(杉下右京)失礼します。
予約を入れた杉下ですが。
岸田先生失礼します。
うっ…!
(奥寺美和子)なんで薫ちゃんがここに来てんのよ!?しかもそんな格好で。
(亀山薫)お前が言ったんじゃん。
参加者が少ないからサクラが必要だって。
それは女性参加者の話。
男は足りてるからいらないの。
いいじゃん。
もう来ちゃったんだから。
あ…もしかして私のこと心配で来てくれたの?全然。
もう!ホントのこと言いなさいよ。
全然平気です。
おっいい女…。
バカ!あれ?
(斎東リカ)ありがとうございます!伊丹さんてお優しいんですね。
モテるでしょう?
(伊丹刑事)いえそれほどでも。
お友達同士で参加ですか?はい私は斎東リカ。
斎東の「東」はニシヒガシの「ヒガシ」です。
こっちが親友の七森雅美。
ほら雅美。
自分で自己紹介くらいしなよ。
雅美のタイプでしょう?すみません。
この子おくてで…。
伊丹さんはなんの職業なんですか?地方公務員です。
地方公務員の伊丹くんじゃないか。
か亀山ぁ〜…!どうもどうも。
ちょっとちょっと…!お前らなにやってんだよこんなところで!なにって人生のベストパートナーを求めて。
ね?
(リカ)お友達ですか?友達でも同僚でもなんでもないんですよ。
単なる顔見知りです。
この人ね乱暴なんですよ。
ホラホラ。
せっかくだからみんなで楽しくやりましょうよ。
(司会)それでは皆様これよりカップルを決めますのでクジを引いてください。
お飲み物いかがですか?
(男)私こういうところ初めてなんです…。
あそうなんですか…。
(七森雅美)あの…私なんかとですみません…。
いえ全然!そのドレスすてきですよね。
母とデパートに買いに行って…。
へえお母さんと仲がいいんだ。
「友達親子」ってやつですか?ええまあ…。
そのブローチもすてきですよね。
プードルですか?ハイ。
小さいころプードルを飼っていて「ラブちゃん」ていう…。
偶然見つけて「かわいいな」と思ってこれだけは自分で選んだんです。
へぇ〜。
雅美いい感じじゃない?私の大ハズレよ。
あとで替わってね。
ちょっと失礼。
はい伊丹。
なんですか右京さん?休みの日に仕事以外のことで君に電話したことがありますか?「あやっぱり」すぐに来られますか?あの…場所は?
(伊丹)わかりました。
すぐに行きます。
あ…すぐに行きます!急な用事で…ご縁があったらまた。
ちょっと待って。
事件!?あーもう!
(三浦刑事)岸田義邦35歳。
精神科の医者だ。
(米沢鑑識官)鮮紅色の死斑。
典型的な一酸化炭素中毒ですね。
死後20時間ってところですか。
(三浦)部屋は内側から目張りされていた。
自殺だな。
見込み捜査は危険ですよ。
なんで警部さんがここにいるんですかねえ?第1発見者なんだよ。
警部さんが?ええ。
僕が第1発見者です。
ここの患者?右京さんがですか?いけませんか?別にいけなくはないですけど。
睡眠障害で何度かこちらに通っています。
睡眠障害?あなたがですか?不眠症ですよ。
ここ3日ほど眠れないのできのう岸田先生に電話を入れました。
今夜なら診てもらえるというのでこちらへ伺いました。
今日は日曜日休診日でしょ?休診日でも診てくれていたということですよ。
予約したときに自殺するような感じは?バカ!そもそも自殺する人間が予約なんか受けるかよ!口挟むなよ!発作的に自殺する人もいますから。
いずれにしてももう少し調べてみないとはっきりしたことはわかりません。
(芹沢刑事)同僚の斎藤先生がお見えです。
(伊丹)ご苦労さまです。
岸田先生のことですが自殺の原因になにか心当たりは?
(斎藤肇)全く思い当たりません。
クリニックの経営のほうも…彼と共同経営なんですが順調でしたし特にトラブルもありませんでした。
診察室は隣ですよね?ですがお互いの患者のことにはノータッチです。
プライベートでなにか問題は?わかりませんねえ。
先生の同僚なんでしょ?じゃああなたこちらの方のプライベートはなんでもご存じなんですか?同僚なんでしょう?精神科医が自殺だなんて異常じゃないですか?心療内科医です。
それに医者も人間ですから。
自殺と断定されたわけではありません。
あしからず。
失礼。
警視庁特命係の杉下といいます。
警部さん引っ込んでてくれませんかね?
