手としての自信を取り戻したみきティ。
更に多くの人に自分の歌を届けたいとステージに立っています。
(拍手)・「曠野の花に」・「知る教」・「かしこき野ばら」どちらにも共通しているかなって思いますね。
(サヘル)魂を感じました。
すごく情熱というか中に秘めているものを前面に出し切っているからこそ見てる人が肌で振動で感じたりだとか…。
すごく楽しいんですよ。
歌う事もアテンドも。
これから何かチャレンジしたいものとかってあります?何かこう…やってみたい事とか。
ぴったりだなと思うしよくそこを見つけてきたなって思うし。
今日好きな女の子がいるんだ。
…でその女の子と初めて2人で食事をしたあととかにそのバーに来たとかって言ったらその時の声色とかでこの人はきっとこの人に好感を持っていて…でまだ2人はつきあっていないんじゃないかとかっていうのを察するプロフェッショナルでしょ。
(サヘル)そうですよね。
何も言わずとも作ってくれそうな見事なその1杯を…。
今日は本当にチャレンジ企画だったんで中に入ってる間のとかって真っ暗闇で音声がひたすら流れてたと思うんですけど音声聞くのと暗闇の中に入るの全然違うんで…。
(サヘル)そう。
本当に…。
暗闇って言葉にすると暗くて真っ暗なとこって感じがするけどそうじゃなくて何か自分の中に入れる空間。
私の中の私っていう感覚になれる場所だから見つめ直す場所にもなるし決してそこは暗闇じゃない。
暗くはないなっていうふうに私は感じた。
温かい。
すごく…。
本当に宣伝みたいになっちゃうんだけどね本当に思うのがこれね来ないと多分分かんないと思うんですよ。
(サヘル)人種とか国籍関係なくいろんな人が入ってお互いの姿が見えないけれどもこうやって会話をしようとする事で本当に平和ってそういうとこから生まれるんじゃないかなと思うから…。
だから本当に壮大な話になったけれども全世界の人たち来て下さい。
もう本当に…。
こんなポップな感じで今日は終わるよ。
見える人と見えない人の世界をつなぎたい。
ひやまっちは新たな挑戦を始めています。
視覚障害者と健常者が一緒にプレーする…
(一同)乾杯!全国有数の漆器の産地会津若松。
新製品の開発が始まっています。
漆がたれて固まってる。
真っ黒く。
へえ〜。
ここ?黒く光ってます。
みきティも開発メンバーの一人。
ここにあるのは触れる文化。
繊細な感覚を生かし究極の使い心地を目指します。
あんまりここが高くなり過ぎないででもここが指がフィットする曲線にとか言ってひいて頂いたんですよね。
そうですね。
2015/03/16(月) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー▽File.22 暗闇のスペシャリストたち[解][字][再]
真っ暗闇を体験できると注目を集めるエンターテイメント、ダイアログ・イン・ザ・ダーク。そこで案内人を務める視覚障害者たちが今回の主人公。彼らのブレイクスルーとは?
詳細情報
番組内容
真っ暗闇を体験できるダイアログ・イン・ザ・ダーク。視覚以外の感覚が研ぎ澄まされ、肩書きや見た目など、様々なしがらみから解放してくれると大人気のエンターテインメントだ。今回は暗闇の案内をしている視覚障害者たちに注目。差別や偏見に悩まされながらも生きる喜びを見いだしてきた、まさに“暗闇のスペシャリスト”たち。リーダーの“ひやまっち”、ソプラノ歌手の“みきティ”のブレイクスルーに迫る。MCの暗闇体験も。
出演者
【司会】風間俊介,サヘル・ローズ
ジャンル :
福祉 – 障害者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
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