(風間)
ハンチング帽が決まっている…
実はある学校の理事長です
長岡さんの生徒たち。
ここは学校や社会に居場所が見つからないと悩む人たちが通う学校
「あなたを必要としている場所は必ず見つかる」。
その思いを伝えたくて長岡さんは自分の学校を作りました。
16歳の時突然左半身が麻痺し寝たきりの状態に
医師からは社会復帰は難しいと言われ生きる希望を失いました。
どん底から救ってくれたのは恩師のひと言
…ってあの人に言われたのが。
出会ってなかったら多分生きてねえんじゃねえかなって気しますよ。
その後奇跡的に回復。
長岡さんは教育の道に進みます。
生きる力を育てる学校。
長野の小さな学舎。
長岡秀貴さんのブレイクスルーに迫ります
空気が凜としててすごいいい所ですね。
今年1月。
僕は長野県上田市にある学校を訪ねました。
不登校や引きこもりなどを経験した人たちが通う民間の教育施設。
その名も侍学園
ようこそいらっしゃいました。
よろしくお願いします。
侍という名前に生きる力を磨くという願いを込めました
早速教室へ
僕も長岡さんの授業を受ける事に
お願いします。
(一同)お願いします。
今日の授業はコミュニケーション能力について。
本当の意味のコミュニケーションかは分からないんですけどうまく立ち回ったりするのは得意な方だと思います。
(笑い声)まあ風間君以外の人間はコミュニケーションはうまくないと思っている。
タイシ何でそう思うの?
(長岡)「うまく返せない」。
どんなところでそう思うの?
入学した理由や年齢はさまざま。
現在は14歳から41歳までおよそ40人が在籍しています
俺もコミュニケーションが上手な方だと思っていません。
仕事でしゃべってるけどね。
ふだん無口ですから。
そこ笑うところ。
(笑い声)ウイークポイントはデメリットかどうかっていうね。
つまりコミュニケーションが得意な人っているのかって事ですよ世の中に。
早速コミュニケーションの練習。
テーマを決めて隣の人と話します
みんな言葉の難しさをよく知っています
相手にどう思われるか考えると心配で言葉が出てきません
隣が初めて会う人だったらどうかっちゅう話やな。
…っていうかミユキ。
(笑い声)やっぱ話すのが上手なので話しやすかったです。
実はコミュニケーションを円滑にするのは聞き手の能力にあるのではないかってとこですよ。
今のワークショップの中ではね。
だからみんな笑顔でしゃべっている。
これは何を発言するか「いい話できたなガッツポーズ」なんていう話じゃないんだよ。
みんなに共通して必要なもの大切なものの話をしてたのがすっげえ面白かったです。
(笑い声)
人とつきあう事をそんなに難しく考えなくても大丈夫。
もう一度心を開く手助けをしたいと長岡さんは思っています
教授みたいな事言ってるね。
中学変に私立行って痛い目見ました。
あっお前中学私立行ったの?じゃ小学校お受験したの?お受験しました小学生で。
だから無駄に頭いいんだよお前。
昔できていた…もともとできなかった事ではなくてできていた事ができなくなってるだけだと思ってるんです僕は。
再び生きる力を取り戻すための学校を作る。
長岡さんが決意したのはある経験からです
ただいま。
・は〜い。
ガキ大将です。
うん。
確かにガキ大将。
それで結局お友達をつくるんじゃなくて結構みんな集まってきてくれたんだよね。
だから面倒見もよかったんだと思うけれど。
小学校の時の夢はプロ野球選手。
毎日真っ暗になるまで外で遊んでいる元気な子どもでした。
高校も野球部。
甲子園を目指します
ところが入学から僅か2か月後大きな試練が襲いました
椎間板ヘルニアが悪化。
突然左半身が麻痺し体が動かなくなったのです。
治療法が分からないまま2か月以上入院。
医師から一生歩けないかもしれないと告げられました。
絶望のふちに立つ長岡さんに希望をくれたのは…
そのきっかけはちょっと変わっていました
その病室に来る訳よ。
その担任の先生。
でもガラガラッて開けるとため息をつくっていうね。
くたびれてんのもう。
先生自身が。