(亀山)あっ!なにやってんだよ勝手に!おいこの名前…。
(伊丹)これがなんだよ?バカかお前。
さっきパーティーで会ったろう?こっちは親友の七森雅美。
(薫)そんなによくある名前じゃねえだろう?パーティーってなんだよ?
(伊丹)なんでもない!
(芹沢)勘弁してくださいよ〜。
なに言ってんだよ。
「捜査は持ちつ」?「…持たれつ」。
お前の情報を教えてくれたら俺のスゴイ情報を教えるから。
本当ですよねえ?嘘つかない!管理会社に確認したら清掃員が土曜日の夜にビルから出て行く女を見たそうなんです。
岸田先生が死んだ日か…。
顔は?後ろ姿だけではっきりとは…。
予約名簿の「七森」って女性に話を聞いたのか?それが予約はキャンセルしたと。
これってもう自殺で決まりみたいですよ。
それで先輩のほうの情報は?お前んとこの伊丹刑事なあ…。
お見合いパーティーに出てるぞ。
シッシッ!なんですかそれ!そうですか。
女性が目撃されていますか。
でも一課は自殺で片づけるみたいですよ。
やっぱ自殺じゃないんすか?医者ならば薬物の入手は比較的楽なはずです。
面倒な一酸化炭素中毒死を選ぶでしょうか。
死に方なんて人それぞれじゃないですか?
(いびき)しかしよく寝る人だなー!ゆうべだってたっぷり寝たって言ってましたよ。
睡眠過剰。
不眠とは逆のケースかもしれませんね。
(携帯電話の振動音)杉下です。
…はい。
…そうですか。
…はい。
わかりました。
今からそちらに。
ちょっと鑑識へ行ってきます。
俺も行きます!
(角田課長)…なんだ!?眼鏡?…あここか。
(米沢)赤しそ茶です。
お茶として飲むかお燗したお酒に加えて飲んでください。
不眠症には効果てきめんです。
少なくとも私にはよく効きました。
助かります。
なんだその話か。
てっきり事件の話かと思った。
てっきり事件の話です。
お茶を渡すためにわざわざ警部を呼びつけたりしませんよ。
調べ直していただけましたか?ちょっとこれを見てください。
なんすかこれ?虫刺されの跡?虫刺されの跡を見せるためにわざわざ警部を…。
呼びつけたりはしませんよねえ。
なんすかそれ?スタンガンを押しつけられるとこういうやけどの跡できませんかね?なるほど。
つまり女性でも相手を簡単に倒すことができる。
例の目撃された女性…ですか?ちょっと行ってみましょう。
(薫)つまり岸田先生はスタンガンで気絶させられたあと一酸化炭素中毒で殺された…ってことですか?その可能性は否定できませんね。
でもこの部屋のドアは内側から目張りされてたんでしょう?つまり密室状態だった。
犯人はどうやって部屋を抜け出したんですか?窓は開かないし絶対無理ですよ。
このドアには鍵がかかっていませんでした。
もし君が自殺を考えたならば鍵をかけませんか?ま…自殺を考えたことないっすからねえ。
その七森さんという女性にお会いしたいですね。
亀山君段取ってくれますか?俺がですか?パーティーでお知り合いになったんでしたねえ。
お知り合いっつーか…。
斎東の「東」がニシヒガシの「ヒガシ」ですか。
珍しいですね。
覚えやすいでしょう?でも亀山さんが刑事さんだなんてびっくりだわ。
ひょっとしたら伊丹さんも!?ええまあ…。
岸田先生と七森さんとはどういうご関係ですか?前に医者がメインのお見合いパーティーに2人で参加してそのとき岸田先生と知り合いました。
雅美のやつ先生のこと気に入っちゃってそれから何度かクリニックを訪ねて診察してもらってました。
雅美さんどこか具合が?対人恐怖症…。
…でもそれは口実でただ先生に会いたかっただけなんじゃないかな。
2人の間に…なにかトラブルは?さあ…。
ひょっとしたら…。
しつこくして迷惑をかけてたのかも…。
雅美さんとはお会いできますか?どうかな…ひどいショック受けてるし…。
「部屋に引きこもって出てこない」っておばさんが言ってたし。
行ってみましょうか。
おばさん…。
(七森日出子)申し訳ありません。
(日出子)雅美ったら部屋から出たくないって…。
(リカ)雅美のやつ…!私がいけないんです。
父親がいない分甘やかして…。
雅美!出てきなよ!・
(リカ)亀山さん心配して来てくれてるんだから話ぐらいしなよ!・
(リカ)聞こえてんでしょう!?いつもこうなんだから…。
入るよ!勝手に入らないでよ!なんで連れてくるの!?リカなんか大嫌い!みんな心配してんの。
私なんかほっといてよ!雅美!ねえ!嫌っ!いいの!雅美っ!いい加減にしなっ!
(泣き声)ごめん…ごめんね。
だけど雅美が悪いんだよ。
無理にとは申しません。
帰りましょう。
はい。
本当にすみません…!・
(雅美)帰らないで!亀山さん1人なら…。
えっ…俺!?
(右京)お2人の間にはよくあのようなことが?
(リカ)いつもたたいたりなんかしてませんよ。
雅美が訳のわからないことでキレたときだけ。
これでも私忍耐強いほうなんですよ。
岸田先生も信頼してくれてたし…。
そうですか。
岸田先生が。
前に言われたんです。
「雅美さんと一緒に住んであげると彼女のためにとてもいいのですが」って。
だけど引っ越し間際になって雅美がドタキャンして…。
それはなぜ?いつものことなんです。
自分に自信が持てないっていうか優柔不断っていうか…。
旅行へ行こうって決めてもいっつも雅美がドタキャンして。
まあ…私は慣れっこなんですけどね。
斎東さんは随分お優しいんですね。
友達だから。
あの子には私しか友達がいないし…。
(薫)無理やり押しかけてきてすみませんでした…。
迷惑…でしたよね?…うれしかった。
ブローチ…褒めてくれたでしょう?誰かに褒めてもらうなんてめったにないからお世辞でもうれしかった…。
いや…お世辞なんかじゃないっすよ。
ホントに「いいな」と思ったから…。
亀山さんって…いい人ですね。
いやぁどうっすかね。
あの…岸田先生のことなんですけど…。
あ…あ…なし。
今のなし。
ショックですもんねえ。
知り合いがあんなことに…。
なんか力になれることがあったら言ってくださいね。
俺でよければ力になりますから。
本当に…?…ええ。
いかがでしたか?人とうまくやっていけないとかいつも不安で1人が怖いとか主にそういう話をですね…ええ。
土曜日の夜の彼女のアリバイは?ずっと部屋に閉じこもっていたそうです。
母親もそう言ってました。
近親者の証言は不在証明になりませんよ。
右京さん彼女を疑ってるんですか?さあどうでしょう。
あの子には人殺しなんて無理ですよ。
まだ決めつけなくていいんじゃありませんか?なんでも疑えばいいってもんじゃないっしょ?
(斎藤)七森雅美さんのカルテないですねえ…。
それは誰かが持ち去ったということですか?さあ…岸田先生が自殺する前に処分した可能性も…。
なにかそうする理由が?私は岸田先生じゃありませんので。
ごもっとも。
雅美さんは対人恐怖症の治療を受けてたんですか?カルテがないのでわかりませんね。
もう…わかんないことばっかしですね。
亀山君。
あのような関係はよくあることなんですか?あのような関係?雅美さんとリカさんです。
嫌っ!ごめん…ごめんね。
(斎藤)「共依存症」かもしれませんね。
共依存?ええ。
共に依存し執着しあう人間関係。
俗に言う「ベッタリな関係」のことです。
共依存症の人にはなにか弊害が?自分に自信がないから極端に他人を頼る傾向があります。
頼られたほうは息が詰まる。
逃げようとする。
するともっとしがみつかれる。
悪循環ですね。
でもリカさんは逃げ出さずに雅美さんの世話を一生懸命焼いてますよ。
病的なまでに他人の世話を焼きたがる…。
自分がいてあげないと駄目だと思い込む…。
それも共依存の症状の1つなんですよ。
ということは岸田先生が共依存の相手を治療していた可能性も。
ええ。
ないとは言えませんね。
(店員)こちらでやるので結構です。
(日出子)すみません…。
(日出子)リカさんのことだけど…。
あんなことする人だとは思わなかったわ。
少しおつきあいを考えたほうがいいんじゃないかしら…。
(薫)赤しそ茶…。
効きました?僕には効かないようですねえ。
それに比べてこの人はもう…。
よし…。
(角田)うぅ…苦しい…。
もうお腹いっぱいだよ…。
(メールの着信音)え?どうしたんですか?…同じです。
同じ…ですね。
ハイ。
探すの大変でした。
ああ…いいっすねそれね…。
ハイ!あのう…。
私…思ったんです。
あのパーティーで薫さんに出会ったのは偶然じゃないって。
縁があったんです。
…それだけ言いたくて。
お仕事の邪魔してごめんなさい。
あっ…あの…。
(メールの着信音)ウッまただ…。
10分おきのメール攻撃。
これ…返事を返したほうがいいんですかねえ?刑事としても人としても返事は返しておいたほうがいいと思いますよ。
そうですよね…ハイ。
それにしても立ち直りの早い方ですねえ。
岸田先生の死に随分ショックを受けていたようでしたが。
まだ少ししかたってないですもんね。
岸田先生の診察を私が!?ええ。
受けるわけないわ。
私は病気じゃないし。
そんなことを聞くためにわざわざ?ではもう1つ。
あなたが雅美さんのためにそれほど一生懸命になるのはなぜですか?…友達だから。
それじゃいけません?いけなくはありませんが。
変えたいのよあの子を。
変えたい?