俺のいたクラス自身もすごく荒れてて学級経営でへとへとになってたのね先生も。
その愚痴をこぼしに来る部屋だったの。
俺の病室自身が。
でもこっち死を覚悟してる部屋にため息ついて来んなよって内心思ってて。
自分としては。
そのうちだんだんちょっとふびんに思えてきて。
いろんな相談をするようになったんだよね。
要は生徒同士の事って生徒の方がよく分かるじゃない。
実はあいつってこうなんだよみたいな事を裏情報を流してそれを先生が学校で実践する。
うまくなったっていう報告をもらう。
…っていうような事を病室で学級経営やってたのね。
そんな事をやってるうちにある時先生が「やっぱり長岡学校戻ってこいよ。
やっぱお前学校に必要だわ」って言ってくれて。
お前が必要なんだよって言ってもらった時に何だろうな…。
これ本当に今でも覚えてるんだけどもう一回生きていいんだなとかこんな俺でも必要としてくれてる人いるの…。
じゃあ人様にもらった命だからこのセカンドライフ2回目は誰かのために生きようって自分で決めたので。
じゃなかったら終わるなと思ってたから。
その後長岡さんは必死にリハビリに取り組み9か月後奇跡的な回復で学校に戻りました。
そして新たな夢を抱きます
教師になる。
大学は教育学部に進学し小中高の教員免許を取得。
大学4年卒業論文を書くために全国のフリースクールを回っていた時の事でした。
いじめや親からの虐待さまざまな問題で傷つき学校に行けない子どもたちの現実を知ったのです
「家にも地域にも学校にも僕の生きる場所がなかったんです」っていう…。
もう俺は最後学舎しかねえんじゃねえかって思ってそういう子どもたちでもちゃんと希望を抱けるそういう学舎作りたいなって思いましたね。
子どもたちの生きる力を取り戻すために自分に何ができるのか。
長岡さんは高校の教師を経て30歳の時自分の学校を立ち上げました
僕はみんながなぜこの学校を選んだのかを聞いてみました
そして実際に変われたのでしょうか?
ありがとうございます。
長岡さんは侍学園を卒業し社会に巣立っていった若者たちとの交流も続けています。
心配なのです
基本的に周り年上の人ばっかりで自分から誘いづらいっていうのもちょっとあるんですよね。
そうですかね。
普通にしゃべってますけど最初に出会った頃の事というのもよく覚えてるからああこいつこんな事言うようになったんだなとか何か普通に働いててそれなりの苦しさ持ってんだなとか同じ社会人だなとかって思えるじゃないですか。
侍学園を卒業するためには2つの条件があります
1つ目は経済的な自立。
仕事が3か月以上続いている事
おはようございます。
(一同)おはようございます。
2つ目は精神的な自立。
学校の外にも友達ができたり自分から人間関係を築けるようになっている事
今長岡さんには心配している生徒がいます。
入学して5年になる…
「10年先の事なんてわからない。
1年先なんて考えられない。
1か月後生きているかもわからない」。
この日の授業で入学前の気持ちをこう書いた中尾さん。
今年は卒業したいと思っています
学祭後の1週間ぐらいで消える。
(笑い声)
いつもはクラスのムードメーカーですが突然プツッと音信不通になる事があります
(拍手)でもそのなぜが分かるとね…。
そうなんだよ。
何でしょうね?何かこうやってた事がポンって終わるとやっぱ気が抜けて…。
燃えつきってやつが…まあこれ一つの原因にもあるかな。
中尾さんは遅刻が増えていました
この時点で来て授業出る度胸はあいつにないので来ないんじゃねえかなっていう気はするけど…。
いや僕はしないですね。
今僕はしちゃいけないんでしょうね。
多分ね。
いや〜僕から連絡するんだったら今年の卒業ないです。
11時過ぎ。
今日も遅刻
理由を聞くと寝坊でした
(笑い声)隣の人が「おいしいね」って言っても…。
年末商戦の中弁当屋のアルバイトが深夜に及んでいました。
疲れ気味の中尾さん
年が明け卒業が間近に迫った大切な時期中尾さんは3日連続で欠席。
いつもならこのまま音信不通になってしまうのですが…
その晩担任に中尾さんから連絡が来ました
「ぶっちゃけ精神的にキテいます。