(メールの着信音)なんなの!?さっきから…。
ん!?…仕事のメールだよ。
怪しい…。
なにが!?男が携帯を90度以上開かないのは浮気してる証拠だってよ。
違うよバカ…。
だったら堂々と見れば?このほうが画面が見やすいんだよね。
訳のわかんないこと言って…。
えい!あちょっと…!うわっ!なんだよこれ!?あんたの「出て行けセット」だよ!誰?雅美って?この間のパーティーで…。
どういうことよ!?向こうが一方的にね…。
今日だけで50通もメール交換!?事件がらみで話を聞いてるだけだって。
事件?私には「自殺」って言ったじゃない?それは…。
あーもうわかった。
事件にかこつけて女を口説く刑事がいるって記事書いてやる。
(右京)興味深い関係ですね。
興味深くなんかないっすよ。
雅美さんなんとかしてほしいですよ〜。
共依存のことですが。
(メールの着信音)うわっまた…。
薫さん!アハハ…。
おんなじです。
おんなじ…。
今日は…なんでしょうか?よかったらこれ!食べてください!こういうの困るんです…。
いらなかったら捨てちゃっていいから。
ちょっと雅美さん!早いなあおい…。
まいったなあこれ…。
あっ美和子…美和子!昼めし?共依存ねえ。
そういうのってあるの?あるわよ。
女同士でもそういうベッタリな関係。
で?どうなってんの?その雅美って子とは。
別にどうもなってないよ。
ふ〜ん…。
じゃあこの包みはなんだろ〜。
あちょっと待って…。
おー!おー!ふ〜ん。
ジャーン。
あちゃー。
うわ…うわー。
しばらく1人で反省しなさい!違うんだよあの子が勝手に…。
捨てちゃうから。
捨てようと思って来たの。
気持ち悪くて食えないから。
ここに捨てるから…今…。
これ…ね?ごちそうさまでした…。
…え!?嘘!?もう背筋がゾゾ〜ッとしましたよ。
正直に話したほうがいいのかもしれませんね。
同せい相手がいることを。
わかってるんですけどタイミングが…。
(伊丹)亀山。
お前が来いよ。
今日の夜時間はあるか。
なんだお前?時間はあるのかっ!?ああるけど…。
ちょっとつきあえ。
逃げるんじゃねえぞ。
なんだよ…。
いいからっ!
(リカ)亀山さん女と同せいしてるんですってね。
えっ?ごまかしても駄目。
ちゃんと伊丹さんに聞いたんです。
ひどいじゃない!なんで同せい相手がいるのにお見合いパーティーに来たの!?それは成り行きで…。
別にだましたりするつもりじゃなかったんですよ。
(リカ)雅美はどうなんの!?あなた雅美の気持ちをもてあそんで傷つけたのよ。
もてあそんだって…。
リカさんの言うとおりだ。
二またをかけるなんて最低な男だな。
同じ男として僕は君を軽べつする。
なんなんだよお前は…!