卒業までの事とか色々重なってつらくなってます」
思い返すとこれこういうヘルプの出し方初めてかなっていう気しますね。
なかなか向こうからそういうのってなかったんです。
本当にこっちが家行ってガンガンやってメール送って電話してっていうとこだったんですけどね。
翌日
中尾さんが教室に姿を現しました
申し訳ありませんでした。
これまでは一度休むとそのまま殻に籠もってしまっていた中尾さん。
しかし今回は自分の力で危機を脱しました
つらい時は誰かに頼ってもいい。
それは恥ずかしい事じゃないんだ
じゃあまた明日。
お疲れさまです。
お疲れさまです。
この日は「感謝」というテーマで自分の気持ちを表現する授業がありました
「あなたからパンをもらった。
あなたから言葉をもらった。
あなたから気持ちをもらった。
だから言葉を返すよ。
たくさんの思いを込めてたくさんの言葉を返すよ」。
それをこう実生活に…。
(笑い声)そう思ってましたので。
自分を好きでいてくれる人がいるんだっていう実感ですとか自分を必要としてくれる人がいるっていう事とか…。
自分を好きになりましたね。
学校に来て。
長岡さんは毎週千葉の病院に通っています。
子育てに悩む親たちのカウンセリングをするためです
心を閉ざした子どもたちの多くは家庭にも問題があると考えているからです
この日は不登校の娘を持つ母親が相談に訪れました
改めまして。
娘から来たメール
子どもの気持ちが分からない。
誰にも相談できず孤立する母親が増えていると長岡さんは感じています
いいいい。
全然いい。
つらい気持ちを発信してくれる。
それは親を信頼しているからだと励まします
俺はそう信じてこの仕事はしてるつもり…。
1月の終わり。
侍学園では卒業生を決める会議が開かれました。
経済的に自立し社会の中で人間関係を築いていく力が身についているかを判断します
だんだんその…回復力がだんだんついてきたのかな。
入ってきた時にすごい怖かったっていうか。
全否定っていうか人をシャットアウトっていう感じだったのが。
だけどその柔和な感じがすごいよくなったなと思って。
それだけでも何かすごいいいなと思いますね。
いつも僕が水曜日とかに来たら絶対声かけてくれるんですよ。
2階からわざわざ窓から手振ってくれたりとか。
そういうひと言のやり取りなんですけどそれで僕自身の心が温かくなったりしてて何かその彼の持つ力ってすごいなって思って。
俺はねこいつは卒業させたいんだよ。
その理由は5年間こいつ自身が生き続けてこれた事かな。
生きていってほしいんだよ。
こいつには。
生きていってほしいっていうところから普通ちゃんともう生きていくんじゃないかなって…「きょうの健康」です。
今週はこちら島根県川本町にやって来ています。
2015/03/16(月) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー24「生きる力を育む学校を作りたい〜長岡秀貴」[字]
長野県上田市に全国から注目を集める民間の教育施設がある。不登校など学校や社会に居場所が見つからない若者たちが、生きる力を取り戻すための学校。風間俊介さんが訪問。
詳細情報
番組内容
壁にぶつかった時、一歩前に進むためのヒントを探る「ブレイクスルー」。今回、主人公の長岡秀貴さん(41歳)は、長野県上田市に民間の教育施設を作った。不登校や引きこもりなど、学校や社会に居場所が見つからないと悩む人たちが生きる力を取り戻すための学校だ。この春、卒業を目指す若者が自立に向け成長していく姿をドキュメントで伝える。【出演・語り】風間俊介【音楽】若旦那
出演者
【出演】風間俊介
ジャンル :
福祉 – その他
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 教育問題
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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