(伊丹)君も1人の人間として雅美さんとちゃんと向き合うべきなんじゃないのかな?ね?お前腹立つ。
その女とは結婚してるわけじゃないのね?それはそうっすけど…。
あの…誤解させてしまったことは謝ります。
すみませんでした。
(リカ)雅美!なんか言ってやんなよ!ここまでバカにされて黙ってる気なの!?ひどすぎるじゃない!
(雅美)もういいから。
(リカ)雅美!
(薫)あ〜嫌だ嫌だ嫌だ!なんでこうなっちゃうんすかねえ。
(宮部たまき)まるでクモの巣に引っ掛かった哀れな虫みたいね。
こういうときどうすりゃいいんすか?そうねえ。
結婚してさしあげたら?その雅美さんって方と。
冗談じゃないんですってば!深刻なんですから…。
久しぶりに見ますねえ。
君が真剣に悩む姿。
(携帯電話の振動音)…ああっ!はい?電話です。
はい亀山です。
え?…雅美さんが!?
(薫)リカさん!雅美さんは?
(リカ)命に別状はないって。
そう…よかった!よかった!?あなた私の親友をこんな目に遭わせてそれでも警察官なの!?
(ドアの開く音)お騒がせして申し訳ございません。
(日出子)娘の問題行動にはいつも悩まされてきました。
それでなるべく買い物とかにあの子を連れ出して「友達親子」をやってきました。
なのに…自殺未遂なんて…!おばさんのせいじゃないわ。
リカさんがお見合いパーティーにあの子を連れ出すからこんなことになるんだわ。
リカさん結婚するんでしょう?雅美のことはいいから自分の幸せだけを考えて。
私結婚なんかしませんけど…?え!?そうなの…?そんなことあったら真っ先におばさんに言いますよ。
とにかくこれ以上雅美には近づかないで。
お願い。
(日出子)お願いね。
(薫)大丈夫ですか。
力になってくれるって言いましたよね?私を見捨てないで!あ…起きちゃ駄目ですよ。
薫さん…その人のところに帰らないで!私を独りぼっちにしないで!寂しくて死んじゃう…!います…いますから…。
いくらなんでもそれっておかしいんじゃない!?薫ちゃんはその子のなんなのよ!?なんでもないけどさ…。
ほっといてまた…自殺でもされたら。
もう帰ってこなくていいよ。
のんびりできるし。
あっ…もう!こんなことになってしまい僕からもおわびします。
おわびなんていいです…。
もう…2人とも消えてほしいです!ですが雅美さんは亀山君にそばにいてほしいと。
バカなのよあの子は…。
岸田先生の一件ですが。
それがどうしたんですか。
自殺ではないかもしれません。
そんなの今は関係ないでしょう?おはようございます…。
おはようございます。
病院から出勤ですか?はあ…。
岸田先生は本当に自殺だったんじゃないですかね…。
気持ちわかりますよ…。
君はまだそんなことを言ってるんですか。
あれは他殺です。
ですから…部屋は密室だったじゃないですか。
そうですね。
僕には1つ気になっていることがあります。
なんすか?岸田先生のアドバイスです。
「雅美さんと一緒に住んであげると彼女のためにとてもいいのですが」って。
奇妙だとは思いませんか?なにがですか?2人が共依存の関係にあるのなら一緒に住まわせれば症状はますます悪化します。
そんなアドバイスを岸田先生がするでしょうか。
(斎藤)処方せんです。
これでゆっくり眠れます。
このクリニックはお閉めになってしまうんですか?ええ。
また別の場所で開業しますよ。
やれやれです。
先生は近々ご結婚の予定はありませんか?誰からそれを?岸田先生にしか言ってなかったのに。
岸田先生にお話しになったのはいつのことですか?
(携帯電話)はいもしもし。
杉下です。
亀山君1つお願いがあります。
雅美さん退院おめでとう。
薫さん…。
(日出子)わざわざありがとうございます。
お仕事大丈夫なんですか?ええ今日は休みました。
雅美さんちょっとそこで待っててもらえるかな?お母さんとお話が…。
はい…。
すみません。
(日出子)なんでしょうか?俺…決めました。
雅美さんと一緒に暮らします。
ええっ!?もう部屋も用意したんです。
彼女の支えになりたいんです。
許してもらえますよね?でも…あの子はあんな状態です。
子供っぽいしわがままだし。
誰かと一緒に暮らすなんてとても無理です!あなたにご迷惑をおかけするだけです!お母さん!あの…。
雅美さんのことこのままほっとけないんですよ。
これ住所と鍵です。
落ち着いたら彼女に渡してください。
お願いします。
(鍵の開く音)やはりお母さんだったんですね。
なんで俺を殺そうとするんですか。
殺すだなんて…。
じゃあそのスタンガンは!?岸田先生もあなたですね?なにをバカな!岸田先生は自殺でしょ?違います。
それはあなたがいちばんよくご存じでしょう。
雅美さんが自殺未遂をなさったあとあなたはリカさんを雅美さんから引き離そうとしましたね?とにかくこれ以上雅美には近づかないで。
リカさんはお嬢さんのことを気にかけてくれている唯一の友人だというのに。
それは…!…それは雅美さんを独占しておきたいあなたにとってリカさんが邪魔な存在だから。
違いますか?違います。
岸田先生のアドバイスで雅美さんとリカさんは一緒に住む予定でした。
それもあなたが阻止したんじゃありませんか?私はあの子の母親ですよ!なにがいけないの。
そうおっしゃると普通の母親と娘のように聞こえますが問題は…そこです。
雅美さんと共依存の関係にあったのはリカさんではなくお母さん。
あなただったんですね。
それを見抜いた岸田先生は早く母親から自立するよう忠告した。
じゃないと雅美さんの人生はメチャメチャにされてしまう。
しかしあなたはそれさえも邪魔した。
つまり…。
岸田先生を計画的に殺した。
違う!違うわよ!そんなのでたらめよ!我々はあなた以外に犯人はありえないと思っています。
どうして…どうしてそんなことが言えるのよ!?斎藤先生の結婚話ですよ。
あなたは病院でこう言いましたね?リカさん結婚するんでしょう?私結婚なんかしませんけど…。
実際に結婚の予定があったのは斎東リカさんではなく斎藤先生のほうでした。
なぜそのような勘違いをしたのか。
それはあなたが殺害現場にいたからですよ。
(右京)土曜日の夜9時ごろあなたは雅美さんの名でクリニックに予約を入れてますね?
(岸田)あれ?今日は雅美さんは?体調が悪くて…。
(岸田)そうですか。
どうぞ。
(岸田)決心がついたんですね。
あの子も自分1人で暮らすと…。
(岸田)それはよかった。
(電話)ちょっと失礼。
あ斎藤さん。
なんですか?…結婚!?
(右京)あなたは岸田先生の電話を聞いて「サイトウ」という名前を雅美さんの親友の「斎東リカ」さんと思い込んでしまった。
そしてスタンガンで岸田先生を気絶させ一酸化炭素中毒で自殺したように見せかけた。
そして雅美さんのカルテを持ち去った。
カルテには共依存症の対象者であるあなたの名前が書かれていた。
もう1つ説明しておきましょう。
岸田先生の診察室は密室状態でしたね?亀山君。
(薫)はい。
(掃除機の音)
(右京)外側からでも密室を作るのは可能なんです。
あなたは岸田先生を自殺に見せかけて殺しました。
雅美さんを奪われたくないというただそれだけの理由で。
あのヤブ医者は人の娘を病人に仕立て上げて母親の私から引き離そうとしたのよ!マーちゃんは私の子よ。
誰にも渡さない。
独りぼっちは嫌よ…。
夫に捨てられた私にはもうマーちゃんしかいないの…!独りぼっちは耐えられない…!マーちゃん…マーちゃん…。
お母さん!もう雅美さんを自由にしてあげたらどうです?母親の私が娘を愛してなにが悪いのよ!?それは「愛」というよりは「支配」ではありませんか?雅美さんを1人の人間として認めてあげてください。
いずれにしてもこれからお2人は離れ離れに暮らすことになるわけですから。
嫌ァーっ!!嫌よーっ!!
(泣き声)
(リカ)いろいろお世話になりました。
これからどうなさるおつもりですか?アパートを借りて2人で住みます。
岸田先生もそう言ってたし。
この子のことは心配しないでください。
私が立ち直らせますから。
雅美さん…大丈夫ですか?行こう雅美。
私がついてるから大丈夫だよ。
あの2人本当に大丈夫っすかねえ。
なんか母親の役割がリカさんに替わっただけのようなそんな気がするんですけど…。
共依存ですか?ええ…。
純粋な友情と信じましょう。
あとは2人の人生です。
そうっすね。
2015/03/16(月) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season2[再][字]
「蜘蛛女の恋」
詳細情報
◇出演者
水谷豊、寺脇康文 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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